カレントアウェアネス-E
No.69 2005.11.02
E402
ニュージーランドの公共図書館戦略
9月9日,ニュージーランド図書館情報協会(Library and Information Association of New Zealand Aotearoa : LIANZA)は「ニュージーランドの公共図書館:戦略的枠組み2005-2015」の草案を発表し,9月末までの意見募集を行った。今後,寄せられた意見を反映し,枠組みと行動計画が策定される予定である。
この草案は,公共図書館のほか,国立図書館,地方政府,内務省や図書館に勤務するマオリ人のネットワーク組織などの関係者が参加して作られた。公共図書館が地域で果たす役割を明らかにし将来像を共有するとともに,それに向けての目標を提案する,また図書館への投資の方向性を探るというものである。ニュージーランドでは,39%の人々が4週に1度は図書館に行き,1人当たり年間12.5点の資料を利用しているなど,公共図書館はよく認知され親しまれた存在である。しかし,社会・経済の変化に伴い,公共図書館に投入される地方政府の資金について,納税者に対してこれまで以上の説明が求められている。また,デジタル環境の変化とそれに伴う利用者・コミュニティのニーズへの対応,職員の労働環境,過疎地域や貧困地域でのアクセスの困難さといった問題も抱えている。これらを解決しニュージーランドの社会・経済発展に貢献するための目標として,(1)コンテンツに無料で迅速にアクセスできるようにする,(2)生涯学習とリテラシー向上を奨励・支援する,(3)コミュニティの発展に寄与する,(4)デジタル情報を提供する,(5)十分に教育された職員を配置し適切な報酬を与える,(6)維持可能なレベルに配慮しつつ投資を拡大してもらう,(7)関連機関との戦略的同盟,といった戦略が掲げられている。
また,9月26日には,図書館および情報に関する専門職の登録制度についての検討資料が,LIANZAに設けられたタスクフォースから提示された。英国のCILIP(CA1491参照)に倣った自由意思による登録制度を導入することにより,図書館員のスキルと認知度が向上する,求人・求職の指標ができる,提供されるサービスの質が向上する,などのメリットがあるという。この検討資料に対しては,LIANZAの各地域支部ごとに討論会を行うとともに,会員からの意見を11月25日まで募集するという。
Ref:
http://www.lianza.org.nz/news/newsroom/news1124693632.html
http://www.lianza.org.nz/community/pub-sig/framework/
http://www.lianza.org.nz/news/newsroom/news1127710439.html
http://opac.lianza.org.nz/cgi-bin/koha/opac-detail.pl?bib=19
CA1491