ライセンス契約

米・SPARC、学術出版界に関する包括的な現況分析と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップについて2020年更新版を公開

2020年6月22日、米・SPARCは、2019年中に公開済の学術出版界に関する包括的な現況分析“Landscape Analysis”と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップ“Roadmap for Action”について、2020年更新版を作成し公開したことを発表しました。

SPARCが公開した2020年更新版は、2019年中の出来事や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済的な影響を検証し、学術出版市場の状況・関連主要企業の状況に関する最新情報を提供しています。更新版の現況分析では、注目すべき傾向として以下の3点が挙げられています。

・主要出版社における研究評価分野への進出傾向の深化
・Get Full Text Research(GetFTR)のような主要出版社の共同プラットフォームによる研究成果物の流通
・コンテンツへのライセンス契約がデータ分析サービスの契約に直結する新たな「ビッグディール」契約の出現

更新版の行動のためのロードマップでは、データ分析関連製品・サービスの購入の指針となる原則の確立を特に重視して、コミュニティが検討すべき行動の提案が行われています。

英・Jisc、デジタルコレクション購入に関する出版社との契約交渉に携わる図書館員向けのガイドを公開

2020年6月15日、英国のJiscは、デジタルコレクション購入に関する出版社との契約交渉に携わる図書館員向けのガイドとして、“Purchasing digital archives:Guidelines for librarians when negotiating with publishers”を公開したことを発表しました。

英国の高等教育機関において、一次資料をアーカイブしたデジタルコレクションは学習・教育・研究の場で活用が進んでいます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で教育のオンライン化が進展したため需要がさらに増加することが見込まれる一方、感染症がもたらした機関への財政的影響を受ける可能性も懸念され、大学図書館・研究図書館による経済的に持続可能なデジタルコレクション提供の重要性はこれまで以上に高まっています。

過去の調査によると、英国の半数近くの大学図書館・研究図書館では、こうしたコレクションの購入1回当たりに10万ポンド以上の費用を費やしていることが明らかになっています。また、デジタルコレクションをホスティングする出版社が図書館向けに設定する価格に透明性がないこと、買い切り契約したコンテンツのプラットフォーム維持費として継続した費用負担が発生することに図書館が不満を抱いていること、などが報告されています。

ドイツ経済学中央図書館(ZBW)、オープンソースの図書館サービスプラットフォームFOLIOを同館の電子資料管理に導入

2020年6月18日、ドイツ経済学中央図書館(ZBW)は、オープンソースの図書館サービスプラットフォームFOLIOを同館の電子資料管理に導入したことを発表しました。

2016年から始動したFOLIOのイニシアチブにおいて、ドイツでは北部を中心とした図書館ネットワーク“Gemeinsamer Bibliotheksverbund(GBV)”が当初から開発パートナーとして参加し、ZBWはGBVの一員として2017年から開発コミュニティに加わりました。特にZBWはFOLIOの「電子リソース管理」に関するワーキンググループの試行図書館として、GBVと緊密に連携しながら協力しています。

今回の決定により、ZBWはFOLIOの電子リソース管理モジュールを実務で運用する、ドイツおよび世界でもごく早期の事例となります。ZBWはGBVと連携しながら、今後数か月をかけて、FOLIOを同館のネットワークサービスや既存のドイツ国内のシステムに統合する作業を進めます。統合の内容として、共同目録K10plusとFOLIOとの間のデータのインポート・エクスポートを行うためのインタフェース開発や、ドイツ国内の電子リソースのライセンス契約を共同管理するためのシステムLAS:eRとの連携が挙げられています。

英・Jiscと英国大学協会(UUK)、主要学術出版社に対して新型コロナウイルス感染症により各機関が直面する財政危機を考慮して全ての契約料金の25%削減を要請

2020年6月17日、英・Jiscは、英国大学協会(UUK)が招集しJiscの主要な学術出版社との契約交渉の支援を行う“UUK/Jisc content negotiation strategy group”が、主要学術出版社に対して新型コロナウイルス感染症により各機関が直面する深刻な財政危機を考慮して、全ての契約料金を25%削減するように要請したことを発表しました。

“UUK/Jisc content negotiation strategy group”は、学術出版社へ提出した共同書簡の中で、感染症拡大の早期の時点から学術出版社がコンテンツやコレクションを開放し、高等教育機関へ多大な支援を提供していることを認識しつつ、現在各機関の焦点は学期が開始する2020年9月のコンテンツのオンライン配信に向けた準備と、配信に必要な予算の効率性を考慮した上でアクセス維持が可能なデジタルコンテンツを検討することにあることを訴えています。その上で、各機関にとって有意義な選択肢を与える柔軟な価格設定を提示できるように、Jiscと協力して料金の削減を実施するように促しています。

米・オハイオ州立大学図書館とTaylor & Francisグループが3年間の“Read and Publish”契約を締結

2020年6月10日、米・オハイオ州立大学図書館とTaylor & Francisグループは合同して、“Read and Publish”契約を締結したことを発表しました。

同契約はオハイオ州立大学にとって初めての“Read and Publish”契約となります。また、Taylor & Francisグループにとっては北米で締結した初めての“Read and Publish”契約となります。

