2021年2月22日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、フランスの大学図書館・ドキュメンテーション分野の管理職層職員が構成する団体“l’Association française des directeurs et personnels de direction des bibliothèques universitaires et de la documentation”(ADBU)と覚書を締結したことを発表しました。
LIBERとADBUは覚書に基づく第1弾の共同研究プロジェクトして、“Science and Knowledge Openness – Developing Open Science Skills and Competencies in the Academic World”を実施することを合わせて発表しています。同プロジェクトの実施目的については、次のように説明しています。
2021年1月18日付で、フランスの高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)によるオープンサイエンス国家計画の一環として設置されているオープンサイエンス委員会(Le comité pour la science ouverte)が、ユネスコの作成した「オープンサイエンスに関する勧告」の草案に意見提出したことを発表していました。
2021年2月18日付で、北米研究図書館協会(ARL)が”Persistent Identifiers Connect a Scholarly Record with Many Versions”と題したブログ記事を掲載しました。ブログ記事では、学術コミュニケーションを出版者版が権威をもつ“version of record” (出版者版)からより多様で包括的な“record of versions”に移行する必要性とともに、“record of versions”では永続的識別子(PID)が大きな役割を果たすことが述べられています。
過去数ヶ月の間に大手商業出版社は、Plan Sの権利保持戦略等、著者稿をリポジトリで共有するグリーンオープンアクセスに対する懸念を表明してきました。懸念の理由として、(1) 複数の劣った(inferior)版が研究者に混乱を引き起こすこと、(2) 研究助成機関がゴールドオープンアクセスのために資金提供することと著者がリポジトリで成果を共有することを許可すると、出版社が“version of record”の維持に要する資金が脅かされることを挙げています。
新しい知識・情報の創造という図書館・ライブラリーが果たす役割を実現していることや,古文書を読める世代を失いつつある結果,それらを死蔵しかねない状況の図書館にとって存在意義が大きいとしてLibrary of the Year 2020 の大賞を受賞した『みんなで翻刻』は,インターネットを通じて誰もが参加できる歴史資料の翻刻プラットフォームである。「翻刻」とは歴史学の用語で,古文書や古典籍など歴史文献資料に書かれた文字を活字に起こし,史料集として刊行したり,データベース化してオンライン公開したりする作業のことを指す。日本には江戸時代以前から伝来する大量の文献資料が保存されており,近年はこれら資料のデジタル化も急速に進められている。しかしテキスト化された歴史資料は全体のごく一部に過ぎないため,全文検索が適用できないなど効果的な利活用が困難な状況にある。『みんなで翻刻』は,多数の参加者の協力を募ることでこれら文献資料の大規模なテキスト化を実現し,歴史資料の利活用促進につなげることを目的としたプロジェクトである。翻刻されたテキストはCC BY-SAライセンスで公開され,出典を明示すれば自由に利用できる。
2021年1月22日付で、オープンアクセス(OA)出版社Frontiersの計量書誌学等を扱う査読誌“Frontiers in Research Metrics and Analytics”に、独・マックスプランク研究所の研究者らによる共著論文“Where Do Early Career Researchers Stand on Open Science Practices? A Survey Within the Max Planck Society”が掲載されています。
同論文は、著者らがマックスプランク協会所属の若手研究者(Early career researchers)に実施した、オープンサイエンスに関するアンケート調査について報告するものです。著者らは同協会に所属する約5,100人の博士号取得候補生(Doctoral Candidate)の研究者を対象に、オープンアクセス(OA)出版・オープンデータ・研究の事前登録・登録済報告書・レプリケーション研究などオープンサイエンスと関連した取り組みについて、知識・意見・実践状況を自己申告で評価するアンケート調査を実施しました。調査には568人から回答を得ています。