英国

北米及び英国の公共図書館とウォーキングプログラム(文献紹介)

2019年5月に発行されたInternational Journal of Environmental Research and Public Health誌の16巻10号に、公共図書館のウォーキングプログラムについて調査した論考“Public Libraries and Walkable Neighborhoods”が掲載されています。

米・ノースカロライナ大学グリーンズボロ校図書館情報学部のNoah Lenstra氏等によるもので、北米及び英国の公共図書館を対象に、公衆衛生に係わって、地域のウォーキングプログラムへの公共図書館の貢献度を調査することを目的としたものです。

同文献では、地域のウォーキングプログラムに対して、公共図書館は、

・小説や地域の歴史とウォーキングプログラムを結びつける資源として
・フィットネスクラブ等がない地域のコミュニティーセンターとして
・地域のウォーキングクラブの活動や公衆衛生の研究者の研究の提携先として
・歩きやすいルートの目的地として

貢献していることを指摘しています。

【イベント】写真史料をめぐる国際研究集会「在外写真史料の研究と歴史学」(6/27・東京)

2019年6月27日、東京都文京区の東京大学史料編纂所において、同所の古写真研究プロジェクト主催による、写真史料をめぐる国際研究集会「在外写真史料の研究と歴史学」が開催されます。

同所が進めている、国内外の写真史料(古写真)を対象とした調査・研究に係わって、在外日本関係写真史料の調査・研究成果を発表するとともに、来日中の写真史研究者ルーク・ガートラン氏による講演が行われます。

参加費は無料ですが、事前の申し込みが必要です。

内容は以下の通りです。

報告1
保谷 徹氏(東京大学史料編纂所)
「高精細画像でみる幕末・明治初期日本―ブルガー&モーザーのガラス原板コレクション」

報告2
谷 昭佳氏(東京大学史料編纂所)
「写真による幕末維新期の日本イメージの形成-英・仏・独・瑞・伊・墺・露のオリジナルコレクションから」

FIFA女子ワールドカップ2019と“UK Web Archive”:収集するウェブコンテンツを募集(記事紹介)

2019年6月7日から7月7日にかけてフランスで行われる「FIFA女子ワールドカップ2019」にちなみ、英国図書館(BL)等が運営しているウェブアーカイブ“UK Web Archive”のブログ(2019年5月28日付)が、FIFA女子ワールドカップと“UK Web Archive”に関する記事を投稿しています。

伝統的に女子スポーツがメディアで取り上げられることは少なかったが、近年は変化が見られ、“UK Web Archive”で収集されたデータを分析した結果では、FIFA女子ワールドカップ関連情報が1999年には11件であったのが、2007年・2011年と英国代表が参加した後の2011年の収集データでは4,930件へと増加していること等が指摘されています。

一方で、“UK Web Archive”のコレクションでは性別による区別は行われていないが、マスコミを含む社会の男女平等の欠如により男女のバランスが崩れていることも指摘し、言語を問わず、英国で発信されたFIFA女子ワールドカップ2019関連のウェブページを発見した場合、公募フォームから知らせるよう依頼しています。

【イベント】国際カンファレンス「保存から行動へ:日英ゲーム展示の最前線~英国ナショナル・ビデオゲーム・ミュージアムと城陽市歴史民俗資料館の取組みから読み解くその可能性~」(5/31・京都)

2019年5月31日、立命館大学衣笠キャンパスにおいて、英国バーススパ大学及び立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)主催の国際カンファレンス「保存から行動へ:日英ゲーム展示の最前線~英国ナショナル・ビデオゲーム・ミュージアムと城陽市歴史民俗資料館の取組みから読み解くその可能性~」が開催されます。

ゲーム展示の先進的な事例について検証することを目的とした国際カンファレンスです。

当日誰でも参加可能で、内容は以下の通りです。

・講演(1)ナショナル・ビデオゲーム・ミュージアムの形成と展開
サイモンズ氏(Iain Simon)(英・ナショナル・ビデオゲーム・ミュージアム ディレクター) 
ニューマン氏(James Newman)(英・バーススパ大学 教授)

・講演(2)夏季特別展 CONTINUE~“ゲーム”90年の歴史~の企画と運営
寺農織苑氏(城陽歴史民俗資料館・学芸員)
上村雅之氏(立命館大学・映像学部・教授/立命館大学ゲーム研究センター長)
毛利仁美氏(立命館大学・文学研究科)

英国図書館(BL)ビジネス・知財センター(Business&IP Centre)、ロンドンの公共図書館において起業家を支援する“Start-ups in London Libraries”プロジェクトの開始を発表

2019年5月2日、英国図書館(BL)のビジネス・知財センター(Business&IP Centre)が“Start-ups in London Libraries”プロジェクトの開始を発表しました。ロンドンの様々な立場の起業家がビジネスアイデアを実現するために必要なスキル・情報・信頼・コネクションを支援する3年間のプロジェクトです。

経済的効果をもたらした、BLによる国内13のビジネス・知財センターとの全国ネットワークをモデルに構築されたもので、欧州地域開発基金(ERDF)の助成を受け、10のロンドン自治区と連携して、60を超す公共図書館において5月から無料で開始されます。

専門的な研修を受講した図書館員と今回新たに指名された“SME Champions”が、ビジネスの専門家と協働で、無料のワークショップとイベントによる包括的プログラム、営業秘密情報に関するセッション、条件・目的に即した対面式のアドバイス等を提供します。参加館では、ビジネス情報資源に無料でアクセス(walk-in access)することも可能です。

