米国

米国の複数の大手出版社がInternet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴

2020年6月1日、米国出版協会(AAP)は、会員企業のHachette Book Group・HarperCollins社・Wiley社・Penguin Random House社が、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所へ非営利団体Internet Archive(IA)に対する著作権侵害訴訟を提訴したことを発表しました。

この訴訟は、IAの運営する電子書籍貸出プログラム“Open Library”、及び2020年3月に開始した“National Emergency Library”事業において行われる、文学作品全体への大規模なスキャニング・公衆への公開・配布等についてその差し止めを裁判所に求めるものです。原告の出版社は、IAが最新作・フィクション・ノンフィクション・スリラー・児童書等を含む約130万点の書籍について違法な複製を行っている、と訴状の中で訴えています。また、IAのこれらの事業は、図書館や教育上の例外、フェア・ユースなど米国著作権法上のいかなる規定にも該当せず、IAの「盗難行為」を支持する著作権法上の根拠は存在しない、と主張しています。

米国図書館協会(ALA)黒人コーカス、「黒人及び有色人種への暴力と差別の増大に対する非難声明」を発表

2020年6月1日、米国図書館協会(ALA)の黒人会員に組織され、アフリカ系米国人をはじめとするアフリカ系の人々のための図書館・情報サービス発展を目的に活動するALAの黒人コーカス(The Black Caucus of the American Library Association:BCALA)は、「黒人及び有色人種への暴力と差別の増大に対する非難声明」を公開しました。

5月28日付の同声明は、ミネソタ州ミネアポリスの警察署内で発生した、警察官の行為による黒人男性フロイド(George Floyd)氏の死亡事故を強く非難するものです。BCALAは人種差別に対する闘いにおいて、積極的活動・予防活動に取り組むことを会員へ奨励し、伝統的な方法と現代特有の方法を併用した以下のような手段により、不正義に対抗する行動を起こすことを呼びかけています。

米・プリンストン大学図書館(PUL)、ソーシャルディスタンシング維持等のため図書館職員・利用者が順守すべき規定を示した“Social Protocols”を公開

2020年5月27日、米国のプリンストン大学図書館(PUL)は、ソーシャルディスタンシング維持等のため図書館職員・利用者が順守すべき規定を示した“Social Protocols”を公開したことを発表しました。

公開された“Social Protocols”では、以下の5項目の規定が図表とともに示されています。

・6フィート以上の対人距離をとってソーシャルディスタンシングを維持すること
・マスク等のフェイスカバーを着用すること
・石鹸と水で最低20秒以上手を洗うか、アルコール消毒液で手を消毒すること。洗浄・消毒していない場合やモノの表面に触れた後に、手で目・鼻・口を触らないこと
・共用スペースや共同使用する道具には、他の人が使用する前に消毒スプレーの噴霧や拭き掃除を行うこと
・(※職員のみ)共同作業スペースでは手袋を着用し必要に応じて資料を取り扱うこと

PULは2020年3月20日以降、新型コロナウイルス感染症の影響により来館サービスを停止しました。同館内のタスクフォースが段階的な来館サービスの再開計画を検討しており、2020年6月8日から同大学の教員・大学院生等にのみ一部サービスを再開します。

米・Educopia Institute、デジタル環境下における学術情報基盤の現況のレビューとして“A Bibliographic Scan of Digital Scholarly Communication Infrastructure”を公表

2020年5月18日、米国の博物館・図書館・文書館およびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、デジタル環境下における学術情報基盤の現況レビュー“A Bibliographic Scan of Digital Scholarly Communication Infrastructure”の公表を発表しました。

公表されたレビューは米・イリノイ大学図書館のルイス(David W. Lewis)氏によって作成されました。レビューは3つのセクションで構成され、デジタル環境下の学術情報流通システムに関わる様々な機能・分野(リポジトリ・研究データ等)別の学術文献紹介、各機能や分野の主要プロジェクト・組織等の一覧表、レビュー内で触れられた組織・プログラム・プロジェクト等の概要説明などを取り扱っています。

同レビューは、2018年から2020年までAndrew W. Mellon財団の支援により、米国のデジタル環境下における学術情報基盤の現状調査等を目的に実施中のプロジェクト“Mapping the Scholarly Communication Infrastructure”の成果の一部として制作されています。

感染症流行下での図書館によるコミュニティ支援(記事紹介)

米国図書館協会(ALA)によるアドヴォカシーのためのイニシアチブ“ilovelibraries”の2020年5月28日付の記事で、新型コロナウイルス感染症流行下においても米国の図書館がコミュニティ支援サービスに取り組んでいることを紹介しており、重要なサービスの例として以下の5点を挙げています。

・無料の電子リソースの提供
・ブッククラブやストーリータイム等、オンラインや電話によるイベント・活動の開催
・自宅でインターネットに接続できない人々に対するWi-Fiへのアクセス提供
・オンラインや電話での1対1のレファレンスサービス提供
・歴史のこの瞬間を記録するための支援

