オープンアクセス

米国・カナダ・ラテンアメリカの大学図書館におけるハゲタカ出版に対する取り組み(文献紹介)

2020年7月8日付で、図書館情報学分野の査読誌“Aslib Journal of Information Management”にて、研究論文“Investigating academic library responses to predatory publishing in the United States, Canada and Spanish-speaking Latin America”が公開されていました。カナダ・オタワ大学の機関リポジトリで、著者版が公開されています。

論文では、米国、カナダ、スペイン語圏のラテンアメリカの国々の大学図書館におけるハゲタカ出版に対する取り組みについて比較調査が実施されています。Times Higher Education(THE)社の世界大学ランキングで上位に位置している各地域の大学の大学図書館が対象となっています。各大学図書館のウェブサイトを閲覧して、学術コミュニケーション司書の雇用、学術コミュニケーションに関するワークショップの開催、ウェブサイトでの学術コミュニケーションに関する情報の提供の有無について調査しています。さらに、これらのイベントや情報にて、ハゲタカ出版が扱われているか探っています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、Hindawi社との共同出版契約により2021年1月刊行号から5誌の編集・制作を同社に移管して完全オープンアクセス(OA)化

2020年8月6日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、オープンアクセス(OA)に向けた継続事業の一環として、OA出版を手掛けるHindawi社と刊行中の5誌に関する共同出版契約を締結したことを発表しました。

両者が締結した契約により、CUPが刊行する“Global Health, Epidemiology and Genomics”、“Genetics Research”、“Journal of Smoking Cessation”、“Wireless Power Transfer”、“Laser and Particle Beams”の5誌について、2021年1月刊行号からHindawi社が同社のオープンソースの出版プラットフォーム“Phenom”により編集・制作を担います。また、5誌全てが2021年1月以降完全OA化します。

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、リポジトリ内のリソースを対象とした査読サービスのための標準手法を示したモデル案を公開:パブリックコメントを実施中

2020年8月3日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、リポジトリ内のリソースを対象とした査読サービスのための標準手法を示したモデル案の公開を発表しました。8月4日から9月11日までパブリックコメントを実施しています。

COARは2020年1月、フランス・パリで開催した会議において、リポジトリとオーバーレイ査読サービスとを接続する共通アプローチの可能性を調査しました。参加者からは多くの異なるユースケースが提示されたものの、ワークフロー、機能性、目的という点で大きな類似があり、共通アプローチが開発可能であることが明らかになったとしています。

今回公開されたモデルは、COARの次世代リポジトリイニシアチブによる作業の成果であり、2020年1月の会議で提示されたユースケースを参考にしています。

米国化学会(ACS)、研究者等にオープンサイエンスやオープンアクセス出版に関する情報を提供する「オープンサイエンスリソースセンター」をウェブサイト上に開設

2020年7月16日、米国化学会(ACS)は、ACSの出版部門による「オープンサイエンスリソースセンター」の開設を発表しました。

「オープンサイエンスリソースセンター」は、ACSの出版部門がオープンサイエンスやオープンアクセス(OA)に対する関与を深化し、研究者がこれらの動向へ積極的に関わることを支援する目的で立ち上げられました。ウェブサイト上に開設された同センターでは、研究者・図書館員等向けに、オープンサイエンス・OA出版に関する情報、研究助成元の求める要件に準拠する方法の案内、ACSと学術機関の“Read and Publish”契約の締結状況の検索、などが提供されます。

ACSは同センターの提供するこれらのツールは、広範な研究者コミュニティに対してOA出版の機能を効果的に伝えることで、オープンサイエンスへの転換を加速させるものである、としています。

京都大学図書館機構オープンアクセス推進プロジェクトチーム、「京都大学図書館機構オープンアクセス推進事業」の取り組みにより「令和2年度国立大学図書館協会賞」を受賞

2020年7月27日、京都大学図書館機構は、「京都大学図書館機構オープンアクセス推進事業」の取り組みにより、同機構のオープンアクセス推進プロジェクトチームが「令和2年度国立大学図書館協会賞」(受賞区分:図書館活動における功績)を受賞したことを発表しました。

同機構では、機関リポジトリによる研究成果のオープン化とデジタルアーカイブによる所蔵資料のオープン化の両面から、オープンアクセス・オープンサイエンスに対する取り組みを推進してきました。今回の受賞に際し高く評価された点として、京都大学におけるオープンアクセス推進基盤構築への多大な貢献、プロジェクト型課題遂行による人材育成効果、成果公表を通じた全国の図書館活動への波及効果を挙げています。

【図書館機構】オープンアクセス推進プロジェクトチームが「令和2年度国立大学図書館協会賞」を受賞しました。(京都大学図書館機構, 2020/7/27)
https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/bulletin/1386563

