英国

英・オックスフォード大学出版局(OUP)、ポートフォリオ内の学術誌に新しい研究データポリシーを導入

英・オックスフォード大学出版局(OUP)は、2020年9月29日付けの発表において、ポートフォリオ内の290を超える学術誌にOUPの新しい研究データポリシーを導入したことを報告しています。

発表によれば、新しい研究データポリシーは2020年初めに正式に開始され、次の2点に重点が置かれています。

・発表された研究の基礎となる研究データの透明性向上のため、データ利用可能性ステートメントを含めること
・国際組織FORCE11(The Future of Research Communications and e-Scholarship)による「データ引用原則の共同宣言」(Joint Declaration of Data Citation Principles:JDDCP)へのOUPの支持を踏まえ、引用文献リストにデータセットの完全な引用を含めること

また、新しい研究データポリシーではマルチレベルのアプローチを採用したことも紹介されています。主題分野を超えた多様なニーズや既存の学問的慣行への対応として、データ利用可能性に関するポリシーに4つのレベルを設定しており、研究データの特性は学術分野間で大きく異なることから、各ジャーナルでは分野に応じたレベルのポリシーを導入しているとしています。

英・Software Sustainability Institute(SSI)、デジタル人文学に関するSSIへの推奨事項をまとめたレポートを公開:デジタル人文学に携わる実務家らによるワークショップの成果

2020年9月29日、英・Software Sustainability Institute(SSI)は、デジタル人文学に関するレポート“Sustaining Digital Humanities: Important developments in the UK landscape”の公開を発表しました。SSIは、持続可能かつ優れた研究ソフトウェア開発のための活動を行う国立の機関であり、英国のエディンバラ大学・マンチェスター大学・オックスフォード大学・サウサンプトン大学に拠点を置いています。

本レポートでは、人文学分野におけるSSIの使命を推進することを目的として、デジタル人文学に関するSSIへの推奨事項をまとめています。デジタル人文学の進展のための推奨事項を提示するという点で、英・アラン・チューリング研究所が2020年8月に公開したホワイトペーパー“Challenges and prospects of the intersection of humanities and data science: A white paper from The Alan Turing Institute”に続くものと位置付けられています。

英・ケンブリッジ大学図書館における著作権教育の合理化・効率化の実践(文献紹介)

2020年9月16日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌に、英・ケンブリッジ大学図書館の図書館員らによる共著論文“Copyright life hacks for librarians”が掲載されています。

「著作権教育」は、図書館員・利用者の双方に十分な知識の伝達が必要なテーマとされながら、研修等への参加の促進にしばしば困難が伴います。同論文は、著作権リテラシーの学習に消極的な層にも働きかけ図書館員全体のリテラシーを向上させるために実践している同館の手法が、様々な不満をシンプルに賢く解決する「ライフハック」として紹介されています。

スペインのロイヤル・スコッツ・カレッジでシェイクスピアの戯曲『二人の貴公子』の1634年版が発見される:スペインに残る最古のシェイクスピア作品と推定(記事紹介)

BBC Scotlandが2020年9月19日付で、スペイン・サラマンカの神学校ロイヤル・スコッツ・カレッジ(Royal Scots College)の図書館で、ウィリアム・シェイクスピアが1613年から1614年頃に合作で執筆したとされる戯曲『二人の貴公子(The Two Noble Kinsmen)』の1634年印刷版が発見されたことを報じています。

報道によると、今回確認された『二人の貴公子』は、スコットランドの経済学者アダム・スミスの著作を調査していた研究者が発見したもので、1630年から1635年に印刷された英語による戯曲集の中に含まれていたことを確認しました。17世紀から18世紀のスペインでは教会による検閲が行われていたため、英語の著作物の流通は極めて限られていましたが、ロイヤル・スコッツ・カレッジは希望する図書を全て入手することが認められており、発見された戯曲集は1635年頃にイングランドまたはスコットランドの旅行者によって、教会の検閲を回避して持ち込まれたと推定されています。これまでスペインに残る最古のシェイクスピア作品はバリャドリードの神学校で発見された戯曲集と考えられていましたが、発見された『二人の貴公子』を含む戯曲集は約10年古く成立したものである、と説明されています。

英国の大手独立系シンクタンクDemos、人工知能(AI)・機械学習等の新技術が研究部門に与える影響についての調査報告書を公開

2020年9月15日、英国の大手独立系シンクタンクDemosは、調査報告書“Research 4.0: Research in the age of automation”を公表したことを発表しました。

