オーラルヒストリー

米・ノースカロライナ大学チャペルヒル校図書館、コミュニティのアーカイブ構築を支援するツールキットを公開

米・ノースカロライナ大学(UNC)チャペルヒル校図書館は、2021年6月8日付けの記事で、ツールキット“Charting New Courses in Community-Driven Archives”を、無料のウェブページとして新たに公開したことを紹介しています。

“Charting New Courses in Community-Driven Archives”は、自らの歴史を保存しようと取り組んでいるコミュニティや、そのような取組を支援する図書館・アーカイブに向けたツールキットであり、コミュニティのアーカイブ構築を支援するものと位置付けられています。

同校ウィルソン図書館の「南部歴史コレクション」(Southern Historical Collection)では、アンドリュー W.メロン財団から87万7,000ドルの助成を、“Kenan Charitable Trust”から5万ドルの寄付を得て、コミュニティのアーカイブ構築に関する4年間のプロジェクトに取り組んできました。今回公開されたツールキットには、同プロジェクトで作成されたガイドや説明動画等のリソースが「アーカイブの概念」「アーカイブのスキル」「ストーリーテリング」「アーカイブの維持」といったテーマ別にまとめられています。

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科、東日本大震災に関するオーラルヒストリーをスマホアプリを活用しウェブラジオ番組として配信:番組はデジタルアーカイブ化し同研究科の授業でも活用

2021年4月22日、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科は、東日本大震災に関するオーラルヒストリーをスマホアプリを活用しウェブラジオ番組として配信すると発表しています。

同研究科が、陸前高田市(岩手県)等の協力を得て録音した、東日本大震災の被災当事者をはじめ被災地支援や復興にかかわった人々による復興の10年を振り返る語りを配信するものです。配信した番組は、オーラルヒストリーとしてデジタルアーカイブ化されるとともに、同研究科の授業「オーラルヒストリーとデジタルアーカイブ」の教材としても活用されるとしています。

「自らの語り声を収録し番組に投稿し社会で共有する」という、オーラルヒストリーの新たなアーカイブの可能性を追求することを目的に、番組制作には、陸前高田市長はじめとした行政職員に加え、被災住民や事業者、NPO等にも音声ファイルを投稿してもらい配信するとしています。

韓国文化体育観光部・アーカイビングネットワーク研究院、ミクロヒストリーに係る記録や文化資源を収集する「デジタル生活史記録保管事業」に参加する「生活史記録者」を150人募集

2021年3月5日、韓国・文化体育観光部と、生活記録を保存する取組を行っている団体であるアーカイビングネットワーク研究院が、「生活史記録者」を150人募集すると発表しています。

日常生活やコミュニティへの意識を広め、また、地域の文化資源を保存するために実施する「デジタル生活史記録保管(アーカイビング)事業」に参加する人を募集するものです。ミクロヒストリーに係る記録や文化資源の収集を活性化させることが期待されており、参加者には、口述記録(オーラルヒストリー)を行うための基礎的教育が行われます。

募集地域は、釜山広域市・光州広域市・大田広域市・軍浦市(京畿道)・鉄原郡(江原道)で、対象は19歳以上ですが、青年(19歳から34歳)、および、結婚・出産・育児・介護等を理由に仕事を辞めた65歳未満の女性が優先的に採用されます。コンピュータや携帯電話を用いた文書作成、写真・動画撮影、電子メール、ウェブ会議等が可能なことが応募の条件となっています。

募集期間は3月19日までで、書類審査と面接を経て、4月6日に合格者が決定されます。研修は、4月12日から5月26日まで、地域別に実施されます。

英・ウィーナー・ホロコースト図書館、ホロコーストの目撃証言のデータベース“Testifying to the Truth”を公開

2021年1月28日、英国のウィーナー・ホロコースト図書館(The Wiener Holocaust Library)が、ホロコーストの目撃証言データベース“Testifying to the Truth”を公開したことを、同館のTwitter等で発表しました。

ゲットーや強制収容所を生き抜いた人の経験談や、身元を偽ったり屋根裏部屋や地下にひそんだりといった方法でナチスから身を隠していた人の話、反対運動に参加していた人の証言等が、同館のボランティアにより英語に翻訳され、提供されています。

1月14日付の同館のニュース記事によると、公開時点でまず380件を公開し、残りの1,185件は2021年後半に公開される予定です。2月5日時点で399件のデータが提供されています。

@wienerlibrary(Twitter, 2021/1/28)
https://twitter.com/wienerlibrary/status/1354739324923891712

米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ロサンゼルスにおける警察活動・大量収監に関する資料のアーカイブ化プロジェクトを開始:デジタル化公開も実施予定

2021年1月28日、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は、同校の研究者がロサンゼルスにおける警察活動と大量収監に関する資料のアーカイブ化プロジェクト“Archiving the Age of Mass Incarceration”を開始したことを発表しました。

同プロジェクトは、人種・社会正義に関する次世代の研究に資するように、ロサンゼルスの警察活動・大量収監に関連したデータ・証言・現物資料・捜査記録などを収集・デジタル化し、持続可能なアーカイブとして保存することを目的にしています。同校米国文化研究所(Institute of American Cultures)の民族文化研究に関する4センターがプロジェクトの中心となり、アンドリュー W.メロン財団による3年間365万ドルの助成を受けて取り組まれます。

