学術情報

プレプリントの出版者版へのリンクを発見する手法の開発(文献紹介)

2021年4月18日付で、Springer Nature社が刊行する科学計量学分野の査読誌“Scientometrics”に、フランスのトゥールーズ大学のGuillaume Cabanac氏らによる共著論文“Day-to-day discovery of preprint–publication links”がオープンアクセスで掲載されています。

プレプリントが査読後にジャーナル等で出版された際には、最新版を読者に提供するためにもプレプリントに出版者版のリンクを付与することが重要であると指摘しています。しかし、主要なプレプリントサーバは、プレプリントと出版者版の全てのリンクを特定できていないと述べています。

フランスの学術機関コンソーシアムCouperinら、フランス語圏の出版社宛に公開書簡を提出:高等教育機関における電子書籍提供に関する要請

2021年4月15日、フランスの学術機関コンソーシアムCouperin、ビジネススクールの図書館等で構成されるAciege、大学図書館長協会(Association française des directeurs et personnels de direction des bibliothèques universitaires et de la documentation:ADBU)が、フランス語圏の出版社宛に公開書簡を提出したことを発表しました。

書簡の中では、英語に比べフランス語の電子書籍の制作数が少ないことや、全ての学生に学術論文等への平等なアクセスを保証するため、特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大下においては、図書館による電子形式の学術論文等へのアクセスの提供が不可欠であること等が述べられています。

また、高等教育機関や研究機関の学生および教員へ提供するフランス語の電子書籍を充実させ、アクセスしやすくすること等を出版社に求め、解決に向けて協力する姿勢を示しています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、米国の129機関と“Read & Publish”契約を締結

2021年4月6日、英国のケンブリッジ大学出版局(CUP)は、新たに米国の129機関と“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

“Read & Publish”契約を締結している米国の機関は、2020年は13機関でしたが、2021年には140機関以上となると述べています。このことによって、CUPおよびCUPグループのジャーナルで発表される米国の研究の25%が、追加費用なくOAで出版できるようになりました。

CUPは2025年までにジャーナル出版を完全なOAに移行することを約束しており、この契約はこの戦略の重要な要素であるとしています。今後も、米国でこの契約モデルを拡大させていきたいとしています。

中国科学院が公開した「危険な国際学術誌のリスト」とその影響(記事紹介)

2021年4月14日付で、学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“Guest Post – An Early Look at the Impact of the Chinese Academy of Sciences Journals Warning List”と題された記事が掲載されています。執筆者はScholarly Intelligence社の創業者兼チーフアナリストであるChristos Petrou氏であり、中国科学院が公開した危険な国際学術誌のリスト(試行版)とリストが中国の研究者の学術出版に及ぼした影響について述べられています。

内閣府、「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ第2フェーズ報告書」を公開

2021年3月付で、内閣府の「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会」は、「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ第2フェーズ報告書」を公表しました。

同検討会に設置された「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ」は、2019年10月に報告書(第1フェーズ)を取りまとめています。2021年3月に公開された本報告書では、研究データ基盤の管理・利活用に関する追加的な考え方や方策が示されています。

国立情報学研究所(NII)と理化学研究所、連携・協力に関する協定を締結

2021年4月13日、国立情報学研究所(NII)と理化学研究所(理研)は、相互の研究開発能力と人材を活かした連携・協力に関する協定を締結しました。

NIIが構築してきた共通基盤を、理研が実際の研究活動で活用し、研究現場からのフィードバックを受け、共同で基盤の拡充や運用の改善を進めることを目的としています。

連携内容は、下記の通りです。

①データプラットフォームの開発および運用、オープンサイエンスの推進、データ駆動型研究の推進、ならびに情報学に関わる共同研究等の研究協力
② ①に関わる地域連携や国際連携の相互支援
③ ①に関わる人材交流や人材育成の促進
④ ①に関わる研究施設及び設備の相互利用
⑤その他本協定の目的を達成するために両機関が必要と認める事項