「歴史のこの瞬間を記録するための支援」については、多くの図書館が新型コロナウイルス感染症の流行を記録するためのオーラルヒストリープロジェクトやアーカイブの構築を開始したこと、米国図書館協会が非営利団体StoryCorpsと提携し、今回の経験に関する家族等の間での会話を記録するためのプラットフォームを立ち上げたことを紹介しています。

ACRL・ARL・ODLOS・PLAが多文化対応力に関する合同タスクフォースを立ち上げ

2020年5月18日、米国図書館協会(ALA)は、ALAの多様性、リテラシーとアウトリーチサービス事務局(Diversity, Literacy, and Outreach Services:ODLOS)、米国大学・研究図書館協会(ACRL)、公共図書館協会(PLA)、北米研究図書館協会(ARL)が多文化対応力(Cultural Competencies)に関する合同タスクフォースを立ち上げたことを発表しました。

同タスクフォースは、公共・大学図書館で利用できる、人種的公平(racial equity)における文化的習熟(cultural proficiencies)のためのフレームワーク構築を任務としており、先行する関連文献の調査、フレームワーク案の起草、案に対するステークホルダーや図書館コミュニティからのコメントの募集と必要に応じた修正を行うとしています。

オープンアクセス(OA)学術単行書のダイレクトリDOABと人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEが新たにパートナーシップ関係を締結

2020年5月27日、オープンアクセス(OA)学術単行書のダイレクトリDirectory of Open Access Books(DOAB)は、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEと新たにパートナーシップ関係を締結したことを発表しました。

締結されたパートナーシップ関係は、Project MUSEに収録されたOA単行書の発見可能性の強化とDOABに登録される出版社数・OA単行書タイトル数の増加を目指すものです。

Project MUSEは、米・ジョンズホプキンス大学のミルトン・S・アイゼンハワー図書館とジョンズホプキンス大学出版局による非営利共同事業として運営され、100以上の出版社の6万点以上の単行書を提供しており、提供タイトルの中には2,800点以上のOAタイトルが含まれます。Project MUSE上のOAの単行書のDOABへの登録を希望する出版社は、申請を行うだけでDOABへの登録が可能になります。

国・大学レベルのオープンアクセス状況の調査(文献紹介)

2020年5月21日、英Open Universityの機関リポジトリにおいて、国・大学レベルのオープンアクセス(OA)状況調査の論文”Open Access 2007 - 2017: Country and University Level Perspective”のプレプリントが公開されました。著者は同大学のBikash Gyawali氏ら3名です。同論文は2020年8月開催のACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries (JCDL)に採択されています。

調査は8カ国(オーストリア, ブラジル, ドイツ, インド, ポルトガル, ロシア, 英国, 米国)と、それらの国の約400大学を対象とし、Microsoft Academic Graph(MAG)と英国の機関リポジトリアグリゲーターであるCOREのデータを使用して実施されました。

米国学校図書館員協会(AASL)、ウェブ会議の技術等を用いての遠隔インタビューの記録化が可能なStoryCorps Connectの公開にあたり、非営利団体StoryCorpsと連携:新型コロナウイルス感染拡大下の学校図書館員へのインタビューの記録化等

2020年5月28日、米国学校図書館員協会(AASL)が、ウェブ会議の技術等を用いての遠隔インタビューの記録化が可能なStoryCorps Connectの公開にあたり、あらゆる背景や信念を持つ人々のストーリーを記録・保存・共有する活動を行っている非営利団体StoryCorpsと連携したと発表しています。。

StoryCorpsが3月から構築を開始したStoryCorps Connectは、新型コロナウイルス感染拡大下における貴重な一次資料としての家族の「語り」の記録化が可能で、学校図書館員に対しては、休校中の学習方法の転換にどのように対応したかを教員や同僚の司書にインタビューして記録化することができると紹介しています。記録は、米国議会図書館(LC)の米国民俗センターで保存されます。

StoryCorpsでは、AASLを含めた全国の機関と連携し、公共メディア・学区・教員とともに、同取組を国内に普及させており、AASLではStoryCorpsと連携し、学校図書館員を対象としたStoryCorps Connectの利用方法に関するウェビナーを開催しました。

米・Ithaka S+R、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始

2020年5月28日、米・Ithaka S+Rは、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始したことを発表しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う図書館予算への影響もあり、すでに多くの学術図書館が電子ジャーナルのビッグディール契約の中止を検討しています。図書館の厳しい財政状況から、既存のパッケージ契約がこれまで利用可能だったタイトルへの継続アクセスを保証した「転換契約」のような代替の契約に置き換わる可能性はさらに低下していると言えます。こうした傾向は図書館が利用者へ提供できるタイトルが不十分となる状況をもたらし、ILLやプレプリントサーバー、研究者同士のネットワークなど、他のコンテンツ入手手段への依存を高めることが予想されます。こうした学術情報資源を取り巻く環境の急速な変化の中、研究者へより発展的なコンテンツの発見・アクセス戦略を提供しつつ、こうした変化が研究者の図書館への認識にどのように影響を与えているか把握することが、学術図書館にとって不可欠になっています。

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