学術雑誌

cOAlition S、「価格・サービス透明性のフレームワーク」の運用を支援するウェブサービス構築のための入札案内書を公開

2021年4月26日、cOAlition Sのウェブサイト上で、「価格・サービス透明性のフレームワーク」(Price & Service Transparency Frameworks)の運用を支援するウェブサービス構築のための入札案内書(Invitation to Tender)が公開されています。入札後の契約は、cOAlition Sを代表して欧州科学財団(ESF)が行います。

同サービスの要件として以下の点等が示されており、2021年6月7日までの提案書提出が求められています。

ハイブリッド出版モデルの問題点:cOAlition Sによる整理(記事紹介)

cOAlition Sのウェブサイト上に、2021年4月29日付けで記事“Why hybrid journals do not lead to full and immediate Open Access”が掲載されています。

cOAlition Sがハイブリッド出版モデルを財政的に支援しない理由を明確にするため、6つの問題点を整理したものです。なお、本記事におけるハイブリッド誌の定義は、「掲載された原著論文のうち一部がオープンアクセス(OA)である一方、他の論文は支払い(payment)又は購読(subscription)によってのみアクセス可能となっている購読誌」です。

記事で示されているハイブリッド誌の問題点は以下のとおりです。

1. OAへの移行を促進していない
2. 研究コミュニティは出版費用と購読費用の二重払い(ダブル・ディッピング)を余儀なくされる
3. 論文処理費用(APC)が完全OA誌より高額
4. 提供するサービスの品質が低い
5. 新たな完全OA出版モデルを締め出す結果をもたらす
6. どの論文がOAになるか読者側で予測できない「ランダムOA」である

ジャーナル指標に基づいて金銭的報酬が提供されている論文の引用への影響(文献紹介)

2021年4月27日付で、Springer Nature社が刊行する科学計量学分野の査読誌“Scientometrics”に、ルーマニアのNational University of Political Studies and Public AdministrationのGabriel-Alexandru Vîiu氏とMihai Păunescu氏による共著論文“The citation impact of articles from which authors gained monetary rewards based on journal metrics”が掲載されています。本文は有料ですが、要旨(Abstract)は公開されています。

研究の促進を目的として、論文の出版に応じて個別の著者に金銭的報酬を与えるという政策手段があります。論文では、ルーマニアの報酬プログラムRomanian Program for Rewarding Research Results(PR3)を事例として、著者が報酬を受け取っている約1万報の論文の被引用数について評価を行っています。PR3ではジャーナル単位の指標を利用して、金銭的報酬の割り当てが行われています。

Research4Life、新たな非営利団体“Friends of Research4Life”の発足を発表

2021年4月22日、途上国向けに無料・安価に学術情報を提供することを目的とした官民連携パートナーシップであるResearch4Lifeは、米国に拠点を置く新たな非営利団体“Friends of Research4Life”の発足を発表しました。Friends of Research4Lifeの発足により、組織・個人からのResearch4Lifeへの直接的な寄付が可能になったとあり、すでに複数の出版社・個人から寄付があったことを紹介しています。

Research4Lifeは過去20年間においてデジタル格差の解消に取り組んできた一方、資金不足により、認知度向上や効果的な利用等の面において潜在能力を十分に発揮できていないと述べています。Friends of Research4Lifeの発足はそのような状況を受けてのものであり、設立の目的として、支援対象国の研究者・医療従事者・政策立案者・教員に向けた、エビデンスに基づく質の高い情報の提供機会拡大を挙げています。

オープンアクセス誌eLife、同誌の投稿プロセスにプレプリントサーバーmedRxivへの投稿を統合

2021年4月21日、オープンアクセス(OA)誌“eLife”は、eLifeの投稿プロセスに医学分野のプレプリントサーバーmedRxivへの投稿を統合することを発表しました。ライフサイエンスや医学コミュニティでのプレプリントへの支持の高まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを背景としたCOVID-19関連のプレプリント増加を受けたものです。

2016、2017年にbioRxivと行った同様の取組に続くものであり、eJournalPress及びmedRxivのサポートにより実現されました。論文著者は、medRxivへのプレプリント投稿後に同時にeLifeに投稿することが可能となり、また、eLifeの投稿システムからmedRxivに直接投稿することも可能となります。medRxivとの間で、このような双方向の統合を投稿プロセスに組み込んだのはeLifeが初めてであると述べています。

著者がeLifeに先に投稿する医学分野の論文については、編集者が査読プロセスに回した直後の完全な投稿プロセス(full submission process)において、eLifeがプレプリントをmedRxivに直接投稿する計画であるとしています。

