学術情報

米国化学会(ACS)、著者の名称表記に関する新方針を発表:著者の求めに応じて発表済文献の表記を更新可能に

2020年9月10日、米国化学会(ACS)の出版部門は、ACSの出版物から発表済の文献について、著者の名称表記の更新を可能とする方針を策定したことを発表しました。

2020年10月の同方針適用後、ジェンダー・婚姻・宗教等の理由を問わず、自身の名前を変更した著者は、ACSの出版物から発表済の文献における名称表記を最新の内容へ更新するように求めることができます。プライバシー保護のため、表記の更新にあたって証明書等を著者に求めることは行われず、発表当時の編集者や共著者へも更新は通知されません。また、名称の変更は私的な領域に属する決定であること等の理由から、当該文献の修正とはみなされないことや、同方針による名称表記の変更は代名詞・敬称等を含む文献内の全ての箇所で適切に反映されることを説明しています。

ACSは、トランスジェンダー研究者コミュニティの求めに応じて同方針を策定しました。今後も旧名称の更新を希望する全ての著者と協力しながら、そのニーズに適応できるように方針の検討を継続し、運用の次の段階として、引用における著者の名称表記の更新に取り組むことを表明しています。

広島大学、同大学中央図書館に「小林角筆資料室」を設置:角筆文献を集めた世界初の資料室

広島大学広報グループが発行する『広大通信』の第155号(2020年9月4日発行)で、広島大学中央図書館の地下1階に「小林角筆資料室」が設置されたことが紹介されています。

小林角筆資料室は、先端をとがらせた木や竹の筆記具「角筆」による文献を集めた世界初の資料室です。角筆研究の第一人者である同大学の小林芳規名誉教授が、収集した角筆文献293点943冊を広島大学に寄贈したことがきっかけとなって設置されました。同資料室は角筆文献とともに、角筆の実物や、角筆を見えやすく浮かび上がらせるために考案された「角筆スコープ」も所蔵しています。

世界初の角筆資料室を設置. 広大通信. 2020, (155), p. 1.
https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/149220/広大通信155号.pdf

参考:
広島大学図書館、教科書コレクション画像データベースで全文画像を公開

関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)、関西大学デジタルアーカイブで「近代漢語文献データベース」を公開

2020年9月4日、関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)は、関西大学デジタルアーカイブで「近代漢語文献データベース」を公開したことを発表しました。

近代漢語文献データベースは、KU-ORCAS現センター長の内田慶市教授を研究代表者として2006年度から2007年度に実施された科学研究費補助金(基盤研究(B))事業「19世紀『官話』の諸相—『周縁(ヨーロッパ・琉球・朝鮮・日本)』からのアプローチ」、および「関西大学アジア文化交流研究センター(CSAC)・言語文化班」の研究成果の一部としてかつて公開されていた「近代中国語コーパス」を新たに構築しなおしたものです。内田センター長の個人蔵書のうち、近代漢語関係資料約150点について、テキストデータと資料画像を対応させながら検索・閲覧することが可能となっています。

近代漢語文献データベースは、「ログイン」ボタンから新規登録を行うことで利用可能となります。

内閣府、「科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性(案)」を公開

2020年8月28日付の「科学技術・イノベーション基本計画の検討の方向性(案)」が内閣府のウェブサイト上で公開されています。

この文書は、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の下で、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国内外の情勢を踏まえた科学技術基本計画の調査・検討を行う基本計画専門調査会が作成しました。次期の科学技術・イノベーション政策の基本計画の方向性として以下の5点を挙げています。

・Society 5.0 の具体化
・スピード感と危機感を持った社会実装
・人類の幸福(human well-being)や、感染症・災害、一層厳しさを増す安全保障環境を念頭に置いた科学技術・イノベーション政策と社会との対話・協働
・研究力の強化と官民の研究開発投資の在り方
・新しい社会を支える人材育成と国際化

このうち、研究力の強化に向けた具体的な取り組みとして、「研究全体のデジタル・トランスフォーメーションと加速するオープンサイエンスへの対応」、「ポストコロナ時代の研究を支える世界最高水準の基盤整備と共用の促進」、「ポストコロナ時代に対応した新たな国際共同研究・国際頭脳循環の推進」が掲げられています。

大学・研究機関由来のデータを情報源とする2016年から2017年に発表されたフィンランドの研究成果物のオープンアクセス(OA)状況等の分析(文献紹介)

