米国

米国の学術図書館における、物理媒体・電子媒体のリソースの動向(記事紹介)

2021年4月28日、ProQuest社傘下の図書館システムベンダEx Librisは、米国の学術図書館における、物理媒体・電子媒体のリソースの動向に関するブログ記事を公開しました。

Ex Librisが提供するクラウド型図書館システム“Alma”のデータを用いて2020年11月に実施した調査を基に、2010年から2019年にかけての物理媒体・電子媒体のリソースに対する図書館の支出動向が分析されています。調査対象は、“Alma”を導入している米国の図書館の内、無作為に抽出された10館です。

結果として、全ての対象館で物理媒体への支出が減少し、電子媒体への支出が増加する傾向が見られ、以前は物理媒体への支出が電子媒体を上回っていたものの現在は逆転していること等が示されています。なお、同調査には新型コロナウイルス感染症の影響は反映されていないことを指摘しています。

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)、Project Outcome大学図書館版に「オンラインプログラムの評価」等に関するリソースを追加

2021年5月5日、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)は、Project Outcome大学図書館版に2種類のリソースを追加したと発表しています。利用には登録が必要です。

1つ目は“Measuring Virtual Programs”です。コロナ禍により、プログラムやサービスがオンライン上での実施へと転換し、今後も拡大すると想定されることから、その計画と評価が新たな課題となっています。本リソースでは、オンラインプログラムにおけるアンケートの回答率を増加させる方法についての一般的な戦略や、図書館が提供するいくつかのオンラインプログラム・サービスにどのように適用できるかについての事例を概説しています。

2つ目は“Impact Measurement Beyond Outcomes”です。アウトカムは、図書館がその影響力を示すのに役立つ評価データの貴重な型式であるものの、唯一の基準ではないとし、ニーズ・利用者満足度、アウトプットを測定し、アウトカムを補足することは、図書館がその影響力を効果的に説明するのに役立つと説明されています。

米・メリーランド大学(UMD)、人文・社会科学分野のオープンアクセス(OA)の単行書の出版を促すイニシアチブTOMEに参加:2年間のパイロットプログラム“TOME@UMD”を実施

2021年4月29日、米・メリーランド大学(UMD)図書館は、同大学が人文・社会科学分野のオープンアクセス(OA)の単行書の出版を促すイニシアチブTOMEに参加したことを発表しました。あわせて、2年間のパイロットプログラムとして“TOME@UMD”を実施することも発表しています。

“TOME@UMD”では、UMDの教員によるOA電子書籍の出版を支援し、1件あたり1万5,000ドルを上限とする助成金3件を提供します。助成の要件として、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによりTOMEに参加する大学出版局から出版されること、UMDの機関リポジトリである“DRUM”のようなデジタルリポジトリを介してOA化されることを挙げています。

“TOME@UMD”の申請プロセスは2021年後半に開始予定であり、現在関心表明(expressions of interest)を受け付けている段階とあります。選考は全分野の研究を対象として行われますが、芸術・人文科学・社会科学分野の研究が優先されます。

米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)、2021年実施の市政選挙で導入される「優先順位付投票制」に慣れてもらうことを目的に、同市を舞台とした最高の本を選ぶオンライン投票“Big Apple Book Ballot”を実施

2021年5月5日、米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)が、同市を舞台とした最高の本を選ぶオンライン投票“Big Apple Book Ballot”を、ニューヨーク・パブリック・ラジオが運営するウェブサイトGothamistと共同で実施すると発表しました。

同投票は、参加者が、世界の文化の中心としての同市の多様性・興奮・美しさを表現していると感じられる作品としてNYPLの図書館員が選んだ13作品の中から上位5冊を選ぶ方式となっています。

これは、読書推進に加え、2021年に同市で行われる選挙(6月22日の予備選挙、11月2日の本選挙)に関する情報等を提供する全館的な取組“Read, Think, Vote”の一環として行われるもので、同選挙で新たに導入される「優先順位付投票制」(Ranked Choice Voting)に有権者に慣れてもらうことが意図されています。

投票期間は5月5日から5月11日までで、受賞作品は5月12日に発表されます。

米・カリフォルニア州立図書館、デジタル保存戦略を公表

2021年4月27日、米・カリフォルニア州立図書館がデジタル保存戦略を公表しました。

デジタル保存戦略の本文によれば、同館におけるデジタル保存プログラムの運営・管理・範囲を規定した文書であり、デジタル資料の信頼性、真正性、長期アクセスを保障するための指針を示しています。また、技術面、インフラ面、運用面での今後の進展を反映し、内容の更新を行う可能性についても言及しています。

Press Releases(California State Library)
https://www.library.ca.gov/about/press-releases/
※2021年4月27日付のプレスリリースに“California State Library Digital Preservation Strategy”とあります。

