学術情報

永続的識別子が様々な版の学術レコードをつなげる(記事紹介)

2021年2月18日付で、北米研究図書館協会(ARL)が”Persistent Identifiers Connect a Scholarly Record with Many Versions”と題したブログ記事を掲載しました。ブログ記事では、学術コミュニケーションを出版者版が権威をもつ“version of record” (出版者版)からより多様で包括的な“record of versions”に移行する必要性とともに、“record of versions”では永続的識別子(PID)が大きな役割を果たすことが述べられています。

過去数ヶ月の間に大手商業出版社は、Plan Sの権利保持戦略等、著者稿をリポジトリで共有するグリーンオープンアクセスに対する懸念を表明してきました。懸念の理由として、(1) 複数の劣った(inferior)版が研究者に混乱を引き起こすこと、(2) 研究助成機関がゴールドオープンアクセスのために資金提供することと著者がリポジトリで成果を共有することを許可すると、出版社が“version of record”の維持に要する資金が脅かされることを挙げています。

東京大学、「東京大学における人文社会科学の振興とその展望─東京大学人文社会科学振興ワーキング・グループ最終報告書」を公表

2021年2月17日付で、東京大学が「東京大学における人文社会科学の振興とその展望─東京大学人文社会科学振興ワーキング・グループ最終報告書」を公表しました。

東京大学では2015年に制定された「東京大学ビジョン2020」に基づいて、「人文社会科学分野のさらなる活性化」の課題に取り組む「人文社会科学振興ワーキング・グループ」が2016年度に設置され活動を継続しています。同報告書は「東京大学ビジョン2020」の最終年度を迎えるにあたって、ワーキング・グループの所掌として企画立案し実現に取り組んだ事業の総括、ワーキング・グループ所掌外で取り組まれ人文社会科学振興に資する各種事業の紹介、ワーキング・グループの5年間におよぶ議論のなかから重要と考えられる論点を「総論」として抽出した概括等を報告する内容です。

Brill社と米・コロンビア大学の“Ehsan Yarshater Center for Iranian Studies”、イラン研究に関する総合百科事典“Encyclopædia Iranica”をオープンアクセス(OA)で公開

2021年2月15日、学術出版社のBrill社と米・コロンビア大学のイラン研究拠点“Ehsan Yarshater Center for Iranian Studies”は、イラン研究に関する総合百科事典“Encyclopædia Iranica”がBrill社のプラットフォーム上でオープンアクセス(OA)により利用可能となったことを発表しました。

Brill社は“Encyclopædia Iranica”について、イラン研究者のEhsan Yarshater氏を中心に編集された、同分野で特に定評のある百科事典であり、中東・コーカサス・中央アジア・インド亜大陸のイラン文明に関する学術的な知見を提供する総合的な参考図書であると紹介しています。

同百科事典をOA化した“Encyclopædia Iranica Online”は、旧項目の修正・更新や新規項目の追加を行った上で公開されました。“Encyclopædia Iranica Online”の特徴として、Brill社の他のオンラインレファレンスツールも範囲に含んだ検索が可能なこと、事典の各項目にDOIが付与されていること、新規項目を定期的に追加予定であること、などが挙げられています。

E2356 - コロナ禍におけるオンライン学会:日本図書館情報学会の場合

日本図書館情報学会では,春季研究集会と研究大会の年2回,会員に対して研究発表の場を設けている。学会発表は会員それぞれの研究成果を発表し,質疑応答を経て研究の内容を改善した上で,学会誌への論文投稿へとつなげていく場である。特に研究発表を学位取得論文へとつなげる必要がある若手研究者にとっては,より重要な場であるといえる。しかし2020年度は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響から,大会会場となる大学の施設使用が制限されるだけでなく,参加者の感染リスクを考えて会員を一か所に集合させての開催を避ける必要が生じた。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、調査資料「プレプリントの利活⽤と認識に関する調査」を公開

2021年2月12日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、[調査資料-301]として、「プレプリントの利活⽤と認識に関する調査」を公開したことを発表しました。

同調査は、プレプリントの公開・利活用が広まる中で、今後の学術情報流通政策に資することを目的に、2020年8月から9月にかけてオンラインで実施され、1,448人から回答が寄せられました。

回答者の52.1%はプレプリントの入手経験があり、そのうち、入手先はarXiveが58.0%と最も割合が高かったことが述べられています。その他、信頼性の判断基準としては「著者情報」が最も多かったこと、プレプリントの入手経験がある回答者の内、39.1%がプレプリントの公開経験を持つこと等がまとめられています。

プレプリントの利活⽤と認識に関する調査[調査資料-301]の公表について(NISTEP, 2021/2/12)
https://www.nistep.go.jp/archives/46661

米・カリフォルニア大学、大学構成員の著作権保有に関するポリシーを改訂

2021年2月2日、米・カリフォルニア大学のOffice of Scholarly Communicationは、同大学構成員の著作権保有に関するポリシーが1992年以来初めて改訂されたことを発表しました。

