出版

イースト株式会社、PDFからの構造化テキスト抽出に成功し、この技術を利用して岩波新書のEPUB化を開始

2019年7月18日、イースト株式会社はテキストPDFからの構造化テキストの抽出に成功し、この技術を利用して岩波新書のEPUB化を開始したことを発表しました。

イースト株式会社のプレスリリースによると、この技術により、PDFに目次頁、大見出し、小見出しなど若干のマーク付けし、構造化されたマークダウン(簡易HTML)形式のテキストとキャプション文字を組み込んだ図版の画像ファイルを生成、日本電子書籍出版社協会のガイドに準拠したEPUBファイルの抽出ができる、とされています。

イースト株式会社はこの技術について、日本語の複雑に組版されたPDFからの正確な構造化テキスト抽出は世界初と目されており、新書、文庫、一般書、学術書などの出版物、学術論文、そして深層学習(AI)に投入する社内ドキュメントの構造化など、様々な分野への応用が期待される、としています。

この技術は2019年7月31日に日本電子出版協会主催のセミナーで公開され、8月8日午後に同社内で個別セミナーが開催される予定です。

教育系出版社大手のPearson社、米国で刊行中の1,500タイトルは今後全て電子版優先で販売することを発表

2019年7月16日、教育系出版社大手のPearson社は、米国で刊行中の1,500タイトルは今後全て電子版優先(digital first)で販売し、印刷体の改訂という伝統的な教育出版のモデルから移行することを発表しました。

Pearson社最高経営責任者のJohn Fallon氏は、学生はより簡単にアクセス可能で、手頃な価格の高等教育資料を求めており、90%近くの学習者が何らかのデジタル教育ツールを使用していることをこのビジネスモデル変更の背景として挙げています。そして、目的として、学生のためにコンテンツの提供価格を下げること、中古市場に頼る必要をなくすこと、学習者や顧客のニーズにより効果的に対応できるようになること、等を挙げています。

このビジネスモデル変更によりPearson社の電子書籍の価格は平均40ドル、デジタル学習ツール一式の価格は平均79ドルとなり、学生はより安価に同社のコンテンツを購入可能になると見込まれています。また、印刷体を希望する場合には、平均60ドルで貸出できるようになる予定です。

米・Educopia Institute等による図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得

2019年7月2日、米国のMLAおよびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、図書館による出版活動を進める大学図書館のイニシアティブ“Library Publishing Coalition”(LPC)、及び提携12大学図書館と実施を予定している、図書館出版の学術雑誌の出版ワークフロー調査プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得したと発表しています。

IMLSのウェブサイトで公開されたプロジェクトの概要によると、図書館出版による学術雑誌はワークフローが多様で、アグリゲータへのメタデータ提供等の重要事項の省略が頻繁に発生していることを背景に、様々な図書館出版の学術雑誌の出版ワークフローの調査等を行うことで、他の図書館でも適用可能なワークフローのモデル化を企図している、とされています。

プロジェクトは2019年8月1日に正式に開始し、LPCのウェブサイト上で定期的なブログの更新が行われるなどの形で情報提供される予定です。

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、Clarivate Analytics社のPublons・ScholarOneとのパートナーシップ締結を発表

2019年7月16日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)と査読登録サービスPublons・オンライン投稿・査読システムScholarOneを提供するClarivate Analytics社が共同で、査読の透明化導入のためのパートナーシップを締結したことを発表しました。

2019年中に、IOP Publishingが発行する“JPhys Materials”、“Journal of Neural Engineering”、“Environmental Research Letters”で透明化された査読サービスが実施される予定です。

新たに実施予定のワークフローでは、査読者のレポート、エディタの決定、著者の回答など、包括的な査読履歴へのアクセスが保証され、これらの各要素にはDOIが付与されるため参照や引用が容易になることが紹介されています。

PublonsのManaging DirectorであるAndrew Preston氏は、学会系の出版社としては初めてIOP Publishingとパートナーシップ締結できたことをとても喜ばしく思っている、とコメントしています。

大日本印刷、エー・アンド・ユー、新建築社の3社がAIを活用した雑誌誌面レイアウトの自動生成技術を共同開発

2019年7月10日、大日本印刷株式会社(DNP)、株式会社エー・アンド・ユー、株式会社新建築社は共同で、雑誌の原稿となる画像とテキストを入力すると、その内容や雑誌の持つブランドイメージにあった誌面レイアウトを、AIを活用して自動生成する技術を開発したことを発表しました。

この技術は株式会社エー・アンド・ユーが発行する雑誌『a+u : Architecture and urbanism』の2019年8月号のレイアウト制作の一部で活用されています。