米・イェール大学図書館、同館所蔵の旧式のCD-ROMを利用できるエミュレーションビューワを公開:同大学の学生と研究者が利用可能

2021年4月28日、米・イェール大学図書館が、旧式のCD-ROMを現行のコンピュータシステムで利用できるようにしたエミュレーションビューワの公開を発表しています。同大学の学生と研究者は、当該CD-ROMの目録情報からのリンクをクリックすればコンテンツを利用できます。

同ビューワは、Andrew W. Mellon財団とAlfred P. Sloan財団の助成を受けた、同館のデジタル保存チームおよびソフトウェアへの長期アクセスのための団体Software Preservation Network等によるEaaSI(Emulation-as-a-Service Infrastructure) プログラムが提供しているもので、現在、同館が所蔵する5,000点以上のCD-ROMのうち約150点がアップロードされています。作業は現在も継続中ですが、全てのCD-ROMが利用できるようにするには約3年かかるとしています。

公共図書館への資金拠出の近隣の子どもの成績や住宅価格に与える影響:米・シカゴ連邦準備銀行による調査(文献紹介)

米・シカゴ連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of Chicago)が、2021年4月付で、調査結果報告書“The Returns to Public Library Investment”を刊行しました。

米国では、1万5,000館の公共図書館の運営のため、毎年120億ドル以上の資金が地方政府から支出されており、また、毎年50%を超す国民が図書館を利用しているものの、コミュニティや子どもに与える図書館の影響に関する調査が少ないことから、米国の公共図書館のほぼすべてのデータを用いて、資金の拠出の、図書館資源・住民の利用・子どもの成績・地域の住宅価格に与える影響を調査したものです。調査は、差分の差分法(difference-in-difference approach)を用いて行われました。

調査の結果、図書館に拠出する資金を増加させると、図書館でのイベントへの子どもの参加が18%、子どもの資料の貸出が21%、来館数が21%増えることを示したとしています。

デジタルアートの保存に取り組む米国の団体Rhizome、ボーンデジタルの芸術作品のアーカイブ“ArtBase”をリニューアル

2021年4月26日、デジタルアートの保存に取り組む米国の団体Rhizomeが、ボーンデジタルの芸術作品のアーカイブ“ArtBase”をリニューアルしたことを発表しました。

“ArtBase”は、1999年に公開されたものであり、4月28日時点では、2,200件以上の作品のデータが蓄積されています。リニューアルの背景として、作品の外部にある技術的要素が必要であり、制作・流通の文脈と関連付けて理解される等の性質を持つボーンデジタルの芸術作品は、従来のシステムになじまず、データの使用性、アクセス可能性、他のデータセットとの互換性に制約が生じること等を挙げています。

発表では、今回のリニューアルについて、Wikibaseを用いたソフトウェア・インフラストラクチャーを採用したこと、SPARQLエンドポイントが利用可能であること等が述べられています。

北米の都市図書館協議会(ULC)、反人種差別的な公共図書館の管理職のリーダーシップに関する文書を公開

2021年4月20日、北米の都市図書館協議会(ULC)が、反人種差別的な公共図書館の管理職のリーダーシップに関する文書“Anti-Racist Executive Leadership for Public Libraries”を公開したことを発表しました。

発表によると、構造的人種差別の根本と弊害を調査し、反人種差別的な機関として図書館を強化するうえで、管理職が積極的・意識的に役割を果たすことを求める文書です。

同文書では、ULCの人種と社会的平等に関する声明“Statement on Race and Social Equity”に署名している206の図書館のうち、米国とカナダの13館の管理職に焦点を当てています。また、組織改革、職員育成、偏見や人種差別的行動の識別・対処等に関する推奨事項が記載されています。

米国公共図書館協会(PLA)、コロナ禍での失業者の就職支援を目的とした事業“Skilling for Employment Post COVID-19”への参加館を拡大

2021年4月26日、米国公共図書館協会(PLA)は、“Skilling for Employment Post COVID-19”イニシアチブの拡大を発表しています。今回、新たに、コロナ禍の影響を受けた都市部のクリーブランド・エルパソ・メンフィス・ニューヨークの公共図書館が加わりました。

同イニシアチブは、コロナ禍が大量の失業をもたらし、有色人種・女性・若者等に大きな影響を与えたことから、成長の高い分野への求職者の雇用機会を改善するためのツールの普及させること等を目的としています。

Microsoft社と連携しており、公共図書館(サービス対象のコミュニティ)と、専門的なオンライン研修や資格取得とを結びつけるために、オンライン学習コースを提供するLinkedInラーニング・Microsoft Learn・GitHub Learning Labが、2021年12月31日まで無償もしくは低価格で提供されます。

クリーブランド公共図書館(オハイオ州)では、職業紹介所Ohio Means Jobsと連携し、両機関に登録した求職者に、特定の一連のコースを修了させます。また、求職者はタブレット端末を無料で受け取ることができます。

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