2021年2月18日付で、北米研究図書館協会(ARL)が”Persistent Identifiers Connect a Scholarly Record with Many Versions”と題したブログ記事を掲載しました。ブログ記事では、学術コミュニケーションを出版者版が権威をもつ“version of record” (出版者版)からより多様で包括的な“record of versions”に移行する必要性とともに、“record of versions”では永続的識別子(PID)が大きな役割を果たすことが述べられています。
過去数ヶ月の間に大手商業出版社は、Plan Sの権利保持戦略等、著者稿をリポジトリで共有するグリーンオープンアクセスに対する懸念を表明してきました。懸念の理由として、(1) 複数の劣った(inferior)版が研究者に混乱を引き起こすこと、(2) 研究助成機関がゴールドオープンアクセスのために資金提供することと著者がリポジトリで成果を共有することを許可すると、出版社が“version of record”の維持に要する資金が脅かされることを挙げています。
ザクセン州立・ドレスデン工科大学図書館 (SLUB)と共同で取り組む“B!SON (Bibliometric and Semantic Open Access Recommender Network)”は、OAジャーナルの推薦システムの開発に関するプロジェクトです。DOAJとオープン書誌データ・引用データを提供する学術インフラサービスOpenCitationsをプロジェクトパートナーとして、機械学習を利用したユーザーの入力情報の類似度判定などにより、著者に自身の研究成果の出版に最適な高品質のOAジャーナルを推薦することを目的に挙げています。
2021年2月4日付で、学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、ドイツのミュンヘンに所在するルートヴィヒ・マクシミリアン大学の研究員Anna Abalkina氏が執筆した記事“Guest Post — Unethical Practices in Research and Publishing: Evidence from Russia”が掲載されています。
News & insights(67 Bricks) https://www.67bricks.com/news-insights/
※1 February 2021のNewsとして“67 Bricks launch new digital research platform with De Gruyter”とあります。
同声明は、欧州の研究助成機関のコンソーシアムcOAlition Sのイニシアティブ「プランS」による研究成果のオープンアクセス(OA)化の拡大という理念に共感しつつ、即時OA化の保証を意図して導入された「権利保持戦略」については、現状のままでは支持することができないと表明しています。「権利保持戦略」の問題点として、無料の代替物の提供が出版社の購読料・論文処理費用(APC)収入を脅かしOA誌の財政的持続可能性を損なうこと、学術情報の基盤である出版社版(Version of Record)論文の公正性を掘り崩す恐れがあることなどを挙げています。