オープンアクセス

SPARC Europe、2019年の年次報告書を公開

2020年1月31日、SPARC Europeは2019年の年次報告書の公開を発表しました。

公開された年次報告書では、SPARC Europeが2019年に実施した、以下のようなオープンアクセス・オープンサイエンス・オープンデータ等の推進事業に関して振り返りが行われています。

・欧州連合(EU)のデジタル単一市場における著作権指令、オープンデータ指令、Horizon Europe等の重要な法令の策定を支援し、図書館に対して実施に関するガイダンスを提供
・すでに1,600回以上のダウンロードが行われた、欧州の研究助成団体を対象としたオープンアクセス方針・研究データポリシーに関する調査報告書の作成
・第一の資金調達サイクルの対象への評価や第二の資金調達サイクルの開始が行われた、非営利のオープンアクセス・オープンサイエンスサービスの資金調達を支援するフレームワークSCOSSの成長に関するレビュー

新型コロナウイルスにHIVウイルスと不自然に類似したタンパク質が含まれている、と主張するプレプリントがbioRxivに掲載されるも、2日で取り下げられる bioRxivは新型コロナウイルス関連プレプリントに関する注意喚起を表示

プレプリントサーバbioRxivに、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスについて、HIVウイルスと「不気味なほど」(Uncanny)類似したタンパク質が含まれている、と主張するプレプリントが2020年1月31日に掲載されたものの、研究者等から多くの批判を受け2日後の2月2日に取り下げられたことが話題になっています。

元となったプレプリントはインド・ニューデリーの研究者らが投稿したもので、新型コロナウイルス(2019-nCoV)にHIVウイルスと酷似した4つのアミノ酸残基が含まれていることを発見したとしています。抄録ではこの類似を「自然界で偶然、起こるとは考えにくい」と主張していました。しかしこの論文に対しては多くの研究者等から手法や結果の解釈について批判のコメントが寄せられ、週末中の2月2日に著者ら自身によって取り下げられました。このような事態を査読が行われていないプレプリントの問題点と指摘する声もある一方で、取り下げまでのスピードの迅速さを評価する意見もあります。

Knowledge Unlatched(KU)、2019年の共同出資の募集結果を発表:学術書410タイトル・学術誌13誌等がオープンアクセスに

2020年1月30日、Knowledge Unlatched(KU)は、2019年の共同出資の募集の結果として、人文社会科学系コレクションとして274タイトル、STEM(科学・技術・工学・数学)系コレクションとして38タイトル、その他提携機関からの98タイトル、あわせて410タイトルがオープンアクセス(OA)として公開されると発表しています。

そのほか、Berghahn社のSubscribe to Openパイロットモデル事業の成果として学術誌13誌が、またOAビデオジャーナルを提供するLATEST THINKINGとの連携による学術動画も公開されるとしています。

OCLCと連携して作成したMARCレコードもKUのウェブサイトで公開される予定です。

Brill社、13世紀にイスラム圏で執筆された医学史に関する参考図書英訳のオンライン版を英・ウェルカム財団等と共同製作しオープンアクセス(OA)で公開

2020年1月30日、オランダの学術出版社Brill社は、英国のウェルカム財団・オックスフォード大学と共同製作した“A Literary History of Medicine - The ʿUyūn al-anbāʾ fī ṭabaqāt al-aṭibbāʾ of Ibn Abī Uṣaybiʿah Online”をオープンアクセス(OA)の参考図書として公開したことを発表しました。

OA公開された参考図書は、13世紀シリアの医師ウサイビア(Ibn Abī Uṣaybiʿah)による、古代ギリシャから著者の同時代までの432人以上の医師らの伝記等で構成された、包括的な医学史に関する最初期の著作『ウユーン(Uyūn al-anbāʾ fī ṭabaqāt al-aṭibbā)』英訳版をデジタル化したものです。『ウユーン』は、イスラム圏におけるギリシャ・ローマ文化の遺産、古代・中世の医療、アラビア語文学と詩、イスラム文化におけるキリスト教徒とユダヤ教徒、中世の歴史社会の研究者にとって、特に重要な資料であるとされています。このBrill社刊行の『ウユーン』英訳版では、ウサイビアによるアラビア語の原テキスト、完全な注釈付きの翻訳、著作の重要な背景を示す導入的なエッセイが提供されています。

セミナー「学術論文発表を取り巻く最新動向 : オープンアクセスの現在」の発表資料が大阪大学機関リポジトリ(OUKA)で公開される

大阪大学機関リポジトリ(OUKA)で、大阪大学附属図書館、及び同大学の経営企画オフィス研究支援部門・研究推進本部による共催セミナー「学術論文発表を取り巻く最新動向 : オープンアクセスの現在」の発表資料が公開されています。

同セミナーは文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として、2020年1月24日に大阪大学生命機能研究科(大阪府吹田市)で開催されました。セミナー当日は、電子ジャーナルの価格高騰・論文処理費用(APC)を必要とするオープンアクセス(OA)ジャーナルやハイブリッドジャーナルの広がり・ハゲタカジャーナルの出現・研究データの公開や共有に関わる動きなど、学術論文発表を取り巻く最新動向について有識者の講演等が行われています。

