学術出版

オランダで刊行された学術雑誌にオープンアクセス(OA)出版を提供するプラットフォーム“openjournals.nl”が運用を開始:人文学・社会科学分野の7誌とともにスタート

2021年1月29日付のオランダ科学研究機構(NWO)のお知らせで、“openjournals.nl”の運用開始が発表されています。

openjournals.nlは、NWOとオランダ王立芸術科学アカデミー(KNAW)、オープンアクセス(OA)出版に取り組む非営利財団Open Access Publishing Services(OPuS)が共同構築したプラットフォームです。オランダで刊行された学術雑誌にOA出版の機会を提供するプラットフォームであり、特に研究成果の100%のOA化にしばしば困難が伴う人文学・社会科学分野の高品質の学術雑誌への支援が目的に掲げられ、運用開始時点では人文学・社会科学分野の7誌が参加しています。

openjournals.nlは、KNAW内の人文学部門からオープンソースの出版・投稿システムが提供され、論文著者に金銭的負担を負わせない「ダイヤモンドOA」モデルで運営しています。このような運営体制は、デンマークの“tidsskrift.dk”やフィンランドの“Journal.fi”といった先行の成功事例をモデルにしたことを説明しています。

米・Educopia Institute等のプロジェクト“Next Generation Library Publishing”、学術情報流通に関わるオープンソースのツールやサービスをカタログ化した“SComCat”を公開

2021年1月26日、米国のMLAおよびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、学術情報流通に関わるオープンソースのツールやサービスをカタログ化したウェブサイト“Scholarly Communication Technology Catalogue(SComCat)”が公開されたことを発表しました。

SComCatは、Educopia Instituteを中心としたオープンソースの出版インフラの開発・統合プロジェクト“Next Generation Library Publishing”の一環として、プロジェクトパートナーであるオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)や、デジタル分野の高等教育・研究等に関するコンサルタント会社Antleaf社が共同開発しました。学術情報流通に関わるオープンソースのソフトウェアと主要な運用中のサービスを含む情報技術をカタログ化し、ナレッジベースとして提供しています。開発の目的については、これらの情報技術の機能、組織モデル、依存関係、標準規格の採用状況、普及状況などの概要を提供し、ユーザーの意思決定の支援を行うことである、と説明しています。

米国の大学コンソーシアムBig Ten Academic Alliance(BTAA)、加盟大学が米・PLOSの“Community Action Publishing(CAP)”プログラムに参加することで合意

2021年1月21日、米国の大学コンソーシアムBig Ten Academic Alliance(BTAA)と米国のオープンアクセス(OA)出版社PLOSが、PLOSの“Community Action Publishing(CAP)”プログラムに、BTAAに加盟する大学が参加することで合意したと発表しています。3年間の試行として行われます。

BTAAに加盟する全15大学の研究者は、論文処理費用(APC)を支払うことなく、“PLOS Medicine”と“PLOS Biology”で論文を発表することができます。また、両者は、OA出版契約を評価するための機関向けのデータ、指標、ツールにおいても連携する予定です。

ドイツ研究振興協会(DFG)、オープンアクセスについての新たなウェブページを公開

2021年1月25日、ドイツ研究振興協会(DFG)は、オープンアクセスについての新たなウェブページを公開したことを発表しました。DFGは2020年にオープンアクセス方針の改訂を行い、現在ではDFGの助成を受けた研究成果はオープンアクセスで出版しなければなりません。記事では以下のDFGのオープンアクセスの取り組みに触れられており、これらの詳細については新ページで公表されているとあります。

・2020年秋には「オープンアクセス出版料」プログラムを開始しており、DFGはオープンアクセス出版のための助成を行っている。このプログラムは、学術雑誌掲載論文と単行本のオープンアクセスを対象としている。

・助成プログラム「科学出版のためのインフラストラクチャ」では、適切な標準と出版インフラストラクチャの開発を促進している。

・様々なイニシアティブ、ネットワークに参加している。2020年の終わりに参加したENABLE!コミュニティでは、革新的な共同出版モデルの開発を通じて、人文社会科学分野のオープンアクセス出版を可能にするパートナーシップネットワークを構築している。

Elsevier社、デンマークのコンソーシアムと転換契約を締結

2021年1月26日、Elsevier社は、デンマーク王立図書館(Det Kgl. Bibliotek)と、デンマークの研究者の継続的な購読とオープンアクセス出版(reading and open access (OA) publishing)を支援する4年間の転換契約に同意したことを発表しました。

