ライセンス契約

EBSCO社、2021年の学術雑誌価格上昇の予測値を個別タイトルで2%から3%、パッケージで1%から3%と発表

2020年10月5日、EBSCO社が、“Serials Price Projection Report 2021”を発表し、2021年の大学・医学図書館向けの学術雑誌の価格上昇の予測値を公表しています。これによると、外国為替レートを考慮しない場合、個別タイトルでは2%から3%の、パッケージでは1%から3%の上昇になると予測されています。

同レポートでは、図書館の予算の課題、電子ジャーナルパッケージ、オープンアクセス(OA)、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による価格設定への影響といった学術情報市場に影響を与えるトピックやトレンドに焦点を当てて市場力学が考察されています。

アイルランドの高等教育機関によるコンソーシアムIReL、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)と3年間の“Read and Publish”契約を締結

2020年9月11日、アイルランドの高等教育機関によるコンソーシアムIReLは、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)と2020年から2022年までの3年間を契約期間とする“Read and Publish”契約を締結したことを発表しました。

IReLは加盟するアイルランド国内の高等教育機関へオンラインリソースを提供するため、同国政府の出資を受けて活動する電子リソースのライセンス契約に関するコンソーシアムです。締結された契約により、契約期間中にAIP Publishing刊行誌に受理されたIReL会員が責任著者である論文は、著者が論文処理費用(APC)を負担せずに即時オープンアクセス(OA)で公開することができます。OAで公開された論文は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BYの条件の下で活用可能であり、論文の著作権は著者に帰属します。

また、AIP Publishingが刊行する27誌の購読誌について、初号から最新号まで全てのコンテンツを利用することが可能になります。

北米研究図書館協会(ARL)、ILLサービスに関するCONTUのガイドラインを再検討するためのホワイトペーパー“Modern Interlibrary Loan Practices: Moving beyond the CONTU Guidelines”を公開

2020年8月31日、北米研究図書館協会(ARL)が、ホワイトペーパー“Modern Interlibrary Loan Practices: Moving beyond the CONTU Guidelines”を公開しました。

同ペーパーでは、1970年代に策定されたILLサービスに関するCONTU(著作権のある著作物の新技術による利用に関する全国委員会)のガイドラインは、継続的な再評価・調整が必要とされたものの行われないままとなっており、40年前のジャーナルの価格・学術出版・図書館の収集業務に基づいた時代遅れのものであると評価しており、米国著作権法108条(図書館・アーカイブズでの複写)や107条(フェアユース)といったILLサービスに適用される著作権法を再検討するとともに、CONTUの歴史や法的位置がまとめられています。

ARLでは、同ペーパーが、図書館や図書館協会が、ILLサービス・契約実務・ジャーナルの購入に関して議論するきっかけとなることを期待するとしています。

ラテンアメリカ地域におけるビッグディール契約の調査(記事紹介)

研究成果のオープンアクセス(OA)化を推進するラテンアメリカの国際組織LA Referencia の2020年8月27日付け記事において、2019年のラテンアメリカ地域におけるビッグディール契約の調査結果が紹介されています。

調査は2018年10月にチリのサンティアゴで開催された第2回ラテンアメリカ・カリブ海諸国コンソーシアム会議(Segunda Reunión de Consorcios de América Latina y El Caribe)に端を発するもので、学術雑誌のパッケージ契約に対する各国の支出を定量化することを目的として実施され、5つの主要出版社(American Chemical Society、Elsevier、Springer Nature、Taylor&Francis、Wiley)との契約に焦点を当てています。

調査結果のレポートはスペイン語で公開されていますが、記事ではその概要を英語で紹介しており、以下のような内容等が示されています。

米国化学会(ACS)の出版部門、台湾の国家衛生研究院(NHRI)と“Read and Publish”契約を締結:アジアの機関との同種の契約締結は初めて

2020年8月27日、米国化学会(ACS)は、台湾の国家衛生研究院(NHRI)と“Read and Publish”契約を締結したことを発表しました。

ACSの出版部門がアジアの機関と同種の契約を締結するのは初めてであり、契約期間は2023年までを予定しています。この契約により、NHRIの論文は、ACSの65を超える主要なジャーナルに掲載される場合にオープンアクセスでの公開が可能になります。

独・マックスプランク協会、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)と複数年の“Read and Publish”契約を締結

米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)の2020年8月19日付のお知らせで、独・マックスプランク協会とAIP Publishingの複数年にわたる“Read and Publish”契約締結が発表されています。

