出版

米・アーリントン公共図書館、新型コロナウイルス感染拡大による影響の記録化を目的としたオンライン雑誌Quaranzinを刊行:作品の投稿を呼びかけ

米国バージニア州のアーリントン公共図書館が、オンライン雑誌Quaranzineを刊行しています。

同誌の刊行は、新型コロナウイルスの感染拡大が、私たちにどのような影響を与えたのかを記録化することを目的としており、すべての世代の利用者に対して、作品の投稿を呼びかけています。

投稿可能な作品は、絵画、エッセイ・詩・小説・レビュー、漫画、写真、レシピ等で、対象は以上に限定するものではないが、音声や動画は受け付けないとしています。

同館のウェブフォームから投稿可能で、作品は同館の職員により審査されます。投稿可能な作品は1号あたり1人・1作品で、投稿により、同館には作品をQuaranzineで刊行する権利が発生しますが所有権は本人のものです。

2020年4月3日に創刊され、5月18日刊行の第6号が最新号です。

報道によると、創刊号には約65作品が投稿されたとのことです。

米・OverDrive社、同社の電子書籍提供サービスを企業・大学・法律図書館向けに補完する新しい事業部門“OverDrive Professional”を設立

2020年5月7日、公共・学校図書館を中心に電子書籍提供サービスを展開する米国のOverDrive社は、同社のサービスを企業・大学・法律図書館向けに補完する新しい事業部門として“OverDrive Professional”を設立したことを発表しました。

OverDrive Professionalの設立に伴い、学生・知識労働者・研究者等は所属機関のOverDrive導入により、図書館提供の電子書籍・オーディオブックへ同社の読書用アプリ“Libby”からアクセス可能になることが示されています。また、法律事務所・ロースクール・政府機関向けには、法律・ビジネス情報等のプロバイダーLexisNexis社の電子書籍の利用や、LexisNexis社の電子書籍プラットフォーム“LexisNexis Digital Library”からOverDrive社のコンテンツの利用について、サービス提供可能であることを発表しています。

OverDrive社はプレスリリースの中で、提供する電子書籍にはキャリア開発・専門能力開発・IT・マーケティング・語学学習等の幅広い分野が含まれ、Wiley社をはじめ著名な出版社の刊行するタイトルも利用可能であることなどを発表しています。

台湾で図書の「営業税」が免除に:2021年中に開始予定

2020年4月23日、台湾の文化部は、図書を対象とした「営業税」(日本の消費税に相当)の徴収免除について財政部と合意し、2021年中に開始する予定であることを発表しました。

関連法規の改訂を予定しており、印刷版・電子版の図書出版業者を対象に、文化部の認可を経た印刷版・電子版の図書について営業税の免除が行われます。台湾国家図書館との提携により、将来的には出版業者が同館にISBN/EISBNの申請を行う際に、営業税免除の認可申請も同時に行えるようにするとあります。

台湾の国際放送局「中央廣播電台」(Radio Taiwan Internatinal:RTI)による2020年4月24日付け記事では、図書の営業税免除について、台湾・遠流出版社の董事長・王榮文氏など出版界からのコメントが掲載されています。王氏は、図書の営業税免除は鄭麗君文化部長の任期中最大の政治業績であるとし、台湾全土5,000の出版社にとって、5%の営業税免除は多額ではないが多少とも助けになるとコメントしています。

平凡社、書籍『日本疾病史』の全文を期間限定でオンライン公開

株式会社平凡社は、同社が刊行する叢書「東洋文庫」の一冊『日本疾病史』の全文を、2020年5月15日までの期間限定でオンライン公開しています。

1944年に日本医書出版から刊行された富士川游著『日本疾病史』を底本とし、1912年刊の初版本も参照して覆刻したものであり、「東洋文庫」としての刊行に当たり解説が付されています。

@heibonshatoday(Twitter, 2020/5/1)
https://twitter.com/heibonshatoday/status/1256058165201788928

日本疾病史(平凡社)
https://www.heibonsha.co.jp/book/b161184.html

McGraw-Hill社とCengage社の合併計画が中止に

2020年5月4日、教育出版大手のMcGraw-Hill社とCengage社は共同して、2019年5月に発表した両社の対等合併計画の中止について、相互に合意したことを発表しました。

合併計画の中止は両社の取締役会において全会一致で承認され、合併の中止に伴う違約金は相互に発生しないことを確認しています。

両社の合併計画反対を主導してきた米・SPARCも同日付で合併中止を取り上げ、Open Education部門のDirectorを務めるNicole Allen氏が、「学生・教員・教科書価格の競争維持の勝利である。反競争的な慣行の広まった教科書出版業界において、この合併計画の阻止は、教科書価格の上昇・技術革新の阻害・学生のデータの悪用といった好ましくない事態の回避に成功したことを意味する」とコメントしています。

英IOP Publishing、欧州原子核研究機構(CERN)との間で“Publish & Read”契約を締結

2020年4月16日、英IOP Publishing(IOPP)は、欧州原子核研究機構(CERN)との間で“Publish & Read”契約を締結したことを発表しました。

