CA961 – 全国的フィルム保存プログラム(米国)推進のための委員会が発足 / 中村規子

カレントアウェアネス
No.181 1994.09.20


CA961

全国的フィルム保存プログラム(米国)推進のための委員会が発足

National Film Preservation Act of 1992 (P.L.102-307)は,1988年の法律(P.L.100-446)を更新するものだが,さらに米国議会図書館(LC)館長に米国におけるフィルムの保存状況を調査し,全国的保存プログラムを作ることを指示している。ビリントンLC館長は,この法律に従って,昨年6月議会にFilm Preservation 1993を提出し,古いフィルムと最近のフィルムのいずれもが数多くの保存の問題に直面していることを詳細に報告した。さらに,このほどフィルムの全国的保存プログラムを推進するために,特別委員会と四つの実行委員会(Task Force)を組織した。これらの委員会は映画界,文書館,教育機関の代表者から成り,5ヶ月間,活動を行う。

Preservation Board Funding Committeeは,文化的,歴史的価値のあるフィルムを保存するための財源を確保する。次に,フィルムの保存方法を総体として再検討するTask Force 1。ここでは,原フィルムの保管とフィルム・トウ・フィルム・コピーについての現状認識をした上で,電子メディアへの変換など保存技術の変化を検討する。Task Force 2は,公的に保存されているフィルムの利用提供を促進するシステムを作ること,および一般には利用できないフィルムを教育目的で利用させるためのシステムを作ることをその目的とする。Task Force 3の目的は,政府と民間との間の協力体制を作ることである。協力を促進するための法的措置を講ずるとともに,文書館,産業界,専門技術者の間のコミュニケーションを促す。Task Force 4は,フィルム保存活動に対する一般の人の関心と支持を喚起することを目的とする。

なおビリントン館長は,今年の夏には全国的フィルム保存計画の作成を完了させたいとしている。

中村規子(なかむらのりこ)

Ref: Librarian appoints film preservation task forces. LC Inf Bull 53 (4) 63-64, 1994.2.21