大学出版

国際図書館連盟(IFLA)の図書館の出版活動に関する研究委員会(SIG)、図書館による出版活動に係る情報を収録した“Library Publishing Map of the World”を公開

2021年4月15日、国際図書館連盟(IFLA)の図書館の出版活動に関する研究委員会(Library Publishing Special Interest Group)が、“Library Publishing Map of the World”の公開を発表しています。

同研究委員会(Special Interest Group:SIG)は、IFLAの「戦略2019-2024(IFLA STRATEGY 2019-2024)」における重点目標「2.4 Provide tools and infrastructure that support the work of libraries」の考えに沿って、この10年間において、図書館が学術資料(論文、書籍、データ)や地域のコンテンツ(地域史、自費出版支援)等に係って出版界において目に見える役割を担うようになったことに焦点をあて、収集・蔵書構築分科会の支援を受けて2018年に創設されました。

米・マサチューセッツ工科大学出版局、研究者向けの新たな出版サービス“MIT Open Publishing Services”を開始

2021年3月23日、米・マサチューセッツ工科大学出版局(MIT Press)は、研究者向けの出版サービス“MIT Open Publishing Services”(MITops)の開始を発表しました。

MITopsは、MIT PressとMITメディアラボにより設立された非営利団体Knowledge Futures Groupと協力し、査読支援、編集、コピーエディット、デザイン、マーケティング、広報といったサービスに加え、オープンソースの出版プラットフォームPubPubでのホスティングサービスを提供します。

発表では、出版技術の革新と経済的なインセンティブとの組み合わせにより、機関が所有・管理するインフラの可能性が最大限に発揮され、学術コミュニケーションの市場を学術界に取り戻すことが可能になると述べています。

MIT PressのTwitterでも、同日付けでMITopsの開始を紹介しています。同投稿に関するMIT Pressと他のユーザーとのやり取りの中で、MITopsのサービス対象にはMITの研究者だけでなく他大学の研究者も含まれる旨が示されています。

米・マサチューセッツ工科大学出版局、図書館の共同出資により学術単行書の持続可能なオープンアクセス(OA)化を実現するためのプログラム“Direct to Open”(D2O)を開始

2021年3月2日、米・マサチューセッツ工科大学出版局(MIT Press)は、図書館の共同出資により学術単行書の持続可能なオープンアクセス(OA)化を実現するためのプログラムとして、“Direct to Open”(D2O)を開始したことを発表しました。

MIT PressはD2Oについて、図書館が学術単行書を自館のコレクションに加えるために購入するビジネスモデルから転換し、学術単行書をOA化するために資金を出資するビジネスモデルへ参加する機会を与えるプログラムとして説明しています。2022年以降、MIT Pressの新刊学術単行書及び新たに選集として刊行する単行書は、D2O参加機関の出資金により全てOA化することを予定しています。

化学分野のプレプリントサーバーChemRxiv、2021年第2四半期以降ホスティング先を英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)の“Cambridge Open Engage”へ移行

2021年2月25日、英国のケンブリッジ大学出版局(CUP)は、化学分野のプレプリントサーバーChemRxivのホスティング先が、2021年第2四半期から同出版局のオープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”になることを発表しました。

ChemRxivは2017年に米国化学会(ACS)が中心となって運用を開始したプレプリントサーバーです。運用開始以来、6,300点以上のプレプリントが投稿され、1,600万回以上の閲覧・ダウンロードが行われています。2021年現在、ACSの他、中国化学会(CCS)・日本化学会(CSJ)・ドイツ化学会(GDCh)・英国王立化学会(RSC)が運営に参加しています。

プラットフォーム移行後のChemRxivでは、ACS・CCS・CSJ・GDCh・RSCの刊行する提携雑誌へ直接プレプリントを投稿できる機能が利用可能な他、コンテンツのアップロード状況の確認・改訂版プレプリントの簡易な投稿・ユーザーのコメントへの返信等の機能を備えた著者用ダッシュボードなどの“Cambridge Open Engage”が提供するサービスを利用可能になります。

米・ミシガン大学出版局、大学出版局として初めてBenetech社による電子書籍のアクセシビリティ検証プログラム“Global Certified Accessible™”の認証を取得

2021年1月26日、米国のミシガン大学出版局(University of Michigan Press)は、障害者の学習環境の向上等の社会貢献のためのソフトウェア開発を支援する非営利企業Benetech社から、“Global Certified Accessible™”(GCA)による認証を取得したことを発表しました。大学出版局のGCAの認証取得は、ミシガン大学出版局が初めての事例となります。

