学術雑誌

cOAlition S、“Journal Checker Tool”を更新

2021年10月13日、cOAlition Sは、ウェブベースのツール“Journal Checker Tool”の更新を発表しました。Journal Checker Toolは、Plan Sの原則に準拠した研究助成機関のオープンアクセス(OA)方針に従って特定の学術雑誌で研究成果を公表する方法を、研究者が明確に確認できるように設計されたツールです。研究者がPlan Sに準拠したOA化の方法を提供する学術雑誌・プラットフォームを容易にすばやく特定できることを意図しています。

最新の更新には、インタフェースの改修、結果の説明における言語の簡素化、および結果を共有するための新機能が含まれています。

多くのユーザーが、結果のページでは長いスクロールが必要であると指摘したことから、スクロールせずに検索結果を表示できるようになりました。同時に、ウェブサイトデザインのアクセシビリティ要件に沿って、レイアウトはシンプルで整頓されたものになりました。

さらに、混乱を生じさせやすかった検索結果の文言の修正が行われています。例えば、著者がリポジトリルート(「グリーンOA」と呼ばれることが多い)を介して原稿をOA化にする場合には、このルートに出版料金が適用されないことが明確にされました。

中国、論文代筆業者を使用した研究者の取り締まりを強化(記事紹介)

Nature誌のオンライン版に、2021年10月1日付けで記事“China’s clampdown on fake-paper factories picks up speed”が掲載されています。中国の助成機関が、論文代筆業者(paper mills)を利用する研究者へ罰則を科していることなどが述べられています。

中国の2つの主要な助成機関が実施した不正行為の調査により、論文代筆業者を使用したことで少なくとも23人の科学者が処罰を受けました。その結果、中国科学技術部は、研究公正の侵害を取り締まることを約束し、2018年に不正行為に取り組むための抜本的改革を発表しました。2020年に新しい研究不正ポリシーが発表され、論文代筆業者について初めて明示的に言及されました。

記事によれば、論文代筆業者を使用した研究者への制裁は、警告、研究助成申請の最大7年間の停止、最大6年間の昇進の停止など多岐にわたります。一方、研究者らの意見として、これは大きな前進としつつも、論文代筆業者が制裁を免れているように見えることへの疑問や、中国の研究者が直面している論文執筆のプレッシャーを軽減するために、より柔軟で多様な研究評価スキームの開発の必要性等を指摘する声が掲載されています。特に、病院での研究評価スキームを見直す必要があると指摘しています。

【イベント】第2回J-STAGEセミナー「研究成果発信の多様化とジャーナル:研究公正、出版物、プレプリントの品質および査読の役割」(10/27・オンライン)

2021年10月27日、科学技術振興機構(JST)と国際STM出版社協会(STM)日本支部が、第2回J-STAGEセミナー 「研究成果発信の多様化とジャーナル:研究公正、出版物、プレプリントの品質および査読の役割」(JST-STMジョイントセミナー「学術出版における変革:研究公正、出版物、プレプリントの品質および査読の役割」)をオンラインで開催します。

前半のセッションはJSTが主催であり、研究成果発信形態の動向やプレプリントと学術誌の関係、プレプリントポリシーに関する事例等の紹介が行われます。後半のセッションはSTMの主催であり、研究公正分野におけるSTMの活動概要、研究評価の役割、プレプリントについて発表されます。

参加費は無料で、事前の申し込みが必要です。

当日の主な内容は以下の通りです。

●第1部:J-STAGEセミナー
・基調講演「新しい研究成果発信形態の動向(仮)」
引原隆士氏(京都大学)

・「プレプリントと学術誌の関係性:一研究者と学術誌編集委員長の立場から(仮)」
高井研氏(海洋研究開発機構)

学術出版協会(SSP)、ハゲタカジャーナルに関するCabells社提供のデータベース“Predatory Reports”に掲載されたタイトル数が1万5,000を超えたと発表

2021年9月1日、学術出版界の部門間のコミュニケーション促進等を目的に活動する非営利団体・学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)は、米・Cabells社提供のデータベース“Predatory Reports”に掲載されたタイトル数が1万5,000を超えたと発表しました。

“Predatory Reports”にはハゲタカジャーナル(predatory journal)のデータベースであり、2017年に提供開始されました。開始時点では4,000タイトルであったものの、現在では約4倍に増加したと述べています。

プレプリントの引用を削除するよう求められた時の対処方法(記事紹介)

生命科学分野の出版の加速に取り組む非営利団体ASAPbio(Accelerating Science and Publication in biology)が、2021年8月19日付けでブログ記事“What to do if you’re asked to remove a citation to a preprint”を公開しています。

記事では、プレプリントの引用を明示的に許可する出版社もあれば、禁止する出版社もあることを紹介しつつ、プレプリントの引用禁止が著者や科学全体にもたらす不利益の大きさを指摘しています。その上で、学術誌の編集者から引用を削除するよう求められた時の対処法として、次のような内容を紹介しています。

