大学出版

新型コロナウイルス感染症拡大下における米国の大学出版局(記事紹介)

2020年6月24日付で、米・Ithaka S+Rは、新型コロナウイルス感染症拡大下における米国内の大学出版局の状況について、重役相当の役職者とディスカッションを実施した結果を報告する記事を公開しました。

Ithaka S+Rは、規模の大小や公私にかかわらず、米国内の大学出版局における重役相当の役職者11人と、遠隔勤務への転換をめぐる現実的な対応から、新型コロナウイルス感染症が現在・将来の計画に与える影響まで、幅広いテーマについてディスカッションを実施しました。ディスカッションの結果として、大半の大学出版局では、円滑に遠隔勤務への移行が進み、社員の士気も高く、生産性の向上が見られることを報告しています。

一方で、6月末に決算を迎える多くの大学出版局では、感染症防止のためのロックダウンの影響による第4四半期の印刷版図書の売上不振のため、5%から15%の収益減が見込まれること、全ての大学出版局で出張や会議の一時停止による経費削減が試みられ、給与支払の凍結や社員の一時的な無給の自宅待機等の措置を講じるところも現れていることなどを報告しています。また、今後の見通しとして、次期会計年度の収益は20%から40%減少するという悲観的な見方をとる回答が多かったこと、図書館に対して電子資料へ投じる予算の増加を期待していることなども合わせて報告しています。

学術出版協会(SSP)、学術出版界において役割ごとに必要とされる専門職としてのスキル等をマッピングしたキャリア開発のためのツール“Professional Skills Map”を公開

2020年6月17日、学術出版界の部門間のコミュニケーション促進等を目的に活動する非営利団体・学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)は、学術出版界において役割ごとに必要とされる専門職としてのスキル等をマッピングしたキャリア開発のためのツール“Professional Skills Map”を公開したことを発表しました。

“Professional Skills Map”は、どのようなキャリア段階にいるユーザーであっても、その役割を発見し、キャリアアップに必要な要素を直接比較可能になるツールとして、学術出版界では初めての試みとして開発されました。ツールは会員メンバー等235人に対して、SSPが電子メールやソーシャルメディア上で実施した、それぞれの役割に求められる専門的技能に関する調査に基づいて作成されています。調査は、所属組織の種類、現在の役割が扱う領域、肩書き、学術出版界での所属年数や、現在までのキャリアアップと将来のキャリア開発に関連する複数の個人的特性とスキルの回答を求めて、2019年後半に実施されました。

オープンアクセス(OA)学術単行書のダイレクトリDOABと人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEが新たにパートナーシップ関係を締結

2020年5月27日、オープンアクセス(OA)学術単行書のダイレクトリDirectory of Open Access Books(DOAB)は、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEと新たにパートナーシップ関係を締結したことを発表しました。

締結されたパートナーシップ関係は、Project MUSEに収録されたOA単行書の発見可能性の強化とDOABに登録される出版社数・OA単行書タイトル数の増加を目指すものです。

Project MUSEは、米・ジョンズホプキンス大学のミルトン・S・アイゼンハワー図書館とジョンズホプキンス大学出版局による非営利共同事業として運営され、100以上の出版社の6万点以上の単行書を提供しており、提供タイトルの中には2,800点以上のOAタイトルが含まれます。Project MUSE上のOAの単行書のDOABへの登録を希望する出版社は、申請を行うだけでDOABへの登録が可能になります。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を開始

2020年4月2日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を正式に開始し、研究者が研究成果を直接投稿可能になったことを発表しました。

“Cambridge Open Engage”は、プレプリント・プレゼンテーション・ワーキングペーパー・会議用のポスター・灰色文献など、早期段階の研究成果を公開・共有するためのプラットフォームです。全てのコンテンツは自由に閲覧可能で、また著者は自由に研究成果物をアップロードできます。診療(clinical practice)に関する内容を除くあらゆる分野の研究成果が受付されており、著者は査読や出版に先立って、研究コミュニティへ自身の研究成果を共有可能となっています。

また、学会・研究センター・研究機関・研究助成機関等の組織に対しては、組織内での早期段階のオープンリサーチに関する研究成果の分析や研究の傾向・成長分野に関する知見など、“Cambridge Open Engage”を通したオープンリサーチに関するサービスが提供されます。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学術機関支援強化として高等教育向け教科書700タイトルの無料公開等を実施

2020年3月17日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学術機関の支援を強化することを発表しました。

支援強化の一環として、CUPの刊行する高等教育向けの教科書700タイトルが、過去の購入の有無にかかわらず、学術プラットフォームCambridge Core上でHTML形式により無料で利用可能になっています。これらのタイトルは2020年5月末まで無料で利用可能です。また、Cambridge Coreのプラットフォームを利用中の機関向けに、CUPの刊行するレファレンス資料コレクションへの無料アクセスのリクエストが2020年5月末まで受付されています。

