学術情報

オーストラリア研究会議(ARC)、研究助成申請におけるプレプリントの参照を認めることを発表

2021年9月14日、オーストラリアの主要な研究助成機関であるオーストラリア研究会議(Australian Research Council:ARC)は、ARCの研究助成プログラム“National Competitive Grant Program”(NCGP)の申請時に任意の箇所でプレプリントを参照する/含めることを認めると発表しました。

発表には、関連するNCGPの文書に今後含まれることになるプレプリントの定義が示されており、次のような内容が含まれています。

・プレプリントまたは同等のリソースは、著者によって、公的にアクセス可能なアーカイブ、リポジトリ、又はプレプリントサービスにアップロードされた学術的なアウトプットであり、さまざまな程度の査読を受けた資料が含まれる。

・理想的には、プレプリントまたは同等のリソースには、一意の識別子またはDOIが付与されるべきである。引用時には、その旨を明示し、必要に応じて(as applicable)DOI、URL又は同等のもの、版番号及び/又はアクセス日とともに参考文献に含める必要がある。

“Peer Review Week 2021”は2021年9月20日から9月24日:テーマは“Identity in Peer Review”

2021年9月20日から9月24日にかけて、ピアレビューが科学的質の担保において果たす役割をたたえる国際的イベント“Peer Review Week 2021”が開催されます。

今回のテーマは“Identity in Peer Review”です。ピアレビューにおける個人的・社会的アイデンティティの役割と、学術コミュニティがより多様・公平・包摂的なピアレビューを促進するための方法に焦点を当てる旨が述べられています。

Peer Review Week 2021 Details(Peer Review Week)
https://peerreviewweek.wordpress.com/peer-review-week-2021/

産経デジタル、デジタル領域の学術論文を集約したオンラインジャーナル「Journal of Digital Life」を創刊

2021年9月1日、株式会社産経デジタルは、デジタル領域の学術論文を集約したオンラインジャーナル「Journal of Digital Life」を創刊し、同日にウェブサイトを公開したことを発表しました。

「Journal of Digital Life」では、ライフサイエンス、医学、工学、人文科学、社会科学といった様々な学問分野に関するデジタル領域の学術論文が掲載されます。日本発の国際オンラインジャーナルとして存在感を高めることを目指しており、海外からの投稿を受付けるほか、ウェブサイト及び掲載論文は全て英語表記となっています。

【PRESS RELEASE】デジタル領域の学術論文サイト「Journal of Digital Life(ジャーナル・オブ・デジタル・ライフ)」が本日9月1日公開(産経デジタル, 2021/9/1)
https://www.sankei-digital.co.jp/news/2021/09/8649/

研究助成申請においてプレプリントの引用を許可しないオーストラリア研究会議(ARC)と、その変更を求める署名運動(記事紹介)

生命科学分野の出版の加速に取り組む非営利団体ASAPbio(Accelerating Science and Publication in biology)が、2021年8月24日付けで記事“Urging the Australian Research Council to revise its preprint policies”を公開しています。

オーストラリアの主要な研究助成機関であるオーストラリア研究会議(Australian Research Council:ARC)は、研究助成申請においてプレプリントの引用を許可しないという方針を採用しており、最近、この方針に抵触した申請が却下されたことから研究者らが非難の声を上げていました。

今回の記事では、ASAPbioがこの方針変更を求める署名運動に取り組んでおり、8月31日に署名者のリストをARCに送付する旨が記載されています。署名者のリストも公開されており、署名者側の誓約内容として、ARCの方針変更によって申請の正確な評価が可能になるまで「ARCのための査読への招待を拒否する」とあります。

台湾・科技部、2021年度提出分の「専題研究計画」の審査にあたり申請書比較システムを導入:類似内容の申請が複数検出される

台湾・聯合新聞網の2021年8月24日付け記事で、台湾・科技部生命科学研究発展司が8月21日に陳鴻震司長名で公表した学界宛ての書簡が紹介されています。

書簡の内容は、2021年度提出分の「専題研究計画」の審査結果に関するものです。科技部では、2021年度の審査から申請書の比較システムを導入しており、生命科学研究発展司ではこのシステムを用いて5,028の案件を審査しました。その結果、類似度が60%を超えるものが40セット発見され、その中には同一内容の複数投稿や文言のテンプレート使用が疑われる例が含まれていました。陳司長は、これらの内5、6の案件は比較的重大な問題が含まれているため、学術倫理違反の可能性について審議する意向を示しています。

学界向けには、申請書作成時に記述の出典を明確化すること等を要求するとともに、申請書提出前に剽窃チェックツールによる自己確認を行うことを提案しています。

學術陋習?科技部首度比對專題計畫 揪80件一稿多投(聯合新聞網, 2021/8/24)
https://udn.com/news/story/7314/5695034

