出版

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国の競争・市場庁(CMA)へMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について正式な調査の実施を求めた書簡を提出

2020年1月28日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)は、英国の競争・市場庁(Competition and Markets Authority:CMA)に対して、米国に拠点を置く世界的教育出版社のMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について、正式な調査を実施することを求めた書簡を提出しました。

SCONULは書簡の中で、両社の合併計画が先行して問題となっている米国・オーストラリアと同様に、英国の学術教科書市場は限られた出版社による寡占状態にあり、この合併が学術教科書の価格競争の深刻な縮小をもたらし得ると指摘しています。また、各出版社が印刷体教科書の販売からデジタル教科書の販売へ移行を進めていることと関連して、合併により学術教科書市場の独占・寡占が進行すると、図書館が極めて高額なライセンス料で教科書を購入する状況を促進し図書館の財政を深刻に圧迫する、学生の利用に関するデータが限られた出版社に集中する、等の観点からも問題点を指摘しています。

両社の合併計画について第2段階の正式な調査が実施されるかどうかは、2020年3月10日にCMAが発表する予定です。

E2226 - 米国図書館界とマクミラン社との電子書籍をめぐる攻防戦

ALA元会長フェルドマン(Sari Feldman)によると,米国出版社の中のいわゆるビッグ5と呼ばれる大手出版社の1社であるマクミラン(Macmillan)社が2019年11月から,その電子書籍の図書館への販売方法を変更した。

Springer Nature社、論文シェア機能“SharedIt”の対象を会議録に拡大

2020年2月4日、Springer Nature社は、同社発行雑誌等を対象とした、無料での論文シェア機能“SharedIt”について、新たに”Lecture Notes in Computer Science (LNCS)”シリーズなど、同社の刊行する会議録の収録論文も対象に加えたことを発表しました。

SharedItでは当該論文の著者、購読者、ニュースメディア等が無料で論文を閲覧するリンクを作成することができます。Springer Natureが刊行する会議録は年1,200タイトル以上におよび、中でもLNCSシリーズには年間20,000本以上の会議録論文が掲載されています。

IOP Publishingが査読者の識別・透明性、多様性、効率の課題に取り組むために、Publonsと提携すると発表

2020年2月10日、英IOP Publishingは、査読者の識別・透明性の確保に加え、査読者の多様性の確保や効率改善に取り組むために、Publonsと1年間にわたる提携を結んだことを発表しました。

IOP Publishingの発表によれば、現在、同団体の発行する雑誌への投稿の3分の1以上は中国の研究者によるものであるのに対し、中国の研究者への査読依頼は12%にとどまっています。その結果、一部のコミュニティに査読の負担が集中するといった問題が生じているとしています。

今回の提携では、以下のような課題に協働で取り組むとされています。

・査読の動機に関する報告の作成
・IOP Publishingの査読者候補プールにおける、ジェンダーおよび地理的多様性の向上
・査読プロセスの効率・一貫性向上
・WeChatによる査読者とのやり取りなど、新技術の導入

米・ニューヨーク州議会へ事業者に合理的な条件で電子書籍を図書館へ提供することを義務づけた法案が上程される

米・ニューヨーク州議会(The New York State Senate)に2020年1月28日付で、事業者に「合理的な条件(reasonable terms)」で電子書籍を図書館へ提供することを義務づけた法案として、“Senate Bill S7576”が上程されています。

同法案は、電子書籍が「合理的な条件」により州内の公共図書館で公平にアクセス可能となるように、ニューヨーク州の一般事業法(General Business Law)へ電子書籍のライセンスについて定めた349-G項を新設して修正することを求めたものです。同法案では「合理的な条件」の内容として、利用者の同時アクセス数の制限・利用者にアクセスを提供できる日数の制限・ライセンス外の利用を防止する技術的保護手段の採用の3点を挙げています。同時に、図書館が同じ日に購入する電子書籍のライセンス数に対する制限は「合理的な条件」に含まれないことが明記されています。

中国の「デジタル読書」関連企業らが新型肺炎への取組で協力:一部コンテンツや感染予防に役立つ電子書籍等の無料公開を実施

中国オーディオビジュアル・デジタル出版協会(CADPA)が、2020年1月30日付けで、電子書籍サービスなど「デジタル読書」(数字閲読)関連の事業を行う会員企業に対し、協力して新型肺炎の感染拡大への対抗策に取り組むことを呼び掛けています。

