英国

デジタル化された書籍群は出版された書籍群全体を反映しているか:1830年代後半に英国諸島で出版された小説の書誌目録を用いた調査(文献紹介)

プレプリントサーバarXivに2020年9月1日付で、文献“What Library Digitization Leaves Out: Predicting the Availability of Digital Surrogates of English Novels”が公開されています。

この文献は、1836年と1838年に英国諸島で初めて出版された小説の書誌目録を利用し、図書館等がデジタル化した書籍群が、その母集団となる出版された書籍群全体を反映しているかどうかを調査したものです。筆者は米・インディアナ大学ブルーミントン校のAllen Riddell氏と、米・パデュー大学フォートウェイン校のTroy J. Bassett氏です。

調査では、書誌目録所載の書籍について、Internet Archive、HathiTrust、Google Books、英国図書館のデジタルコレクションでのデジタル化の有無を確認しています。調査の結果、デジタル化の対象資料には偏りが見られること、特に男性が執筆した小説や多巻形式で出版された小説は、他の種類の小説に比べデジタル化資料の利用可能率が高いこと等が判明したとし、前後の数十年や別ジャンルにおいても同様の傾向が見られる可能性を指摘しています。

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開

2020年8月27日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、世界各国の1,200人以上の研究者を対象に実施した査読に関する意識調査の結果として、“Peer Review Motivations Report 2020”を公開したことを発表しました。

英国物理学会出版局は、2018年1月から2020年3月に同出版局の雑誌への査読を行った、または査読の依頼を受けたことのある1,200人以上の研究者に対して、査読の動機等に関する意識調査を実施しました。なお、調査対象とした研究者群については、代表標本を構築するため中国の研究者に意図して偏らせたことや、物理学研究者の現状を反映して回答者の86%が男性となったことを留意点として説明しています。調査から得られた主な知見として以下のことを報告しています。

クイーンズ大学ベルファスト校図書館(英国・北アイルランド)、2019年4月から2020年3月における同校の論文処理費用(APC)支出状況を報告

2020年8月27日、英国・北アイルランドのクイーンズ大学ベルファスト校図書館は、同館のオープンアクセス(OA)チームが2019年4月から2020年3月の同校の論文処理費用(APC)支出状況に関するレポートを公開したことを発表しました。

同館は作成されたレポートに基づいて、2019年4月から2020年3月の期間に、ゴールドOAルートで同校から212本の論文が公開され、APCの合計額が23万6,822ポンドであったことを報告しています。また、注目すべき点として、以下の3点を挙げています。

・ハイブリッドジャーナルに支払われるAPCは、完全OAジャーナルに支払われるAPCよりもかなり高額となっている
・全体の76%が完全OAジャーナルへのAPC支出であった
・APCが最も高額であったのは米国化学会(ACS)のハイブリッドジャーナル“ACS pharmacology and translational science”に支払われた4,750ポンドであった

オランダ・ILP Lab、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関するポリシーペーパーを公開:収集における法的課題や複数国の法制度等を調査

2020年8月28日、オランダのThe Glushko & Samuelson Information Law and Policy Lab(ILP Lab)は、ポリシーペーパー“Web harvesting by cultural heritage institutions”の公開を発表しました。

ILP Labは、オランダ・アムステルダム大学情報法研究所(Institute for Information Law)に属しており、学生が運営するイニシアチブです。欧州の情報法分野において、基本的な権利と自由の保護を踏まえた政策解決の発展・促進に携わっています。

このポリシーペーパーは、ILP Labがオランダ国立図書館及びオランダ視聴覚研究所との協力のもと作成したものであり、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関する法制度を策定する際に考慮すべき事項を論じています。作成の背景として、オランダには文化遺産機関がウェブサイト収集を許諾なしに行うための法制度がないためオンラインの文化遺産が収集されず日々失われつつあることを、作成の目的として、現在オランダで進められている法制度導入の検討に資することを挙げています。

英・ケンブリッジ大学図書館、所蔵資料の画像をGoogle Arts and Cultureで公開

2020年8月31日、英・ケンブリッジ大学は、ケンブリッジ大学図書館所蔵資料の画像がGoogle Arts and Culture上で同日から公開されることを発表しました。

同館は、ケンブリッジ大学の機関として初めてGoogle Arts and Cultureに参加しました。同館では2011年からデジタルアーカイブ“Cambridge Digital Library”を公開し、5万点を超えるコンテンツを利用可能としており、今回の参加はコンテンツをさらに利用しやすくするための取組として位置づけられています。

今後もコンテンツの追加を行うこと、ケンブリッジ大学の他機関もGoogle Arts and Cultureに参加する見込みであること等もあわせて紹介されています。

