E1049 – インド国立図書館,OPACを公開

カレントアウェアネス-E

No.171 2010.05.19

 

 E1049

インド国立図書館,OPACを公開

 

 2010年4月,インド国立図書館(National Library of India:NLI)のウェブサイトでOPACが公開され,所蔵図書の一部が検索可能となった。当面の間,目録情報の公開範囲は,著者名,タイトル,件名等に限られるものの,数か月後には,全面公開となる予定である。NLIは,図書館機能の現代化に向けた取り組みの一環として,目録のデジタル化を進めており,既に,目録レコード240万件のうち14万件が,MARC21フォーマットに置き換えられた(CA860参照)。将来的には,すべての図書について作業が行われ,OPAC上で公開される見込みである。

 これまで,NLIの館内では,OPACが先行導入されていたが,館外での参照ツールは,冊子体の「インド全国書誌」(Indian National Bibliography:INB)にほぼ限られていた。NLIが受け入れた法定納本資料を基に,同一敷地内にある中央参考図書館(Central Reference Library:CRL)がINBを作成してきたが,冊子体のみの発行であるため,その利用機会は限られていた。今回,ウェブ上での蔵書検索が実現したことにより,図書の貸出サービスを受けている国内の個人,国内外の一部図書館をはじめ,世界中から簡単に,NLIの所蔵を確認できるようになる。

 もっとも,インドの法定納本制度では,NLIへの納本率が30~40%といわれ,比較的多くの国内出版物が,収集されないままとなっている。その要因として,納本制度自体の周知不足のほか,根拠法に当たる「図書及び新聞の納本(公共図書館)に関する1954年法」(D.B. Act)が定める,出版者側の送料負担,納本義務違反時の罰金の少なさ等が指摘されてきた。

 なお,OPAC公開に合わせて,デジタル化された貴重書の目録も公開された。専用のOPACを検索して,NLIに寄せられたリクエストに基づき,毎月,デジタル画像がNLIのウェブサイトにアップロードされていく予定である。デジタル化作業自体は,1900年以前に出版された英語及びインド諸言語の図書9,000冊余り,320万ページ分について完了している。

 今後,NLI自身の取り組みとともに,納本制度の改善を通じて,インドの資料へのアクセスがどのように向上していくのか,大いに注目されるところである。

(関西館アジア情報課・西願博之)

Ref:
http://www.nationallibrary.gov.in/
http://www.nationallibrary.gov.in/FromDirector.htm
http://www.pib.nic.in/release/release.asp?relid=53092
http://timesofindia.indiatimes.com/city/kolkata-/National-Library-goes-the-e-way/articleshow/5681174.cms
http://www.crlindia.gov.in/indian.htm
http://www.ifla.org/files/hq/papers/ifla75/77-ghosh-en.pdf
CA860