学術出版

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、国際光工学会(SPIE)と3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年1月13日付の国際光工学会(SPIE)のお知らせにおいて、スウェーデンのBibsamコンソーシアムとSPIEが、2020年から2022年までの3年間を契約期間とする“Read & Publish”契約を締結したことが発表されています。

この契約はSPIEが署名した初めての“Read & Publish”契約となり2020年1月1日から契約が開始されます。契約によりBibsamコンソーシアムの構成員は、SPIE発行の会議録や雑誌論文50万点以上を収録した“SPIE Digital Library”の全てのコンテンツへのアクセスが可能になります。また、論文処理費用(APC)を支払うことなく、無制限にSPIE発行の学術雑誌で研究成果をオープンアクセス(OA)化することができます。

出版倫理委員会(COPE)、ハゲタカ出版に関する討議資料を公開

2020年1月7日、出版倫理委員会(COPE)が、ハゲタカ出版に関する討議資料(Discussion document)“PREDATORY PUBLISHING”を公開しました。

ハゲタカ出版に関する基礎的事実の説明、主要な問題の特定、関係する様々な利害関係者への影響の説明、提案された介入や解決策に関する分析、今後の問題解決のための現在のCOPEの見解の提示等が行われています。

COPEでは、出版者・雑誌編集者・査読者・研究者・研究機関・図書館・助成機関などからの当該問題に関する意見を募集するとしています。

@COPE(Twitter, 2020/1/7)
https://twitter.com/C0PE/status/1214684883282538499

Predatory publishing(COPE)
https://doi.org/10.24318/cope.2019.3.6

Taylor & Francisグループ、F1000 Researchを買収

2020年1月10日、Taylor & Francisグループは、オープンアクセス出版プラットフォームを提供するF1000 Researchを買収したことを発表しました。

Taylor & FrancisグループのChief ExecutiveであるAnnie Callanan氏は今回の買収に関し、オープンリサーチ及びより広範な出版サービスにおける同グループの能力を顕著に強化・拡張するものであり、また、現状に挑戦し革新を行う文化をもたらすものであると評価しています。

プレスリリースでは、以下のような点等にも言及しています。

・F1000 ResearchがTaylor & Francisグループのオープンリサーチサービス及びPlan S準拠のプラットフォームにおける重要な構成要素となること
・今回の買収が、Taylor & FrancisグループのインプリントであるRoutledgeやTaylor & Francisと提携している人文科学・サイエンスコミュニティを、F1000 Researchのサービスと結び付ける機会をもたらすものであること
・F1000Prime、F1000Workspaceは今回の買収には含まれないこと

独・プロジェクトDEAL、Springer Nature社との“Read and Publish”契約に最終合意

2020年1月9日、Springer Nature社と独・プロジェクトDEALを代表して交渉を担当している独・Max Planck Digital Library(MPDL)は、“Read and Publish”契約が正式に締結されたことを発表しました。

この契約は2019年8月22日に署名された覚書(Memorandum of Understanding)を引き継いだものです。プロジェクトDEALを構成する700以上のドイツの研究機関に所属する著者が、Springer Nature社のハイブリッド誌、及び完全オープンアクセス(OA)誌に受理された研究成果を即時OA化することが可能になります。年間1万3,000件以上の論文のOA出版が期待されています。

米国政府が政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化を検討?:出版関係者等に様々な反応(記事紹介)

2019年12月20日付のNature誌のNewsにおいて、“Rumours fly about changes to US government open-access policy”と題した記事が公開されています。

同記事は、米国政府が政府助成研究の12か月以内の公開を定めた現行の方針について、全ての研究を即時オープンアクセス(OA)化する内容に改訂することを検討しているという風説の出版関係者等への影響を紹介したものです。出所は不明ながら、広範囲で議論されている風説によると、トランプ政権は出版慣行の変更を要求する大統領令の草案を作成しており、その内容は政府助成研究を自由に利用可能なライセンス条件により即時OA化することを義務付けるなど、欧州で始まったPlan Sに倣ったものである、とされています。出版関係者らはこの風説に対して様々な反応を示しています。

Springer Nature社、cOAlition Sの“Transformative Journals”枠組み案へのフィードバックとして公開書簡を発表

2019年12月17日、Springer Nature社は、cOAlition Sが公開した“Transformative Journals”(転換雑誌)枠組み案について、公開書簡(Open Letter)により懸念事項を指摘したフィードバックを行ったことを発表しました。

