オープンサイエンス

E2416 - Open Research Europeについての考察

   2021年3月,欧州委員会(European Commission)はOpen Research Europe(以下「ORE」)の公開を発表した。OREは,研究・イノベーション支援プログラムであるHorizon Europeとその前身であるHorizon 2020による助成を受けた研究の成果物を対象としたオープンアクセス出版プラットフォームであり,成果物の完全・即時公開という同プログラムの目標を実現するために導入された。

E2417 - Japan Open Science Summit 2021<報告>

2021年6月14日から19日までJapan Open Science Summit 2021(JOSS2021)がオンラインで開催された。オープンサイエンスに関する日本最大のカンファレンスであり,市民科学,テクノロジー,政策・ポリシー,図書館・大学のデータ管理,分野におけるデータ公開・管理等をテーマに,オープンサイエンスの動向や研究データの共有・利活用等に関する23のセッションが行われた。本報告では,これらのうち,国立国会図書館(NDL)が主催したセッションとそれ以外の3つのセッションの概要を報告する。

研究プロジェクト「オープン・スカラシップの未来」の最終報告書が公開される

持続性・拡張性を備えたオープンサイエンスのための科学・学術基盤の実現を目指して活動する国際的なイニシアチブInvest In Open Infrastructure(IOI)は、IOIが立ち上げた研究プロジェクト「オープン・スカラシップの未来」(Future of Open Scholarship)の最終報告書(2021年7月付け)を公開しています。

研究プロジェクト「オープン・スカラシップの未来」は、研究エコシステム全体で起こりうるインフラの統合・崩壊に対処するため、集団行動の機会、レバレッジ・ポイント、コスト、アプローチの特定を目的としています。今回、最終報告書「オープン・スカラシップの未来のための準備モデルの設計」(Designing a Preparedness Model for the Future of Open Scholarship)の他にも、本プロジェクトの成果物があわせて公開されています。

最終報告書冒頭に収録されている「要約」(Executive summary)によれば、今回の調査で明らかになった社会的・技術的・財政的な課題に対処するため、次の介入策を提案しています。

オープン化された引用データのデータセットCOCIの提供するデータ件数が10億件を突破

2021年8月4日、セマンティックウェブ技術の活用によるオープンな書誌データ・引用データ公開を通してオープンスカラシップの推進に取り組む非営利団体OpenCitationsは、“COCI, the OpenCitations Index of Crossref open DOI-to-DOI citations”(COCI)の提供するオープン化された引用データの件数が、10億件を突破したことを発表しました。

このマイルストーンに到達するにあたり、学術出版物のオープン・サイテーション(引用データのオープン化)を推進するイニシアティブInitiative for Open Citations(I4OC)が大きな役割を果たしたことが述べられています。I4OCの取り組みによって、主要な学術出版社がオープン・サイテーションに対する考えを変化させたことを指摘しています。

最新版のCOCIのリリースに先立ち、2020年12月にエルゼビア社が「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)に署名しました。このことによって、同社のジャーナルに掲載された全論文の参考文献リストがCrossref経由でオープンになり、最新版のCOCIで利用できるようになりました。

英・Research England(RE)、研究を8つの要素に分解して公開できるプラットフォーム“Octopus”の開発支援への資金提供を合意

2021年8月6日、英国の大学の研究活動や知識交換活動への助成等を担当するResearch England(RE)が、研究を自由に公開・閲覧できるプラットフォーム“Octopus”の開発支援のため、Octopus Publishing Community Interest Company (CIC)と“Octopus”を支援するJiscに対して、65万ポンドの助成を行うことを発表しました。

“Octopus”は研究を、問題(problem)、仮説または理論的根拠(hypothesis or rationale)、メソッドまたはプロトコル(methods or protocol)、データまたは結果(data or results)、分析(analysis)、解釈(interpretation)、実際の実装(real-world implementation)、ピアレビュー(peer review)の8つの要素に分解して公開することができるプラットフォームで、そのことで、迅速な共有を促すとともに、査読を含む研究プロセスのすべての段階で個々の著作にクレジットを付与することができます。

