図書館員

北米の研究図書館における男女の給与格差の経時的変化(文献紹介)

2020年5月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.4に、米・パデュー大学のハワード(Heather A. Howard)准教授を筆頭著者とする論文“The Gender Wage Gap in Research Libraries”が掲載されています。

米国における男女間の給与格差は過去数十年で縮小したとはいえ依然として健在であり、米国国勢調査局の近年の調査でも女性の給与は平均して男性の8割程度であることが報告されています。男女間の給与格差の傾向は、伝統的に女性が多くを占める研究図書館にもあてはまります。論文では、米国・カナダの研究図書館における男女間の給与格差はどの程度か、時間の経過により給与格差の問題の改善が見られたか、などについての調査結果を報告したものです。

調査には北米研究図書館協会(ARL)が発行する給与調査レポートが使用され、1976-1977年度から2018-2019年度までのデータに基づく分析が行われました。分析はレポートの内容に基づき、役職・権限に応じて、館長レベル・副館長レベル・分館長レベル・部門長レベル・その他の実務者レベルの5段階の階層別に行われています。

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)、アクセスサービス図書館員の枠組を公表

2020年5月7日、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)は、バーチャルで開催された理事会において、“Access Services Librarianship”が承認されたと発表しています。

4章で構成され、アクセスサービスの定義、アクセスサービス図書館員及び同サービスの管理者の能力の提示、アクセスサービスのマーケティングとアウトリーチの検討、アクセスサービス図書館員が専門的に関わる機会・条件の提案を行っているとしています。

New ACRL Framework for Access Services Librarianship(ACRL insider, 2020/5/7)
https://www.acrl.ala.org/acrlinsider/archives/19773

米国の学術図書館におけるラーニングアナリティクスの実践・プライバシー等の課題に関する文献レビュー(文献紹介)

2020年4月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.3に、米国インディアナ大学-パデュー大学インディアナポリス校(IUPUI)のKyle M.L. Jones准教授を筆頭著者とする論文“A Comprehensive Primer to Library Learning Analytics Practices, Initiatives, and Privacy Issues”が掲載されています。

米国の学術図書館では、予算に見合った成果を執行部へ示す必要性と、図書館のどの取り組みやリソースが機関の使命や学生の成長に有益かを把握しようとする意図から、学生のデータを用いたラーニングアナリティクスが近年盛んに取り組まれています。ACRL等でもラーニングアナリティクスに関するイニシアチブが実施され、図書館内でのデータ収集拡大だけでなく、人口統計学的データなど他の大学内のデータと組み合わせることが奨励されています。しかし、こうした奨励は米国図書館協会(ALA)のような専門職としての倫理規定に完全に沿ったものではないことも指摘されています。

韓国図書館協会(KLA)等10団体、ソウル特別市による司書等の権益保護・地位向上に関する条例案への声明を発表:適用範囲の拡大・同一労働同一賃金の明記等を要望

2020年4月13日付で、韓国図書館協会(KLA)は、KLAソウル・仁川・京畿道地区協議会、KLA光州・全南地区協議会、韓国私立大学校図書館協議会、韓国専門大学図書館協議会、韓国専門図書館協議会、韓国神学大学校図書館協議会、韓国医学図書館協議会、韓国学校図書館協議会、韓国視覚障害者図書館協議会と共同で、ソウル特別市による司書等の権益保護・地位向上に関する条例案への声明を発表しました。

声明では、条例の制定について歓迎する一方、KLAは条例制定にあたって「司書の権益改善タスクフォース」にも参加したものの、条例案では、当初の趣旨をいかすためには不十分な内容であるとして、より実効性がある条例を制定するために以下の3点を要望しています。

・条例制定の趣旨を生かすため、適用範囲を「ソウル市に所在するすべての公共図書館で勤務する司書等」と拡大すること。

・司書などの処遇改善に直結する同一労働同一賃金を実現できるよう条例に明示すること。

・司書等の権益向上のための教育監と基礎自治体の首長相互の実質的な協力関係を条例に明示すること。

在宅勤務を実施する米・ドレクセル大学図書館スタッフのフォトエッセイ(記事紹介)

2020年4月7日付で、米国ペンシルベニア州のドレクセル大学図書館が、同館スタッフの在宅勤務の様子を紹介したフォトエッセイ“Libraries Staff Convert their Homes into their own “Remote Libraries”を公開しています。