当日の主なプログラムは以下のとおりでした。

・開会挨拶

・講演1「学術論文発表と研究評価を取り巻く環境の大変貌―オープンアクセス誌がもたらすパラダイムシフト」
 船守美穂氏(国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授)

・講演2「ハゲタカOAにどう向きあうか」
 佐藤翔氏(同志社大学免許資格課程センター准教授)

Springer Nature社、新型コロナウイルスに関する情報サイトの開設・関連性の高い研究論文の無料提供等を実施

2020年1月30日、Springer Nature社は、中国・武漢市で発生し世界的に感染が拡大する呼吸器疾患の原因「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」について、同社のウェブサイト上に情報サイトを開設し、最新の研究・エビデンス・データへのアクセスを可能にすることで対応の支援を実施することを発表しました。

情報サイト上では、Springer Nature社が発行するコロナウイルス研究に特に関連性が高い最新の研究論文や、コロナウイルスに関する解説記事等の一覧が提供されています。情報サイトは継続的に更新され、提供された全ての論文・解説記事等のコンテンツへは無料でアクセスすることが可能です。

Springer Nature社は、新型コロナウイルスの感染拡大に対処する上で重要と思われる論文にアクセスできない場合には、カスタマーサービスチームへ問い合わせるように呼びかけています。また、同社のジャーナルへ新型コロナウイルスの感染拡大に関連する論文投稿を検討する著者に対して、プレプリントサービスを活用することにより、中間的なデータセットや最終的な研究データセットを公衆衛生コミュニティや研究コミュニティ、世界保健機関(WHO)等と可能な限り迅速に共有するよう強く推奨しています。

米国政府の政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化方針案を支持する利害関係者団体・反対表明を撤回した利害関係者団体の一覧(記事紹介)

米・SPARCは2020年1月27日付で、米国政府で検討されていると噂される政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化方針案の最新状況を解説した記事を公開しました。

SPARCは同記事の中で、SPARCが現行のOAに関する方針の改訂を強く支持しておりすでに政府に対してその旨を示した書簡を送付済であることを示した上で、即時OA義務化方針案については、学生、研究者、患者・支援団体、出版社に至るまで幅広い利害関係者が支持を表明していることを指摘しています。SPARCは次のような義務化方針案への支持表明の書簡を紹介し、記事内でリンクを提供しています。また、紹介した以外の団体の支持表明についても確認次第記事内のリストに追加する、としています。

エルゼビア社、新型コロナウイルスに関する無料の研究関連情報等をまとめたオンラインの情報センターを開設

2020年1月27日、エルゼビア社は、新型コロナウイルスに関する無料の研究関連情報等をまとめたオンラインの情報センター“Novel Coronavirus Information Center”の開設を発表しました。

新型コロナウイルスについて現在判明している事実を臨床医向けに整理したコーナーや、同社が出版したものを中心とした関連論文へのリンク、中国の研究機関・専門家チームらが公開している中国語情報へのリンク等がまとめられており、今後も継続して更新が行われる予定となっています。

米国のノーベル賞受賞者21人が米・トランプ大統領へ政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化を求めた連名書簡を提出

2020年1月28日、米・カリフォルニア大学バークレー校は、2013年にノーベル生理学・医学賞を受賞した同校のランディ・シェクマン教授をはじめとする21人の米国のノーベル賞受賞者が、米・トランプ大統領へ連名で公開書簡を提出したことを発表しました。

提出された書簡は、米国政府で検討されていると噂される政府助成研究の即時オープンアクセス(OA)義務化案を支持するものです。2013年にオバマ政権下で、米国の政府助成研究は12か月以内にOA化することが義務付けられましたが、トランプ政権は12か月のエンバーゴを撤廃し即時のOA義務化を求めた大統領令の草案を現在作成しているとされ、複数の学術出版社がこれに強い反対表明を出すなど利害関係者は様々な反応を見せています。

2020年1月24付で作成された書簡は、1月27日にトランプ大統領へ提出されました。書簡はその末尾で、「トランプ大統領の政策は、米国の研究を変革し、米国内の科学研究の実践を加速し、グローバルなレベルで米国の重要度をさらに高める可能性を秘めています。ぜひこの重要な大統領令に署名し米国の政府助成研究へのアクセスに課せられたエンバーゴを撤廃してください」と訴えています。

米・カリフォルニア大学の2020年初頭時点の主要出版社とのオープンアクセス(OA)出版等に関する契約・契約交渉の状況(記事紹介)

米・カリフォルニア大学は2020年1月23日付で、Elsevier社をはじめとする主要出版社とのオープンアクセス(OA)出版等に関する契約・契約交渉の状況を報告した記事“Update on UC’s open access negotiations with Elsevier and other journal publishers”を公開しました。

カリフォルニア大学は、様々な出版社との協調による同大学の研究成果のOA化推進の動きが、2020年初頭時点で大幅に進展しているとして、各出版社との契約や契約交渉の状況を次のとおりに報告しています。

・Elsevier社との契約交渉は2019年に決裂したが、その後も非公式の会談が継続しており、2020年第1四半期中に交渉再開の可能性を探るための同社とのミーティングを行う予定である。Elsevier社は2019年中に他機関とOA出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」を複数締結しており、これはカリフォルニア大学の目標に沿った契約交渉を行う準備が完了したことを示唆したものであると期待される。

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