ビッグデータ

米・SPARC、学術出版界に関する包括的な現況分析と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップについて2020年更新版を公開

2020年6月22日、米・SPARCは、2019年中に公開済の学術出版界に関する包括的な現況分析“Landscape Analysis”と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップ“Roadmap for Action”について、2020年更新版を作成し公開したことを発表しました。

SPARCが公開した2020年更新版は、2019年中の出来事や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済的な影響を検証し、学術出版市場の状況・関連主要企業の状況に関する最新情報を提供しています。更新版の現況分析では、注目すべき傾向として以下の3点が挙げられています。

・主要出版社における研究評価分野への進出傾向の深化
・Get Full Text Research(GetFTR)のような主要出版社の共同プラットフォームによる研究成果物の流通
・コンテンツへのライセンス契約がデータ分析サービスの契約に直結する新たな「ビッグディール」契約の出現

更新版の行動のためのロードマップでは、データ分析関連製品・サービスの購入の指針となる原則の確立を特に重視して、コミュニティが検討すべき行動の提案が行われています。

米国の学術図書館におけるラーニングアナリティクスの実践・プライバシー等の課題に関する文献レビュー(文献紹介)

2020年4月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.3に、米国インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校(IUPUI)のKyle M.L. Jones准教授を筆頭著者とする論文“A Comprehensive Primer to Library Learning Analytics Practices, Initiatives, and Privacy Issues”が掲載されています。

米国の学術図書館では、予算に見合った成果を執行部へ示す必要性と、図書館のどの取り組みやリソースが機関の使命や学生の成長に有益かを把握しようとする意図から、学生のデータを用いたラーニングアナリティクスが近年盛んに取り組まれています。ACRL等でもラーニングアナリティクスに関するイニシアチブが実施され、図書館内でのデータ収集拡大だけでなく、人口統計学的データなど他の大学内のデータと組み合わせることが奨励されています。しかし、こうした奨励は米国図書館協会(ALA)のような専門職としての倫理規定に完全に沿ったものではないことも指摘されています。

プロジェクト・インフォメーションリテラシー、大手IT企業の使用するアルゴリズムが支配的な時代の情報リテラシーと大学生に関する報告書を公開(米国)

2020年1月14日、米国の成人の情報リテラシーに関する調査を進めているプロジェクト・インフォメーションリテラシー(Project Information Literacy:PIL)が、Google、YouTube、Instagram、Facebookといった大手IT企業の使用するアルゴリズムが支配的な時代における、情報リテラシーと大学生に関する報告書の公開を発表しました。

同報告書は大学生が絶えず変化するオンライン情報の全体像をどのように概念化しているか、コンテンツの形成・フィルタリングのためアルゴリズムの採用を進め不安定だが人気のあるプラットフォームからどのようにオンライン情報を利用しているのか、に関する知見を提供したものです。全国8大学103人の学生を対象とした16件のフォーカス・グループ・インタビュー、37人の教員へのインタビューから収集された質的なデータに基づいて報告書が作成されました。

国立情報学研究所(NII)、広域データ収集・解析プログラム開発を支援するオープンソースのソフトウェア「SINETStream」を公開

2019年12月25日、国立情報学研究所(NII)は、同研究所が運用する学術情報ネットワーク「SINET5」を介して広域に分散するデータを収集・解析する研究を支援する目的で、オープンソースのソフトウェア「SINETStream」を開発し公開したことを発表しました。

「SINETStream」は、環境測定、生体観測、IoTなど、広域に分散したデータの収集や解析を行う研究者にとって、収集・解析プログラムの作成には、ネットワークに関する高度な知識やプログラミングスキルが必要とされ、容易ではないことを背景に開発されました。センサー等から収集されるデータをクラウドや大学などに設置されたサーバへ書き込む、サーバに収集されたデータを解析プログラムに読み込むといった機能があり、APIを利用することでデータの収集・解析を行うためのプログラムを容易に開発することも可能です。また、通信やデータの暗号化、センサー等のデバイスの認証を行う機能も含んでいるため、機微情報を含む場合でも安全にデータ収集を行うことができる、としています。

Europeana、「過去のビッグデータ」の収集・活用を目指す欧州の研究プロジェクト“Time Machine”との協力に関する公式声明に署名

2019年12月16日、Europeanaは、欧州の研究プロジェクト“Time Machine”との協力に関する公式声明に署名したことを発表しました。同プロジェクトは、「過去のビッグデータ」(Big Data of the Past)を収集し、過去の欧州に関する大規模な歴史シミュレーターを構築することを目指しています。

Europeanaは同プロジェクトの開始当初から協力を行っていましたが、今回の公式声明への署名によりパートナーシップの強化が図られます。声明では、両組織の専門知識を持ち寄ることで大きな進展が期待できる分野として以下の3つを挙げています。

・技術インフラとデータモデルの改善
・法的ツールと権利に関するフレームワークの改善
・ネットワークとユーザー主導型インフラの接続

また、両組織は共同研究及び技術・インフラ開発に取り組むとともに、共通の活動にはガバナンスモデルを採用する予定であると述べています。

米・SPARCによるElsevier社がオープンアクセス(OA)要項受諾の見返りに同社のデータ分析製品の購入を研究機関へ要求している問題への警鐘(記事紹介)

