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米・オレゴン大学、同大学ナイト図書館内に備え付けられた4点の壁面アートについて人種差別的な内容を含むため遮蔽することを決定

米・オレゴン大学が運営する同大学の情報提供サイト“Around the O”に2020年8月12日付で、同大学ナイト図書館内の4点の壁面アート(murals)について、人種差別・排外主義的な内容を含むことを理由に、同大学が遮蔽を決定したことが報じられています。

ナイト図書館の壁面アートは1937年の図書館建設当時から、同館の東西の主要な階段の正面に設置されています。「大学の使命」と題された壁面アートでは、白人に言及しながら「我々の人種的遺産の保存」という内容の文言があること、「芸術の発展」「科学の発展」と題された壁面アートでは、芸術・研究活動に従事する白人と原始的な道具を使う先住民族が上下に対比して描かれていることなどの理由で、人種的偏見に関する苦情が以前から学生・教職員によって寄せられており、損壊事件もしばしば発生していました。過去の議論においては、大学コミュニティ内の複雑な感情を考慮しながらも、歴史的な意義の観点から壁面アートを保存する決定がなされましたが、2020年夏に発生した黒人男性ジョージ・フロイド氏の殺害事件とその後の“Black Lives Matter”運動により、改めて公共空間における人種差別的なモニュメントに対する関心が高まった結果、大学により遮蔽の決定が下されました。

欧州国立図書館員会議(CENL)、新型コロナウイルス感染症の拡大や“Black Lives Matter”運動の展開などの社会情勢に対応して2つの基金を設立

2020年8月14日、欧州国立図書館員会議(CENL)は、新たな基金として“Covid-19 Support Fund”、“Hidden Stories Fund”を設立したことを発表しました。

これらの基金の設立は、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴うロックダウンが多くの国立図書館の財政基盤やサービスのあり方に影響を与えたこと、米国の黒人男性ジョージ・フロイド氏の殺害事件とそれに続く“Black Lives Matter”運動の展開が、国立図書館における物語の収集・研究・伝達のあり方に歴史的な課題として現れたことを背景に行われました。基金は、この新たな課題へ対応しようとする会員館を支援する意図で設立されています。

“Covid-19 Support Fund”は、加盟館が新型コロナウイルス感染症による危機に関連して直面する課題への対応、長期的な将来に向けた協働体制への適応と再構築を支援するものです。加盟館は、感染症対応のための追加費用や創造的なプロジェクトについて、最大2,500ユーロの助成金を申請することができます。

東北大学附属図書館本館、留学生向けに「新しい生活様式」下における同館の現在の内部の様子と蔵書検索システムによる図書の検索方法を英語で解説した動画を公開

2020年8月13日、東北大学附属図書館本館は、留学生向けの動画として“Welcome to New Normal Library”と“How to find books in Tohoku University Library”を公開したことを発表しました。

2本の動画は、2020年8月12日付けでYouTubeにアップロードされており自由に視聴することができます。“Welcome to New Normal Library”は、「新しい生活様式」下における同館の現在の内部の様子を英語で解説した内容です。“How to find books in Tohoku University Library”は蔵書検索システムによる図書の検索方法を英語で解説した内容です。

お知らせ(東北大学附属図書館)
http://www.library.tohoku.ac.jp/news/news.html
※2020/08/13欄に「【本館】留学生向け動画公開のお知らせ」とあります。

岡山市立中央図書館、東京オリンピック・パラリンピックでホストタウン相手国であるブルガリア共和国を紹介する展示を実施

2020年8月4日から28日まで、岡山市立中央図書館が、同館のSDGs・ESDコーナーで展示「日本が世界を待っている~東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて~」を実施しています。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、オリンピック・パラリンピック関連の書籍や、岡山市のホストタウン相手国であるブルガリア共和国関連の書籍等を展示し、同国を紹介する内容です。展示資料には、駐日ブルガリア共和国大使館から同館が借用した資料や、東京2020オリンピック・パラリンピックの公式アートポスターなどが含まれています。展示は岡山市スポーツ振興課の協力を得ながら同館が主催して実施しています。

【中央図書館】展示「日本が世界を待っている~東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて~」のご案内(岡山市,2020/8/5)
https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000024146.html

国立アイヌ民族博物館、収蔵図書OPACを公開

2020年7月22日、国立アイヌ民族博物館は、収蔵図書OPACの公開を発表しました。

同館は、北海道白老町にあるアイヌ文化の復興・発展のナショナルセンター「ウポポイ(民族共生象徴空間)」内に所在し、ウポポイ開業と同日の2020年7月12日に開館しました。

同館のライブラリは、アイヌ文化や歴史を取り上げた書籍を中心に、専門的な学術書、世界の先住民族についての本、絵本や写真集、図鑑など、幅広い世代に向けた資料を収蔵しており、収蔵図書OPACにより検索が可能です。資料はライブラリ内での閲覧が可能(貸出は不可)ですが、2020年7月30日時点では新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため閉室しています。

