米国

米国における下院選挙・大統領選挙の投票結果と公共図書館の利用状況との間の関連性の調査(文献紹介)

2020年12月15日付で刊行された、カナダ・アルバータ大学のラーニングサービス部門が刊行する季刊誌“Evidence Based Library and Information Practice”(EBLIP)の第15巻第4号に、米国カンザス州のエンポリア州立大学の大学院生であるルンド(Brady D. Lund)氏ら3人の共著論文として、“Election Voting and Public Library Use in the United States”が掲載されています。

著者らは、米国における下院選挙・大統領選挙の投票結果と公共図書館の利用状況との間に相関関係が存在するかどうかの調査を実施し、内容や考察を同論文で報告しました。調査の情報源には、2010年・2012年・2014年・2016年の米国連邦議会の下院選挙、2012年・2016年の米国大統領選挙の投票結果、及び米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)による公共図書館の概況調査で示された2010年・2012年・2014年・2016年の公共図書館の利用統計が用いられています。

2021年の“I Love My Librarian Award”受賞者が発表される(米国)

2021年1月11日、米国図書館協会(ALA)が、コミュニティのメンバーに対し多大な貢献をしたライブラリアンに贈られる賞“I Love My Librarian Award”の2020年の受賞者10人を発表しました。

オンライン授業対応のため学生へのノートパソコン貸出プログラムを行った大学図書館員、スペイン語話者向けのアウトリーチを行った公共図書館員、学内外の読書推進活動に取り組んだ学校図書館員など、大学図書館員4人、公共図書館員3人、学校図書館員3人が選ばれています。

米国科学アカデミー(NAS)、2021年にPNAS誌コンテンツの公開プラットフォームをWiley社傘下Atyponの“Literatum”へ移行

2021年1月5日付で、米国科学アカデミー(NAS)の機関誌“Proceedings of the National Academy of Sciences”(PNAS)は、2021年に同誌コンテンツの公開プラットフォームがWiley社傘下Atyponの“Literatum”へ移行することを発表しました。

移行の対象には、1915年まで遡るPNAS誌の全てのアーカイブコンテンツに加えて、専門外の人々を含む幅広い読者層向けの科学記事等を掲載する“PNAS Front Matter”や、科学的なテーマに関する研究者らの談話を収録した“Science Sessions podcast”なども含まれています。

PNAS誌は、Literatumへの移行について、PNASの全てのコンテンツを利用する機会の増加や検索・ナビゲーション機能の改善、利用しやすい著者向けツールの提供等を利点に挙げ、同誌が戦略的目標を達成し、研究コミュニティのニーズをより一層満たしたウェブサイトの構築を可能にするものである、と説明しています。

米・テキサス大学、AIを用いたデジタル化資料のテキスト化プロジェクトの実施を発表

2020年12月21日、米国のテキサス大学が、プロジェクト“Unlocking the Colonial Archive: Harnessing Artificial Intelligence for Indigenous and Spanish American Historical Collections”を実施することを発表しました。

同プロジェクトは、同大学オースティン校の学際プログラム“Teresa Lozano Long Institute of Latin American Studies(LLILAS)”と、英・ランカスター大学の“Digital Humanities Hub”、英・リバプール・ジョン・ムーア大学の連携により実施されます。

文字の筆記方法や使用されている言語が原因で「読めない」、デジタル化された先住民の言語やスペイン語の資料を、人工知能(AI)を用いて読めるようにするプロジェクトです。また、全米人文科学基金(NEH)から15万ドル、英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)から25万ユーロの助成を受けて実施すると述べられています。

発表の中では、目標として以下が挙げられています。

米・カリフォルニア大学サンタバーバラ校図書館、特別研究コレクションにラジオ放送に関する世界最大規模のコレクション“American Radio Archives”を追加

2020年12月17日、米国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)は、ラジオ放送に関する世界最大規模のコレクション“American Radio Archives”が同校図書館の特別研究コレクションにまもなく追加されることを発表しました。

“American Radio Archives”は、カリフォルニア州サウザンドオークスの非営利の図書館支援団体サウザンドオークス図書館財団(TOLF)によって、1984年から構築の開始したラジオ放送に関するアーカイブコレクションです。英国のウィンストン・チャーチル元首相のオリジナル録音音源をはじめ、1922年以降の写真、ラジオ放送やテレビ放送の脚本、書籍、映像などで構成されています。1987年に著名な歌手でラジオ司会者であったヴァリー(Rudy Vallée)氏の遺品からラジオ放送に関する資料を引き継ぐなど、ラジオ放送業界の関係者からたびたび貴重資料の寄贈を受けてコレクションとしての価値を高めました。

米・ミシシッピ州立大学図書館、ネブラスカ州在住の個人の収集家による約5万曲相当の楽譜コレクションの寄贈を受入:米国最大規模の楽譜所蔵機関に

2020年12月10日、米国のミシシッピ州立大学は、同大学の図書館に対して、ネブラスカ州オマハに在住する個人の収集家であるクリアリー(Janice Cleary)氏が楽譜コレクションの寄贈を行ったことを発表しました。