同報告書は、人工知能(AI)・機械学習をはじめとする第4次産業革命を特徴づける新技術について、特に学術研究に焦点を当ててこれらの技術が英国の研究部門に現在どのような影響を与えているのか、将来にわたってどのような影響を与え得るのかを理解するための調査プロジェクトに基づいて作成されました。英国の幅広い学術研究分野でこれらの新技術の導入が進んでいることを明らかにした2019年10月公表の中間報告書における議論を踏まえつつ、効果的な活用に必要な技能の研修や、環境の変容・学際的な共同研究の加速など、これらの新技術のさらなる普及のための段階にあることを述べています。

英・JiscのWiley社との“Read and Publish”契約 ―9か月が経過して―(記事紹介)

2020年9月25日、英・Jiscは“The UK Wiley read and publish agreement – nine months on”という題目のブログ記事を公開しています。JiscとWiley社は“Read and Publish”契約の発効から9か月経過して、判明した課題等について述べています。

2020年8月31日までに、5,164件の学術論文がオープンアクセスとして出版または採択されています。2019年と比較すると82%増加しています。

契約の課題として、英国の全ての研究成果を自動的にカバーしないことを挙げています。そのため、機関やWiley社と協力して、機関が支出を管理しながらも、研究助成機関の方針を遵守できるようにするための手段を講じています。これらの手段の一つとしてUK Research and Innovation(UKRI)、Charity Open Access Fund(COAF)、およびWellcomeTrustによって助成された研究をオープンアクセスで公開することを挙げており、10月中旬より実行する予定であり、オープンアクセスのための基金の残額を使用するとしています。

英・CIBER Research社と米・Cabells社、研究者・研究支援者によるジャーナルの品質と信頼性の評価に関する共同調査の報告書を公開

学術出版におけるジャーナルの評価・分析ツール等を提供する米国のCabells社が、2020年9月2日付のブログ記事上で、英国を拠点に出版に関する調査研究等を行うCIBER Research社との共同調査の報告書が公開されたことを発表しています。

英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が「国家データ戦略」を発表

英国政府のポータルサイト“GOV.UK”に2020年9月9日付で、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)による「国家データ戦略(National Data Strategy)」が掲載されています。

英国政府の「国家データ戦略」は、データの利活用に対して国民の信頼を得ながら、世界最先端のデータ経済の構築に向けて英国を牽引することを目的に策定されました。民間・公共の別や組織の大小を問わず、現代経済の原動力となっているデータに関して、英国政府の行動の枠組みを定めたものとして説明されています。

「国家データ戦略」では、データの最適な利活用に関する戦略の中核として、「データの基盤」「データを扱う技術」「データの可用性」「責任あるデータの運用」を定めています。また、これらの戦略の中核と関連する優先行動領域として次の5点を挙げています。

1. 経済全体におけるデータの利活用の価値を明確化する
2. 成長を促すと同時に信頼されるデータの利活用体制を構築する
3. 効率化・公共サービスの改善を目指して政府のデータ利活用のあり方を変革する
4. データを支えるインフラストラクチャーの安全・回復力を保障する
5. 国境を越えたデータの流通を支援する

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表

2020年9月8日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表しました。ポートフォリオ全体でこのアプローチを採用する物理学出版社は同出版局が初めてとしています。

ダブルブラインドとは、著者・査読者の双方にお互いの素性を示さずに行われる査読形式です。同出版局は2017年以降、所有するいくつかのジャーナルにおいて、著者がダブルブラインドによる査読を選択できるオプションを設けており、多くの著者からシングルブラインド(著者の素性は査読者に示される一方、査読者の素性は著者に示さない方式)よりも公平であるとして好意的な評価が得られたと述べています。

同出版局は、今回の移行は学術出版プロセスにおけるジェンダー・人種・地理的な偏りに対する同社の取組の一環であり、ダブルブラインドの採用によって、ジェンダー・人種・出身国・所属に関するバイアスを低減できる可能性があるとしています。

移行は段階的に行われ、2020年末までに一部のジャーナルがダブルブラインド方式のみとなるほか、目標として、2021年末までにポートフォリオ全体を移行させることを挙げています。

英国図書館(BL)、Linked Data技術を用いて図書館コミュニティの目録データ等を共有しオンライン上で発見可能な環境を構築するイニシアチブ“Share-VDE”に参加

2020年9月4日、英国図書館(BL)、Linked Data技術を用いて図書館コミュニティの目録データ等を共有しオンライン上で発見可能な環境を構築するイニシアチブ“Share Virutal Discovery Environment(Share-VDE)”に参加したことを発表しました。

Share-VDEは、様々な図書館コミュニティ作成の書誌目録・典拠ファイル等の書誌情報をLinked Data技術で接続し、共有の発見環境構築を目指す図書館主導のイニシアチブです。国際的な図書館サービスプロバイダーCasalini Libriと、文化遺産部門向けの統合図書館システム(ILS)・セマンティックウェブソリューション等のソフトウェア開発会社である@Cult社が中心になって推進しています。

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