同社は公開書簡の中で、cOAlition Sが示した枠組み案のうち、年間8%のオープンアクセス(OA)率の成長、OAコンテンツが50%に達した時点で完全OA雑誌に切り替えるといった数値目標が現実的ではないこと、論文処理費用(APC)の免除に関する要件が雑誌の持続可能性を損なうことなどを指摘し、これらの要件の変更がなければ出版社が枠組み案に参加するのは難しいと表明しています。

cOAlition Sは同日付でSpringer Nature社の公開書簡への応答をウェブサイトに掲載しています。この応答の中では、公開した枠組み案は草案であり2020年1月6日までの利害関係者からのフィードバックに基づいて改めて検討することなどが表明されています。同社による数値目標が現実的ではないという懸念については、Europe PMCに収録された同社のOA誌“Nature communications”掲載論文の過去数年のデータを用いて、現実的に実現可能な数値目標であると反論しています。

JSTOR、メキシコ大学院大学出版局の絶版本のオープンアクセス化事業に関するホワイトペーパーを公開

2019年12月19日、JSTORは、アンドリューW. メロン財団の支援を受け実施した。メキシコ大学院大学出版局(El Colegio de México Press)の絶版本680点のオープンアクセス(OA)化事業に関するホワイトペーパー“The Impact of Open AccessLatin American Scholarship: Digitizing the Backlist of El Colegio de Mexico’s Press”を公開しました。

同事業の意義、デジタル化対象の選定過程、同コレクションの利用状況について記録するためにまとめられたもので、絶版本資料の利用促進に関心がある他の事業にとって役立つことを意図しています。

デジタル化したものの利用は多く、すべてのタイトルが利用されており、総計50万以上の利用があったとしています。また、173の国・地域で利用されるなど対象となる利用者の範囲も広かったとしています。そして、JSOTR上の英語のOAタイトルの利用数の57%利用されており、主に英語コンテンツであるJSOTRでのスペイン語タイトルの利用としては目覚ましい利用数であるとしています。

スウェーデン王立図書館(NLS)、学術出版社との「転換契約」におけるBibsamコンソーシアム内での新しい費用配分モデルを検討した委託調査報告書を公開

2019年12月19日、スウェーデン王立図書館(NLS)は、コンサルタント会社への委託により実施した調査の報告書として、“Introducing pay-to-publish in cost distribution models of ‘The Bibsam Consortium, Sweden’”の公開を発表しました。

この調査は、近年Bibsamコンソーシアムがオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」として、複数の学術出版社と“Read & Publish”契約締結を実現していることを背景に、こうした新しい種類の契約に関するコンソーシアム内部での費用配分の課題の検討を目的として実施されました。完全なOA出版の状況下における費用配分について、将来にわたって有効な基礎とすることが意図されています。報告書では、将来的な費用配分のシナリオ、国際的な状況との比較、費用配分モデルの変更がコンソーシアム参加機関へ与える財政上の影響の推定などの内容が扱われています。

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、Wiley社と3年間の“Read & Publish”契約を締結

2019年12月17日、Bibsamコンソーシアムを代表してライセンス契約の交渉を行っているスウェーデン王立図書館(NLS)は、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」として、“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

この契約にはスウェーデン国内45の機関が参加しています。契約参加機関に所属する研究者は、同社の約1,500タイトルの購読誌へ引き続きアクセス可能になる一方、同社の約1,550タイトルのゴールドOA誌・ハイブリッドOA誌で、追加費用を支払うことなく自身の研究成果のOAによる出版が可能になります。

Wiley社のプレスリリースによると、この契約は2020年1月1日に発効する3年間の契約です。この契約により、同社の学術雑誌で追加費用を支払うことなく研究成果をOA出版する資格がある全ての研究者・学生は自動的に特定され、研究成果をOA化する機会を利用できる旨が通知されます。また、契約に参加する45機関には、資金管理や詳細なレポート作成等が可能な専用のオープンアクセスアカウントダッシュボードが用意されます。

米・SPARCによるElsevier社がオープンアクセス(OA)要項受諾の見返りに同社のデータ分析製品の購入を研究機関へ要求している問題への警鐘(記事紹介)

米・SPARCは2019年12月10日付で、“Leaked Dutch Contract with Elsevier Raises Significant Alarm Bells”と題した記事を投稿しました。

同記事は、Elsevier社とオランダ大学協会(VSNU)との契約交渉漏洩の報道により明らかとされた、同社が学術雑誌契約におけるオープンアクセス(OA)要項を受諾することの見返りに、同社のデータ分析製品購入をVSNUへ要求している問題について、重大な警鐘を鳴らす目的で発されたものです。契約内容の正確な詳細は不明でありElsevier社は報道には誤りがいくつか含まれていると主張しているものの、SPARCは大筋では信頼できるものであるとして、このような契約に署名することは非常に問題があり、研究機関やコンソーシアムは短期的な利益を追求する前にその影響をよく検討すべきであると警告しています。

SPARCはこうした契約の問題点として以下の5点を挙げています。

1. 出版に関する契約とデータに関する契約が結び付けられることは、一方のみの解約などの柔軟性が制限される可能性があり問題である。

2. データ分析事業において出版コンテンツを持つ事業者への独占・寡占を促す可能性がある。

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