オーストラリア研究会議、プレプリントへの言及を含む研究助成申請を却下:研究者から抗議の声(記事紹介)

Nature誌のオンライン版に、2021年8月25日付けで記事“Preprint ban in grant applications deemed ‘plain ludicrous’”が掲載されています。オーストラリアの主要な研究助成機関であるオーストラリア研究会議(Australian Research Council:ARC)が、プレプリントへの言及を含む研究助成申請を却下したことと、その決定をめぐる研究者からの抗議の声を取り上げています。

ARCは、プレプリント等の査読を経ていない資料に言及しているという理由で、フェローシップ申請書20件以上を不適格扱いとしました。研究者らは、ARCの姿勢は応募者が最新の研究を参照することを制限するものであり、現在の出版慣行及びオーストラリア国外の研究助成機関の方針とも相反していると非難しています。

GitHub、ソフトウェアの引用情報を含むプレーンテキストファイル“CITATION.cff”をサポート:作成者からの正しい引用方法の通知が可能に

GitHubの2021年8月19日付けブログ記事で、GitHubがソフトウェア(及びデータセット)の引用情報を含むプレーンテキストファイル“CITATION.cff”のサポートを開始したことが紹介されています。

リポジトリのルートディレクトリに“CITATION.cff”を追加すると、GitHubではこのファイルに記載された情報を利用し、APA又はBibTeX形式の引用リンクを生成・表示します。この新機能を通じ、作成者から利用者に対し、正しい引用方法を通知することが可能となりました。

取組の背景として、オープンソースソフトウェアの作成に携わる研究者にとって、その成果が認められづらい現状があること、成果が認められるためには引用のしやすさが重要であることに言及しています。

Enhanced support for citations on GitHub(The GitHub Blog, 2021/8/19)
https://github.blog/2021-08-19-enhanced-support-citations-github/

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、報告書「プレプリントとジャーナル論文の差異: bioRxivを用いた試行」を公表

2021年8月20日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、[DISCUSSION PAPER No.200]として、報告書「プレプリントとジャーナル論文の差異: bioRxivを用いた試行」を公開したと発表しました。生物系のプレプリントサーバーbioRxivを対象として、プレプリントとその後査読を経てジャーナル論文となったもの等との比較を行ったものです。

分析結果として、単語数や図表の数、構成等についてプレプリントとジャーナル、ジャーナルになっていない内容的に類似するプレプリント等の間の差異は少なく、外形的な基準のみでそれらを識別することは困難であることが判明したと述べています。

プレプリントとジャーナル論文の差異: bioRxivを用いた試行[DISCUSSION PAPER No.200]公表について(NISTEP, 2021/8/20)
https://www.nistep.go.jp/archives/48132

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、報告書「研究職の募集要項に関する国際比較」を公表

2021年8月20日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、[DISCUSSION PAPER No.199]として、報告書「研究職の募集要項に関する国際比較」を公開したと発表しました。国内外における研究職公募の募集要項(要求書類・応募書類)の実態を簡易調査したものであり、海外では主に北米が調査対象となっています。

調査結果として、日本の公募では論文数やその引用数を求めるものが一定数ある一方で、海外では推薦書(Reference Letter)を求めるものが相対的に多いとしています。その上で、このような差異が頭脳循環など国際的な人材流動を考えるに当たり重要となる可能性を指摘しています。

研究職の募集要項に関する国際比較[DISCUSSION PAPER No.199]公表について(NISTEP, 2021/8/20)
https://www.nistep.go.jp/archives/48129

京都大学、学際研究に特化した対話型学術誌『といとうとい』を創刊

2021年8月13日、京都大学は、同学の学際融合教育研究推進センターが、学際研究に特化した対話型学術誌『といとうとい』を創刊したことを、発表しました。

同誌は、分類や専門で区切ることができない多様なテーマ・問いから「学問」に挑む「対話型学術誌」です。

研究成果発表の場が個別の学会等、従来の専門分化した場であることがほとんどである学際研究において、分野・キャリアを問わず投稿を募集し掲載することで、「投稿先がない」とされていた学際研究を育む場、プラットフォームとなることを目的としています。

論文に加え執筆者と編集委員との対話も掲載され、論文のフォーマットについても学問表現の可能性を追求したビジュアルとテキストを目指していると説明されています。

創刊準備号では解剖学、精神医学、数学、科学哲学、漆芸、世界史、言語学、映像人類学、ロボット工学の研究者が寄稿しています。冊子体に加え、同学リポジトリでも公開されており、リポジトリでは冊子体に収録されている論考・対話に加え、編集委員による査読コメントと執筆の過程も公開されています。

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