世界知的所有権機関(WIPO)の第27回の著作権・著作隣接権常任委員会(Standing Committee on Copyright and Related Rights; SCCR)が開催されました。2014年4月28日から5月2日にかけて、図書館やアーカイブにおける著作権の権利制限等について議論が行われたとのことですが、5月3日の午前に、EUの提言により議論が紛糾したとのことです。これに対し、欧州、ラテンアメリカ、アフリカ、オーストラリア、米国、カナダ、英国の図書館やアーカイブの代表団体である、国際図書館連盟(IFLA)、欧州研究図書館協会(LIBER)、国際公文書館会議(ICA)、図書館電子情報財団(EIFL)、英国の図書館・情報専門家協会(CILIP)などが共同で声明を発表しています。
2013年12月16日から20日まで,第26回世界知的所有権機関(WIPO)著作権等常設委員会(SCCR)が開催され,放送機関の保護,教育・研究機関及び視覚障害者等(E1455参照)以外の障害者に関する著作権の権利制限のほかに,図書館及び文書館の利用を促進するための著作権の権利制限が議題とされた。このうち,図書館等に関する著作権の権利制限は2日間にわたって議論されたが,本格的に議論されたのは初めてであった。この議論の背景には,WIPO加盟国の間で著作権の権利制限など図書館等での利用を合法化するための規定が異なるために,国境を越えた図書館等による資料等の複製,交換などの利用が円滑に進まない場合があることから,図書館等に関する著作権の権利制限の国際条約の創設の必要性があった。2008年11月に開催された第17回SCCRで研究発表された,コロンビア大学著作権アドバイザリーオフィスのクルーズ(Kenneth D. Crews)ディレクターの報告によれば,条文の翻訳を入手できたWIPO加盟国149か国のうち,著作権法に図書館に関する何らかの著作権の権利制限の規定がある国は128か国だった。しかし,その権利制限の内容は,図書館による複製一般にわたるものから,研究目的の複製に限定するもの,図書館間貸出しを認めるもの,資料保存目的の複製を認めるものなど,国ごとに様々であった。...
2013年12月16日から12月20日にかけて、世界知的所有権機関(WIPO)の第26回の著作権・著作隣接権常任委員会(Standing Committee on Copyright and Related Rights; SCCR)が開催されました。今回のSCCRでは、図書館やアーカイブにおける著作権の例外や制限規定、教育や研究機関、障害のある人のための例外や制限規定、放送機関の保護に関する議論などが行われたようです。
Working Document Containing Comments on and Textual Suggestions Towards an Appropriate International Legal Instrument (in whatever form) on Exceptions and Limitations for Libraries and Archives(SCCR/26/3 PDF; 59ページ)
2013年6月にモロッコのマラケシュで開催された世界知的所有権機関(WIPO)の外交会議で,「盲人,視覚障害者及び読字障害者の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約(Marrakesh Treaty to Facilitate Access to Published Works for Persons who are Blind, Visually Impaired, or otherwise Print Disabled,訳はWIPO日本事務所による)」が日本を含む186の全加盟国の合意を得て成立した(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会が同条約草案の日本語仮訳をウェブサイトに掲載している)。この新条約により,国際障害者年(1981年)の前後から始まった障害者の知識アクセスを保障するための著作権法のありかたを巡る30年余にわたる国際的な議論は,新しい段階に進むことになった。...
WIPO Advances Toward Treaty to Facilitate Access to Published Works by Persons with Print Disabilities(DAISY Consortium 2012/12/21付けニュース) http://www.daisy.org/node/18727
WIPO Advances Toward Treaty to Facilitate Access to Published Works by Persons with Print Disabilities, Morocco Offers to Host Diplomatic Conference(WIPO 2012/12/18付けプレスリリース)
2010年11月に開始した“TIGAR”(Trusted Intermediary Global Accessible Resources)プロジェクトが、これまでの成果についてまとめた2012年7月付けのペーパーを公表しました。TIGARは、世界知的所有権機関(WIPO)、世界盲人連合(WBU)、DAISYコンソーシアム、国際図書館連盟(IFLA)等が参加するプロジェクトで、視覚障害者等の支援を目指して、(著作権が切れていない)書籍や電子書籍をアクセシブルなフォーマットで国際的に流通させるための活動を行っています。今回公表されたペーパーでは以下の成果が挙げられています。