E1122 – 全国各地の図書館とJリーグのクラブチーム等との連携事業

カレントアウェアネス-E

No.184 2010.12.02

 

 E1122

全国各地の図書館とJリーグのクラブチーム等との連携事業

 

 全国各地の公共図書館では,プロサッカーリーグ「Jリーグ」のクラブチーム等との連携事業が増えつつある。2010年10月27日から12月までの期間には,公共図書館の有志の呼びかけで「図書館からスタジアムへ行こう!!スタジアムから図書館へ行こう!!」という全国規模のキャンペーンが行われており,文部科学省のウェブサイトに情報が掲載されている。事業の目的は,「住民にスポーツと読書の楽しさや,Jリーグを中心としたサッカーのクラブチームと公立図書館の存在意義についての理解を深める事業を実施することにより,地域活性化につなげること」とされている。また,クラブチームは新たなファン層や新たな広報手段の獲得が可能になり,図書館は新たな利用者層の獲得や全国規模での図書館のPRが可能になるとして,双方のメリットが示されている。キャンペーン期間に実施されているものを中心に,各地の取組みをいくつか紹介する。

 さいたま市立大宮図書館では大宮アルディージャに関する展示コーナーが設置されており,また,同館が10月に開催した,除籍資料や寄付された資料等を来館者に自由に持ち帰ってもらう「古本リサイクル」には,大宮アルディージャのスタッフや選手らが本や雑誌を提供する等の協力を行っている。広島県立図書館と広島市立図書館は,11月7日から約1か月間,サンフレッチェ広島と連携して,広島のサッカーやサッカーの歴史,サッカーがテーマの小説といったサッカー関連の図書の展示と貸出を行っている。茨城県潮来市立図書館は,鹿島アントラーズのファンクラブ通信やイヤーブック,元選手の著書等の展示コーナーを設置しているほか,12月にはマスコットキャラクターが参加するおはなし会が予定されている。

 佐賀県立図書館ではサガン鳥栖に関する展示を行い,この展示内容は佐賀県内の他の公共図書館でも巡回展示という形で利用されている。鳥取県立図書館や鳥取県内の公共図書館では,ガイナーレ鳥取の選手の推薦本をコメント付きで展示し,リーフレットの配布を行っている。この取組みには県内の学校図書館も参加している。

 ホームタウンに有名な温泉地があるクラブ同士の対戦「温泉ダービー」に関連づけて,愛媛県立図書館や群馬県草津町立図書館,大分県内の図書館では,対戦時期に合わせて相手のホームタウンに関連する資料を互いに展示する「図書館で温泉ダービー」という取組みが2010年シーズン当初から実施されており,シーズン後半には山梨県立図書館も加わったとのことである。

 神奈川県川崎市立図書館では,2009年に引き続き「川崎フロンターレと本を読もう!」と題する取り組みを,2010年10月から2011年2月にかけて実施している。具体的な取組みの内容としては,川崎フロンターレのマスコットを主人公にしたオリジナル紙芝居の制作や,選手の推薦本が載せられた読書推進リーフレットの配布,選手による絵本おはなし会等がある。オリジナル紙芝居は,読書の楽しさや図書館利用マナー等を子どもたちに伝える内容となっており,完成が発表された10月20日には中村憲剛選手が保育園で読み聞かせを行っている。

 上記の他にも,Jリーグや,Jリーグの下部リーグに当たるJFL,社会人リーグ等のクラブチームと図書館との連携による活動が行われている例もある。また,連携事業を検討している図書館あるいはクラブチームも複数あるとのことで,今後の展開が期待される。

Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/11/1299313.htm
http://www.ardija.co.jp/information/hometown/201010/htinfo101021-02.html
http://www.hplibra.pref.hiroshima.jp/hp/page000001400/hpg000001332.htm
https://lib.itako.ed.jp/2/22/220.html
http://www.library.pref.tottori.jp/event/10gainare.html
http://www.ehimetosyokan.jp/contents/prosports/spa.htm
http://www.city.kawasaki.jp/press/info20101029_9/item7314.pdf
http://www.frontale.co.jp/diary/2010/1023.html
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