研究データ

『中國工業經濟』誌を事例とした研究データ公開の義務化が学術雑誌へ及ぼす影響に関する実証研究(文献紹介)

2021年2月14日付で、Springer Nature社が刊行する科学計量学分野の査読誌“Scientometrics”に、中国の山东大学国际创新转化学院の张立伟(Liwei Zhang)副教授と中国人民大学公共管理学院の马亮(Liang Ma)教授による共著論文“Does open data boost journal impact: evidence from Chinese economics”のオンライン速報版が掲載されています。

同論文は多くの学術雑誌で研究データの公開が進んでいることを背景に、研究データの公開が学術雑誌に及ぼす影響を実証的に検討した結果を報告する内容です。著者らは、中国社会科学院(CASS)の刊行する『中國工業經濟(China Industrial Economics:CIE)』誌を検討の対象としました。CIE誌は2016年末に中国の社会科学系の学術雑誌として初めて、論文の著者に研究データの公開を義務付けており、論文の執筆時点でもこの分野でオープンデータを義務化する唯一の雑誌であることを紹介しています。

仏・オープンサイエンス委員会、ユネスコの「オープンサイエンスに関する勧告」の草案に意見提出

2021年1月18日付で、フランスの高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)によるオープンサイエンス国家計画の一環として設置されているオープンサイエンス委員会(Le comité pour la science ouverte)が、ユネスコの作成した「オープンサイエンスに関する勧告」の草案に意見提出したことを発表していました。

同委員会はユネスコの草案に高い評価を示しつつ、学術的な出版物に特有の課題、研究コミュニティや高等教育研究機関のローカルな取り組みの多様性を考慮した内容で再調整を図るための提案を行いました。学術出版の担い手・経済モデル・形式・使用される言語の多様性を促進する「書誌多様性」の原則をより一層重視すること、オープンではない研究データも特定の用途の下では利用可能とする「データ共有」の概念を強調すること、オープンサイエンスの目的・中心的な価値・基本理念として「再現性」について本文中に明記すべきであることなどを提言しています。

提出された意見の全文はフランス語・英語により、同委員会のウェブサイト上でそれぞれ公開されています。

永続的識別子が様々な版の学術レコードをつなげる(記事紹介)

2021年2月18日付で、北米研究図書館協会(ARL)が”Persistent Identifiers Connect a Scholarly Record with Many Versions”と題したブログ記事を掲載しました。ブログ記事では、学術コミュニケーションを出版者版が権威をもつ“version of record” (出版者版)からより多様で包括的な“record of versions”に移行する必要性とともに、“record of versions”では永続的識別子(PID)が大きな役割を果たすことが述べられています。

過去数ヶ月の間に大手商業出版社は、Plan Sの権利保持戦略等、著者稿をリポジトリで共有するグリーンオープンアクセスに対する懸念を表明してきました。懸念の理由として、(1) 複数の劣った(inferior)版が研究者に混乱を引き起こすこと、(2) 研究助成機関がゴールドオープンアクセスのために資金提供することと著者がリポジトリで成果を共有することを許可すると、出版社が“version of record”の維持に要する資金が脅かされることを挙げています。

国立情報学研究所(NII)、公開前の研究データを組織的に管理・共有するための研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の本運用を開始

2021年2月15日、国立情報学研究所(NII)のオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)は、公開前の研究データを組織的に管理・共有するための研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の本運用を同日から開始したことを発表しました。機関利用の申請受付も開始されています。

「GakuNin RDM」は、NII研究データ基盤(NII Research Data Cloud)を構成する管理・公開・検索の3基盤のうち「データ管理基盤」に当たる、研究者のデータの管理を支援するサービスです。

「GakuNin RDM」では、共同研究者間での組織を越えてのデータ管理・共有や、多様なクラウドサービス、研究ソフトウェアとの連携が可能となっています。また、学術認証フェデレーション(学認)に参加しており、テレワークや出張先からでも普段と同じ環境にログインして利用可能とあります。

主要な医学雑誌の掲載論文における臨床試験データ共有の実際(文献紹介)

2021年1月28日付で、米国医師会(JAMA)が刊行するオープンアクセス(OA)の査読誌“JAMA Network Open”に、米・スタンフォード大学メタリサーチ・イノベーションセンターのValentin Danchev氏を筆頭著者とする論文“Evaluation of Data Sharing After Implementation of the International Committee of Medical Journal Editors Data Sharing Statement Requirement”が掲載されています。

【イベント】協働型アジア研究オンラインセミナー「3次元データでひらく“人文学”の世界」(3/13・オンライン)