Benetech社のGCA認証は、電子書籍のアクセシビリティを検証する、世界で初めての独立した第三者機関によるEPUB認証プログラムです。同社は、EPUB出版物のアクセシビリティの仕様を定めた“EPUB Accessibility 1.0”のうち規格適合性(Conformance)と発見性(Discovery)を満たし、ウェブコンテンツアクセシビリティのガイドライン“Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.1”でAA以上の基準を達成した出版社について、GCAの認証基準に従って完全にアクセシブルなEPUB出版物を作成する出版社として認証しています。

18世紀の英国・英語圏刊行物の全文データベースECCOの開発・提供等の歴史(文献紹介)

2020年12月付で、英国のケンブリッジ大学出版局(CUP)は“Elements in Publishing and Book Culture”シリーズの単行書として、“Old Books and Digital Publishing: Eighteenth-Century Collections Online”を刊行しました。著者は英国バース・スパ大学のグレッグ(Stephen H. Gregg)専任講師です。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、200件以上の雑誌をPlan S準拠の転換雑誌に

2020年11月17日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は209件のジャーナルをPlan Sに準拠した転換雑誌(transformative journal)にすることを約束したことを発表しました。これらのジャーナルの内訳は、CUPが所有する全てのハイブリッドジャーナル118件と、CUPのパートナーが全てまたは一部を所有するハイブリッドジャーナル91件です。

これらの209件のジャーナルでは、cOAlition Sが設定したオープンアクセスの成長目標に沿って、オープンアクセス論文を徐々に増加させていくとしています。また、論文処理費用(APC)と購読料の二重取り(ダブルディッピング)を回避するために、購読料価格を下げていくと述べられています。これらによって、完全なオープンリサーチへ移行するとしています。

米・ミシガン大学出版局、学術出版社として初めて査読付きのラップ・アルバム“i used to love to dream”をリリース

米・ミシガン大学図書館が2020年11月3日付のお知らせで、同大学出版局が学術出版社として初めて査読付きのラップ・アルバム“i used to love to dream”をリリースしていることを紹介しています。

“i used to love to dream”は、米・バージニア大学(UVA)でヒップホップ文化やグローバル・サウス問題を研究するカーソン(A.D. Carson)准教授による音楽アルバムです。マイノリティの出自から研究キャリアを重ねる同准教授の個人的かつ学術的なエッセイをラップで表現した8曲で構成されています。

2020年10月5日付のInside Higher Educationの記事では、ミシガン大学出版局のデジタル出版に適した最先端のプラットフォームFulcrum運用が同大学出版局への企画提案の決め手であったこと、同准教授の研究実践やその重要性及び可能な限り幅広く受容される示し方を中心とした査読が行われたことなどが紹介されています。

“i used to love to dream”はFulcrum上で、音楽アルバム、イントロダクション・歌詞・ライナーノーツの収録されたデジタルブック、及び制作過程を記録した短編ドキュメンタリー映像が、全てオープンアクセスにより公開されています。

オープンアクセス(OA)と著者の権利:米・ハーバード大学OA方針の批判的検討(文献紹介)

2020年10月20日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌に、米・ペンシルベニア大学出版局のPatrick H. Alexander氏の論文“Open Access and Author Rights: Questioning Harvard’s Open Access Policy”が掲載されています。

同論文は、多くの大学や研究機関のオープンアクセス(OA)方針のモデルとなっている米・ハーバード大学のOA方針を中心的に取り上げながら、OAと著者の権利を論じた内容です。OA運動に関する中心的な理論家Peter Suber氏の著書“Open Access”や、米・SPARCの発表した「著者の権利」の留保モデル、米国著作権法(合衆国法典第17編)等から、OA運動においても研究者は著者として自身の成果物の著作権を完全に保持すべきであることを確認した上で、同大学及び後続する様々な機関のOA方針が、大学・機関へ著者が著作権に基づく権利を譲渡する内容になっていることを指摘しています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)が2020年1月から開始したコロナウイルス関連研究無料提供の成果:8か月間で約170万件のダウンロード等(記事紹介)

2020年10月14日付で、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、実施中のコロナウイルス関連研究の無料提供について、その効果や実績等を報告した記事“Free collection of coronavirus research sees 1.7 million downloads”を公開しました。

CUPは、当時はまだ名称の定まっていなかった「新型コロナウイルス(COVID-19)」について、世界保健機関(WHO)が世界的な公衆衛生上の緊急事態を宣言した2020年1月以降、コロナウイルスに関連した研究のコレクション“Coronavirus Free Access Collection”の無料提供を実施しています。単行書の章や雑誌記事で構成する100件に満たない規模で開始した同コレクションは、記事の公開時点で1,000件以上にまで成長し、現在も増加し続けています。

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