助成は、“Octopus”を実験的ツールから世界中で利用可能なサービスに移行するために必要な技術開発のために用いられるとしています。

E2409 - 日本の学術機関に向けた研究データ管理サービスGakuNin RDM

●国立情報学研究所の研究データ管理(RDM)サービス

   GakuNin RDMは,2021年2月15日に国立情報学研究所(NII)がサービス提供を開始した,全国の学術機関に向けた研究データ管理(RDM: Research Data Management)サービスである。研究データ公開基盤JAIRO Cloud,検索基盤CiNii Research(E2367参照)と合わせて,NIIの研究データ基盤NII Research Data Cloud(NII RDC)における提供サービスの一つという位置づけである。

オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、「オープンサイエンス関連の基本ドキュメント」を公開

2021年7月15日、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)が「オープンサイエンス関連の基本ドキュメント」を公開しました。

国内のオープンサイエンスに関する政策文書等のドキュメントのうち、主要なものがまとめられており、随時更新予定です。

オープンサイエンスを最初に学ぶ際の取っ掛かりや、オープンサイエンスについて関係者へ説明を行う際の情報源として利用できると案内されています。

JPCOAR
https://jpcoar.repo.nii.ac.jp
※2021年度お知らせ一覧に、2021年7月15日付けで「「オープンサイエンス関連の基本ドキュメント」を公開しました」とあります。

オープンサイエンス関連の基本ドキュメント(JPCOAR)
https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/os-resource

Digital Science社、オープンな組織IDとしてのGRIDの役割をRORに引き継ぐと発表

2021年7月12日、Digital Science社は、同社が運営する世界の研究機関情報のデータベースGRIDが果たしているオープンな組織IDとしての役割を、同じく研究機関情報のレジストリであるRORに引き継ぐと発表しました。GRIDの更新に関するリリースは2021年第4四半期が最後となり、GRIDをパブリック・スペースから「引退」(retire)させるとしています。

発表では、DigitalScience 社とRORが、GRIDとRORの同期維持のため多大な努力を行ってきたことに触れ、RORは今後GRIDからの分岐が可能になると述べています。両者は、GRIDのユーザーがRORへの切り替えを望む場合、スムーズな移行を実現できるよう取り組むとしています。

Digital Science社は、今回の発表に関するFAQも公開しています。FAQによれば、同社は引き続きGRIDを維持し、RORを介して提供される変更情報を統合していくものの、その使用範囲は同社のプロジェクト・製品に関連する同社内部のユースケースとなる旨を述べています。

フランスの高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)、フランスのオープンサイエンスに関する第2次国家計画を発表

2021年7月6日、フランスの高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)のフレデリック・ヴィダル大臣が、同国のオープンサイエンスに関する第2次国家計画を発表しました。

2018年に発表された最初の計画の下で進められてきた取組を強化・更新するものであり、計画の期間は2021年から2024年です。今回の計画では、以下の4つの軸を掲げ、それぞれに関する対策や取組等がまとめられています。

(1)出版物のオープンアクセス(OA)の一般化
(2)研究データの構造化、共有、公開
(3)研究の中で作成されたソースコードの公開と促進
(4)オープンサイエンスを基本原則とするための慣行の変革

フランス・科学技術情報研究所(INIST)、オープンサイエンスに関するシソーラスを公開:フランス語、英語、スペイン語の3か国語版を提供

2021年7月2日、フランスの科学技術情報研究所(INIST)が、オープンサイエンスに関するシソーラス“Thésaurus de la science ouverte”を公開したことを発表しました。

オープンサイエンスに関する用語約400語がまとめられており、フランス語、英語、スペイン語の3か国語で提供されています。発表によると、既存の用語集や、参考資料、オープンサイエンスについての研修を推進するプロジェクト“FOSTER”が作成したタクソノミーを基にしています。

公開時点では用語の定義は主にフランス語で記載され、英語やスペイン語での定義の追加等、今後定期的な内容拡充を行うと述べています。また、同シソーラスは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BYで公開されています。

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