2021年3月13日、東京大学附属図書館U-PARLの協働型アジア研究「オリエント世界を対象とした研究資源のデジタル化とその利活用に関する研究」(代表:永井正勝氏)の主催により、協働型アジア研究オンラインセミナー「3次元データでひらく“人文学”の世界」が行われます。

3次元データの技術普及の結果、人文学においても扱うべきデータの質に加え、研究のあり方そのものにも変革が求められるようになってきたことから、人文系資料の3次元データ化に関する最新の研究事例の紹介を踏まえたうえで、あらたなデータによって開かれるこれからの“人文学”の可能性について議論することを目的に開催されます。

Zoomを用いてオンラインで実施され、参加には事前の申込が必要です(先着290人)。

内容は以下の通りです。

・開催趣旨
永井正勝氏(東京大学附属図書館U-PARL)

・3次元とともに描く考古学・博物館学の未来
江添誠氏(国士舘大学イラク古代文化研究所)

・Qalawun VR Projectの試み-VRツアーをつくる・活用する-
熊倉和歌子氏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

DryadとZenodo、ソフトウェアと研究データの公開に関するシステム連携を発表

2021年2月8日、データリポジトリのDryadとZenodoがシステム連携を発表しました。

DryadとZenodoでは、利用が容易であると同時に、研究者が科学的成果を再利用し構築するための有益な方法で、ソフトウェアの公開とデータキュレーションがシームレスに接続するための方法を検討してきており、今回、それを支援するための最初の機能を公開したものです。

Dryadでデータを公開する研究者は、新しく設置された“Upload Software”タブからコード・スクリプト・ソフトウェアをアップロードできるようになっており、アップロードしたデータは直接Zenodoに送られます。研究者は、DryadのCC0ライセンス以外にも、ソフトウェアに適したライセンスを選択することができます。

また、Dryadには、査読期間中はデータセットを非公開にする機能があり、雑誌編集部や共著者が論文がアクセプトされる前にアクセスするためのURLも用意されていますが、Zenodoで公開されるソフトウェアにおいても、この特定の人のみアクセスできるURLが用意され、公開の準備が整うまで公開されないようになっています。

カナダの研究データリポジトリ “Federated Research Data Repository (FRDR)”が正式公開

2021年2月2日、カナダ研究図書館協会(CARL)の研究データ管理(RDM)に関するプロジェクト“Portage”が、研究データリポジトリ“Federated Research Data Repository (FRDR)”の正式公開を発表しました。

同リポジトリの特徴として、

・英仏両言語に対応した全国規模のリポジトリで研究データの公開が可能
・カナダの中等後教育の全教員に1TBのストレージを割当(申請により1TB以上のストレージも利用可能)
・安全のためにストレージを地理的に分散して配置
・Portageがデータキュレーションを支援
・1申請で複数人による共同作業が可能
・登録した研究データは他のデータとあわせてDiscovery Portalから検索可能

があげられています。

【イベント】第3回 SPARC Japan セミナー2020「初めての研究データ」(2/18・オンライン)

2021年2月18日、第3回 SPARC Japan セミナー2020「初めての研究データ」がオンラインで開催されます。

国内外における研究データ管理・公開の実例やベストプラクティス、評価方法、プラットフォームの活用法についての発表等が行われます。

参加費は無料で、事前の申し込みが必要です。

当日の主なプログラムは以下の通りです。

司会:八塚茂氏(バイオサイエンスデータベースセンター)

・データリポジトリJ-STAGE Dataでのデータ公開
加藤斉史氏(国立研究開発法人科学技術振興機構)

・全国規模な研究データ管理サービスの提供者視点でのベストプラクティス
込山悠介氏(国立情報学研究所)

・研究データ管理サービスってどうやってはじめるの?(欧州での例を参考に)
神谷信武氏(チューリッヒ大学 アジア・オリエント研究所図書館)

・研究データ公開実践のための課題を探る:北海道大学での実例を通じて
三上絢子氏(北海道大学附属図書館)

Science Europe、「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」の増補版を公開:研究データ管理計画(DMP)評価のためのルーブリックを追加

2021年1月27日付で、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeは、「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」(“Practical Guide to the International Alignment of Research Data Management”)の増補版(Extended Edition)を公開しました。

Science Europeは、研究データの適切な整理・保存を行う機関、研究コミュニティ、研究者個人を対象とした手引きとして、2019年に「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」を作成しました。2019年のガイドが多くの機関で採用されるなどしたことを受けて、Science Europeは研究データ管理計画(DMP)の評価を容易にすることを意図したルーブリックを追加して増補版を作成し公開しました。

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