カナダ研究図書館協会(CARL)、研究図書館によるオープンスカラシップへの支出状況に関する調査の報告書を公開

2020年7月22日、カナダ研究図書館協会(CARL)が、研究図書館によるオープンスカラシップの基盤やサービス等への支出状況に関する調査の報告書の公開を発表しました。

同調査は、CARLの参加館29館を対象に、2019年4月から10月にかけて実施され、28館から回答が寄せられました。対象となったのは、2018年度から2019年度のデータです。

報告書によると、各館におけるオープンスカラシップ関連の支出の総額は平均約82万7,000カナダドルであり、図書館における予算のうち、平均すると3.09%が充てられています。

また、報告書ではオープンスカラシップに関する支出を給与、論文処理費用(APC)、リポジトリ等に分類しています。その中で、最も支出割合が大きいのは職員の給与であり、平均すると74%を占めています。次に割合が大きいのはオープンアクセス(OA)出版社との契約やAPCをはじめとした出版に関する費用であり、平均すると14%を占めています。

その他、持続的な支援を行うためのシステムやフレームワークの作成が必要であること、複数の機関で協力しての活動や出資が有効であること等が述べられています。

米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校音楽図書館による楽譜のオンライン出版(記事紹介)

2020年7月23日、米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が、UCLA音楽図書館(UCLA Music Library)による、楽譜をオープンアクセス(OA)で出版する取組について、記事を掲載しました。

同取組は、UCLAの研究とコレクションを世界中からアクセス可能にすること、教育、学習、研究活動を支援すること等を目的としたプロジェクト“OpenUCLA”の一環として行われています。記事によると、米・ロサンゼルスを拠点とする音楽団体Kaleidoscope Chamber Orchestraとの共同プロジェクトであり、これまでに86か国の作曲家から7,800作品以上の楽曲が投稿されました。投稿された楽譜の一部は、同大学のOAリポジトリである“eScholarship”上で公開され、楽譜の著作権は作曲者が保持しています。

これまでは、投稿に30ドルの支払いが必要でしたが、2020年はUCLA音楽図書館がUCLA図書館の一時的な助成を受け、費用なしでの投稿が可能となっています。記事の中では、科学分野のジャーナルではなく、音楽作品に焦点を当て、著作権保護期間内の最近の曲を出版するという点が、このOA出版プロジェクトの特徴であると述べられています。

国際連合(UN)、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォーム“2030 Connect”を公開

2020年7月15日、国際連合(UN)は、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォームとして、“2030 Connect”を公開したことを発表しました。

“2030 Connect”は、国際連合の加盟国によるSDGsの進展の促進に対する要請に応えたプラットフォームとして構築され、SDGs達成のための呼びかけとして事務総長名で2020年1月に発表された「行動の10年(Decade of Action)」を支える重要なツールに位置づけられています。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、世界の全ての地域において政府やその他の意思決定者が必要なリソースにアクセスし、科学技術・イノベーションに全ての力を注がなければ達成できないことがプラットフォーム構築の背景として説明されています。

cOAlition S、欧州研究評議会(ERC)科学評議会のオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表

2020年7月21日、cOAlition Sは、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)によるオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表しました。

声明では、過去20年間にわたってハイブリッドジャーナルへの支援がオープンアクセスの速やかな進展を妨げてきたこと、転換契約がないハイブリッドジャーナルには出版社の二重取り(double-dipping)を阻止する手段がないことが指摘されています。

さらに、ハイブリッドジャーナルの現状を維持することは、潤沢な研究資金が与えられている研究者のみがハイブリッドジャーナルでのOA出版に要する費用を調達できることから、欧州の研究者間の不平等を悪化させると述べられています。リポジトリへの登録によるPlan Sへの準拠を可能とする権利保持戦略が存在することから、研究者はハイブリッド型を含むいずれのジャーナルも選択することが可能であると指摘しています。

また、cOAlition Sは若手研究者の懸念に特に注意を払っており、若手研究者を支援する機関との緊密に協働していることが述べられています。

欧州研究評議会(ERC)科学評議会、オープンアクセスについてCoalition Sから独立した活動を行うことを発表:若手研究者や助成が少ない国の研究者等のニーズに焦点

2020年7月20日、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)が、Coalition Sのサポーターをやめ、オープンアクセス(OA)の実現に向けて独立した活動を行うことを決定したと発表しました。

発表によると、若手研究者をはじめとした研究者のニーズや、研究コミュニティや欧州の国家間での公平性の担保等に焦点が当てられます。また、Coalition Sが示している、2021年1月1日から発効する完全・即時のOAに関する原則Plan Sについて、特に若手研究者や代替となる助成が少ない国の研究者、OA方針の導入が難しい分野の研究者にとって弊害となり得ると指摘しています。

同審議会は、欧州委員会(EC)と連携し、Horizon EuropeのOAに関する規則と齟齬なく、ERCを含めたプログラム全てに適用可能な解決策を模索するとしています。

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