研究図書館

Springer Nature社とスイスの大学の連合団体swissuniversities、“Read and Publish”契約に最終合意

2020年7月1日、Springer Nature社とスイス学術図書館コンソーシアム(Consortium of Swiss Academic Libraries:CSAL)は、2020年4月に取り交わされた覚書を受けて、同社とスイスの大学の連合団体swissuniversitiesとの“Read and Publish”契約が最終合意に至ったことを発表しました。

同契約は2022年12月31日まで有効な3年間の契約です。契約期間中、swissuniversities及びCSALの契約参加機関に所属する著者は、自身の研究成果を2,200誌以上のSpringer Nature社のハイブリッド誌で即時オープンアクセス(OA)化することが可能になります。また、SpringerLink上で公開された全ての研究成果にアクセス可能となります。

同契約はSpringer Nature社にとって、国レベルで転換契約を締結した11番目の事例となります。また、2024年までに研究成果の100%OA化を目指すswissuniversitiesにとって、2020年5月に締結されたElsevier社との契約に続く2番目の大手学術出版社とのOA出版に関する契約となります。

契約書の全文はCSALのウェブサイトで公開されています。

新型コロナウイルス感染症拡大下における米国の大学出版局(記事紹介)

2020年6月24日付で、米・Ithaka S+Rは、新型コロナウイルス感染症拡大下における米国内の大学出版局の状況について、重役相当の役職者とディスカッションを実施した結果を報告する記事を公開しました。

Ithaka S+Rは、規模の大小や公私にかかわらず、米国内の大学出版局における重役相当の役職者11人と、遠隔勤務への転換をめぐる現実的な対応から、新型コロナウイルス感染症が現在・将来の計画に与える影響まで、幅広いテーマについてディスカッションを実施しました。ディスカッションの結果として、大半の大学出版局では、円滑に遠隔勤務への移行が進み、社員の士気も高く、生産性の向上が見られることを報告しています。

一方で、6月末に決算を迎える多くの大学出版局では、感染症防止のためのロックダウンの影響による第4四半期の印刷版図書の売上不振のため、5%から15%の収益減が見込まれること、全ての大学出版局で出張や会議の一時停止による経費削減が試みられ、給与支払の凍結や社員の一時的な無給の自宅待機等の措置を講じるところも現れていることなどを報告しています。また、今後の見通しとして、次期会計年度の収益は20%から40%減少するという悲観的な見方をとる回答が多かったこと、図書館に対して電子資料へ投じる予算の増加を期待していることなども合わせて報告しています。

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、加盟機関における新型コロナウイルス感染症への対応とデジタルシフトの状況を調査したレポートを公表

2020年7月1日、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)は、加盟機関における新型コロナウイルス感染症への対応とデジタルシフト(デジタルへの移行)の状況を調査したレポート“Covid19 and the digital shift in action”を公表しました。

このレポートは、2020年4月から6月までの間にRLUKが17の加盟機関に対し実施したインタビューと、2020年5月から6月にかけて実施した研究図書館コミュニティに対する2つの定量的調査の結果に基づいています。後者では、累計で約400件の回答が得られました。

カナダ研究図書館協会(CARL)、カナダの高等教育機関によるオープンエデュケーションサービスへの支援状況について調査した報告書を公開

2020年6月29日、カナダ研究図書館協会(CARL)のオープンエデュケーションワーキンググループ(OEWG)が、カナダの高等教育機関によるオープンエデュケーションサービスへの支援状況について調査した報告書を公開しました。

調査は、オープンエデュケーション、特に、オープン教育資源(OER)に利用に関し、大学図書館・研究図書館が果たした役割を明らかにする事を目的としたものです。2019年6月から12月にかけて、250を超す高等教育機関を対象に、主にウェブサイトで公開されている情報をオープンエデュケーションサービスへの支援方法に関する調査が行われました。

報告書には支援方法、サービス内容、技術、成功事例に関する概要や分析が掲載されています。

ウェブサイトで公開されている情報による調査であるため、重要な取組を見落としている可能性があることから、調査プロジェクトがデータ収集のために用いているスプレッドシートにコメントするよう依頼しています。

韓国のコンソーシアムKESLI、学術出版社に対し、新型コロナウイルス感染症による予算削減に図書館界が対応するための協力を要請する公開書簡を発表

2020年6月30、韓国科学技術情報研究院(KISTI)が所管する、電子情報の共同購入のためのコンソーシアムKESLI(Korean Electronic Site License Initiative)が、学術出版社に対して公開書簡を発表しました。

公開書簡では、同国をはじめとする12か国の科学技術担当大臣による新型コロナウイルス感染症関連の出版物やデータへの即時のアクセスや再利用の要求や、図書館団体等による幅広いアクセスへの要求に対して協力した出版社に感謝の意を表すとともに、新型コロナウイルス感染症対応のため図書館の予算が減少する現下の状況においても、引き続き知識の共有と協力が可能となるよう、電子情報の提供者に対し以下の要請を行っています。

・全世界の公衆衛生や経済の危機が回復するまでの購読料の値下げ
・購読更新期限の延長や支払期限の延長
・オンライン情報へのリモートアクセスの拡大および代替認証方法の開発提供
・購読コンテンツの制限(同時アクセス数、相互貸借、複写)の一時的緩和
・オープンアクセス(OA)出版の拡大

