プライバシー

米国の図書館における音声アシスタント技術の採用とプライバシーに対する懸念(文献紹介)

2021年1月5日付で、米国図書館協会(ALA)の部会“Core: Leadership, Infrastructure, Futures”が刊行する“Information Technology and Libraries”(ITAL)誌の第39巻第4号に、米・アラバマ大学の2人の著者による共著論文“Alexa, Are You Listening?: An Exploration of Smart Voice Assistant Use and Privacy in Libraries”が掲載されています。

同論文は“Alexa”をはじめとしたAmazon社やGoogle社等が開発・提供する音声アシスタント技術について、図書館のサービス・イベント・貸出等における活用状況や、こうした技術に対する図書館員の懸念を調査・報告するものです。著者らは2019年秋に、米国内の公共図書館・大学図書館等にオンライン上で質問紙調査を実施し、86館から得られた回答に基づいて、主に次のようなことを報告しています。

・音声アシスタント技術を採用済であるという回答はまだ少なく、図書館においては普及の初期段階にあると言える
・多数の回答館において、音声アシスタント技術の採用に伴う利用者データの保護に対する不安が確認される

英国の“Brexit”が欧州連合(EU)およびドイツの図書館に与える影響とは(記事紹介)

2021年1月5日付で、ドイツのベルリン国立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)は、英国の欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)が完了し、2020年末に2021年1月から暫定適用される英国・EU間の通商協定が締結されたことを受けて、EUおよびドイツの図書館に与える影響について解説した記事を公開しました。

同記事は、EU加盟国内の多くの図書館で国境を越えた活動が行われていることから、これまでEU加盟国内で調和が図られていた税制・著作権・データ保護の分野に影響が及ぶことを指摘しながら、個々の影響関係を解説しています。

図書館のあらゆる契約実務に課せられる付加価値税(VAT)については、EU加盟国と非加盟国では根拠法が異なり、EUに非加盟の「第三国」となった英国の事業者との契約では、担当が税務署ではなく税関当局となり、税関当局に「輸入売上税」を納付する必要があることなどを紹介しています。また、EUの非加盟国になったことに伴い、原則として英国を含む第三国から購入した物品には共通関税(Common Customs Tariff)が適用されますが、印刷資料やCD・DVD等の視聴覚資料は免除されることを説明しています。ただし、ゲーム等の触覚メディアには共通関税が適用されます。

米・カーネギーメロン大学のCyLab、オンライン地図上でIoTデバイスの存在・データ収集方針・データ収集の実施状況等の確認が可能なスマートフォン用アプリを開発

2020年12月3日付で、米・カーネギーメロン大学の情報セキュリティ・プライバシー研究拠点“CyLab”が、同拠点が開発し提供中のスマートフォン用アプリ“IoT Assistant”を紹介するお知らせを公開していました。

“IoT Assistant”は、スマートカメラ・マイク・位置情報追跡サービスなどのインターネットに接続された「IoTデバイス」について、オンライン地図上でこれらのデバイスの存在、データの収集方針、データ収集の実施状況等をユーザーが確認できるアプリです。iOS用、Andoroid用のアプリがそれぞれ無料で提供されています。

“IoT Assistant”のアプリをダウンロードすると、ユーザーはアカウント作成等を行うことなく、すぐにオンライン地図上でIoTデバイスの存在を確認することができます。IoTデバイスを示した地図上のピンをクリックすると、収集データの種類・データの保存期間・収集したデータの共有先などの該当デバイスの情報が表示されます。また、特定の種類のデータ収集のみ表示するフィルタリング機能や通知オプションを備えています。

LIS Newsが選ぶ2020年の図書館・図書館情報学関連の10大ニュース(米国)

2020年12月15日、図書館や図書館情報学に関するニュースを掲載している米国のブログLIS Newsが、同ブログが選ぶ2020年を形作った10大ニュースを発表しています。