この契約により、同協会傘下の責任著者(corresponding authors)による論文がAIP Publishing所有の学術誌で掲載される場合、出版後即時にオープンアクセス(OA)となります。OA出版費用は同協会のMax Planck Digital Library(MDPL)が負担し、著者への論文処理費用(APC)の請求は行われません。

また、同研究所の研究者は、AIP Publishingが出版した学術誌のコンテンツを初号から利用可能となります。

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、Jiscら、出版社に大学の財政状況逼迫を踏まえた雑誌購読料の値下げを要請

2020年8月13日、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、Jiscらが、出版社に対する大学の財政状況逼迫を踏まえた雑誌購読料の即時値下げの要請を発表しました。

発表では、大学は、全体的に支出を削減すること、オンライン授業や新型コロナウイルス感染症対策へ資金を割くことが強く求められ、出版社がこの状況を考慮した対応を行わない場合、出版社との契約を取り消す可能性があることが指摘されています。

また、Jiscは、大手出版社に2021年度(学年度)の予算提案を2020年8月半ばまでに再提出することを求めたことに触れています。再提出された提案は、Jiscのコンテンツ専門部会で検討され、大学との協議のため共有する予定であると述べられています。

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、感染症の影響下で学生・研究者に安定して電子コンテンツを供給するための出版社等への要望を示した声明を公開

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)は、2020年8月11日付で、英国及び世界中の高等教育機関が新型コロナウイルス感染症の深刻な影響を受ける中で出版社等に求める要望として、図書館が学生・研究者に安定して電子コンテンツを供給するための要件を示した声明“RLUK Content Statement”を公開しました。

RLUKは新型コロナウイルス感染症が高等教育機関に与えた影響により、多くの図書館が次年度予算の大幅削減を余儀なくされ、既存の購読契約の解約や新規コンテンツ契約の凍結を検討しており、今後数年間はコンテンツな合理的な価格と教育・研究のために必要なリソースへのアクセス確保が図書館の中心的な検討課題であることを声明の背景に挙げています。声明は出版社等に対して、研究図書館が直面する財政的な困難を認識し、学術情報流通に関わるシステムをよりオープンにし、持続可能性と透明性を向上させるため協力を求める内容です。

米国化学会(ACS)、研究者等にオープンサイエンスやオープンアクセス出版に関する情報を提供する「オープンサイエンスリソースセンター」をウェブサイト上に開設

2020年7月16日、米国化学会(ACS)は、ACSの出版部門による「オープンサイエンスリソースセンター」の開設を発表しました。

「オープンサイエンスリソースセンター」は、ACSの出版部門がオープンサイエンスやオープンアクセス(OA)に対する関与を深化し、研究者がこれらの動向へ積極的に関わることを支援する目的で立ち上げられました。ウェブサイト上に開設された同センターでは、研究者・図書館員等向けに、オープンサイエンス・OA出版に関する情報、研究助成元の求める要件に準拠する方法の案内、ACSと学術機関の“Read and Publish”契約の締結状況の検索、などが提供されます。

ACSは同センターの提供するこれらのツールは、広範な研究者コミュニティに対してOA出版の機能を効果的に伝えることで、オープンサイエンスへの転換を加速させるものである、としています。

Public Knowledge、図書館による自由な電子書籍の購入・貸出等の法制化を求めるキャンペーン“Tell Congress to Let Libraries Fight Back”を開始

オープンなインターネット空間促進のために活動する米国の非営利の公益団体Public Knowledgeは、2020年7月1日付のブログ記事において、図書館による自由な電子書籍の購入・貸出等の法制化を求めるキャンペーン“Tell Congress to Let Libraries Fight Back”の開始を発表しました。

Public Knowledgeは、購入・貸出等を通した図書館の使命と著作権システムとは、数世紀にわたって良好な共存関係を築いていたものの、電子資料の普及によって従来の関係の維持が困難となり、利用可能な期間や購入可能なタイトルに著しい制限の付いたタイトルを消費者価格の3倍から5倍の価格で図書館が購入しなければならないなど、出版社に有利な状況に傾いていることを指摘しています。また、冊子体書籍の貸出について、図書館が所蔵資料をデジタル化し“Controlled Digital Lending”技術によって「一部1ユーザー」で貸出する動きがInternet Archive(IA)を中心に進展しており、これは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う物理的な図書館の相次ぐ閉館で表面化したように、低所得者などコミュニティの周縁に属する人々への情報アクセス手段として不可欠なものとなっていることを紹介しています。

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