フィンランド

CA1963 - ヘルシンキ中央図書館“Oodi”の機能・理念とその成果 / 久野和子

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カレントアウェアネス
No.342 2019年12月20日

 

CA1963

 

ヘルシンキ中央図書館“Oodi”の機能・理念とその成果

神戸女子大学文学部:久野和子(くのかずこ)

 

フィンランド国立公文書館、「フレグランス・フリー」を目指すことを発表:香りによる体調不良に配慮

2019年12月11日、フィンランド国立公文書館は、2020年初めから、敷地内及び周辺が「スモーク・フリー」(禁煙)となること及び「フレグランス・フリー」を目指すことを発表しました。

過剰なフレグランスの使用が他者にとって鼻水、頭痛、吐き気などの体調不良の原因になりうることから、フレグランスを使用しないよう、ポスターによる啓発を行うとあります。

National Archives of Finland becomes smoke- and fragrance-free in 2020(The National Archives of Finland, 2019/12/11)
https://arkisto.fi/news/2529/3728/National-Archives-of-Finland-becomes-smoke-and-fragrance-free-in-2020/d,ajankohtaista-en

フィンランド・ヘルシンキ中央図書館(Oodi)、ベビーカー置き場を2倍に拡大

フィンランド・ヘルシンキ中央図書館(Oodi)が、2019年11月18日から、1階の遊び場を、暖かく居心地が良い3階の子ども用スペースのバルコニーに移転させるとともに、1階のベビーカー置き場を2倍に拡大させています。

これまでのベビーカー置き場が狭いと感じているオンライン調査の結果に基づき、ベビーカーで来館する利用者へのサービスを改善する事が目的です。

ベビーカー置き場はカーペット敷きで、子どもに服を着せるための座席も備え付けられています。また、年末に向けてベビーカーを固定できるスタンドを整備する計画があるほか、図書館の利用者カードを用いて操作できる施錠可能なロッカー(子どもの冬服や小さなかばんの保管を想定)も2020年春の設置が予定されています。

また、遊び場を3階に移転させたことで、子ども連れの家族を対象としたサービスが近接することになり、図書館員と遊び場の職員が一緒に仕事ができるようになるとしています。

フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、2019年12月現在のWiley社、Sage社、Taylor & Francis社との学術雑誌契約の交渉進捗状況を公表

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”は、2019年12月5日付で、2019年12月現在の主要学術出版社との学術雑誌契約の交渉進捗状況を報告した記事を投稿しました。

“FinELib”は、研究者・学生が購読雑誌掲載論文へアクセス可能になり、かつ自身の研究成果を費用負担不要で無制限にオープンアクセス(OA)化できるように、フィンランドの研究コミュニティを代表して主要学術出版社と契約交渉を行っています。投稿された記事ではWiley社、Sage社、Taylor & Francis社との契約交渉の進捗状況を以下のように報告しています。

・Wiley社との長期間に渡る交渉は進展を見せており、OA出版要項を含む2020年から2022年までの新契約締結の見込みが立っている。しかし契約の細部事項を巡って現在も交渉が続いている。

・Sage社との交渉も進展を見せており、OA出版要項を含んだ3年間の新契約について現在細部事項の議論を行っている。

・2019年初めに交渉が決裂したTaylor & Francis社とは、2019年秋に交渉が再開されている。しかし交渉の先行きは不透明である。

フィンランド・ヘルシンキ中央図書館(Oodi)、開館1周年を記念したイベントを開催:多数の賞に受賞・ノミネートされるなど大きな成功を収めた1年間として振り返り

2019年11月25日、フィンランドのヘルシンキ中央図書館(Oodi)は、独立記念日前日の2019年12月5日に開館1周年を記念したイベントを開催することを発表しました。12月5日には1日を通して、館内各所であらゆる年齢層を対象としたワークショップ・音楽演奏会等が開催されます。

翌11月26日には、開館からの1年間が大きな成功であったことを振り返る記事“Central Library Oodi’s first year has been a success”を投稿しています。開館以来の1年間で予想を大幅に上回る利用があり好意的なフィードバックを受けていることが振り返られています。また、IFLAの“Public Library of the Year”受賞をはじめ、カナダの建築雑誌“AZURE”が主催する国際建築賞“AZ Awards”でのピープルズ・チョイス賞の受賞、米・TIME誌の“World’s Greatest Places”リストへの掲載など、その活動や建築が多数の受賞・賞へのノミネートという形で評価されていることを紹介しています。