オランダ科学研究機構(NWO)、同機構の助成規則におけるPlan S実施のための指針を発表

2020年7月1日、オランダ科学研究機構(NWO)は、2021年1月1日のPlan S発効に先立ち、研究者に十分な準備期間を与える目的で、NWOの助成規則におけるPlan S実施のための指針を発表しました。

NWOでは2015年以降、助成を受けた研究成果は全てオープンアクセス(OA)化するポリシーを実施していますが、2021年1月のPlan S発効後は今回発表された指針の枠組みで、2019年5月31日に発表された改訂版のPlan S実現に取り組みます。

NWOは2021年1月1日以降に公表された助成成果に当たる研究論文は、クリエイティブ・コモンズのCC BYライセンスの下で、エンバーゴの付かない即時OAとしなければならず、即時OA化は以下の3種類のいずれかの方法をとらなければならないとしています。

北米の研究図書館センター(CRL)のLatin American Materials Project(LAMP)、19世紀頃に刊行されたペルーの新聞2紙をデジタル化

2020年6月23日、北米の研究図書館センター(CRL)は、Latin American Materials Project(LAMP)が19世紀頃にペルーのアレキパで刊行された新聞“el Republicano”と“la Bolsa”の2紙のデジタル化を実施したことを発表しました。

LAMPは、貴重なラテンアメリカ地域の研究資料をマイクロフィルム化デジタル化して収集・保存・維持し会員向けに提供するCRLのプロジェクトです。アレキパはペルー第二の都市であり、2紙に収録された内容は、同国の19世紀初めから20世紀初めにかけての国・地方レベルの政治的議論における様々な側面を示したものである、としています。

2紙の原資料はアレキパ市内の3図書館で別々に保存されていましたが、アレキパ市内の大学に所属する研究者がLAMPへ提案し、原資料の集約とデジタル化が実現しました。

米・クレアモント神学校、Internet Archive(IA)の電子書籍貸出プログラム“Open Library”で利用可能にする目的で約25万冊の宗教研究関連書籍を寄贈

2020年6月8日、米国カリフォルニア州の博士号授与機関であるクレアモント神学校(Claremont School of Theology)は、同校図書館のフィリップス(Thomas E. Phillips)館長が米国神学図書館協会のメーリングリストに送信したメールを引用する形で、Internet Archive(IA)の電子書籍貸出プログラム“Open Library”で利用可能にする目的で約25万冊の宗教研究関連書籍をIAに寄贈したことを発表しました。

“Open Library”は、IAが図書館所蔵資料をデジタル化した電子的な複製物を「1部1ユーザー」で貸出する“Controlled Digital Lending”の技術を利用して実施する電子書籍貸出プログラムです。同校が寄贈したコレクションは2021年1月1日頃からOpen Libraryで利用可能になり始め、今後2年以内にコレクション全体のデジタル化が完了することが予定されています。同校のコレクションは米国西部における宗教学分野のものとしては特に定評のあるものです。この寄贈は同校がオレゴン州セーラムのウィラメット大学構内へ移転することにより、ロサンゼルス地区の研究者の資料アクセスが不便になることへの対応として行われました。

Knowledge Unlatched(KU)、OpenAPCのデータセットの収録範囲が単行書のオープンアクセス化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表

2020年6月30日、Knowledge Unlatched(KU)は、機関が実際に支払した論文処理費用(APC)のデータセットを提供するイニシアチブ“OpenAPC”とともに、OpenAPCの提供するデータセットの収録範囲が単行書オープンアクセス(OA)化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表しました。

OpenAPCは、OA出版物のAPCの透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”の一部を構成するイニシアチブで、ドイツのビーレフェルト大学図書館が運営しています。今回の初めてのOpenAPCへのBPCの登録では、KUの共同出資による選書プログラムの下で、KUが出版社に支払した全ての費用に関する約1,000冊相当のデータが含まれています。また、KUが資金を募っているその他のコレクションについても、詳細な支払関連データを共有することが予定されています。KUは、自身のOpenAPCへの貢献により、OA単行書のための新しいデータベースが立ち上げられた、としています。

BPCを含んだデータセットは、OpenAPCイニシアチブのウェブサイトで公開されています。2020年夏以降に現在のデータセットからの拡張が予定されています。

米・SPARC、Internet Archive(IA)による“Controlled Digital Lending”に基づく事業への支持を表明

2020年6月29日、米・SPARCはウェブサイト上で、Internet Archive(IA)による“Controlled Digital Lending”に基づく事業への支持を表明しました。

SPARCの声明は、2020年6月に複数の出版社がInternet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴したことを受けて発されました。SPARCはIAが世界中の知へのアクセスの民主化にとって重要な役割を果たしていることを指摘した上で、冊子体の図書館の貸出を模して電子的な複製物を「1部1ユーザー」で貸出するIAの“Controlled Digital Lending”は、新型コロナウイルス感染症による危機の中で学生・教員・研究者を支援する学術図書館にとっても特に重要な意義を持つものとして言及しています。

SPARCは、IAの“Controlled Digital Lending”に基づく事業を擁護する立場表明(Position Statement)へ他の図書館コミュニティとともに署名済であり、未署名の図書館関係者へも署名を奨励することを明らかにしながら、“Controlled Digital Lending”への支持を表明しています。

ページ