CERNの研究者は、IOPPが刊行する学術雑誌42タイトルでAPC(論文処理加工料)を支払うことなく論文をオープンアクセス(OA)で公開することができます。論文はクリエイティブ・コモンズ(CC)のCC BYライセンスの下で公開されます。

CERNにとって、“Publish & Read”契約の締結は初となります。

IOP Publishing signs open access publishing agreement with CERN(IOP Publishing, 2020/4/16)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-signs-open-access-publishing-agreement-with-cern/

日本図書館協会(JLA)、日本書籍出版協会ほか9団体宛に「新型コロナウィルス感染症に係る図書館活動についての協力依頼(公衆送信権等の時限的制限について)」を発出

2020年4月24日、日本図書館協会(JLA)、日本書籍出版協会ほか9団体宛に「新型コロナウィルス感染症に係る図書館活動についての協力依頼(公衆送信権等の時限的制限について)」を発出したと発表しています。

新型コロナウイルス感染拡大下で、その社会的使命を果たすべく、創意工夫を凝らして様々な活動を行っている図書館への支援として、各図書館において通常のサービスが可能となり、当該図書館利用者の自由な外出が可能とあるまで間において、以下の2点の協力を求めるものです。

1 各図書館で所蔵された資料を用いた読み聞かせやお話し会を録音又は録画し、図書館利用者に対し、インターネットなどにより公衆送信することを、お認めいただきたい。

2 外出ができない図書館利用者への時限的サービスとして、利用者の求めに応じて行う当該図書館所蔵資料の文献複写サービスにおいて、その複写物を電子メールやFAXなどにより、図書館利用者及び病院等の公共施設等に送信することを、お認めいただきたい。

OAPEN、OAPEN Libraryの新プラットフォーム運用を開始:DSpace上に構築・ONIXフォーマットのメタデータインポート等の新機能も追加

2020年4月15日、単行書のオープンアクセス(OA)を推進する欧州のコンソーシアムOAPENは、OAPEN Libraryの新しいプラットフォームの運用を開始したことを発表しました。

OAPEN LibraryはOAPENが運用する査読付きのOA単行書の検索サービスを兼ねたフルテキストのリポジトリです。OAPEN Libraryは今回のリニューアルで、オープンソースのリポジトリシステムDSpace上に構築された新しいプラットフォームへ移行しています。また、プラットフォームの移行に伴い、コンテンツマネジメントシステム(CMS)のStrapiを導入して、ウェブサイトのリニューアルも行われています。

新しいOAPEN Libraryでは、ライセンスや出版タイプ別の表示オプション、図書館からのフィードバックによるMARCXML・MARC 21フォーマットのメタデータの改善、OAPEN Library検索システムでの利用を想定したREST APIの追加などが実施されています。また、出版業界のデータ交換で広く利用されるONIXフォーマットのメタデータに対応し、ONIX XMLをOAPEN Libraryへインポートして新規レコードを作成する機能が追加されています。

株式会社医学書院、2020年5月末までオンライン教材『系統別看護師(保健師)国家試験WEB法人サービス フルプラン』と『eナーストレーナー』のコンテンツを無料公開

2020年4月20日、株式会社医学書院は、自宅学習を余儀なくされる社会情勢が継続していることから、同社のオンライン教材『系統別看護師(保健師)国家試験WEB法人サービス フルプラン』と『eナーストレーナー』を2020年5月31日まで無料公開することを発表しました。

医学書院が公開した『系統別看護師(保健師)国家試験WEB法人サービス フルプラン』と『eナーストレーナー』は、ともに看護学生・看護師の学習・サポートツールとして活用可能な教材です。一部の管理機能の利用は制限されているものの、両教材の教育用コンテンツが無料公開されています。また、オンライン上に「利用ガイド」も準備されています。

『系統別看護師国家試験WEB法人サービス フルプラン』および『eナーストレーナー』無料公開のご案内(医学書院,2020/4/20)
http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/notice_kokushi-enurse-free200420.html

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象とするオープン化された教科書シリーズの第1弾として“Krisenmanagement”を公開

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)は、2020年4月9日付のブログ記事において、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象としたオープン教育資源(OER)の教科書シリーズ第1弾として、“Krisenmanagement(危機管理)”の公開を発表しました。

TIBでは、同館のオープンサイエンスラボが新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者支援を目的として、迅速な図書製作(book sprints)・OER開発に取り組んでいます。この取り組みの一環として、8冊の公衆衛生サービスに関する教科書シリーズの製作が進められており、公開された“Krisenmanagement”は、このシリーズの最初のタイトルとなります。

“Krisenmanagement”はオープンアクセス(OA)となっており、GitHub上にも様々なフォーマットで公開されています。また、ドイツのeラーニングプロバイダー“oncampus”のウェブサイト上で、同書のコンテンツを基にしたMOOCが提供されています。このため、公衆衛生分野を新たに学ぶ医学生はすぐにこの教材を活用可能になっています。

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