フィンランド

フィンランド・ヘルシンキ中央図書館(Oodi)、お薦めの図書を紹介するモバイルアプリObottiを公開:分野の異なるボットから選択可能

2021年6月16日、フィンランド・ヘルシンキ中央図書館(Oodi)が、お薦めの図書を紹介するモバイルアプリObottiの公開を発表しています。

人工知能(AI)を活用したモバイルアプリで、以下のような分野ごとのボットがあり、自分の好みに基づいてボットを選択すると、ボットの好みや自身の選択に基づいて、利用者の好みにあった図書を推薦してくれます。インタラクティブなものとなっており、ボットを学習させることもできます。

・グーテンベルク:利用者の選択に適応するためのOodiの共同ボット。

・レノン:持続可能でロックなライフスタイルに最も適している。

・ヴェルヌ:異なる現実への旅に連れて行く。

・デュード:料理の楽しさや美意識を味わう。

・トーベ:できれば自宅から出ずに、海でも山ででも冒険したい。

・スカーレット:ドラマチックな感情にふけるのが好き。

フィンランド語・スウェーデン語・英語で利用でき、子供向け・若者向けの図書が推薦されるように設定することもできます。

フィンランド・ヘルシンキ都市圏図書館、予約資料を取置期限日までに受け取らなかった場合の手数料の徴収を開始

2021年5月26日、フィンランドのヘルシンキ都市圏図書館(Helmet)は、予約資料を取置期限日までに受け取らなかったり、キャンセルしなかった場合、予約資料1点につき1ユーロの手数料を徴収すると発表しています。徴収開始日は6月1日です。

ただし、18歳以下、団体貸出利用者(学校、保育園等)等一部利用者には手数料は請求されません。また、取置期限日までにキャンセルした場合も請求されません。休暇などで不在期間中に予約を一時中止にすることも可能で、資料の予約自体はこれまで通り無料です。

これは、ヘルシンキ都市圏図書館において、資料の予約が一般的となって、毎年280万件の予約が行われているものの、そのうち14%(40万件)が受け取られていないことにより、資料の流通が滞って利用者の満足度が下がったり、資料の配送によって環境に負荷がかかっていることに対処するために行われるものです。また、職員の労働時間を他の業務に充てることができるともしています。

同館によると、手数料の徴収は多くのフィンランドの自治体で行われているものの、それにより資料の予約サービスの利用は減っていないとのことです。

フィンランド国立図書館、同館の日本関連コレクションをオンラインで検索可能に

2021年5月31日、フィンランド国立図書館が、同館の日本関連のコレクションを、統合検索サービス“finna”上でのオンライン検索を可能にしたと発表しました。

検索可能となったのは、 “Japonica collection”と“Buddhist collection”です。これらのコレクションは、これまで紙でのみ目録が作成されており、オンラインでの検索ができなかったと述べられています。

“Japonica collection”は、20世紀初期にヘルシンキ大学が、フィンランドの初代駐日公使であるG. J. Ramstedt等から寄贈を受けた和書等、約620タイトル1,400冊以上で構成されています。“Buddhist collection”は、1968年に駒澤大学と愛知学院大学から寄贈を受け、1973年に補完されたものであり、主に仏教関連の文献で構成されています。

なお、資料はフィンランド在住者が利用でき、特別コレクションに該当する資料は特別コレクションの閲覧室で利用可能とされています。

フィンランドの「公共図書館におけるデジタルメディアのサービスコンセプト」に係るプロジェクト:電子サービスを調整する単一の運営体の設置を推奨(記事紹介)

オンラインサービスへのアクセスを図書館ネットワークとして提供するフィンランドのLibraries.fiが、2021年4月28日付の記事において、フィンランドの教育文化省からの助成を受けて行っている「公共図書館におけるデジタルメディアのサービスコンセプト」に係るプロジェクトの紹介を行っています。

同プロジェクトは、現在の図書館の電子資料の利用可能性は自治体によって異なっており、利用者にとっても職員にとっても利用が難しいという課題認識のもと行われています。

広告会社WPPのコンサルティング部門Kantar TNSが、2021年1月22日から2月4日にかけて実施した調査では、図書館の電子サービスにおいて利用者が重視するのは「質」や「使いやすさ」であるものの、回答者の56%が図書館のオンラインサービスに全く、もしくは、あまり関心がないと回答する等、図書館の提供している電子サービスが時代に追い付いていないとし、第1段階まで終了した同プロジェクトでは、より幅広い資料にアクセスできるよう、全ての関係者(出版社、フィンランド出版協会、作家団体)と協力し、電子サービスを調整する単一の運営体を設置することを推奨しています。

フィンランド・タンペレのトラックの車体を用いて製作された新しい移動図書館:図書の展示や映画鑑賞会も可能(記事紹介)

オンラインサービスへのアクセスを図書館ネットワークとして提供するフィンランドのLibraries.fiが、2021年4月20日付けの記事において、タンペレの図書館が新しく導入した移動図書館Kosmosの紹介を行っています。

2021年1月から巡回を開始したKosmosの名称は公募によって選ばれ、通常のようなバスではなくトラックの車体を用いて製作されています。その理由は、タンペレの中央図書館であるMetsoの荷物の積み降ろし場所の構造の特徴によるもので、資料の搬入は車体の後部から行われます。