学術雑誌契約のオープンアクセス(OA)要項モニタリングに必要な論文レベルのメタデータのチェックリスト化(文献紹介)

2019年11月26日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、論文“Monitoring agreements with open access elements: why article-level metadata are important”が掲載されました。英・JiscのMafalda Marques氏、オランダ・ライデン大学図書館のSaskia Woutersen-Windhouwer氏、フィンランド国立図書館のArja Tuuliniemi氏による共著論文です。

近年、コンソーシアムや学術機関が、論文処理費用(APC)の割引・オフセット契約・“Read and Publish”契約といったオープンアクセス(OA)要項を含む契約を出版社と締結する事例が増加しています。こうした契約を締結した場合、コンソーシアムや学術機関はOAで出版された論文数、契約のコスト、契約の価値をモニタリングする必要があるため、出版社は契約に基づきOAで出版された論文に関して、コンソーシアム・研究機関・資金助成機関に対する説明責任を負います。出版社がこうした説明を行うための方法の1つは定期的に論文レベルのメタデータをレポートとして報告することです。

フィンランド研究コミュニティの2020年から2025年までの国家戦略・事業計画の第1部として学術出版物のオープンアクセス(OA)に関するポリシーが公開される

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”が、2019年11月25日付のTwitterアカウントでの投稿において、フィンランド研究コミュニティの2020年から2025年までの国家戦略・事業計画の第1部として、学術出版物のオープンアクセス(OA)に関するポリシーが公開されたことを紹介しています。

埼玉県立熊谷図書館、資料展・講演会・演奏会「Moi Suomi!(モイ スオミ)幸福の国 フィンランドを知ろう」を開催

埼玉県立熊谷図書館が、同館の企画「Moi Suomi!(モイ スオミ)幸福の国 フィンランドを知ろう」として、2019年11月23日から12月19日まで資料展を、2020年1月19日に講演会・演奏会を開催します。

2019年に日本とフィンランドは外交関係樹立100周年を迎え、北欧について関心が高まっていることを背景に、埼玉県民が北欧を知る機会として同企画は開催されます。

2019年11月23日から12月19日まで実施される資料展では、埼玉県立図書館で所蔵する教育・文化・北欧諸国等フィンランドに関連した児童書から専門書まで幅広い資料約120点について、5つのテーマを設けた展示が行われます。

2020年1月19日に開催される講演会・演奏会では、フィンランドの魅力や北欧の教育と留学事情を紹介、解説する講演の他、フィンランドの伝統楽器カンテレによる演奏会が行われます。

応用科学大学コンソーシアム運営によるリポジトリサービス“Theseus”等のネットワークが展開するオープンな研究成果物公開プラットフォーム(フィンランド)(記事紹介)

ドイツ経済学中央図書館(ZBW)の運営するオープンサイエンス・情報インフラ等に関する話題を扱ったブログ“ZBW MediaTalk”は、2019年10月1日付で、ブログ記事“Open Access in Finland: How an Open Repository becomes a Full Service Open Publishing Platform”を投稿しました。

同記事は、フィンランドの応用科学大学(University of Applied Sciences)コンソーシアム“AMKIT-Konsortio”が共同運営するリポジトリサービス“Theseus”等のネットワークによる、オープンな研究成果物公開プラットフォームの展開を紹介したものです。フィンランドの応用科学大学図書館員で、Theseusのヘルプデスクを担当するTiina Tolonen氏とMinna Marjamaa氏が同記事を共同執筆しています。

フィンランド学会連盟(TSV)とDOAJ 、同国で発行されたオープンアクセス(OA)の査読誌のDOAJへの採録を促進するパイロットプロジェクトを開始

2019年9月2日、フィンランド学会連盟(Federation of Finnish Learned Societies :TSV)とDOAJ (Directory of Open Access Journals) は共同で、フィンランドで発行されたオープンアクセス(OA)の査読誌のDOAJへの採録を促進するパイロットプロジェクトの実施を発表しました。期間は2019年5月から2020年の5月までです。

DOAJが2019年5月16日に公開したPlan Sに関する公開書簡において、人文・社会科学を代表するグループに対し、目的にかない、DOAJに採録すべきジャーナルの特定に協力するよう求めたことに対し、TSVの出版フォーラムが160誌を特定し、さらなるジャーナルの特定・採録のための連携を提案したことにより開始されるものです。

今回のプロジェクトの背景として、近年の調査で、北欧で刊行されたOA誌のうちDOAJに採録されているのものは42%であったが、国によって違いがあり、ノルウェーは68%であるのに対し、フィンランドは23%であることがあげられています。

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