2020年8月17日付で、科学計量学・計量情報学国際学会(ISSI)の公式オープンアクセス(OA)ジャーナル“Quantitative Science Studies”の「受理直後(Just Accepted)」の論文として、“Open access at the national level: A comprehensive analysis of publications by Finnish researchers”が公開されています。

米国国立農学図書館(NAL)と米・メリーランド大学が連携して実施した「データレスキュープロジェクト」の報告書が公開される

2020年8月18日付で、米・メリーランド大学の機関リポジトリ“Digital Repository at the University of Maryland(DRUM)”上に、文書“Final Report and Recommendations of the Data Rescue Project at the National Agricultural Library”が公開されています。

同文書は、退職した研究者や閉鎖される研究室で生産されたデータや論文を迅速に評価するプロセスを開発する目的で、米国国立農学図書館(NAL)が実施する「データレスキュープロジェクト(Data Rescue project)」の一環として作成されました。NALは同プロジェクトの中で、メリーランド大学のCollege of Information Studiesと連携し、同大学の2人の研究者が2019年度から2020年度にフェローとして、研究者の残した古いコレクションから科学的なデータを効率的に特定・評価・処理する手法の調査と、これらのデータの活用や再利用の支援を目的とした研究を実施しています。

OCLC、大学における研究支援に関する調査報告書を公開

2020年8月20日、OCLCが大学における研究支援に関する調査報告書“Social Interoperability in Research Support: Cross-campus partnerships and the university research enterprise”を公開したことを発表しました。

同報告書には、米国の17の大学における研究支援の幅広い関係者22人に対するインタビュー調査の結果がまとめられています。高等教育機関の図書館員と他の研究支援サービスの関係者をつなぐためのロードマップを提供し、図書館員が研究支援サービスに提供する技術や専門知識を紹介するものであり、以下をはじめとした内容が記載されています。

・学内の環境
・大学の研究支援の関係者を概念化するモデル
・研究支援サービスにおける社会的相互運用性
・学内横断的な関係構築に関する戦略および手法

E2288 - 研究成果公開の新たな国際標準に向けた筑波大学の取組

2020年4月1日に,国立大学法人筑波大学とオープンアクセス(OA)出版プラットフォームの提供を行うF1000 Research社は,研究分野にとってより適した言語を英語・日本語から選び,研究成果を公開することが出来る,世界初の「オープンリサーチ出版ゲートウェイ」(以下「筑波大学ゲートウェイ」)の開発に向けた契約を締結した。2020年11月の公開を予定している。

研究公正の促進を目的とした「研究者評価のための香港原則」(文献紹介)

オープンアクセス(OA)出版社PLOSの刊行する生物科学分野の査読誌“PLOS Biology”第18巻第7号(2020年7月)掲載のエッセイとして、“The Hong Kong Principles for assessing researchers: Fostering research integrity”が公開されています。

同文献は、2019年6月に香港で開催された「第6回研究公正に関する世界会議(6th World Conference on Research Integrity:WCRI)」において策定・承認された「研究者評価のための香港原則(The Hong Kong Principles for assessing researchers)」の内容・論拠・採用事例などを紹介するものです。「香港原則」は信頼性の高い研究には、研究の設計・実践・報告のあらゆる段階で、堅牢性・厳密性・透明性が求められるにもかかわらず、研究者評価においてこれらがほとんど考慮されていないという現状を背景に開発されました。研究公正を強固にするための実践が研究者のインセンティブとなるように保証することを通じて、研究活動の改善に繋げることが特に重視され、以下の5つの原則が定められました。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、「科学技術指標2020」を公表

2020年8月7日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、[調査資料-295]として「科学技術指標2020」を公表したことを発表しました。

同資料は、科学技術活動を「研究開発費」、「研究開発人材」、「高等教育と科学技術人材」、「研究開発のアウトプット」、「科学技術とイノベーション」の5つに分類し、約170の指標で日本の状況がまとめられています。2020年版では、「社会人と社会人以外の専攻別博士課程在籍者数」等、約20の指標が新規又は改訂されました。その他、出入国制限下での「日本における外国人研究関連者の出入国状況」をはじめとした、新型コロナウイルス感染症に関連するコラムが掲載されています。

発表の中では、2018年版および2019年版と同様に、日本は研究開発費、研究者数は主要国の中で第3位、論文数は世界第4位、注目度の高い論文数では世界第9位、パテントファミリー(2か国以上への特許出願)数は世界第1位であるということ等が述べられています。

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