カリフォルニア大学の同ポリシー改訂作業は、2013年のワーキングループの設置に始まり、2019年の大学構成員向けレビューを経て完了しました。ポリシー改訂の目的として、以下の5点を挙げています。

・著作権保有資格のある大学構成員の範囲の拡大
・大学構成員が著作権を保有できる著作物の対象範囲の拡大
・大学による著作権保有範囲の制限を目的とした「重要な大学のリソース(Significant University Resources)」の創設
・大学院生の著作権保有資格の明確化
・労働組合の協定と競合した場合の適用条件の明確化

改定されたポリシーの全文は、同大学の事務本部であるOffice of the Presidentのウェブサイトで公開されています。

ロシアで展開される研究不正行為の実情:ハゲタカジャーナルへの掲載・共著者枠の売買・外国語論文のロシア語訳による剽窃など(記事紹介)

2021年2月4日付で、学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、ドイツのミュンヘンに所在するルートヴィヒ・マクシミリアン大学の研究員Anna Abalkina氏が執筆した記事“Guest Post — Unethical Practices in Research and Publishing: Evidence from Russia”が掲載されています。

同記事は複数のオンライン情報源を用いて、近年のロシアで展開される大規模な研究不正行為の実情を報告するものです。ロシアでは、国際的な索引データベースに収録された学術雑誌上での論文掲載や引用に関する定量的な指標を含んだ、研究評価のための新しい全国基準が約10年前に導入され、各大学は新基準に関連して教員に昇任や奨励金等のインセンティブを設けるようになりました。このことはロシアの研究成果が国際的な舞台で発表される機会を増進した反面、特に社会科学・人文学・医学分野において研究不正行為の呼び水になっているとAbalkina氏は指摘します。

フィンランド国立図書館、インペリアル・アレクサンダー大学の博士論文等をデジタル化

2021年2月4日、フィンランド国立図書館が、インペリアル・アレクサンダー大学(現・フィンランドのヘルシンキ大学)の博士論文等をデジタル化したことを発表しました。

1828年から1917年に同大学により発表された論文1,968件に加え、学長のスピーチと報告書、学習ガイド、規則をはじめとした同大学の活動や文化に関する刊行物を対象に、デジタル化を行ったと述べられています。

発表によると、2020年の春から夏にかけてフィンランド全国書誌のデータが作成され、2020年秋から2021年1月にかけてデジタル化が行われました。著者の没年が1951年以降の資料は同館のワークステーションで閲覧が可能であり、自由に閲覧ができる資料については、同館が提供するデジタル化資料のデータベース“digi.kansalliskirjasto.fi”上で公開されています。

ドイツ研究振興協会(DFG)、オープンアクセスについての新たなウェブページを公開

2021年1月25日、ドイツ研究振興協会(DFG)は、オープンアクセスについての新たなウェブページを公開したことを発表しました。DFGは2020年にオープンアクセス方針の改訂を行い、現在ではDFGの助成を受けた研究成果はオープンアクセスで出版しなければなりません。記事では以下のDFGのオープンアクセスの取り組みに触れられており、これらの詳細については新ページで公表されているとあります。

・2020年秋には「オープンアクセス出版料」プログラムを開始しており、DFGはオープンアクセス出版のための助成を行っている。このプログラムは、学術雑誌掲載論文と単行本のオープンアクセスを対象としている。

・助成プログラム「科学出版のためのインフラストラクチャ」では、適切な標準と出版インフラストラクチャの開発を促進している。

・様々なイニシアティブ、ネットワークに参加している。2020年の終わりに参加したENABLE!コミュニティでは、革新的な共同出版モデルの開発を通じて、人文社会科学分野のオープンアクセス出版を可能にするパートナーシップネットワークを構築している。

Elsevier社の抄録・引用文献データベースScopus、著者プロファイルページにプレプリント文献のデータを追加

Elsevier社の抄録・引用文献データベースScopusは、2021年1月28日付のブログ記事において、著者プロファイルページにプレプリント文献のデータを追加したことを発表しました。

追加されたプレプリント文献は、arXiv、bioRxiv、ChemRxiv、medRxivの各プレプリントサーバから取得した査読前の文献です。2017年以降に発表された文献を各運営者のポリシーに従って取得しています。また、2021年中に、社会科学分野の主題リポジトリSSRNのデータ追加を予定しています。

Scopusは研究者の業績評価にあたって、最新で網羅的な情報を提供することなどを目的としてプレプリント文献データの追加を行いました。なお、プレプリントに対する引用やプレプリントからの引用は指標の算出対象から除外されるため、被引用数やh-indexの数値などには影響を与えません。

Preprints are now in Scopus!(Scopus,2021/1/28)
https://blog.scopus.com/posts/preprints-are-now-in-scopus

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