学術出版

米・SPARC、パブリックアクセスに関する条項を含む「米国イノベーション・競争法案」が米国連邦議会上院を通過したことを歓迎する声明を発表

2021年6月8日、米・SPARCは、同日に米国連邦議会上院を通過した「米国イノベーション・競争法案」(US Innovation and Competition Act)に関する声明を発表しています。

同法案の第2527条では、年間1億ドル以上の研究助成を行っている連邦政府機関に対し、連邦政府による助成を受けた研究成果を対象としたパブリックアクセスポリシーの策定を求めています。その要件には、「査読誌に掲載後12か月以内に、できればより早期の」オンライン上での無料公開、等も含まれています。

SPARCは科学論文へのエンバーゴ設定に反対の立場をとっていることから、今回の声明はエンバーゴの短縮を求める同法案第2527条への上院の支持を歓迎する内容となっています。なお、同法案の成立までには、今後下院での審議と大統領の署名を経る必要があります。

英・Information Power社、図書館と小規模出版社による転換契約等の締結に関する進捗状況を調査した報告書を公表:cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)からの委託による調査

2021年6月9日、英国の研究情報に関するコンサルタント会社Information Power社は、図書館及びコンソーシアムと小規模出版社間での、転換契約等のオープンアクセス(OA)出版に関する契約締結について、2020年から2021年にかけての進捗状況を調査した報告書を公開しました。cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)からの委託により実施された調査の成果です。

同調査は、学会系出版社による即時OAへ移行するための契約締結を支援するプロジェクト“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”の成果(2019年秋公表)を受けて、同プロジェクトのフォローアップ調査プロジェクトとして取り組まれたものです。

発表では、報告書の内容に関し次のような点等に言及しています。

Springer Nature社と米・LYRASIS、書籍のオープンアクセス出版についてのスポンサー契約を締結:SDGsに関連する書籍に焦点

2021年6月8日、Springer Nature社が、米国の図書館等のネットワークLYRASISと、書籍のオープンアクセス(OA)出版についてのスポンサー契約を締結したと発表しました。

気候変動、公正、平和、正義に関する書籍に焦点を当てており、国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)を支援する分野の研究成果へのアクセスを提供すると述べられています。発表によると、OA出版された書籍は同社の電子リソース提供プラットフォームSpringerLinkから、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BYで提供されます。

ラテンアメリカの単行書の持続可能なオープンアクセスモデルの導入に向けたパイロットプロジェクト、第2フェーズを開始:他の大学出版局への拡大を意図

2021年6月9日、JSTORが、ラテンアメリカの単行書のオープンアクセス(OA)化を促すパイロットプロジェクトの第2フェーズを開始すると発表しました。同モデルを他の大学出版局へと拡大するための機会を探るものです。

同プロジェクトは、北米の研究図書館センター(CRL)が所管するLatin American Research Resources Project (LARRP) が主導し、JSTOR・ラテンアメリカ社会科学協議会(CLACSO)および書店のGarcía Cambeiro社が連携して取り組んでいるものです。

図書館界の支援を受けて、JSTORからアクセス可能なラテンアメリカの単行書を拡充することを目的としており、資金は、LARRPに加盟する、ニューヨーク大学図書館・コロンビア大学図書館・ニューヨーク公共図書館・ハーバード大学図書館・プリンストン大学図書館・テキサス大学オースティン校図書館・ピッツバーグ大学図書館・ミシガン大学図書館・カリフォルニア大学ロサンゼルス校図書館・イリノイ大学図書館が拠出しています。

CHORUS、各出版社が定めたソフトウェアの引用に関するポリシーへのリンクをまとめたウェブページ“Software Citation Policies Index”を公開

2021年6月7日、公的助成研究成果のパブリックアクセスに向けた官民連携イニシアティブCHORUSは、各出版社が定めたソフトウェアの引用に関するポリシーへのリンクをまとめたウェブページ“Software Citation Policies Index”の公開を発表しました。

国際イニシアティブFORCE11の「ソフトウェア引用ワーキンググループ」(Software Citation Working Group)との協力により作成されたものであり、少なくとも年1回の更新を行う予定とあります。

近年、出版社はソフトウェアの引用に関するポリシーを出版社又は学術誌単位で定め、周知を行っています。発表では、その多くが「ソフトウェア引用ワーキンググループ」が定めた手引きである“Recognizing the value of software: a software citation guide”に沿っていると述べています。

自動論文生成ソフト“SCIgen”による論文は依然として存在する(記事紹介)

