学術情報基盤

文部科学省、提言「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」を公表:大学図書館及び多様な学術情報のデジタル化の推進等に言及

2020年9月30日付で、文部科学省のウェブサイトに、同省科学技術・学術審議会の学術分科会・情報委員会の提言「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」が公表されています。

この提言は、コロナ禍によって社会の在り方が変容し、その経験を踏まえた「コロナ新時代」を迎えつつあることを背景に、学術研究・情報科学技術が新時代の社会の負託に応えられるように、研究を継続するためのレジリエンスの確保、新しい研究様式への転換及び研究者の交流・連携の担保の政策的実現に関する、学術分科会と情報委員会の合同提言です。

新しい研究様式への転換のための振興方策に関する提言では、SINETなど国全体の一体的情報システム基盤及び大学等における情報システム基盤を整備・高度化すること、セキュアな研究データ基盤を構築すること、大学図書館及び多様な学術情報のデジタル化や著作権法の見直し・研究の遠隔化・スマート化などを通して研究環境のデジタル化を促進することに言及されています。

E2308 - 「大学における研究データに関するアンケート(雛形)」の公開

研究データ管理(RDM)とは,研究の開始から終了までを通して,どのような研究データを取得・生成するか,またこれらのデータをどのように解析・保存・共有・公開するかを明確にし,これを実施することである。研究活動におけるデジタル化の進展,オープンサイエンス運動の興隆,研究公正のための取組強化などの影響を受け,大学を含む学術機関,政府を含む研究資金配分機関など,研究データに関係するステークホルダーがそれぞれの立場からRDMに関する施策を進めている。中でも,大学における組織的なRDMは,広範な研究分野に対し,全学が合意・利用できるポリシーの制定,情報基盤の整備,支援体制の構築等様々な課題を抱えている。

英国の大手独立系シンクタンクDemos、人工知能(AI)・機械学習等の新技術が研究部門に与える影響についての調査報告書を公開

2020年9月15日、英国の大手独立系シンクタンクDemosは、調査報告書“Research 4.0: Research in the age of automation”を公表したことを発表しました。

同報告書は、人工知能(AI)・機械学習をはじめとする第4次産業革命を特徴づける新技術について、特に学術研究に焦点を当ててこれらの技術が英国の研究部門に現在どのような影響を与えているのか、将来にわたってどのような影響を与え得るのかを理解するための調査プロジェクトに基づいて作成されました。英国の幅広い学術研究分野でこれらの新技術の導入が進んでいることを明らかにした2019年10月公表の中間報告書における議論を踏まえつつ、効果的な活用に必要な技能の研修や、環境の変容・学際的な共同研究の加速など、これらの新技術のさらなる普及のための段階にあることを述べています。

韓国科学技術情報研究院(KISTI)、科学技術情報プラットフォームScienceONにおいて、研究テーマの発展の全体的な流れを把握することができる「論文タイムラインサービス」の試験運用を開始

韓国科学技術情報研究院(KISTI)が、2020年9月21日から、KISTIが運営する科学技術情報提供プラットフォームScienceONにおいて、「論文タイムラインサービス」の試験運用を開始しています。

当該論文の引用・被引用情報を分析し、その論文を中心として、引用・被引用された論文を時系列順(タイムライン)に生成するもので、関心のある分野の研究テーマがどのように発展してきたか、その全体の流れを把握することが可能です。

これにより、研究者が既存の研究結果をもとに自身の研究を次の段階に発展させるとともに、隣接分野との融合研究を行うにあたって、論文の時系列情報を根拠に革新的な研究を発見し、また、研究の方向性を確立することに役立てることが期待されています。

ScienceON, ‘논문타임라인 서비스’ 개편(ScienceON、「論文タイムラインサービス」改編)(KISTI,2020/9/20)
https://www.kisti.re.kr/promote/post/news/5022?t=1600993924341

米・Educopia Institute、学術出版インフラ開発プロジェクト“Next Generation Library Publishing”の価値観・原則のフレームワークと評価チェックリストの草案を公開

2020年8月26日、米国のMLAおよびその他の文化資源保存機関の連携促進を目的とする非営利組織Educopia Instituteは、“Next Generation Library Publishing(LGLP)”について、プロジェクトの価値観・原則のフレームワークと評価チェックリストを表したツールとして、“Values and Principles Framework and Assessment Checklist”の草案を公開したことを発表しました。