Cambridge University Library joins Google Arts and Culture(University of Cambridge, 2020/8/31)
https://www.cam.ac.uk/stories/UL-on-Google-Arts

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う不確実な情勢下で例年以上の企業買収を進める英・Relxグループ(記事紹介)

英米を中心とした経済ニュース等を扱うウェブサイト“Business Fast”で、2020年8月21日付の英国Financial Times紙による英・Relxグループの2020年の企業買収を解説した記事が紹介されています。

Relxグループは、ロンドン証券取引所(LSE)に上場する時価総額上位100銘柄“FTSE 100”を構成する企業グループで、オランダのElsevier社や米国のLexisNexis社等を傘下に持ち、国際的に出版・イベント事業等を展開しています。記事では、同日に発表されたElsevier社のSciBite社買収がRelxグループにとって2020年8度目の企業買収となり、これによって2020年の第3四半期までに企業買収へ約8億ポンドを費やしたことが報じられています。この金額は2019年1年間にRelxグループが企業買収に費やした費用の約2倍に相当します。

英・ケンブリッジ大学出版局、人種・人種差別・権力の間の複雑な関係を扱った論文等のオンラインコレクション“Race and Power”を無料公開

2020年8月26日、英・ケンブリッジ大学出版局は、オンラインコレクション“Race and Power”の立ち上げを発表しました。人種・人種差別・権力の間の複雑な関係を扱った論文や書籍の章を収録しており、無料で公開されます。

ジョージ・フロイド氏の殺害事件とそれに続く“Black Lives Matter”運動を受けて期間限定で公開された、抗議・警察・人種に焦点を当てたコレクションを発展させたものです。「植民地主義の遺産」「政治と社会運動」「奴隷制度」「健康と医療」「経済、労働と不平等」「文化表象」「過去の清算」といった多様な主題を扱っており、年4回の更新が行われます。

英国工学技術学会(IET)、索引データベースInspecにJ-STAGE収録誌53誌を追加

英国工学技術学会(IET)は、2020年8月14日付けのプレスリリースにおいて、J-STAGEと提携し、IETが作成する工学・物理学・コンピューターサイエンス分野の索引データベースInspecにJ-STAGE収録誌53誌を追加したことを発表しました。

プレスリリースには、対象となったJ-STAGE収録誌のリストも掲載されています。

Elsevier社、生命科学分野等へセマンティック・ソリューションを提供する英国のSciBite社を買収

2020年8月21日、Elsevier社は、生命科学分野等へセマンティック・ソリューションを提供する英国のSciBite社を買収したことを発表しました。

SciBite社は2011年に設立され、構造化の有無によらずテキストやコンテンツから科学的な洞察を抽出し、医薬品・タンパク質・企業・対象・アウトカムといった研究開発上の重要概念を特定するソリューションを提供しています。主要な製品として、人工知能やオントロジーの技術を用いたテキスト解析ツール“TERMite”、セマンティックインデキシング技術による検索機能の改善を提供する“DOCstore”、オントロジー管理のための次世代共同プラットフォーム“CENtree”などがあります。

Elsevier社は買収の目的として、セマンティックかつリッチな機械可読テータを提供するSciBite社のソリューションにより、研究開発におけるユーザーの迅速・効率的な意思決定を加速させることを挙げています。

英・ケンブリッジ大学、UKRIの新オープンアクセス方針案に対するケンブリッジ大学出版局(CUP)との共同回答の内容を報告

2020年8月18日付で、英・ケンブリッジ大学のOffice of Scholarly Communicationによるブログ“Unlocking Research”に、英国の研究助成機関UK Research and Innovation(UKRI)の新オープンアクセス(OA)方針案に対する同大学とケンブリッジ大学出版局(CUP)の共同回答の内容を報告する記事が公開されています。

ケンブリッジ大学はUKRIの新OA方針案に対して、CUPを含む大学内全体の幅広い分野の意見を反映して共同回答を作成し、2020年5月27日にオンラインフォームから回答しました。ブログ記事は共同回答の内容を以下のように要約して報告しています。

・著者の研究成果物に対する著作権保持、学術雑誌・出版社に対する透明性向上の要求、学術情報流通・研究評価基盤としての主要メタデータの重要性など、留保なしに支持できる点が多くある

・最終的な研究成果物へのアクセスを提供する持続的な雑誌出版モデルと研究集約型大学にとっての合理的な価格設定とは両立しがたく持続可能性に欠けるため、UKRIは全ての利害関係者の出版慣行の大幅な転換を支援しつつ、短期的にはより柔軟な方針を採用する必要があると思われる

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