一方で、トラックを用いたことで広いスペースを用いた図書の展示が可能となり、人々が以前より多く本を借りることが期待されているとのことです。内装も簡単に変更でき、書架の棚も必要に応じて取り外すことが可能です。プロジェクターやスクリーン、ムード照明等も用意されていることから、映画鑑賞会やディスコといった企画も可能です。

車体のデザインは、グラフィックデザイナー・イラストレーター・児童文学作家であるNora Surojegin氏が手掛けたものです。

フィンランド国立図書館、17世紀から18世紀にかけての秘密出版物をデジタル化し公開

2021年4月12日、フィンランド国立図書館が、17世紀から18世紀にかけての欧州における「秘密出版物(clandestine literature)」をデジタル化し公開したことを発表しました。

「秘密出版物」は、内容における宗教上・政治上の理由等から印刷が許可されなかったものを指しています。欧州の図書館には合計384タイトルの秘密出版物が保存されており、多くはフランスの図書館が所蔵しています。

今回デジタル化が行われたのは、フランス語・ドイツ語・ラテン語の手稿55タイトルです。発表によると、インペリアル・アレクサンダー大学(現・フィンランドのヘルシンキ大学)が、1833年にロシアのサンクトペテルブルクから寄贈を受けたコレクションの中に含まれていた資料です。

また、当面の間はスキャン画像のみの公開ですが、同資料のテキスト化に関するプロジェクトの実施を計画していると述べています。

フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、論文処理費用(APC)支出状況モニタリングの動機・課題等に関するプロジェクトの報告書を公開

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”は、2021年2月26日付で、論文処理費用(APC)に関するプロジェクトの報告書“Kirjoittajamaksut ja niiden seuranta: havaintoja ja kehitysehdotuksia”の公開を発表しました。

同報告書は、FinElibが2019年から2020年にかけて加盟機関を対象に実施した、APC支出状況のモニタリングに関する動機・課題等の調査結果を報告する内容です。報告書はフィンランド語で作成されていますが、主要な結論の要約や機関・利害関係者向けの推奨事項を示した英語によるExecutive Summaryが付されています。

フィンランド国立図書館、コレクション構築に関する新方針と2021年から2024年までのデジタル化計画を発表

2021年2月11日、フィンランド国立図書館は、コレクション構築に関する新方針と2021年から2024年までのデジタル化計画の公開を発表しました。

公開されたコレクション構築に関する新方針は、同館のコレクションと学術研究、科学の透明性との間の密接な相互関係を強調する内容で作成されました。フィンランドの文化遺産の永久保存と公共利用、特に人文学・社会科学分野の研究のニーズに応じた多言語の研究用資料の構築などが示されています。また、オープンサイエンス・オープンリサーチの推進のため、ライセンス購読制の電子リソースを削減し、オープンアクセス(OA)出版に基づいて研究成果を公開する資金調達モデルに対する支援の方針を明らかにしています。その他、著作権法や関連する合意に基づいて、独自にデジタル化した資料の利用公開を促進すること、研究者が必要とするフォーマットによるコレクション提供の方法を検討することなどについて言及しています。

フィンランド・ヘルシンキ市、ヘルシンキ都市圏図書館(HelMet)に属する図書館のブックコートフィルムをバイオプラスチック製に変更すると発表

2021年2月12日、フィンランド・ヘルシンキ市が、ヘルシンキ都市圏図書館(HelMet)に属する図書館のブックコートフィルムを植物由来のバイオプラスチック製に変更すると発表しました。対象となるのは、ヘルシンキ市、エスポー市、ヴァンター市、カウニアイネン市の64館です。

ブックコートは本を長持ちさせて環境への影響を軽減する一方で、環境問題につながるプラスチック製フィルムに代わる高品質な素材を求めることはこれまで困難であったところ、同国の企業が新しく開発したサトウキビ由来のバイオエタノールを原料とした素材が条件を満たすものであり、図書館関係企業で販売されるフィルムもバイオプラスチック製のものに切り替わることが紹介されています。

また、図書館においては、ブックコートをしない場合の本の耐久性に関する調査を2020年3月から行っており、コロナ禍でのロックダウンにともなう本の流通量不足により、現在も調査を継続中です。雑誌や安価なペーパーバックといったすぐに古くなる資料や、余り貸し出されない参考図書についてはブックコートをしないでも良いが、児童書や移動図書館で用いる本はブックコートが必要という図書館の考えも紹介されています。

フィンランド国立図書館、2021年から2030年までの新戦略を発表

2021年2月2日、フィンランド国立図書館は、2021年から2030年までの同館の新戦略を発表しました。

フィンランド国立図書館は、オープンサイエンスの推進や運営・サービス開発等における「オープン(Openness)」、図書館サービスの質・利用者志向性・公平性の改善などの「刷新(Renewal)」、情報への平等なアクセスと学術研究成果の普及を基盤とした「教養(Bildung)」を2021年から2030年までの図書館運営の基礎にすることを、同戦略の中で表明しました。オープンな図書館運営で、様々な領域で刷新を図ることにより、フィンランド社会における教養の地位の強化を目指して、次の4領域を戦略的選択と開発に取り組む分野としています。

1. 公共の利益のための文化遺産
2. 学術コミュニティの中心としての国立図書館
3. 教養・学習基盤としての国立図書館
4. ネットワーク連携を通した強靭な専門知のハブの創出

新戦略の全文は、フィンランド国立図書館が運営するリポジトリ“Doria”で公開されています。

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