1.いくつかの例外を除き、職員や利用者の健康を守るための図書館の閉鎖が遅く、閉鎖される前に図書館の閉鎖に関するキャンペーンが広がる

2.誤った情報が生命や民主主義を危険にさらしているが、悪い情報と戦う上での図書館員の役割は不明確のまま

3.地域の書店を支援するために設立されたオンライン書店BookshopによるAmazonへの挑戦

4.知的財産権の問題をはらむ新型コロナウイルスワクチンの探究

5.インターネットアーカイブ(IA)によるNational Emergency Library

6.コロナ禍でのオンライン試験の拡大とオンライン試験監視ソフトウェアによる監視方法の問題

米・マサチューセッツ工科大学(MIT)図書館、利用者データのプライバシーの取り扱いに関する新方針を発表

2020年11月30日付のお知らせで、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)図書館が、利用者データのプライバシーの取り扱いに関する新方針を発表しています。

同館は、電子資料の提供が進むにつれて、これまで以上に利用者のプライバシー保護のための取り組みが重要になっていることを背景として説明し、図書館による利用者データの収集・利用・保護・共有についての透明性の確保を目的として、2020年11月付で新方針を作成しました。新方針は、データ収集・収集したデータにアクセス可能な範囲・第三者との共有・データ保持など、同館による来館者やサービス利用者の個人情報(Personally identifiable information:PII)の取り扱いの詳細を定めています。

The MIT Libraries has a new Patron Data Privacy Policy(MIT Libraries,2020/11/30)
https://libraries.mit.edu/news/libraries-patron-privacy/31491/

鹿児島工業高等専門学校、日本電気株式会社(NEC)と教育現場におけるデジタル化加速に向けた包括連携協定を締結:図書館への入館時に顔認証技術を導入等

2020年10月8日、鹿児島工業高等専門学校が、日本電気株式会社(NEC)と、学校教育におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)や地域振興等の活動を通じた新たな社会価値の創造を目的に、包括連携協定を締結したと発表しています。

DXに触れる場作りとして、人工知能(AI)やサイバーセキュリティ、顔認証等の技術を活用した研究や実証実験を共に行うことで、将来を担うエンジニア人材教育やDXによる地域課題の解決と地域共創の実現を目指すとしています。

包括連携協定を通じた取り組みとして、図書館での顔認証技術の導入があげられており、入館時に未登録者アラームを出すことで不正侵入を検知し、セキュリティ強化につなげるとしています。

鹿児島高専とNEC、教育現場におけるデジタル化加速に向けた包括連携協定を締結(鹿児島工業高等専門学校)
https://www.kagoshima-ct.ac.jp/news/15286/

北米研究図書館協会(ARL)、閲覧制限期間中の図書館所蔵文書への開示請求を巡る訴訟について米・ミシガン州最高裁判所へ大学図書館・研究者団体等と連名で意見書を提出

2020年9月30日、北米研究図書館協会(ARL)は、米・ミシガン大学を被告として係争中の訴訟について、ミシガン州最高裁判所へ意見書(Amicus Brief)を提出したことを発表しました。

ミシガン州最高裁判所への意見書は、ARL、米国学術団体評議会(ACLS)、米国歴史学協会(AHA)、米国大学・研究図書館協会(ACRL)、カリフォルニア大学図書館、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校図書館、アイオワ大学図書館の連名で提出されています。

国際図書館連盟(IFLA)、子どものプライバシーに関して国際連合の意見照会に回答を提出

2020年10月1日、国際図書館連盟(IFLA)情報への自由なアクセスと表現の自由に関する委員会(FAIFE)が、プライバシー権に関する国際連合の人権高等弁務官事務所(Office of the High Commissioner for Human Rights:OHCHR)の意見照会に対して、回答を提出したことを発表しました。

同意見照会は、子どものプライバシー権に焦点を当てたものです。発表の中で、IFLAは、社会・教育・娯楽の側面における、子どものプライバシー、アイデンティティ、技能等に関して、以下の内容等を回答したと述べています。

・知的自由の観点からの子どものプライバシー
・子どものプライバシーとメディア・情報リテラシーの関わり
・子ども、ヤングアダルトのプライバシーに関する技能構築についての図書館の経験
・図書館における子どものプライバシー保護や利用者データ取扱い時についての参考事例やガイドライン

E2303 - 図書館構築システム上の利用者データへのリスク評価ガイド

米国の電子図書館連合(DLF)が2020年5月21日に“A Practical Guide to Performing a Library User Data Risk Assessment in Library-Built Systems”を公開した。これは,図書館が構築したシステムが収集する利用者データへのリスクを理解するための定義,収集データのリスク評価に関するガイドである。

ページ