契約期間は2020年7月からの3年間です。契約に基づき、オハイオ州立大学の構成員は2,300タイトル以上を提供するTaylor & Francisグループのジャーナルコレクションへ継続してアクセス可能となります。また、Taylor & Francisグループの学術雑誌へ掲載される同大学著者の論文のオープンアクセス出版にかかる費用も契約の範囲内に含まれています。

米・イリノイ大学図書館、IEEEおよび英国微生物学会(Microbiology Society)とのRead and Publish契約締結を発表

2020年5月26日、米・イリノイ大学図書館は、IEEEおよび英国微生物学会(Microbiology Society)とのRead and Publish契約締結に関するお知らせを掲載しました。

発表によると、IEEEとの5月13日付のRead and Publish契約は、イリノイ大学にとっては初となる大手出版社との転換契約締結であり、契約期間は3年です。これにより同学アーバナ・シャンペーン校およびシカゴ校の研究者は、IEEEが提供する“IEEE Xplore Digital Library”にアクセスでき、また、同学所属の論文執筆者はIEEEが刊行する200タイトル近くの雑誌で論文のオープンアクセス(OA)出版が可能となります。

また、英国微生物学会との年初のRead and Publish契約により、同学の論文執筆者は、同学会が刊行する雑誌で無料のOA出版が可能となり、また、同学所属者は同学会の雑誌の全てのタイトルに無制限でアクセスできるようになります。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、公共図書館における電子書籍貸出に関するアンケート調査の結果を公表

2020年6月3日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、公共図書館における電子書籍貸出に関するアンケート調査の結果をまとめたレポート“A snapshot of eLending in public libraries”を公表しました。

アンケート調査はALAの書籍産業及び電子書籍貸出諮問委員会(Book Industry and eLending Advisory Committee)により2019年8月にオンラインで実施され、オーストラリア国内の図書館から398の回答を得ました。レポートでは、電子書籍プロバイダーが提供する資料タイトルやサービスへの満足度、電子書籍プロバイダーの提供サービスに対し改善を求める点等について集計結果を掲載しています。回答者の83%は、プロバイダーの提供する電子書籍の品揃えに「満足している」あるいは「非常に満足している」と回答している一方、91%はライセンス条件とコストに関し「満足とはいえない」あるいは「満足していない」と回答しています。

ALIAは、COVID-19によるロックダウンの期間中、2019年の同時期と比べて公共図書館における電子書籍貸出が倍増した一方で、今回の調査が明らかにしたように電子書籍の利用可能性、ライセンス条件、コストにおける問題は依然として存在する、と指摘しています。

ARL・ACRL・Oberlin Group of Libraries、ベンダー・サービスプロバイダに対し、新型コロナウイルス感染拡大下における電子リソースへの無償アクセスの継続と契約費の上昇の抑制を要請

2020年6月5日、北米研究図書館協会(ARL)、米国大学・研究図書館協会(ACRL)、リベラルアーツ・カレッジの図書館コンソーシアムOberlin Group of Librariesが、ベンダー・サービスプロバイダに対し、新型コロナウイルス感染拡大下における電子リソースへの無償アクセスの継続と契約費の上昇の抑制を要請しました。

新型コロナウイルスの感染拡大による、遠隔教育・学習・研究への転換等の支援のため、ベンダーやサービスプロバイダが電子リソースを無償公開したことに謝意を表すとともに、今後の再流行が考えられることや、大学・研究機関においては学生支援のための資金増による財政的課題があることから、感染拡大下、引き続き無償公開を継続するとともに、契約費の上昇を抑制することを求めるものです。

米国化学会(ACS)とカンピーナス大学(ブラジル)がオープンアクセス(OA)出版等に関する契約を締結:ACSとラテンアメリカの機関による同種の契約の締結は初めて

2020年6月4日、米国化学会(ACS)は、ACSの出版部門とブラジルのカンピーナス大学が、ACSにとってラテンアメリカ地域で初めてとなるオープンアクセス(OA)出版等に関する契約を締結したことを発表しました。

締結された契約に基づき、カンピーナス大学に所属する研究者は、ACSの刊行する65以上のジャーナルへの自身の論文のOA出版等が可能になります。

ACSはOA出版等に関する契約への世界的な関心の高まりの支援に取り組んでおり、プレスリリースの発表時点で、17か国・300以上の機関とOA出版等に関する提携関係を結んでいます。

Project MUSE、新型コロナウイルス感染症流行による図書館への影響を考慮して2021年契約で提供する電子ジャーナルコレクションの価格値上げを凍結

2020年5月27日、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEは、新型コロナウイルス感染症流行が現在も図書館運営・財政に影響を及ぼしていることを考慮して、2021年契約で同サービスが提供する全ての電子ジャーナルコレクションについて、価格値上げを凍結することを発表しました。現在同サービスで電子ジャーナルコレクションを購読中の図書館が契約更新を行う場合も、年間購読料の上昇は発生しません。

なお、Project MUSEは今回の価格値上げ凍結等の理由により、電子ジャーナルコレクションへ新規タイトルの追加を実施できないこと、必要に応じて提供コンテンツの縮小が行われることも合わせて発表しています。2021年契約で提供されるコレクション内容の変更については、2020年夏後半に発表される予定です。また2021年には、同サービスのプラットフォームがホスティングにより提供する、コレクション外のタイトルが新たに追加される見込みです。

ページ