学術出版

scite、ScholarOneパートナープログラムへの参加を発表:sciteのツール“Reference check”がScholarOne内から利用可能に

sciteは、2021年4月13日付けのmediumでの投稿において、オンライン投稿・査読システムScholarOneのパートナープログラムへの参加を発表しました。

sciteは、スマート引用を介して科学論文を発見・評価するためのプラットフォームです。発表では、今回の参加によってsciteのツール“Reference check”がScholarOne内から利用可能になり、投稿論文の迅速な評価が行えるようになると述べています。

“Reference check”は、論文から参照文献の情報を自動抽出し、スマート引用を介して、引用された主張が支持を得ているか又は異議を呈されているかを示すコンテキストや分類を詳述するレポートを生成します。さらに、各参考文献が撤回、取り下げ等がなされているかについても特定します。

単行書へのCC BYライセンス適用と第三者による複製版販売の問題(記事紹介)

オープンアクセス(OA)出版に携わるUbiquity Press社のブログに、2021年4月9日付けで記事“CC BY: A (Somewhat) Cautionary Licensing Tale”が掲載されています。

同社ではこれまで、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BYライセンスの下で単行書を刊行してきました。本記事では、同社が2020年の年末に直面した、別の企業による単行書再販売の問題が紹介されています。

当該企業は、これまでUbiquity Press社を含む複数社がCC BYで刊行した単行書を取得し、それらを自社の名義で販売していました。法的な問題はないものの、これら複製版の単行書によりいくつかの問題が生じたと述べています。記事では複数の問題を挙げており、その例としては次のような内容が含まれています。

・多くのオンライン小売サイトでの検索結果において、これら複製版のほうがより「新しい」ためにオリジナル版よりも上の順位で表示され、読者がオリジナル版を探しづらくなった。
・単行書内の画像等のコンテンツがCC BYより厳しい利用条件で提供されている場合、複製版ではぼかしが入れられたり削除されたりしていた。表紙画像も異なるデザインになるなど、品質上の問題がみられた。

米・ニューヨーク大学図書館、教員・学生向けに電子書籍アプリ“SimplyE”での学術書利用を可能にするパイロットプロジェクトを開始:ProQuest社、米・LYRASISと協力

2021年4月5日、米・ニューヨーク大学(NYU)は、NYU図書館がProQuest社及び米・LYRASISと協力し、NYUの教員・学生向けに電子書籍アプリ“SimplyE”で学術書15万点以上の閲覧を可能にするパイロットプロジェクトを開始したことを発表しました。

“SimplyE”は、スマートフォンやタブレット端末で電子書籍の閲覧・借用ができるアプリであり、Android及びAppleの端末に対応しています。米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)とLYRASISとの連携により、オープンソースの技術を用いて開発され、米国の公共図書館で広く利用されています。そのため、NYUの教員・学生は、“SimplyE”を用いてNYPL等の地元の公共図書館が提供するコンテンツも利用できます。

NYU図書館では長年にわたりProQuest社のプラットフォーム“Ebook Central”を介して学術書へのアクセスを提供してきましたが、今回のパイロットプロジェクトにより、ユーザーエクスペリエンスの向上が図られます。発表によれば、ProQuest社は、“SimplyE”に関して大学図書館及びオープンソース・コミュニティとの連携協力を行った初めての電子書籍プラットフォームプロバイダーとなります。

米国情報標準化機構(NISO)、学術出版物のレコードに含まれる著者名の変更に関する推奨事項を策定へ:ワーキンググループの設立を発表

2021年4月6日、米国情報標準化機構(NISO)は、新たなワーキンググループの設立がNISO内で承認されたことを発表しました。このワーキンググループでは、学術出版物のレコードに含まれる著者名について、著者のアイデンティティ変更に伴い出版後に更新する必要がある場合の推奨事項策定のための検討が行われます。

発表では、出版物の著者として正しく識別されることの重要性を指摘し、改名・結婚・離婚・再婚・性別変更・筆名などの様々な理由により著者名の変更が生じうること、出版後の著作物に関しても、その情報を著者の状況と同期させる必要があることに言及しています。

オープンアクセス誌eLife、査読における多様性を促進するためにPREreviewと提携

2021年3月25日、オープンアクセス誌eLifeは、様々なバックグラウンドを有する研究者を査読に参加させ、査読における多様性を促進するためにPREreviewと提携することを発表しました。

2017年に設立されたPREreviewは、査読システムにさらなる公平性・多様性をもたらすことを目的としており、プレプリントの査読に関するプラットフォームの運営や、より良い査読のための学習リソースの提供、査読を担うコミュニティの育成等に取り組んでいます。

eLifeは2020年に、世界中の研究者がオンラインでプレプリントの内容を議論する“preprint journal club”を含むPREreviewの様々な取組に協力しました。また、若手研究者が査読に貢献できるようにするための、オンラインの指導プログラム“PREreview Open Reviewers”のパイロット版への支援も行いました。

cOAlition S、欧州研究図書館協会(LIBER)が策定したモデル法への賛意を表明:公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定

