英国

英・Jisc、英国の研究・教育機関向けに無料の3Dスキャニングサービスを提供するパイロット事業を実施

2019年9月9日、英・Jiscは、英・ロンドンを拠点とする技術系スタートアップReality Zero Oneの最新ハードウェアを使用し、英国の研究・教育機関向けに無料の3Dスキャニングサービスを提供するパイロット事業を開始したことを発表しています。

各機関がJiscにスキャン対象を送付すると専門家がスキャニング作業を行う仕組みとなっており、作業への立ち合いも可能です。出力結果のデータは各機関で自由に利用できるとともに、Jiscは運用コストを賄うために他機関へのライセンス供与の権利を保持するとあります。

本事業は、高価かつ複雑なスキャニング設備が希少である高等教育において、格差の解消に寄与するものであるとしています。英・バッキンガム大学の歴史・美術史学部長Sarah Fitzpatrick氏によるコメントも掲載されており、重要作品の高品質画像へのアクセスを学生に提供することは大変楽しみで、学生は芸術的手法と保存・修復に関する詳細な問題をよりよく理解できるようになる、と述べています。

政治学とその関連分野のプレプリントサービス“APSA Preprints”が正式に開始

政治学とその関連分野のプレプリントサービス“APSA Preprints”は、2019年8月28日付けのTwitterにおいて、8月29日からのサービス開始を発表しています。

“APSA Preprints”は、米国政治学会(APSA)と英・ケンブリッジ大学出版局との協力により開発された無料でアクセスできるプレプリントサービスです。ケンブリッジ大学出版局が2019年7月に発表した、研究成果を早期の段階で公開、共有するためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”を利用しています。

2019年5月にベータ版が公開され、2019年8月29日から9月1日にかけて開催されるAPSAの年次会議で正式に開始される予定となっていました。

@APSA_Preprints(Twitter, 2019/8/28)
https://twitter.com/APSA_Preprints/status/1166715898624974850

英国放送協会(BBC)、IT企業等と提携してフェイクニュースへ対抗するための新計画を開始

2019年9月7日、英国放送協会(BBC)はIT企業数社等とともにいわゆる「フェイクニュース」に対抗するための計画を開始したことを発表しました。

これは、反ワクチン論から有権者の投票行動への影響を意図した選挙干渉まで、フェイクニュースの拡散に対して大手のIT企業は十分の対策を講じていないという批判を受けたもので、計画の立案には主要出版社やGoogle、Twitter、Facebookが協力しています。

BBCは2019年夏に提携企業等を招いて開催した会議において、選挙期間中に生命を脅かしたり民主主義を混乱させるような情報を発見した際に相互に警報を発する「早期警報システム」の構築、合同のメディア教育キャンペーン、投票の方法や場所について共通の方法で説明するような選挙に関する市民向け情報発信に関する協力など、フェイクニュースへ対抗するための新計画が策定された、としています。計画に関する詳細な情報は後日公開される予定です。

レゴブロックで「未来の図書館」をつくってレゴランドに行こう:図書館週間にあわせて英国図書館情報専門家協会(CILIP)がコンペを実施

英国図書館情報専門家協会(CILIP)は、2019年10月7日から12日まで行なわれる図書館週間(Libraries Week)にあわせ、英国在住者を対象に、レゴブロックで作成した自身の考える「未来の図書館」のコンペを実施します。

募集期間は2019年9月23日から10月7日までで、図書館週間中に発表される最も革新的で素晴らしい作品には、レゴランド・ウィンザー・リゾートのチケット4枚が授与されます。また、受賞者の住む地域の図書館に対しても500ポンドが寄付されます。

レゴブロックで作成した作品(レゴブロック以外のものも使用可)を写真に撮り、@LibrariesWeekとハッシュタグ#LEGOLibraryを付与してTwitter上で共有することで応募可能です。

Build the Library of the Future(Libraries Week)
http://www.librariesweek.org.uk/library-of-the-future/

英・電子情報保存連合(DPC)に米・イェール大学図書館が加盟

2019年8月20日、英・電子情報保存連合(DPC)は、米・イェール大学図書館がDPCの
associate memberとして加盟したことを発表しました。

イェール大学図書館には2013年以来取り組まれているデジタル保存プログラムにより保存すべきデジタル資産が多数あります。また、デジタル資産の長期保存へ投資する利害関係者コミュニティの活動も活発です。現在同館では、デジタル保存を行う全ての人が気軽に参加できるように、エミュレーションとソフトウェア保存を「平常業務(business as usual)」化する活動や研究データ保存に関する将来の活動を促進させる資金提供計画の検討、デジタル保存の自動化や研究データへのアクセス維持に関わる課題の調整などが取り組まれています。

DPCのExecutive Directorを務めるWilliam Kilbride氏は「イェール大学図書館がDPCと提携を結び、米国の学術コミュニティとDPCとのパートナーシップが強化されることは大変喜ばしい」とコメントしています。

英・シェフィールド大学図書館のファイルフォーマット識別プログラム(記事紹介)

英・電子情報保存連合(DPC)の2019年8月23日付けのブログ記事において、英・シェフィールド大学図書館の学生プロジェクトで開発されたファイルフォーマット識別プログラムが紹介されています。