米・SPARCは2019年12月10日付で、“Leaked Dutch Contract with Elsevier Raises Significant Alarm Bells”と題した記事を投稿しました。

同記事は、Elsevier社とオランダ大学協会(VSNU)との契約交渉漏洩の報道により明らかとされた、同社が学術雑誌契約におけるオープンアクセス(OA)要項を受諾することの見返りに、同社のデータ分析製品購入をVSNUへ要求している問題について、重大な警鐘を鳴らす目的で発されたものです。契約内容の正確な詳細は不明でありElsevier社は報道には誤りがいくつか含まれていると主張しているものの、SPARCは大筋では信頼できるものであるとして、このような契約に署名することは非常に問題があり、研究機関やコンソーシアムは短期的な利益を追求する前にその影響をよく検討すべきであると警告しています。

SPARCはこうした契約の問題点として以下の5点を挙げています。

1. 出版に関する契約とデータに関する契約が結び付けられることは、一方のみの解約などの柔軟性が制限される可能性があり問題である。

2. データ分析事業において出版コンテンツを持つ事業者への独占・寡占を促す可能性がある。

米・SPARC、高等教育機関向けに学術データとその基盤への出版業界の統制増大に対抗するためのロードマップを公開

2019年11月19日、米・SPARCは、高等教育機関向けに学術データとその基盤への出版業界の統制増大に対抗するためのロードマップとなる報告書として、“A Roadmap for Action : Academic Community Control of Data Infrastructure”の公開を発表しました。

このロードマップは、2019年前半に公開済の学術出版業界の現況に関するSPARCの詳細分析を踏まえて作成されています。筆頭著者である市場アナリストのClaudio Aspesi氏は、ロードマップ作成の背景として、「学術出版業界は大きな変革期にあり、従来までのコンテンツ提供事業だけでなくデータ分析をも事業化しようとしている。この傾向は重要な意味を持つものであり、高等教育機関の財政、中核的使命、重要情報を管理するための機能に深い影響を及ぼす可能性がある。この変化する状況には、隠れてはいるが負の帰結につながりうる対処すべき重大な問題が含まれている。今行動を起こさなければならない」とコメントしています。

米・Center for Democracy&Technology、K-12教育におけるアルゴリズムシステムの利用に関する手引きを公表

2019年8月12日、米国の非営利団体Center for Democracy&Technology(CDT)は、K-12(幼稚園から高校まで)の教育におけるアルゴリズムシステムの利用に関する手引き“Algorithmic Systems in Education: Incorporating Equity and Fairness When Using Student Data”を公開しました。K-12教育において、生徒のデータを分析するアルゴリズムシステムを意思決定支援に利用する学校が出現していることを背景として作成されたものです。

アルゴリズムシステムの利用ケースとして、生徒が通学する学校の割り当て、中退する可能性がある生徒の特定、(生徒のSNS投稿を分析しテロリズムの兆候を事前把握する等の手段による)学校の安全確保を紹介するとともに、利用に際し考慮すべき事項として、アルゴリズムや入力データに含まれるバイアスの可能性や、プライバシーをはじめとした生徒の権利侵害につながりうること等を挙げています。

その上で、学校・学区がアルゴリズムシステムの実装・調達を行う際の推奨事項として、入力データに含まれるバイアスの検証等4点を、システム実装後の推奨事項として、意思決定プロセスにおいて人間を関与させ続けること等7点を挙げています。

株式会社ジー・サーチ、2019年8月30日から企業・大学・研究機関を対象とした産学官連携の研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」を提供開始

2019年7月22日、株式会社ジー・サーチは、2019年8月30日から企業・大学・研究機関を対象とした産学官連携の研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」の提供を開始することを発表しました。

「JDream Expert Finder」は、日本最大級の科学技術文献情報提供サービス「JDreamⅢ」に収録された3,800万件以上の論文・学会発表情報を複雑ネットワークの理論に基づいて解析し、課題解決に最適な研究パートナーの探索を実現するサービスです。人工知能(AI)により、論文には明記されない課題解決力等の研究者の特徴を抽出し、最適な研究者探索を提供するという特長があります。産学官連携プロジェクト「ライフ インテリジェンス コンソーシアム(LINC)」との共同研究の成果である、「将来パートナーとして期待される研究者の探索」機能も搭載されます。

ジー・サーチはこのサービスのリリースに合わせて、産業競争力の加速をテーマに特別セミナー「ビッグデータの利活用によるオープンイノベーション戦略」を2019年9月に開催することも併せて発表しています。

文部科学省、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を公表

2019年6月25日、文部科学省は、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を公表しました。

新時代に求められる教育のあり方や、教育現場でICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用する意義及び課題の整理を行い、今後の取組方策を取りまとめたものであり、「1.新時代における先端技術・教育ビッグデータを効果的に活用した学びの在り方」「2.学校現場における先端技術・教育ビッグデータの効果的な活用」「3.基盤となる ICT 環境の整備」の3章が設けられています。

「2.学校現場における先端技術・教育ビッグデータの効果的な活用」では、スタディ・ログ(学習履歴)など教育ビッグデータの現状・課題と可能性、収集・活用に当たっての留意点がまとめられているほか、「3.基盤となる ICT 環境の整備」では、高等教育機関や研究機関の利用に限られていた「学術通信ネットワーク(SINET)」 を全国の初等中等教育機関でも活用できるようにしたことが取り上げられています。

ページ