2011年09月29日、欧州の公共図書館政策担当局による国際NGO組織であるNational Authorities for Public Libraries in Europe(NAPLE)が、NAPLE加盟国の公共図書館を対象とした「シスターライブラリープログラム」を発表し、参加を呼びかけています。「シスターライブラリー」という取り組みは、すでに米国図書館協会(ALA)や国際図書館連盟(IFLA)等で導入されているようです。NAPLEの「シスターライブラリープログラム」は、共通の関心をもつテーマについて図書館間の協力関係を支援するもので、NAPLE加盟国である、ベルギー、クロアチア、チェコ、フィンランド等10か国の公共図書館が対象になっています。このプログラム実施の背景には、欧州各国における多文化化の進行があり、シスター関係を結んだ他国の図書館から、多文化サービスの支援を受けられるようにすることが狙いにあるようです。
米国の南カリフォルニア大学(University of Southern California)図書館が、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)のアーカイブ“ONE National Gay & Lesbian Archives”から、LGBTの文化や歴史に関する世界最大規模の研究用コレクションを寄贈されたと発表しています。
2010年9月21日、「本の多様性の日」(el Día de Bibliodiversidad)として、アルゼンチンやチリ等でイベントが開催されました。これは、フランスに本部を置く国際出版社団体である“Alianza Internacional de Editores Independientes”のうち、スペイン語圏の出版社が共同で開催したものです。「本の多様性」とは、生物多様性のように、本による文化多様性を意味するもので、イベントの背景には、出版社による多様な出版活動の必要性を訴えるということがあるようです。今年2010年から開始されたこのイベントでは、アルゼンチンのブエノスアイレスやチリのサンチャゴ等の市内各所に、出版社が本を設置して道行く人に読んでもらえるようにしたほか、アルゼンチンのサン・マルティン広場では、本を持ったピクニック等が実施されたようです。
2010年7月31日、マヤデジタルライブラリー“Biblioteca Digital Maya U Kúuchil Na’at ”(U Kúuchil Na’atはマヤ語で「知識の館」という意味)のプロトタイプが公開されました。この“Biblioteca Digital Maya”は、中米のユカタン半島に住むマヤの人々の知識や歴史、伝統を収集し、提供するものです。現在、“Biblioteca Digital Maya”には、書籍や音楽、写真やビデオなどのデジタルコンテンツを登録中であり、今後も徐々にコンテンツ数を増やしていくとのことです。
BOLETÍN DE PRENSA SOBRE EL LANZAMIENTO DE LA BIDI MAYA UKN(2010/8/1付け ProIndigenas - Información y Comunicaciónのニュース) http://www.proindigenas.org/index.php
Alistan Biblioteca Digital Maya (2010/7/20付け Informador.com.mxの記事)
スウェーデンのマルメ市は2008年、築100年の元バスターミナルを改築し、“Garaget”(「ガレージ」に相当)という通称の文化複合施設を構築しました。このうちの一部は2008年に、残りは2009年2月にオープンしていますが、後者にはマルメ市立図書館の分館も含まれています。同館が、市やマルメ大学、そしてGaraget内にあるカフェ、文化施設などとともに、移民・難民や、橋で隣接するデンマークからの通勤者など、多様な言語・文化的背景を有する人々の社会的包摂(social inclusion)を目指し行っている活動が、Scandinavian Public Library Quarterly誌2009年1号で紹介されています。