現在95歳のクリアリー氏は、長年にわたってラグタイムの楽曲を中心とする楽譜の収集を行い、ガーシュウィン(George Gershwin)・ブレイク(Eubie Blake)など様々な作曲家による約5万曲相当の楽譜コレクションを構築していました。クリアリー氏の家族を介して、著名なピアニストであるバーンハート(Jeff Barnhart)氏からの勧めにより同館への寄贈が行われたことを紹介しています。

お知らせの中で、ミシシッピ州立大学図書館は、合計2万点以上のミュージカル楽曲・ラグタイム・1860年代以降のポピュラー音楽の楽譜コレクション“Charles H. Templeton Sr. Sheet Music Collection”を所蔵しており、楽譜コレクションの保存・利用・デジタル化等に関する同館の取り組みへの評価が、バーンハート氏による寄贈の勧めに繋がったことが挙げられています。

ミシシッピ州立大学図書館はクリアリー氏のコレクションが加わったことにより、米国最大規模の楽譜の所蔵機関となっています。

公共図書館員の意欲低下経験に関する質的研究(文献紹介)

2020年12月14日付で刊行された、カナダ国内の図書館協会のネットワーク“The Partnership”の“Partnership: the Canadian Journal of Library and Information Practice and Research” Vol. 15 no.2に、公共図書館員の意欲低下経験に関する論文“The Public Librarian Low-Morale Experience: A Qualitative Study”が2021年1月4日付で公開されました。

同論文は、米国のウィンスロップ大学に所属するKaetrena Davis Kendrick氏によるもので、現役の公共図書館員または元公共図書館員20人を対象に実施した半構造化インタビューの分析結果がまとめられています。意欲の低下が進む過程や、公共図書館員の意欲低下経験に特有の影響因子を明らかにすることが研究課題として挙げられています。

American Libraries誌による2020年の振り返り(記事紹介)

2021年1月4日付けのAmerican Libraries誌(オンライン)が、2020年に図書館に影響を及ぼした事柄についての振り返り記事を掲載しています。

・米国図書館協会(ALA)の本部の移転

・ALAの10代目の事務局長として初のアフリカ系アメリカ人で女性のホール(Tracie D. Hall)氏が就任

・図書館が国政調査の実施を支援

・ALA、黒人・先住民・有色人種や抗議デモへの参加者・ジャーナリストへの警察の暴力を非難

・公民権運動家・作家で図書館の擁護者でもあった下院議員のルイス(John Lewis)氏の逝去

・マクミラン社、1図書館システムにつき電子書籍は1点のみ購入可能で利用可能期間は8週間とする条件を解除

・ALA、人種差別および差別を支持するシステムに加担してきたことを認める

・ハリケーン・山火事といった自然災害により図書館が被害をうける

・ALA、トランスジェンダーの人々の諸権利を支持

・ALA、既存の3部会を統合し新たな部会Coreを創設

・女性参政権100周年記念イベントの実施

学部生の成功に対する図書館利用教育の影響(文献紹介)

2021年1月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries(C&RL)”のVol.82, no.1に、米・ノーステキサス大学のイーグル・コモンズ図書館(Eagle Commons Library)の図書館員Jennifer Rowe氏らによる共著論文“The Impact of Library Instruction on Undergraduate Student Success: A Four-Year Study”が掲載されました。

同大学図書館で行われた、英作文コース内の図書館利用に関する講習が、学生の成功にもたらした影響について、履修した英作文コースの単位取得状況、GPAにおける変化、履修の継続の観点から分析されています。分析対象は、2012年から2016年の間に、英作文コースを履修して講習に出席した学生3,530人(実験群)と、英作文コースを履修していたものの講習には出席していない学生6,617人(統制群)です。

利用者ニーズを把握・反映するためのインタビュー調査を図書館が効果的に実践するには(文献紹介)

米国図書館協会(ALA)の部会“Core: Leadership, Infrastructure, Futures”が刊行する“Library Leadership & Management”誌の第35巻第1号(2020年)に、ユタ州ブリガムヤング大学(Brigham Young University)の図書館員が執筆した論文“Not Another Survey! Use Interviews Instead to Understand Needs in Your Library”が掲載されています。

同論文は、利用者・利害関係者のニーズを満たした図書館リソースの活用において、図書館に対する評価を不可欠な要素とし、評価において用いられる代表的な手法である「アンケート調査」と「インタビュー調査」について、図書館の文脈でその長所と短所を検討する内容です。

とりわけ「インタビュー調査」について、「アンケート調査」と比べて複雑で時間がかかる一方、定量的な調査では得られない詳細な洞察を得たり、ニーズ自体の理解を深めることも可能であるなどの利点から、利用者ニーズに関する調査として有益な手法であることを指摘し、実践におけるガイドラインを示しています。

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