こうした取り組みが、多くの研究分野や研究機関のモデルとなり、日本全体の研究環境の改善と研究力の強化に繋がることを期待しているとのことです。

「論文工場」との戦いをめぐる近年の動向(記事紹介)

Nature誌のオンライン版に、2021年3月23日付けで記事“The fight against fake-paper factories that churn out sham science”が掲載されています。偽の科学論文を注文に応じて製造する「論文工場」(paper mill)と、学術界・出版社等との戦いをめぐる近年の動向を紹介しています。

記事の冒頭では、英国王立化学会(RSC)の学術誌“RSC Advances”等に掲載された論文に「論文工場」による組織的な偽造の疑いが見つかり、2021年1月にRSCがこれら論文の撤回を表明したことを取り上げています。これらの論文が中国の病院に勤務する著者のものであったことや、中国の医師は論文発表が昇進要件に含まれることが多いものの、研究に割ける時間が限られていることに触れています。その上で、中国政府も論文偽造の問題への対処として研究評価の改善に取り組んでいること、「論文工場」の問題は中国に限らずイランやロシア等の他の国の論文にも存在すること等が紹介されています。

「倫理的な共著」のためのガイド(記事紹介)

英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science : LSE)のブログ“LSE Blogs”に、2021年3月29日付けで記事“A simple guide to ethical co-authorship”が掲載されています。筆者は研究方法・研究倫理に関する論考を多く発表している研究者のHelen Kara氏です。

記事では、共著を始める前に確認しておくべき点、共著者に倫理的な引用の仕方を勧めるべきこと等、倫理的な方法で共同執筆・共同出版を検討している著者に向けたアドバイスが示されています。記事の背景として、現在多くの社会科学分野で共著がデフォルトとなっていることや、「倫理的な共著」について議論されることは少ないが、共著では盗用や引用操作といった非倫理的行為が良く起こることを指摘しています。

記事では非倫理的行為のその他の例として、ゴーストオーサーシップ・ゲストオーサーシップ・ギフトオーサーシップを挙げており、その定義や、出版倫理委員会(COPE)がこれらについて説明したフローチャートを公開していることを紹介しています。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、科学技術の状況に係る総合的意識調査(NISTEP定点調査2020)を公表

2021年4月9日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、科学技術の状況に係る総合的意識調査(NISTEP定点調査2020)を公表しました。

同調査は、第5期科学技術基本計画(2016年1月閣議決定)期間中の日本の科学技術やイノベーション創出の状況変化を把握するための継続的な意識調査(NISTEP定点調査)で、今回で5回目です。調査は2020年9月から12月にかけて実施され、回答率は92.3%でした。

第5期基本計画期間中に、大学や公的研究機関における若手研究者や女性研究者の活躍できる環境整備においては改善に向けた動きが見られること、基礎研究の状況については厳しい認識が高まっていること、研究環境(基盤的経費・研究時間・研究支援人材)についても厳しい認識が継続していることが示されたとしています。

また、今回の調査では、「新型コロナウイルス感染症による研究活動への影響」「探索型研究の支援の在り方」「論文のオープンアクセス化」等についての深掘調査が実施され、新型コロナウイルス感染症は研究活動の様々な局面にマイナスの影響を与えていること、感染症の影響下の研究活動において一部のデジタルツールの導入が進んだことが明らかになったとしています。

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)ら、FAIRsharingが公開したデータリポジトリの要件への共同意見書を公表

2021年4月1日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、FAIRsharingが公開した”Data Repository Selection: Criteria That Matter”で記されているデータリポジトリの要件への共同意見書の公開を発表しました。

共同意見書は、COAR、CoreTrustSeal、欧州大学協会(EUA)、Science Europe、World Data Systemが連名で公表したものであり、リポジトリや研究データに関する複数の組織が支持を表明しています。

FAIRsharingは出版者や学術情報流通に関する団体から構成されるコミュニティです。2020年10月13日にデータリポジトリの識別と選択に関する基準を提案する文書を”Data Repository Selection: Criteria That Matter”として公開し、意見募集も行っていました。

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