電子ファイルとともに当該ファイルのメタデータ情報をアーカイブ内で保存するに際し、ファイルフォーマットは重要なメタデータとなりますが、同館ではファイルフォーマットの識別を可能な限り自動化するために、“Sheffield Library Information Metadata program”(SLIM)というPython製プログラムを開発しました。

SLIMは複数のファイルフォーマット識別ツールを組み合わせて使用しており、それらの結果が一致する場合は特定されたとみなし、一致しなかった場合は、最も多い結果を示すとともにフラグを立てる仕組みとなっています。現在使用している識別ツールとして、JHOVE、DROID、unix fileコマンド、ffprobe、md5 ハッシュ、Pythonのcsvreaderモジュール、機械学習による分類器(machine learning classifier)を挙げています。

記事中では、分類器の作成プロセスや、分類器によりSLIMの識別精度が大幅に向上したこと等も紹介されています。

中国化学会(CCS)と日本化学会(CSJ)が化学分野のプレプリントサーバーChemRxivの共同運営に参加

2019年8月23日、米国化学会(ACS)・英国王立化学会(Royal Society of Chemistry:RSC)・ドイツ化学会(Gesellschaft Deutscher Chemiker:GDCh)は共同して、化学分野のプレプリントサーバーChemRxivの戦略的・財政的発展を支援する共同運営者として、中国化学会(Chinese Chemical Society:CCS)と日本化学会(Chemical Society of Japan:CSJ)の二者と提携したことを発表しました。

この提携の結果、ChemRxivは世界の化学研究コミュニティを代表する学会によって支援・開発・運営が行われることになり、サービスの持続可能性の保証等が実現する、としています。

この提携によって、ChemRxivが最近になって導入したACS・RSC・GDCh刊行の雑誌へ簡易に投稿できる機能“Direct Journal Transfer”がCCSやCSJが刊行する雑誌へも近く導入される予定です。

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国の大学における教育・学習支援のための著作権ライセンス利用状況の実態に関する調査報告書を公開

2019年8月12日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)は、英・Jisc Collectionsと英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)とともに作成に寄与した、英国の大学における教育・学習支援のための著作権ライセンス利用状況の実態に関する調査報告書“Understanding the value of the CLA Licence to UK higher education”の公開を発表しました。

この調査は、SCONUL・Jisc Collections・RLUKの支援と英国大学協会(UUK)・高等教育カレッジ連合(GuildHE)からの委託を受け、ロンドン大学シティ校のJane Secker氏らにより2018年後半に取り組まれたものです。高等教育機関向けに教育・学習目的の利用に対して著作物の複製を許可(印刷体、デジタル資料いずれからの複製も可)する、英国の著作権管理団体Copyright Licensing Agency(CLA)の「高等教育ライセンス(HE Licence)」の利用状況の実態が調査されています。

調査報告書では主に以下のようなことが示されています。

・英国と他国の教育関係の著作権制度の比較

Open Preservation Foundation(OPF)、加盟団体へのアンケート調査結果のハイライトを公表:デジタル保存の現状を調査

デジタル資料の長期保存を目指す非営利団体Open Preservation Foundation(OPF)の2019年8月15日付けのブログ記事において、デジタル保存の現状について、加盟団体に対し行ったアンケート調査結果のハイライトが紹介されています。

アンケート調査は2019年3月に開始され、加盟団体のうち21団体から回答がありました。記事では、2014年に行った前回調査の結果と比較しつつ、以下のような点が取り上げられています。

・オープンソースの技術について、2014年調査では回答者の8%が利用していないと回答していたが、2019年調査では全員が現在何らかの形でオープンソースの技術を利用していると回答した。

・OPFはデジタル保存に役立つオープンソースのツール開発に携わっているが、加盟団体間でのツール利用が増加している。ファイルフォーマットの判別等を行うツールJHOVEは、2014年調査での利用率は回答者の64%であったが、2019年調査では95%を超える利用率であった。また、2019年調査では、JPEG2000フォーマットの検証ツールJpylyzerの利用率は71%、PDF/Aフォーマットの検証ツールveraPDFの利用率は57%であった。

デジタル遺産を守る:英・電子情報保存連合(DPC)の取り組み(記事紹介)

米国アーキビスト協会(SAA)の電子記録部会(Electronic Records Section:ERS)によるブログ“bloggERS!”は、2019年8月13日に英・電子情報保存連合(DPC)の取り組みを紹介する記事“Securing Our Digital Legacy: An Introduction to the Digital Preservation Coalition”を公開しました。

記事の筆者は、DPCにおける労働力開発の責任者(Head of Workforce Development)であり、DPCが作成しているデジタル保存のハンドブック“Digital Preservation Handbook”の編集主幹等を務めるSharon McMeekin氏です。

記事中では、DPCの概要のほか、コミュニティエンゲージメント、アドヴォカシー、労働力開発、能力構築、優れた実践・基準の特定と開発等といったDPCの活動の紹介が行われています。記事末尾では将来計画への言及もあり、現在会員の75%は英国・アイルランドであるものの徐々にそれ以外の国のメンバーが増えつつあること、資料の多言語化等の方策を通じ今後より組織としての国際化を進めること等が述べられています。

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