英国のJISC Observatoryが“Delivering Web to Mobile”という報告書(2012年5月付け)を公表しました。英国の教育機関職員を対象に書かれたもので、モバイル端末によるウェブの利用がテーマとなっています。モバイルの現状や英国の高等教育機関における状況に始まり、レスポンシブウェブデザイン、モバイルファースト、プログレッシブエンハンスメントといった手法・考え方や、HTML5などの技術的な話題が20ページ程度でまとめられています。
2012年4月17日に、英国のJISCが2011年11月から2012年9月まで実施している、モバイル端末向けの図書館サービスインフラの研究プロジェクト“Mobile Infrastructure for Libraries”が、その研究プロジェクトの一環としてコミュニティサイトを公開しました。このウェブサイトでは、モバイル端末向けの図書館サービスインフラ等について議論するためのもので、現在「コンテンツ」「技術」「サービス」「一般」「ポリシーと戦略」の5つのグループが開設されています。ログインしなくても議論の内容を閲覧できますが、プロジェクトは積極的な登録参加を呼び掛けています。
図書館におけるITやウェブの活用をテーマとした書籍シリーズ“The Tech Set”の続編が近々出版されるそうです。今シリーズで刊行されるのは以下の10点で、それぞれ、クラウド、モバイル、位置情報に基づくサービスとQRコード、Drupal、ソーシャルメディア、次世代図書館リデザイン、スクリーンキャスト、ユーザエクスペリエンス(UX)、インスタントメッセンジャーによるレファレンス、セマンティックウェブとソーシャル検索、というトピックスが扱われています。ALA TechSourceによる紹介記事には、まとめ買い用の割引クーポンのコードも掲載されています。なお、2010年に出版された前シリーズは米国図書館協会(ALA)の“ABC-CLIO/Greenwood Award for the Best Book in Library Literature”を受賞しており、また、出版元の米Neal-Schuman社は2011年12月にALA Publishingの傘下に入っています。
・Cloud Computing for Libraries
・Building Mobile Library Applications
・Location-Aware Services and QR Codes for Libraries
・Drupal in Libraries
2012年3月30日付けの明治大学の記事によると、同大学では、世界中の200を超える教育機関で導入されているモバイル向けポータルサイトシステム“Blackboard Mobile Central”を日本で初めて導入したようです。“iMeiji”と名付けられた同大学のウェブサイトでは、iPhoneやiPad等のモバイル端末から大学のキャンパスマップやキャンパスニュース、スポーツイベントを調べることができるほか、iTunes Uを起動して同大学の動画コンテンツを視聴できるようです。
九州大学附属図書館のディスカバリインタフェース“Cute.Catalog”がスマートフォン表示に対応したそうです。レスポンシブウェブデザイン(responsive web design)という手法を採用しており、URLはPC版と同一ですが、スマートフォンでアクセスした際のように表示画面が小さい場合には自動的に最適化されたデザインで表示されるようになっているようです。スマートフォンやタブレット端末の普及に伴いレスポンシブウェブデザインを採用するウェブサイトは増加しているようで、検索サービスでは例えばYahoo!検索でも採用されています。