研究図書館

オープンアクセス誌を発行する出版者(文献紹介)

オープンアクセスの査読誌PLOS ONEに、2020年6月5日付けで、オープンアクセス誌を発行する出版者について調査した論文” Open access publishers: The new players”が掲載されています。

論文では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌を刊行する出版者とAPCについて調査が実施されています。調査では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌において、一部商業出版社が大きな割合を占めることが報告されています。特にSpringer Natureはジャーナル件数では全体の35%、論文件数では全体の65%を占めています。APCについては、医学分野のオープンアクセス誌が最も高額であることが報告されています。一方、27%のオープンアクセス誌はAPCを要しません。

著者らは、学術コミュニケーションシステムを制御しかねない商業出版社による寡占の存在を指摘しています。さらに、研究者が何をどこに出版するか決定する力をほとんど持たない依存の状態を生み出していると結論付けています。

英・Jisc、デジタルコレクション購入に関する出版社との契約交渉に携わる図書館員向けのガイドを公開

2020年6月15日、英国のJiscは、デジタルコレクション購入に関する出版社との契約交渉に携わる図書館員向けのガイドとして、“Purchasing digital archives:Guidelines for librarians when negotiating with publishers”を公開したことを発表しました。

英国の高等教育機関において、一次資料をアーカイブしたデジタルコレクションは学習・教育・研究の場で活用が進んでいます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で教育のオンライン化が進展したため需要がさらに増加することが見込まれる一方、感染症がもたらした機関への財政的影響を受ける可能性も懸念され、大学図書館・研究図書館による経済的に持続可能なデジタルコレクション提供の重要性はこれまで以上に高まっています。

過去の調査によると、英国の半数近くの大学図書館・研究図書館では、こうしたコレクションの購入1回当たりに10万ポンド以上の費用を費やしていることが明らかになっています。また、デジタルコレクションをホスティングする出版社が図書館向けに設定する価格に透明性がないこと、買い切り契約したコンテンツのプラットフォーム維持費として継続した費用負担が発生することに図書館が不満を抱いていること、などが報告されています。

E2272 - データサイエンス,機械学習,AIの責任ある運用のために

2019年12月,OCLC Researchはポジションペーパー “Responsible Operations: data science, machine learning, AI in libraries” を発表した。近年,データサイエンス,機械学習,人工知能(AI)といった大量のデータに基づいた判断処理を可能とするアルゴリズムによる手法への注目が集まっている。これらの技術は,例えば蔵書点検業務の自動化や,利用者の情報発見支援などの領域で用いられ始めている。本ペーパーは,図書館コミュニティでのデータサイエンス,機械学習,AIの運用方針決定に貢献することを目的としており,米国を中心とした70人を越える図書館員や大学・美術館・博物館などの組織の専門家からなるグループの協力のもとで作成された。

米・テンプル大学図書館のSFコレクションのデジタル化(記事紹介)

2020年6月15日、テンプル大学図書館が、同大学が実施しているSF作品コレクションのデジタル化プロジェクトに関する記事を掲載しました。

同プロジェクトは、同館が所蔵する数百点のSF作品を新しいフォーマットで保存し、研究者がより多くの作品を一度に分析できるようにするために行われています。対象は、同大学のチャールズ図書館が持つSF作品コレクションのうちの一部です。このコレクションは、同大学の卒業生であるパスコウ氏(David Paskow)の個人蔵書からSF作品のペーパーバック5,000点の寄贈を受けたことを契機として構築が開始されました。

デジタル化作業では、資料のスキャンに加え、光学式文字認識(OCR)処理も行われています。また、記事の中では、今回のデジタル化プロジェクトは、SF作品を含むフィクションという軽視されることの多い分野に、研究者の注意を引くのを助けるだろうと述べられています。

2年間でデジタル化されたSF作品は300点ほどであり、同館内の端末で閲覧が可能です。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を受け、同大学はHathiTrust Digital Libraryにもデータのアップロードを行いました。

米国南東部研究図書館協会(ASERL)、2020年から2023年までの戦略的方向性を示した新計画“ASERL Ahead: Strategic Directions for 2020-2023”を発表

2020年6月18日、米国南東部研究図書館協会(ASERL)は、2020年から2023年までの戦略的方向性を示したASERLの新計画として、“ASERL Ahead: Strategic Directions for 2020-2023”を発表しました。

ASERLの新計画は、多様な図書館職員の採用と維持、図書館提供の情報・サービス・企画・空間への公平なアクセスといった、多様性・公平性・包摂性の問題への取組みの強化に焦点が当てられ、次の4点を主要な活動領域として設定しています。

・イノベーションや影響力の強い取り組みへの促進の継続
・多様性・公平性・包摂性の問題への重点的な取組み
・会員機関への十分な関与
・組織基盤の強化

ASERL News & Announcements(ASERL)
http://www.aserl.org/news/
※2020-06-18付のお知らせとして“ASERL launches “ASERL Ahead: Strategic Directions 2020-2023””とあります

欧州研究図書館協会(LIBER)、図書館建築関係者のためのウェブサイト“Library buildings in Europe”を公開

2020年6月22日、欧州研究図書館協会(LIBER)とLIBERの建築部会(LIBER Architecture Group:LAG) が、図書館建築関係者のためのウェブサイト“Library buildings in Europe”を公開しました。