フランス・国立労働文書館ら、フランスの企業経営幹部の証言の収集を実施:新型コロナウイルス感染症感染拡大下における意思決定等について

2020年12月10日、フランス・文化省が運営するポータルサイトFranceArchivesに、フランス・国立労働文書館(ANMT)らが実施している、新型コロナウイルス感染症感染拡大下における、フランスの企業経営幹部の証言の収集プロジェクトに関する記事が掲載されました。

同プロジェクトは、ANMT、商業系ビジネススクールのESCP Business School、企業に関するアーカイブ事業等を行う機関Perles d'Histoireをはじめとした5つの機関が連携して実施しています。

新型コロナウイルス感染症感染拡大下における、企業の意思決定や危機管理の記憶を収集し、残すことを目的にとしており、発表によると約40の証言が収集されています。収集された証言は、2021年1月にANMTに委託される予定です。

Collecter la mémoire des entreprises au temps de la Covid-19(FranceArchives, 2020/12/10)
https://francearchives.fr/en/actualite/267980634

米国の非営利団体StoryCorps、コロナ禍の感謝祭におけるオンラインでの会話を記録・保存するGreat Thanksgiving Listenへの参加を呼びかけ:Google CloudのAI技術を用いて会話をテキスト化

2020年11月18日、オーラルヒストリーを記録・保存・共有する活動を行っている非営利団体StoryCorpsが、“Great Thanksgiving Listen”の名称のもと、オンラインでの会話を記録するためのプラットフォーム“StoryCorps Connect”を用いて、祖父母・教師・年配者との会話を録音するよう呼びかけています。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、感謝祭の休暇の計画を再考するよう求められている米国において“StoryCorps Connect”を使って安全に一同に会してもらうとともに、そこでの会話のうち許可が得られたものを、米国の歴史の一部として、米国議会図書館(LC)のStoryCorpsアーカイブで保存するとともに、オンラインで公開する取組です。

また、Google CloudのAI技術と機械学習を用いて、会話のテキスト化も行う計画で、テキスト化された会話は情報として追加するとともに検索を可能とします。

米国デジタル公共図書館(DPLA)、黒人女性の参政権運動に関するデジタルコレクション“Black Women’s Suffrage Digital Collection”を公開

2020年9月10日、米国デジタル公共図書館(DPLA)が、黒人女性の参政権運動に関するデジタルコレクション“Black Women's Suffrage Digital Collection”を公開したと発表しました。

1850年代から1960年代にかけての黒人女性の参政権運動に関する写真、動画、日記、オーラルヒストリー等、約20万件の資料をオンラインで閲覧することができます。同コレクションのウェブサイトには、黒人女性の参政権運動の歴史をまとめたタイムラインも掲載されています。

また、発表の中では、同コレクションの公開を記念して9月8日に開催されたイベントの録画映像が公開されている事にも触れられています。

DPLA launches Black Women's Suffrage Digital Collection(DPLA, 2020/9/10)
https://dp.la/news/dpla-launches-black-womens-suffrage-digital-collection

E2267 - 英国図書館が進める音声記録の保存事業

英国図書館(BL)では2015年に,録音資料の保存のために我々に残されているのはあと15年ほどである,という報告がなされた(E1753参照)。それを受けて同館では音声記録の保存プロジェクト“Save our Sounds”を発足し,その一環として,“Unlocking Our Sound Heritage”(UOSH)を2017年から開始した。UOSHの目的は,記録媒体の物理的劣化や旧式化により再生できなくなるおそれがある音声記録50万点を保存することである。BLが地域のハブ機関である国内10機関と連携して希少なコレクションをデジタル化・目録化し,その音源を誰もが自由に聴くことができるウェブサイトを開設する計画である。対象となる音源は録音の歴史が始まった1880年代からの多彩な音声記録であり,媒体はろう管,アナログレコード,オープンリール,カセットテープ等幅広い。なお,この事業は国営宝くじ文化遺産基金(The National Lottery Heritage Fund)からの助成金930万ポンドや,慈善団体や個人からの寄附を受けて運営されている。

感染症流行下での図書館によるコミュニティ支援(記事紹介)

米国図書館協会(ALA)によるアドヴォカシーのためのイニシアチブ“ilovelibraries”の2020年5月28日付の記事で、新型コロナウイルス感染症流行下においても米国の図書館がコミュニティ支援サービスに取り組んでいることを紹介しており、重要なサービスの例として以下の5点を挙げています。

・無料の電子リソースの提供
・ブッククラブやストーリータイム等、オンラインや電話によるイベント・活動の開催
・自宅でインターネットに接続できない人々に対するWi-Fiへのアクセス提供
・オンラインや電話での1対1のレファレンスサービス提供
・歴史のこの瞬間を記録するための支援

「歴史のこの瞬間を記録するための支援」については、多くの図書館が新型コロナウイルス感染症の流行を記録するためのオーラルヒストリープロジェクトやアーカイブの構築を開始したこと、米国図書館協会が非営利団体StoryCorpsと提携し、今回の経験に関する家族等の間での会話を記録するためのプラットフォームを立ち上げたことを紹介しています。

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