Nature誌のオンライン版に、2021年5月27日付けで記事“Hundreds of gibberish papers still lurk in the scientific literature”が掲載されています。自動論文生成ソフト“SCIgen”で作成された論文が依然として存在することを紹介し、今後論文の撤回が相次ぐ可能性に言及しています。

“SCIgen”は、ランダムなタイトル・本文・図表を持つ、意味をなさない研究論文を自動的に生成するソフトウェアです。記事によれば、3人の博士課程の学生らが、でたらめな論文を受理する学会があることを示すため2005年に作成したものです。

記事では、かつて“SCIgen”により生成された論文が複数発見され、その後撤回されるという問題が生じたことを振り返るとともに、2021年5月に発表された論文で新たに“SCIgen”による論文の検出結果が報告されたこと等を紹介しています。同論文では、“SCIgen”により全体又は一部が作成された論文が計243件特定されたと報告しています。

京都大学学術研究支援室(KURA)、2021年度「人社系海外出版書籍のオープンアクセス(OA)化事業」の公募を開始

2021年6月1日、京都大学学術研究支援室(KURA)が、2021年度「人社系海外出版書籍のオープンアクセス(OA)化事業」の公募を開始しています。

同大学の指定国立大学法人構想のうちの一つである「人文・社会科学の未来形発信」計画を推進することを目的に、国立大学改革強化推進補助金(国立大学経営改革促進事業)に基づいて実施されるものです。

海外の出版社から外国語で書籍を出版した人からの応募が期待されています。

2021年度 【人社系海外出版書籍のオープンアクセス(OA)化事業】の公募を開始しました。(KURA,2021/6/1)
https://www.kura.kyoto-u.ac.jp/news/funds/20210601-2/

人社系海外出版書籍のオープンアクセス(OA)化事業(KURA)
https://www.kura.kyoto-u.ac.jp/support/shoseki/oa/

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、SDGsの達成に向けて出版業界が取り組むべき10の行動目標を定めた“SDG Publishers Compact”に署名

2021年5月27日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、“SDG Publishers Compact”への署名を発表しました。

“SDG Publishers Compact”は、国際連合と国際出版連合(IPA)が中心となって作成したものです。国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)の2030年までの達成に向けた取組を加速させるため、出版業界が取り組むべき10の行動目標を定めています。

発表では、同社がこれまで行ってきたSDGsに関連する取組が紹介されています。同社が出版したSDGs関連のコンテンツを集約した “Sustainability Collection”の公開や、学術出版プロセスにおけるジェンダー・人種・地理的な偏りに対処するため、同社の全学術誌の査読方式にダブルブラインド制を採用したこと等に言及しています。

SAGE社、査読プロセスの透明性向上のためClarivate Analytics社とパートナーシップを締結

2021年5月28日、SAGE社は、査読プロセスの透明性向上のためClarivate Analytics社とパートナーシップを締結し、Clarivate Analytics社のデータベース“Web of Science”のサービスを介してオープン査読レポートを提供するプログラムを開始したことを発表しました。

SAGE社は、同社の学術誌4誌において同プログラムを提供します。同プログラムはSAGE社のオンライン投稿・査読システム“SAGE Track”を介して行われ、著者・編集者・査読者は参加・不参加を選択することができます。

対象となるすべての出版物には、出版プロセスにおける各段階での査読レポート、著者回答、編集者の決定通知を含む査読履歴へのリンクが付記されます。また、これらの査読資料にはDOIも付与されます。査読者は、自身の氏名を査読レポートと共に公表するかどうかを選択でき、公表した場合はClarivate Analytics社傘下の査読登録サービス“Publons”上の自身のプロフィールに査読への貢献が記録されます。

JSTOR、著者の名前変更に関する新たなポリシーを発表

2021年6月2日、JSTORが公式Twitterアカウントで、あらゆる理由による著者の名前変更を支援する新たなポリシーを策定したと発表しました。

当該著者の著作物のメタデータに、変更後の名前を追加するという対応を取るとしています。変更前と変更後の名前を併記するメリットとして、利用者がどちらの名前でも検索可能であることが挙げられています。また、変更前の名前の記載を控えたい場合は、JSTORが提供するメタデータやコンテンツのPDF、PDFの光学文字認識(OCR)結果から、変更前の名前を削除するとしています。

発表の中では、著者名変更の対応に際しては、関連する出版者らと協力し、アプローチに齟齬が無いか確認すると述べています。

@JSTOR(Twitter, 2021/6/2)
https://twitter.com/JSTOR/status/1399821811748061184

ページ