2021年3月30日、cOAlition Sは、欧州研究図書館協会(LIBER)が策定したモデル法(model law)への賛意を表明しました。

モデル法は、公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定した内容となっており、欧州連合(EU)及び欧州各国政府のレベルで研究成果物の二次出版権が取り扱われることを目的としています。

モデル法の策定は、プランSの「権利保持戦略」や欧州委員会の助成プログラム“Horizon Europe”などを背景とした、LIBERによるキャンペーンの一環として行われました。LIBERは同キャンペーンのウェブページにおいて、著者が自身の研究成果をコントロールできるような政策を全EU加盟国で導入し、各国で協調的・水平的なアプローチを採用する時が来た、と述べています。

cOAlition Sは、全EU加盟国での協調的・水平的なアプローチの採用、という簡明な目標をとりわけ歓迎すると述べています。

新型コロナウイルス感染症拡大下でのプレプリントの出版率と被引用数(文献紹介)

2021年3月3日、オープンアクセスジャーナルPeer Jが、” Publication rate and citation counts for preprints released during the COVID-19 pandemic: the good, the bad and the ugly”と題した論文を公開しました。著者はエクアドルのサン・フランシスコ・デ・キト大学のDiego Añazco氏、Bryan Nicolalde氏ら7名です。論文では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を受けて数多くのプレプリントが公開されてきたことを背景として、これらのプレプリントがどの程度学術雑誌で出版され、引用されているか調査を行っています。

調査の対象となったプレプリントは、2020年1月1日から2020年5月31日までにbioRxiv、medRxiv、Research Squareに投稿されたCOVID-19に関連する5,061報のプレプリントです。5,061報のプレプリントのうち、学術雑誌で出版されたものは288報(5.7%)であることが報告されています。学術雑誌で出版されたものは学術雑誌論文としてもプレプリントとしても、学術雑誌で出版されていないものより被引用数が高いことが明らかとなっています。

米・カリフォルニア大学とElsevier社の転換契約についての6つの疑問と回答(記事紹介)

2021年3月25日付で、学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、米国のブリガムヤング大学のRick Anderson氏が執筆した記事“Six Questions (with Answers!) about UC’s and Elsevier’s New Transformative Deal”が掲載されています。記事では、米国のカリフォルニア大学がElsevier社と締結したオープンアクセス(OA)出版モデルへの転換契約についての6つの疑問と回答が述べられています。具体的には、(1) 実際の論文処理費用(APC)、(2) 年間の価格上昇への対応、(3) 著者の選択権、(4) 論文に適用されるライセンス、(5) 永続的なアクセス、(6) 契約に含まれているElsevier社のジャーナル、について扱っています。

Elsevier社、著者名表記の変更に関する方針を発表:トランスジェンダーの研究者の著者名表記変更に関する出版倫理委員会(COPE)の基本原則に準拠

2021年3月29日、Elsevier社が、著者名表記の変更に関する方針“Inclusive author name change policy”を発表しました。これにより、研究者は、過去に発表した論文の著者名について、遡及的に現在の名前へ変更することが可能となります。

発表の中では、1月13日付で出版倫理委員会(COPE)が発表した、トランスジェンダーの研究者の著者名表記変更に関する基本原則に準拠することが述べられています。

トランスジェンダーの研究者に加え、結婚・離婚、改宗等の理由で改名した研究者も対象としています。

英・Jisc、新興の大学出版局によるオープンアクセス出版を支援するためのツールキットを公開

2021年3月25日、英・Jiscは、新興の大学出版局(New university pres:NUP)によるオープンアクセス(OA)出版を支援するためのツールキット“New university press toolkit”を公開しました。

Jiscは2017年に、大学や学界主導の学術出版の動向をまとめた報告書“Changing publishing ecologies”を公開しており、同報告書で示された推奨事項「OA出版を行う大学・図書館主導の新しい出版局の企画・設立を支援するためのベストプラクティスをまとめたツールキットを作成すること」が本ツールキット作成の契機となっています。

本ツールキットは、11の主要セクションからなり、CC-BYライセンスで公開されています。既存のNUPだけでなく、これから出版局を設立する、あるいは設立を検討するに当たって、次のようなキーポイントをよりよく理解する上で役立つとしています。

・出版局設立が妥当であると示すために、どのように組織の賛同を得、資源と予算の要件を理解するか
・どのように持続可能性を達成し、その定義を行うか
・どのように著者の関心を引き、著者を支援するか

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