同プロジェクトが成功すれば、英国の起業家精神を民主化するというBLのミッションの一環として、33のすべてのロンドン自治区や全国規模に展開されるだろうとしています。

100年超分の論文引用データを機械的に抽出・整形 BMJとScholarcyの取り組み

論文閲読補助サービスScholarcyが、BMJ社の依頼を受け同社の発行する雑誌に掲載された100年超分の論文の引用データを機械的に抽出・整形したプロジェクトの概要を紹介しています。

BMJ社はI4OCに提供・公開する引用データを作成するために、Scholarcyにデータの抽出・整形を依頼したとのことです。I4OCで引用データを公開するにはCrossRefのXML形式で引用データを持つ必要がありますが、BMJ社が刊行する雑誌の過去分については、PDFデータしか存在しないものが多数ありました。そこでBMJ創刊当時の1840年代から1998年までの約20万件の論文について、Scholarcyに対しPDFからの引用データの自動抽出と、XML形式への整形が依頼されたとのことです。

「眠れる森の美女」の比喩の妥当性をめぐって科学計量学者と情報科学技術協会(ASIS&T)が論戦

長期間引用されていなかったにもかかわらず、ある時期から急に被引用数が増加する論文は、計量書誌学分野においてしばしば”sleeping beauty”(「眠れる森の美女」)論文と呼ばれてきましたが、この比喩の妥当性についてオランダ・ライデン大学の科学計量学者Ton van Raan氏と、米国の情報科学技術協会(ASIS&T)の雑誌編集部との間で論戦が起こっていることが、英The Guardian紙等で報じられています。

議論の契機はvan Raan氏がASIS&Tの雑誌JASISTに投稿した、医学分野における「眠れる森の美女」論文に関する研究論文が、「眠れる森の美女」という比喩が受け入れられない、という理由で却下されたことにある、とのことです。同誌の編集者はvan Raan氏に対し、この比喩の使用は特に説明を助けるものではなく、また「眠れる森の美女」という比喩が国や文化によって通じない可能性も問題であると述べました。さらに、「眠れる森の美女」という比喩の存在が、論文の引用に女性の純潔性を結びつけるニュアンスをもたらしたことが、他の研究者にも影響し、例えば出版後即座に引用されるもののその後、急激に被引用数が落ちる論文に”smart girl”というラベルを付けた例などが出てきていることも問題である、とされています。

英・JiscとSpringer Nature社、オープンアクセス(OA)出版に関する合意を更新し“Read and publish”契約の締結を発表

2019年4月26日、英国のJiscとSpringer Nature社は、2015年に締結したOAに関する合意を更新し、Plan Sの目的を果たす“Read and Publish”契約締結に至ったことを発表しました。

この契約は従来の購読型の契約をOA出版料に基づく契約に転換するもので、ジャーナルへのアクセスを保証しつつ、英国で生産された学術論文をOA化するコストを削減するものです。

JiscとSpringer Nature社は今後継続して、この契約の評価を進め、学術論文がOAに転換していることを示すエビデンスを収集する、としています。

この契約により、同社のジャーナルで出版された英国の研究成果がOA化される割合は、2018年の74%からさらに増加し、2020年までにはほぼ100%になるものと予想されています。

REFのOAポリシーによって英国の即時オープンアクセスは加速している(文献紹介)

2019年4月17日、英Open Univeristyの機関リポジトリにおいて、オープンアクセス(OA)義務化方針が、研究成果がリポジトリで公開されるまでの期間に与える影響を分析した論文” Do Authors Deposit on Time? Tracking Open Access Policy Compliance”のプレプリントが公開されました。著者は同大学のDrahomira Herrmannova氏ら3名です。同論文については2019年6月開催のJCDL(ディジタル図書館に関する代表的な国際会議)に採択されています。

Herrmannova氏らの調査では、世界のリポジトリに収録されている80万本以上の論文を収集し、出版からリポジトリ収録までの期間がきちんと判別できるようになっているか否かと、リポジトリ公開までの締切りがOA方針に盛り込まれた場合、論文採択からリポジトリ公開までの期間は短くなるかが調査されています。このうち後者について、英Research Excellence Framework (REF)でリポジトリ公開までの締切りを設けたOA方針が定められて以来、英国における採択からリポジトリ公開までの期間が他国に比べて短くなったとされています。ここから、締切りを設けたOA方針は有効であると結論付けられています。

英国図書館(BL)、同館のメタデータに関する2023年までの新戦略“Foundations for the Future”を公開

2019年4月12日、英国図書館(BL)は、2015年の“Unlocking The Value”を後継する、同館のメタデータに関する新戦略“Foundations for the Future”を4月に策定したことを発表しました。

“Foundations for the Future”は、2019年から2023年までの5年間を対象とし、2015年から2018年まで実施された“Unlocking The Value”の成果を継承しながら、システム・規格・アクセス環境等のメタデータに関わる基盤の統一を図ること、現在・将来のニーズに対応させるための古いメタデータ更新やメタデータの作成・マイグレーションによる「隠れた」コンテンツの可視化を通してコレクションの価値を保全し高めること、量や複雑さを増すメタデータへの対処や新しい技術革新を取り入れて効率的で持続的なメタデータ処理体制を実現すること、保存メタデータ・権利メタデータ・管理メタデータなどを充実させること、図書館内での情報交換の促進や図書館員のスキル向上を通してメタデータに関するより良い取り組みを広め支えること等の課題に取り組むとしています。

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