国土地理院、外国人向けの地図における英語表記ルールや地図記号に関する検討結果などをまとめた「外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書」を公開

2016年1月6日、国土地理院は、「外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書」を公開しました。

国土地理院が2014年度に設置した、日本地図学会会長でもある法政大学デザイン工学部の森田教授を座長とする「外国人にわかりやすい地図表現検討会」の成果をまとめた資料となっています。

これまで外国人向けの地図における多言語による地名表記や地図記号に関する標準的なガイドライン類は存在しなかったとのことで、今回公開された資料は、地名及び施設名の英語表記ルール、外国人にわかりやすい地図記号、今後の課題の3つから構成されています。

●英語表記ルール
ローマ字表記から英語表記に変換するに当たり、

・置換方式(例)筑波山:Mt. Tsukuba 利根川:Tone River

・追加方式(例)月山:Mt. Gassan (置換方式は適用不能) 荒川:Arakawa River

の2つの方式のうち、置換方式を基本とすることや、置換方式とすることが難しい場合を明示し、地名を

・単体自然地名(山、川など)
・広域自然地名(山脈、山地など)
・居住地名(都道府県、市区町村、大字・字など)
・施設名(道路、橋、駅、神社仏閣、公園など)

とわけ、どの場合に追加方式を採用するか、などを示しています。

英語表記のルールは、2014年3月にまとめられた観光庁の「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」との整合性をもたせつつ、より詳細にしたものとのことです。

●地図記号
外国人に必要と思われる18種類の地図記号について案を示し、わかりやすさや視認性を確認するアンケートを実施した結果を受け、同検討会が推奨する地図記号が、ピクトグラムとともに資料に載せられています。

現在地形図などに用いられている記号と異なるデザインが提示されているものとしては、

寺院 (ナチス・ドイツを連想させるため)
博物館・美術館 (現行の記号よりわかりやすいとの回答が多いため)
郵便局 (来日間もない外国人にとってなじみがないため)
病院 (教会、盾、墓などと間違える恐れがあるため)

などがあります。

その他、地図記号と注記(Sta.やAve.など)の併用についても言及があります。

国土地理院は、2015年度中に具体的な地図記号の電子ファイルを公開する予定とのことですが、その公開によって従来の地図記号の変更を求めるものではないとのことです。

なお、同検討会は、訪日外国人旅行者の環境整備や、観光立国、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な開催などに資するために設置されたものです。

「外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書」がとりまとまりました(国土地理院, 2016/1/6)
http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa60014.html
http://www.gsi.go.jp/common/000111836.pdf
http://www.gsi.go.jp/common/000111857.pdf
※2つ目のリンクは、検討会委員の名簿で、3つ目のリンクは、報告書の概要です。

参考:
国土地理院、「電子地形図20万」と「数値地図(国土基本情報20万)」の全国整備を完了
Posted 2015年12月28日
http://current.ndl.go.jp/node/30332