デンマーク王立図書館が率いるデンマークのコンソーシアムが出版社と転換契約を締結するのは初めてであるとしています。この協定はデンマーク国内の8校の主要大学を含む30以上の機関が対象となっており、契約期間は2021年1月から2024年末までです。

【イベント】2020年度第3回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:データ公開の実践」(3/1・オンライン)

2021年3月1日、2020年度第3回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:データ公開の実践」が、オンラインで開催されます。

2020年度のJ-STAGEセミナーは、オープンサイエンスの進展や研究不正の防止といった観点で、研究データの公開を重視する動きが増えていることから、年間テーマを「ジャーナルから見た研究データ」と定め、論文根拠データの公開に関する情報を提供しています。

第3回セミナーでは、2020年3月に運用を開始した「J-STAGE Data」を利用する学会からの事例紹介や、国立研究開発法人における研究データ公開の取組の紹介等が行われます。

参加費は無料であり、事前の申込が必要です。

当日予定している主な内容は以下の通りです。

・「日本気象学会「気象集誌」におけるJ-STAGE Dataの利用の取り組み」
佐藤正樹氏(日本気象学会)

・「デジタルアーカイブ学会誌でJ-STAGE Dataを登載してみた」
時実象一氏(デジタルアーカイブ学会)

・「ライフサイエンスにおけるデータサイエンス:J-STAGE Dataへの期待」
中村春木氏(日本生物物理学会)

科学技術振興機構(JST)、2020年度第2回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:国際動向」の開催報告書を公開

2021年1月29日、科学技術振興機構(JST)は、2020年10月27日に開催した2020年度第2回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:国際動向」について、開催報告書の公開を発表しました。

同セミナーは、JSTと国際STM出版社協会(STM)日本支部の合同セミナー「JST-STM ジョイントセミナー「学術出版における変革:研究データ」」の一部として開催されました。当日行われた下記講演の概要、質疑応答の内容、セミナー後の反響等が掲載されています。

・Open science and the PID Graph
Matthew Buys氏(DataCite)

・A chemistry perspective on research data
Richard Kidd氏(Royal Society of Chemistry)

カナダ研究知識ネットワーク(CRKN)と米・PLOS、オープンアクセス出版に関する“Community Action Publishing”契約を締結

2021年1月18日、カナダ研究知識ネットワーク(CRKN)と米国のオープンアクセス(OA)出版社PLOSが、“Community Action Publishing(CAP)”契約を締結したと発表しています。

所属する責任著者および共著者に係る過去の出版履歴に基づいて、出版費用を著者から研究機関にシフトする内容で、CRKNに加盟する81の大学・研究機関のうち19の加盟機関が“PLOS Medicine”と“PLOS Biology”で無料で無制限で論文を出版できます。契約期間は3年間で、新たに参加を希望するCRKN加盟機関は、この期間中の任意の時点で参加可能です。

英・JiscとSpringer Nature社、既存の“Read and publish”契約の対象に医学・科学関連学会のジャーナルコレクション“Academic Journals”を追加して2022年まで延長

2021年1月20日、英国のJiscとSpringer Nature社は、締結済のSpringerブランドのジャーナルに関する転換契約について、nature.comが提供する医学・科学関連学会のジャーナルコレクション“Academic Journals”のタイトルを対象に加えて契約期間を延長したことを発表しました。

2,200誌以上のSpringerブランドのジャーナルと38誌のAcademic Journalsのジャーナルを対象とした同契約は、2021年1月から2022年12月までを契約期間とし、英国の104大学が参加しています。2020年には同契約によって4,674件の論文がオープンアクセス(OA)となっており、対象タイトルの増加等によって、2021年には英国で助成を受けた研究成果物の出版や利用のさらなる増加が見込まれる、としています。

トランスジェンダーの研究者の著者名表記変更に関する5つの基本原則(記事紹介)

2021年1月13日付で、出版倫理委員会(COPE)は、学術出版におけるトランスジェンダーの研究者の著者名表記の変更について、5つの基本原則の提案やこのようなパラダイムシフトの意味を考察する記事として、“A vision for a more trans-inclusive publishing world: guest article”を公開しました。

同記事では、トランスジェンダーの研究者が自身の研究成果に対する正当な評価を得るために、過去に使用していた名称を現在の名称へ変更しようとする際に、出版社との煩雑な手続きが必要となるだけでなく、手続きの過程で自身の私的なアイデンティティに関わる問題を開示して交渉を強いられる現状を指摘しています。このような現状の改善のため、記事では出版社等に対して著者名表記変更について、次の5つの基本原則を提案しています。

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