具体的な対抗策として、室内で過ごす時間の充実のため、一部のデジタルコンテンツを2020年2月末までの期間限定で無料公開することや、感染予防に役立つ電子書籍等の無料公開による知識普及を挙げています。

CADPAによる2020年2月6日付けの発表では、55のデジタル読書プラットフォーム及びデジタル出版企業が呼びかけに応じ協力を行っており、すでに多数のコンテンツの無料公開を始めていることが紹介されています。

数字阅读行业战“疫”倡议书(CADPA , 2020/1/30付け)
http://www.cadpa.org.cn/news/view?id=567

70以上の研究助成団体・出版者等が新型コロナウイルスに関する研究データ及び研究成果の広範かつ迅速な共有に関する声明に署名

2020年1月31日、英・ウェルカム・トラストのウェブサイト上で、新型コロナウイルスに関する研究データ及び研究成果の広範かつ迅速な共有に関する声明が発表されました。2月4日時点で、日本の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)等を含む70以上の研究助成団体・出版者等が署名しています。

世界保健機関(WHO)が国際的な対応を行う上で支援となる、新たな研究成果に迅速にアクセスできるようにすることを目指しており、以下の点を確実にするために協力を実施する内容となっています。

【イベント】シンポジウム「近代日本の知識資源システム―図書館,出版,アーカイブの観点から―」(3/21・東京)

2020年3月21日、慶応義塾大学三田キャンパスにおいて、知識資源システム研究会主催のシンポジウム「近代日本の知識資源システム―図書館,出版,アーカイブの観点から―」が開催されます。

開催趣旨によれば、このシンポジウムでは「(1)明治期になって知識資源システムがどのように変容していき、(2)それが現代に対してどのような影響を与えたのかについて、アーカイブ、出版、そして図書館という3つの分野を中心に見て行く」とのことです。各分野のエキスパートとして、アーカイブについて中野目徹氏(筑波大学人文社会系教授)、出版について柴野京子氏(上智大学文学部准教授)、図書館について根本彰氏(慶應義塾大学文学部教授)がそれぞれ発表した後、パネルディスカッションを行うとされています。

なお、同シンポジウムは根本氏の「退職記念シンポジウム」としても位置付けられており、根本氏の発表は最終講義を兼ねる扱いのようです。

参加費は無料ですが、webフォームによる事前登録が必要です。

根本彰先生退職記念シンポジウム 近代日本の知識資源システム―図書館,出版,アーカイブの観点から―
http://user.keio.ac.jp/~lis_m/

LexisNexis社、OverDrive社との共同開発により法律分野の電子書籍提供プラットフォーム“LexisNexis Digital Library”をリニューアル:インタフェースの再構築・オフライン閲覧機能の強化等

2020年1月30日、米国に本社を置く法律・ビジネス情報等のプロバイダーLexisNexis社は、図書館・教育機関向けに電子図書館事業を展開するOverDrive社との共同開発により、法律分野の電子書籍コレクションを提供するプラットフォーム“LexisNexis Digital Library”のリニューアルを実施したことを発表しました。

新しい“LexisNexis Digital Library”は、実際の法律調査のワークフローを観察した記録や法律図書館員のフィードバック等を反映して、利用者志向のインタフェースへ再構築されています。また、サインインすることで利用できる各ユーザー用のワークスペースが用意され、最近閲覧したタイトルや閲覧したタイトルにつけた注釈等の保存が可能になっています。また、各ユーザー用のライブラリ内では、保存された電子書籍につけた全ての注釈やハイライトについて、高速でソート・フィルタリング・組織化・ダウンロードが可能です。電子書籍の閲覧画面では、文献の埋め込まれた箇所への色分け・ハイライトの付与や注釈の追加が簡単に行えるようになっています。オフライン閲覧機能も強化され、場所によらず収録された電子書籍へアクセス可能となったほか、収録コンテンツの一部を抽出してメールを添付したり、メール経由で共有することが容易になっています。

Cactus Communications、UNSILO社の買収を発表

2020年1月28日、インド・ムンバイに本社を置く国際的なサイエンス・コミュニケーション企業であるCactus Communicationsは、出版社に対しAI技術によるソリューションの提供を行っているデンマークのUNSILO社を買収したことを発表しました。

プレスリリースによれば、今回の買収は外国の投資を呼び込み、テクノロジー分野におけるフロントランナーとしてのデンマークを紹介するために、デンマーク政府による戦略の一環として行われたとあります。

UNSILO joins the CACTUS family!(UNSILO, 2020/1/28)
https://unsilo.ai/2020/01/28/unsilo-joins-the-cactus-family/

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