DNPのニュースリリースによると、今回開発された技術は、印刷物の制作・製造で培ってきた画像処理や自然言語処理、データ解析などの技術と、最新のAIを掛け合わせて活用することで、各雑誌固有の「雑誌らしさ」に合致した複数のレイアウトを自動生成し、提示できるというものです。特長として、過去15年分の雑誌紙面データをAIに学習させることで「雑誌らしさ」をスコア化したモデルの開発、AIがどの部分に着目したかを提示するヒートマップ等が挙げられています。

3社は同誌の編集に本格的に活用する中で、誌面レイアウト自動生成システムの実用化を図る、としています。

株式会社講談社、新しいタイプのクラウドファンディングプラットフォームとして「ブルーバックスアウトリーチ(BBO)」を立ち上げる

2019年7月2日、株式会社講談社は新しいタイプのクラウドファンディングプラットフォームとして「ブルーバックスアウトリーチ(BBO)」を立ち上げたことを発表しました。

講談社によると、研究者から発案のあったプロジェクトについて、同社が商品の企画や製作を研究者とともに実施し、販売元・サービス提供者となるため、研究者が製造や配送作業の負担を背負わなくてもよい点が、BBOの一般的なクラウドファンディングとは異なる特徴です。また、大学の寄附口座等に支援を集める「寄附型クラウドファンディング」にも対応しています。

開発者である同社の長尾洋一郎氏は、一般読者と研究者をつなぐ役割を果たしてきた科学新書シリーズ『ブルーバックス』が、近年書籍化に結び付かないコンテンツも発信する科学メディアブランドとなってきたことを踏まえて、そのブランド力を生かし他の科学メディアと差別化を進める取り組みとしてBBOを立ち上げた、としています。

東近江市(滋賀県)、図書館司書等が企画・編集を行う地域情報誌『そこら』の第2期高校生ライターを募集

2019年7月8日、滋賀県の東近江市は、同市に関わりを持つ民間企業社員・図書館司書・NPO法人職員・市役所職員などが企画・編集を行っている地域情報誌『そこら』の第2期高校生ライターの募集を発表しました。

定員は10人で、対象は東近江市内在住または在学の高校生です。

高校生ライターのメンバーで企画内容を相談して決定し、2019年度発行する『そこら』第7号の8ページ分の記事の取材を行います。活動は、授業終了後または休日に東近江市立八日市図書館で実施します。

青春を本(カタチ)に残そう! 第2期高校生ライター募集  地域情報誌「そこら」の企画・取材をする高校生ライターを募集します (東近江市,2019/7/8)
http://www.city.higashiomi.shiga.jp/0000010638.html

米国図書館協会(ALA)、出版大手Hachette Book Group(HBG)の発表した図書館向け電子書籍・オーディオブックの貸出モデル変更に懸念を表明

2019年6月17日、米国図書館協会(ALA)は、同日に発表された出版大手Hachette Book Group(HBG)の図書館向け電子書籍・オーディオブックの貸出モデル変更への懸念をウェブサイト上で表明しました。

このALAの懸念は、米国の五大出版社の一つであるHBGが、2019年7月1日から図書館向けの電子書籍・オーディオブックについて、永続的なアクセス権を付与するモデルから2年間の購読モデルへ切り替えること、モデルの切り替えにより提供価格が25%割引されるが、2年後の更新時にはこの割引は適用されないことを発表したことを受けて発せられました。

ALAはHBGの提供モデル変更について、初期導入費用の削減やエンバーゴを設けない方針が維持されていること等は歓迎しつつ、この変更が電子書籍やオーディオブックへの長期的なアクセスを減少させ、米国の文化遺産の長期保存に対する課題を増大させる可能性を指摘しています。

学術雑誌のオープン・ピア・レビュー、共同査読、プレプリント公開に関する方針を確認できるデータベース”Transpose”公開

2019年6月13日、学術雑誌のオープン・ピア・レビュー、共同査読、プレプリント公開に関する方針を確認できるデータベース”Transpose”が公開されました。

このデータベースはbioRxivやCrossRef、ASAPbioの関係者らによる同名のイニシアティブによって構築・公開されたものです。収録された学術雑誌のオープン・ピア・レビューや共同査読(主として経験の浅い研究者が、主担当の査読者と協力して査読を行うこと)、プレプリント公開に関する方針を検索できるほか、複数の雑誌の方針を見比べることもできる機能もあります。

方針等の登録は誰でも可能ですが、出版者によるチェックを受けるとのことです。公開時点の収録対象誌は2,900誌で、うち数百誌がチェック済みの状態であるとされています。

Transpose
https://transpose-publishing.github.io/

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