・当該論文を引用することの重要性を説明する
・プレプリントであることを明記し、読者に注意を促すといった代替策を提案する
・学術誌のポリシー変更を要求する

オープンアクセス出版社・PLOS、研究者が研究の信頼性・インパクトをどう評価しているかを調査したレポートを公開

2021年7月29日、オープンアクセス出版社・PLOSは、研究者が研究の信頼性・インパクトをどう評価しているかを調査したレポート“Researchers’ Goals When Assessing Credibility and Impact in Committees and in Their Own Work”を公開しました。本調査は、スローン財団(Alfred P. Sloan Foundation)からの助成を受け、米国細胞生物学会の協力を得て実施されました。報告書公開時点では未査読です。

細胞生物学分野の研究者52人への半構造化インタビューに基づく定性調査であり、研究者が(1)自ら研究を行う時、(2)採用や助成金審査のための委員会に参加する時、の二つのシチュエーションにおいて、研究成果をどう評価しているかを調査しています。

(1)で最も関心が寄せられるのは研究成果の信頼性、(2)ではインパクトが強く意識される、という当初の仮説が今回の調査により確認されたとしています。その一方で、(2)においても予想以上に信頼性の評価が行われていたこと、研究者は再現性、品質、新規性の点でも評価していることにも触れています。

「転換雑誌」についての初期評価:cOAlition Sによる分析(記事紹介)

cOAlition Sは、2021年8月16日付けの記事“Transformative Journals: an initial assessment”において、Plan Sに準拠した「転換雑誌」(Transformative Journal)についての初期評価を行っています。筆者は、cOAlition Sの戦略責任者(Head of Strategy)を務めるRobert Kiley氏です。

「転換雑誌」とは、完全オープンアクセス(OA)誌への移行を約束している購読/ハイブリッド誌を指し、その条件として、OAコンテンツの割合を徐々に増加させること、二重支払いの回避のために購読料収入と出版サービスへの支払いを相殺することが求められています。Plan Sにおいて、出版社に即時オープンアクセス(OA)への移行を促すルートとして開発されました。

cOAlition Sではこの「転換雑誌」を認定・登録するプログラムを行っており、登録された学術誌のリストを公開しています。正式な「転換雑誌」基準の公開から16か月が経過し、13の出版社と2,268の学術誌がこのプログラムに登録した、と述べています。

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、低所得国の研究者に対しオープンアクセス出版時の論文処理費用(APC)を免除することを発表

2021年7月6日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、世界銀行が低所得国(low-income countries)と定義している国の研究者に対し、オープンアクセス(OA)出版時の論文処理費用(APC)を免除することを発表しました。

同社はこれまでも、完全OA誌において低所得国の研究者向けにAPC免除を実施していましたが、ハイブリッドOA誌でのOA出版も新たにAPC免除の対象となります。著者が申請しなくても自動的に免除が適用される仕組みとなっており、これまで研究者が投稿を躊躇していた障壁を取り除くのに資すると述べています。

OA出版は誰もが研究にアクセスできるようにするために不可欠である一方、低所得国の研究者にとってはAPCの支払いが難しい場合があるとし、今回の取組によって世界的に科学研究への参加者が増加することを期待するとしています。

Clarivate Analytics社、Web of Scienceのユーザーインターフェース刷新及び新機能の追加を発表

2021年7月7日、Clarivate Analytics社は、同社の文献データベース“Web of Science”について、大幅な機能強化の実施を発表しました。具体的な内容として、ユーザーインターフェース刷新及び新機能の追加を挙げています。

新機能として9点が示されており、研究者が自身の論文の引用インパクトを確認できる視覚化ツール“Web of Science Author Impact Beamplots”や、資金助成に関するメタデータの豊富化、検索クエリの共有可能化、書誌データのRIS形式での出力、論文推薦機能等が含まれています。

自身が過去に発表したテキストの再利用に関する研究者向けガイダンス(記事紹介)

Science誌のウェブサイトに掲載された2021年6月25日付け記事“When is ‘self-plagiarism’ OK? New guidelines offer researchers rules for recycling text”において、同日、自身が過去に発表したテキストの再利用に関するルールを示した研究者向けガイダンスが公表されたことが紹介されています。

ガイダンスは、全米科学財団(NSF)の助成を受けた研究プロジェクトで、米・デューク大学のCary Moskovitz教授が主導する“Text Recycling Research Project”(TRRP)が作成したものです。「自己盗用」(self-plagiarism)と見なされることがある自身のテキストの再利用について、倫理性・合法性を備えたものと見なせる場合や、透明性を備えた再利用方法について示しています。なお、研究者向けに加えて編集者向けのガイダンスも公表されています。

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