新築・増築・改修・館内空間の再構築といった図書館建築プロジェクトに携わる人が、同ウェブサイトに掲載された写真や情報を見ることで、新しいトレンドを習得し、知識・経験を共有し、お互いに学びコンタクトを取ることを支援することを目的としています。

また、LAGでは、同ウェブサイトの掲載する、模範となる刺激的な図書館(国立図書館・大学図書館・研究図書館や研究コレクションを持つ公共図書館、国立公文書館)について、12枚の画像とともに電子メールでの情報提供を求めています。ウェブサイトへの掲載については同部会が決定します。

学術出版協会(SSP)、学術出版界において役割ごとに必要とされる専門職としてのスキル等をマッピングしたキャリア開発のためのツール“Professional Skills Map”を公開

2020年6月17日、学術出版界の部門間のコミュニケーション促進等を目的に活動する非営利団体・学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)は、学術出版界において役割ごとに必要とされる専門職としてのスキル等をマッピングしたキャリア開発のためのツール“Professional Skills Map”を公開したことを発表しました。

“Professional Skills Map”は、どのようなキャリア段階にいるユーザーであっても、その役割を発見し、キャリアアップに必要な要素を直接比較可能になるツールとして、学術出版界では初めての試みとして開発されました。ツールは会員メンバー等235人に対して、SSPが電子メールやソーシャルメディア上で実施した、それぞれの役割に求められる専門的技能に関する調査に基づいて作成されています。調査は、所属組織の種類、現在の役割が扱う領域、肩書き、学術出版界での所属年数や、現在までのキャリアアップと将来のキャリア開発に関連する複数の個人的特性とスキルの回答を求めて、2019年後半に実施されました。

米・LYRASIS、米国の図書館におけるオープンコンテンツへの取組状況を調査した報告書を公表

2020年6月18日、米国の図書館等のネットワークLYRASISは、米国の図書館におけるオープンコンテンツへの取組状況を調査した報告書“Understanding the Landscape of Open Content Activities in United States Libraries”を公表しました。

調査は、オープンアクセス(OA)スカラシップ、オープンデータ、オープン教育資源(OER)に関する取組や財政支援の実施状況に焦点を当てた内容となっています。LYRASISのメンバー館等を対象として2020年1月31日から3月22日にかけオンラインで実施され、回答者は質問計30問への回答を求められました。計224の回答が寄せられ、空白回答や同一機関のメンバーからの重複回答の削除を経て、計166の回答が分析に用いられました。

報告書では、OAスカラシップのための機関リポジトリは広く学術図書館で採用されているが教員による学術コンテンツの登録は限定的であること、外部のOAイニシアチブへの財政支援を実施している機関は少ないこと、多くの大学図書館は機関リポジトリでOERへのアクセス提供を行っていないこと等の調査結果が図表を用いて示されています。また、調査に用いた質問票がPDF形式で、回答データがExcel及びCSV形式で公開されています。

ドイツ経済学中央図書館(ZBW)、オープンソースの図書館サービスプラットフォームFOLIOを同館の電子資料管理に導入

2020年6月18日、ドイツ経済学中央図書館(ZBW)は、オープンソースの図書館サービスプラットフォームFOLIOを同館の電子資料管理に導入したことを発表しました。

2016年から始動したFOLIOのイニシアチブにおいて、ドイツでは北部を中心とした図書館ネットワーク“Gemeinsamer Bibliotheksverbund(GBV)”が当初から開発パートナーとして参加し、ZBWはGBVの一員として2017年から開発コミュニティに加わりました。特にZBWはFOLIOの「電子リソース管理」に関するワーキンググループの試行図書館として、GBVと緊密に連携しながら協力しています。

今回の決定により、ZBWはFOLIOの電子リソース管理モジュールを実務で運用する、ドイツおよび世界でもごく早期の事例となります。ZBWはGBVと連携しながら、今後数か月をかけて、FOLIOを同館のネットワークサービスや既存のドイツ国内のシステムに統合する作業を進めます。統合の内容として、共同目録K10plusとFOLIOとの間のデータのインポート・エクスポートを行うためのインタフェース開発や、ドイツ国内の電子リソースのライセンス契約を共同管理するためのシステムLAS:eRとの連携が挙げられています。

英・Jiscと英国大学協会(UUK)、主要学術出版社に対して新型コロナウイルス感染症により各機関が直面する財政危機を考慮して全ての契約料金の25%削減を要請

2020年6月17日、英・Jiscは、英国大学協会(UUK)が招集しJiscの主要な学術出版社との契約交渉の支援を行う“UUK/Jisc content negotiation strategy group”が、主要学術出版社に対して新型コロナウイルス感染症により各機関が直面する深刻な財政危機を考慮して、全ての契約料金を25%削減するように要請したことを発表しました。

“UUK/Jisc content negotiation strategy group”は、学術出版社へ提出した共同書簡の中で、感染症拡大の早期の時点から学術出版社がコンテンツやコレクションを開放し、高等教育機関へ多大な支援を提供していることを認識しつつ、現在各機関の焦点は学期が開始する2020年9月のコンテンツのオンライン配信に向けた準備と、配信に必要な予算の効率性を考慮した上でアクセス維持が可能なデジタルコンテンツを検討することにあることを訴えています。その上で、各機関にとって有意義な選択肢を与える柔軟な価格設定を提示できるように、Jiscと協力して料金の削減を実施するように促しています。

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