新型コロナウイルス感染症感染拡大下のアフリカ系アメリカ人に関するコンテンツのガイド(記事紹介)

2020年7月17日、米国・ハーバード大学の学生新聞である“Harvard Crimson”に、同大学図書館が、新型コロナウイルス感染症感染拡大のアフリカ系アメリカ人への影響に関するオープンアクセスのコンテンツを収集し、新たな調べ方ガイドのページを公開したという記事が掲載されました。

記事によると、同大学教育大学院や同大学内の多様性に関する組織“President's Office for Diversity, Inclusion, and Belonging”、人種差別解消に取り組む“Charles Hamilton Houston Institute for Race and Justice”と協力し作成されたものであり、公開以降のアクセス数は8,000以上です。同ガイドは、19のトピックについての記事やポッドキャストをはじめとしたコンテンツを集めたものです。トピックには、「労働と経済(Labor & Economy)」、「メディア、テレビ、劇場、映画(Media, Television, Theater, & Film)」等があります。

American Archive of Public Broadcasting、1968年から1977年までに放送されたテレビ番組“Black Journal”の59エピソードをオンライン公開

米国議会図書館(LC)とボストンの公共放送局であるWGBHが共同で運営する、米国の公共放送の歴史的コレクションを提供するデータベース“American Archive of Public Broadcasting(AAPB)”は、2020年7月8日付けのブログ記事において、1968年から1977年までに放送されたテレビ番組“Black Journal”の59エピソードをオンライン公開したことを発表しました。

“Black Journal”は、アフリカ系米国人が自らのために自ら製作した初めての全国放送のテレビ番組であり、主に米国黒人社会の公共問題を取り扱っています。放送当初は、米国の公共放送サービス(PBS)の前身に当たる“National Educational Television(NET)”が製作し、後にニューヨークの系列局WNETへ製作が引き継がれました。

米国図書館協会(ALA)、トランスジェンダーの人々の諸権利を支持する声明を発表

2020年6月23日、米国図書館協会(ALA)は、ウェブサイト上でトランスジェンダーの人々の諸権利を支持する声明を発表しました。ALAは声明の中で次のようなことを宣言しています。

・ALA、特にALA内でLGBTQIA+に関するテーマを扱うレインボー・ラウンドテーブルは、トランスジェンダーの会員・図書館員・著者・図書館利用者等と強固に連帯する立場にあり、社会正義に関与する組織として、あらゆる属性のトランスジェンダーの人々の支援を目指していること

・最高裁判所の最近の判決であらゆる人々の職場での公平な取り扱いが認められたことを歓迎し、トランスジェンダーの人々のアイデンティティや生活を脅かしたり、損なうことを意図したあらゆる発言・行動を断固として拒絶する姿勢をとること

・公平性・多様性・包摂性はALAの職務に組み込まれた概念であり、性自認(Gender identity)や性表現(Gender expression)に基づく差別は社会における健全性を損なうものであるという背景の下、図書館はトランスジェンダーの人々の安全と権利を積極的に支持・支援しなければならないこと

・トランスジェンダーの人々に対する暴力を非難し、暴力の犠牲となったトランスジェンダーの人々の死を悼むこと

ブリティッシュコロンビア大学図書館(カナダ)の件名標目における先住民族「脱植民地化」に向けた取り組み(記事紹介)

2020年6月25日付で、カナダのブリティッシュコロンビア大学図書館が、先住民族の「脱植民地化」を意図して、近年同館が件名標目に対して実施している取り組みを紹介した記事を公開しています。

ブリティッシュコロンビア大学図書館のXwi7xwa図書館では、かつて“First Nations”を件名標目に設定していた書誌レコードの多数について、より広い概念を表す“Aboriginal Canadians”への置き換えを行っています。また、長年にわたって、米国議会図書館件名標目表(LCSH)の標目“Indians of North America”について、同館独自のシソーラスでは使用しないようにしています。

オーストラリア国立図書館(NLA)の情報探索システム“Trove”がリニューアル:同国政府による4年間・1,600万オーストラリアドルの支援の成果

2020年6月26日、オーストラリア国立図書館(NLA)の情報探索システム“Trove”は、システムリニューアルを実施したことを発表しました。

Troveのリニューアルは、オーストラリア連邦政府による4年間・1,600万オーストラリアドルの財政支援により、NLAが主導して実施したシステムの近代化・コンテンツのデジタル化プロジェクト事業の成果として実現しました。プロジェクトの過程で、数百万ページ分のコンテンツがTroveに追加されています。システムリニューアルにあたっては3,000人以上の意見に基づいて、使い勝手の良い直観的なデザインへと更新されています。また、先住民(アボリジニとトレス海峡諸島民)文化を尊重した「文化的安全性(cultural safety)」を向上させるための措置も講じられています。

リニューアル後のTroveはオーストラリア国内の数百の文化機関による約65億件のコンテンツを無料で提供するオンラインポータルとなっています。同国政府はTroveの継続的な開発のため、NLAに対して今後2年間で800万オーストラリアドルの追加支援の実施を表明しています。

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