メタデータの拡充によりオープンアクセス出版の機能強化を図るOPTIMETA(文献紹介)

2021年4月14日、Research Ideas and Outcomes誌に“OPTIMETA – Strengthening the Open Access publishing system through open citations and spatiotemporal metadata”と題された文献の初稿が公開されました。著者はドイツ国立科学技術図書館(TIB)のChristian Hauschke氏ら4人です。文献では、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)から助成されているオープンアクセス(OA)ジャーナルのメタデータ拡充等を目的としたプロジェクトOPTIMETA(Stärkung des Open-Access-Publikationssystems durch offene Zitationen und raumzeitliche Metadaten)について述べられています。

オープンアクセス誌eLife、査読における多様性を促進するためにPREreviewと提携

2021年3月25日、オープンアクセス誌eLifeは、様々なバックグラウンドを有する研究者を査読に参加させ、査読における多様性を促進するためにPREreviewと提携することを発表しました。

2017年に設立されたPREreviewは、査読システムにさらなる公平性・多様性をもたらすことを目的としており、プレプリントの査読に関するプラットフォームの運営や、より良い査読のための学習リソースの提供、査読を担うコミュニティの育成等に取り組んでいます。

eLifeは2020年に、世界中の研究者がオンラインでプレプリントの内容を議論する“preprint journal club”を含むPREreviewの様々な取組に協力しました。また、若手研究者が査読に貢献できるようにするための、オンラインの指導プログラム“PREreview Open Reviewers”のパイロット版への支援も行いました。

Springer Nature社、Plan Sに準拠した「転換雑誌」2誌を2022年に創刊

2021年3月11日、Springer Nature社が、2022年にネイチャー・ポートフォリオからジャーナル3誌を創刊することを発表しました。

創刊されるのは、心血管系および血液学のあらゆる分野を扱う“Nature Cardiovascular Research”、化学合成と材料合成の全分野を扱う“Nature Synthesis”、行動科学・社会科学系分野のレビュー誌“Nature Reviews Psychology”です。

3誌の内、“Nature Cardiovascular Research”と“Nature Synthesis”はPlan Sに準拠した「転換雑誌」であると述べられています。

『中國工業經濟』誌を事例とした研究データ公開の義務化が学術雑誌へ及ぼす影響に関する実証研究(文献紹介)

2021年2月14日付で、Springer Nature社が刊行する科学計量学分野の査読誌“Scientometrics”に、中国の山东大学国际创新转化学院の张立伟(Liwei Zhang)副教授と中国人民大学公共管理学院の马亮(Liang Ma)教授による共著論文“Does open data boost journal impact: evidence from Chinese economics”のオンライン速報版が掲載されています。

同論文は多くの学術雑誌で研究データの公開が進んでいることを背景に、研究データの公開が学術雑誌に及ぼす影響を実証的に検討した結果を報告する内容です。著者らは、中国社会科学院(CASS)の刊行する『中國工業經濟(China Industrial Economics:CIE)』誌を検討の対象としました。CIE誌は2016年末に中国の社会科学系の学術雑誌として初めて、論文の著者に研究データの公開を義務付けており、論文の執筆時点でもこの分野でオープンデータを義務化する唯一の雑誌であることを紹介しています。

英国出版協会、UKRIの新オープンアクセス(OA)方針案が英国経済に与える影響を評価した報告書を公開

2021年2月17日、英国出版協会(Publishers Association)は、英国研究イノベーション機構(UKRI)が策定を進めている新しいオープンアクセス(OA)方針案について、英国経済に与える影響を評価した報告書を公開したことを発表しました。

同報告書は英国出版協会の求めに応じて、コンサルタント会社のFTI Consultingが作成しました。UKRIによる新OA方針案は、英国の研究競争力や学術研究に関するグローバル拠点としての英国の魅力にも悪影響が及ぶ可能性があるとして、主な知見を次のように示しています。

・新OA方針案に対応して相当数の学術雑誌が完全OAに移行した場合、英国の研究集約型大学の年間支出を約1億3,000万から4,000万ポンド増加させる可能性がある。

・新OA方針案の内容がそのまま実施された場合、2022年から2027年までの期間に、英国に基盤を置く学術雑誌が被る損失は約20億ポンドと推定される。それに伴い、単行書の出版が維持できなくなる出版社や小規模出版社の廃業も発生し、関連する英国の経済生産高の損失は約32億ポンドに達することが見込まれる。

・英国に基盤を置く学術雑誌が被る損失の大部分は英国の輸出収入の損失を意味しており、これによって最も利益を得るのは外国出版社である。

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