ドレクセル大学図書館のスタッフは、新型コロナウイルス拡大の影響により、世界の数百万人の人々と同様に、自宅の中という全く新しい環境で業務を進めることになりました。公開されたフォトエッセイでは、同館のスタッフが自宅を「遠隔図書館(remote libraries)」とし、キャンパス外からこれまで通りの図書館サービスを維持している様子の一例が、写真付きで紹介されています。

飼い猫を傍らに置きながら、ライブチャットセッション等により利用者の質問に答えるスタッフや、自宅の窓を開け放って仕事ができるが隣人の音楽やルームメイトの電話といった騒音に悩まされるスタッフ、飼い犬2匹を新しいアシスタントに迎えカードテーブルで仕事に勤しむスタッフの様子などが1枚の写真とともに紹介されています。

カナダ出版者協会(ACP)及びアクセス・コピーライト、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ“Read Aloud Canadian Books Program”を開始:加盟出版社の本を用いた教員・図書館員によるオンラインでの読み聞かせにおける著作権使用料を免除

2020年3月26日、カナダ出版者協会(ACP)及びカナダの著作権管理団体のアクセス・コピーライト(Access Copyright)が、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ“Read Aloud Canadian Books Program”の開始を発表しています。

ACP加盟出版社の本を用いた教員・図書館員によるオンラインでの読み聞かせや動画の投稿における著作権使用料を免除するもので、教員・図書館員からの要請に応じたものです。

ACPとアクセス・コピーライトでは、同プログラムを活用した教員や図書館員に対して、ハッシュタグ#ReadAloudCanadianを用いて、ACP、アクセス・コピーライト、著者、出版者へのメンションとともにSNSに投稿するよう求めています。

オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)タスクフォースによるオープンアクセス担当者養成等に関する海外文献3件を日本語化

2020年3月31日、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は、同協会の人材育成作業部会がオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)タスクフォースによるオープンアクセス担当者養成等に関する海外文献3件を日本語化したことを発表しました。

JPCOARは、文献日本語化の目的として、機関リポジトリ新任担当者研修のリニューアル、情勢に即した新種のセミナー等の企画検討の参考資料とすることを挙げ、今後の研修・セミナー企画につなげていく、としています。日本語化された海外文献は、COARがかつて取り組んでいたeリサーチと学術コミュニケーションに関わる図書館員の能力に関するタスクフォース“Librarians’ Competencies for E-Research and Scholarly Communication”によって作成された3件の文献です。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための休館等により収入が減少している図書館職員を支援するための救援基金を設立

2020年4月1日、オーストラリア図書館協会(ALIA)が、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための休館やサービス削減等により収入が減少している図書館職員を対象とした救援基金の設立を発表しました。

ALIAでは1万豪ドルを拠出する予定としており、家賃・保険・食料品といった必需品の用途のために、会員1人あたり最高500豪ドルまで請求できるとしています。ALIAの個人会員となって最低12か月以上の図書館職員が対象ですが、特に影響を受けている臨時職員を支援することが意図されています。

より多くの会員を支援するために、ALIAでは、同基金への寄付も呼び掛けています。

@ALIANational(Twitter, 2020/4/1)
https://twitter.com/ALIANational/status/1245231149720276992

CA1968 - 映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 / 江上敏哲, 谷口正樹, 門林岳史

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カレントアウェアネス
No.343 2020年3月20日

 

CA1968

 

映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

国際日本文化研究センター図書館:江上敏哲(えがみとしのり)
元・京都シネマ:谷口正樹(たにぐちまさき)
関西大学文学部:門林岳史(かどばやしたけし)

E2246 - 不確実で複雑な時代の図書館の役割:IFLA Trend Report 2019

不確実で複雑な時代における図書館の役割とは何だろうか。2019年12月,国際図書館連盟(IFLA)が,“Trend Report”の2019年更新版を公開した。同レポートは,図書館内外の様々な分野の専門家からの知見を得て社会の新しいトレンドを調査し,図書館が単に生き残るためでなく,そのようなトレンドに対処し,大きな役割を果たすための議論の叩き台として,2013年にその初版(E1474参照)が作成されたものである。初版では,図書館に影響を与える世界的な情報環境のトレンドとして「情報へのアクセス」「教育」「プライバシー」「市民の関与」「技術革新」の5点を掲げ,その理解の延長線上に方向性や論点を追加する更新版を2016年・2017年・2018年と継続的に作成してきた。2020年には初めての大きな改訂を実施するとしている。

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