今回のCUPの支援強化は、すでに実施済のコロナウイルス関連研究の無料提供実施に続く支援として行われることが表明されています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とオーストリア学術図書館コンソーシアム(KEMÖ)、3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年3月2日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とオーストリア学術図書館コンソーシアム(Kooperation E-Medien Österreich:KEMÖ)は、2020年1月から2022年12月までの3年間を契約期間とする“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

契約期間中、オーストリアの9大学・1研究所に所属する研究者は、公的資金で助成を受けた自身の論文について、論文処理費用(APC)を支払うことなくCUPの刊行するハイブリッドジャーナル、及び完全オープンアクセス(OA)ジャーナルでOAにより出版することができます。また、CUPの刊行するジャーナルへのアクセスが可能になります。契約の対象となるジャーナルの範囲は機関によって異なっています。

Open Access Vereinbarung mit Cambridge University Press(KEMÖ,2020/3/2)
https://www.konsortien.at/meldungen-Details.asp?meldungenid=931

英・Jiscと米・ロックフェラー大学出版、2年間の“Read and Publish”契約を締結

2020年2月18日、米・ロックフェラー大学出版(Rockefeller University Press:RUP)は、英・Jiscと“Read and Publish”契約を締結したことを発表しました。

契約期間は2020年3月から2022年2月までの2年間で、RUPの発行するハイブリッドジャーナル“Journal of Cell Biology”、“Journal of Experimental Medicine”、“Journal of General Physiology”の3誌が対象となります。契約にオプトインした英国の高等教育研究機関は、公開直後から全てのコンテンツへ無制限にアクセス可能になります。また、契約参加機関に所属する著者は、自身の研究成果をRUPのジャーナルで無制限にCC BYライセンスで即時オープンアクセス(OA)化できると同時に、米国国立医学図書館(NLM)の運営するPubMed Central(PMC)へ直接登録することができます。

プレスリリースによると、米国に拠点を置く大学出版社とJiscとのOA出版モデルへの「転換契約(transitional agreement)」締結は、今回のRUPの事例が初めてとなります。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、ウィリアム・シェイクスピアの全集・レファレンス資料・関連研究等を収録したデジタルプラットフォーム“Cambridge Shakespeare”の提供を開始

2020年1月22日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピアの全集・レファレンス資料・関連研究等を収録したデジタルプラットフォーム“Cambridge Shakespeare”の提供を開始したことを発表しました。

Cambridge Shakespeareは、文学・戯曲・演劇等を専攻する学生・研究者向けにシェイクスピアに関する充実したオンライン資料を提供する目的に立ち上げられました。同出版局が刊行したシェイクスピア全集や関連研究等が収録されており、演劇・詩などのシェイクスピア作品、注釈、レファレンス資料、米国のフォルジャー・シェイクスピア・ライブラリーの特別編集によるマルチメディア資料等をプラットフォーム上で横断的に利用することができます。また、各作品に対して、簡潔な案内付のページ・注釈付きのテキスト・作品に関連するエッセイや資料が用意されています。

Cambridge Shakespeareは、教育機関向けの年間購読製品として2020年1月から提供が開始されています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)に“Read & Publish”モデル契約を提案

2020年1月28日付の大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)のお知らせで、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)がオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」として、“Read & Publish”モデル契約の提案をJUSTICEに行ったことが発表されています。

JUSTICEのお知らせによると、CUPからのモデル契約の提案は2019年8月29日に行われ、提案期間は2020年から2022年までの3年間です。同契約はオプトイン方式であり、JUSTICEに加盟する500以上の大学図書館・研究図書館は、従来の「購読料モデル」と新たに提案された「Read & Publishモデル」のいずれかを選択することができます。「Read & Publishモデル」を選択した機関が、FTE(フルタイム換算値)ごとに定められた購読費とOA出版のための追加経費を支払うことで、その機関に所属する著者は、契約コレクションの対象タイトルに無制限でOAの論文を出版することが可能になります。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とスペイン国立研究協議会(CSIC)、3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年1月15日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とスペイン国立研究協議会(CSIC)、3年間の“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

この“Read & Publish”契約は大学出版社とスペインの研究機関が締結した初めての契約であると同時にCUPが南欧で締結した初めての契約となります。2020年からCSICに所属する約120機関の著者は、公的資金を受けた論文をCUPのハイブリッド誌及び完全オープンアクセス(OA)誌にOAで掲載可能になります。また、科学・技術・医学・人文科学・社会科学等にまたがる400タイトル以上のCUPの完全な学術雑誌コレクションにアクセス可能になります。

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