NGLPはArcadia基金による助成の下、Educopia Instituteや米・カリフォルニア電子図書館(CDL)等が主導するプロジェクトです。図書館による出版活動の支援を目的に、学術出版インフラの強化・統合・拡張等を通して、著者・編集者・読者に提供される出版経路の改善を目指しています。“Values and Principles Framework and Assessment Checklist”は、出版ツール・サービス・プラットフォームと最終的なサービス提供者である学術コミュニティ・出版者との間の強固な連携関係を評価・促進する目的で作成されました。

新たな研究成果公開のプラットフォームOctopus(記事紹介)

2020年6月23日、Europe Science社が運営するニュースサイトResearch informationに、“Cambridge scientist 'breaks up the old-fashioned academic paper'”と題された記事が公開されていました。

記事では、新たな研究成果公開のプラットフォームであるOctopusについて紹介されています。同プラットフォームは、研究成果の出版のプロセスをProblems、Hypotheses、Methods/Protocols、Data/Results、Analyses、Interpretations、Applications、Reviewsの8個の要素に分解して、それぞれに応じた研究成果を公開することができます。Octopusは英・ケンブリッジ大学のAlex Freeman氏によって取り組まれており、英・Jisc等が助成するReproducibility Networkによって支援されています。

このようなモデルを採用したプラットフォームの利点として、下記が挙げられています。

米・カリフォルニア電子図書館、全国的なアーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤の構築に向けた2年間の研究・実証プロジェクトを開始

2020年7月28日、米・カリフォルニア電子図書館(CDL)は、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)による98万2,175ドルの助成を活用して、全国的なアーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤の構築に向けた2年間の研究・実証プロジェクト“Building a National Finding Aid Network”を開始することを発表しました。

同プロジェクトには、各州・地域のアグリゲーター及び米国の図書館等のネットワークLYRASISとの緊密なパートナーシップの下で、CDLとOCLC・バージニア大学図書館が共同で取り組みます。インフラストラクチャーの老朽化や予算の減少等に伴い、情報検索環境下で米国内のアーカイブ資料の可視性が不十分な状況となっていることを背景に、コミュニティが主体的に関与して全ての関係者が利用可能なアーカイブ資料の検索支援ネットワークを構築し、包括的で持続可能なアクセスを提供することがプロジェクトの目的である、と説明されています。

国立情報学研究所(NII)、2020年以降の目録所在情報システム(CAT2020)の適用を開始

2020年8月4日、国立情報学研究所(NII)が、2020年以降の目録所在情報システム(CAT2020)の適用を8月3日10時から開始したことを発表しました。

各クライアントにおけるCAT2020の適用については、各ベンダーの対応が必要です。

2020年以降の目録所在情報システムの適用開始について(NII目録所在情報サービス, 2020/8/3)
https://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/2020/08/2020202083_22.html

参考:
国立情報学研究所(NII)、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年以降の目録所在情報システム(CAT2020)の適用開始日を2020年8月3日へ延期
Posted 2020年5月1日
https://current.ndl.go.jp/node/40884

「知識コモンズ」の視点から見た日本のリポジトリにおける研究データのガバナンス状況(文献紹介)

2020年7月31日付で、図書館情報学分野の査読誌“Aslib Journal of Information Management”のオンライン速報版(ahead-of-print)の論文として、“How are research data governed at Japanese repositories? A knowledge commons perspective”がオープンアクセスにより公開されています。

同論文は筑波大学大学院図書館情報メディア研究科の博士後期課程に在籍する西川開氏によって執筆されました。日本のリポジトリにおける研究データのガバナンス状況を調査する目的で、知的・文化的共有資源とその管理を扱う「知識コモンズ」のアプローチによって理念型を設定し、設定された理念型とリポジトリの適合性を個々に評価した結果・考察等を示した内容です。

文部科学省、2019年度の「学術情報基盤実態調査」の結果を公表

2020年7月31日、文部科学省は、「令和元年度「学術情報基盤実態調査」」の結果を公表しました。同調査は大学の学術情報基盤(大学図書館、コンピュータ及びネットワーク等)の現況を把握し、今後の改善と充実のための基礎資料とすべく、2005年度から毎年実施されているものです。2019年度調査の対象の大学は、国立86、公立93、私立613の計792大学で回答率は100%でした。

調査結果のポイントとして、以下の点等が示されています。

〇大学図書館編
・図書館資料費は708億円で、2017年度に続き減少傾向となり、前年度より5億円(0.7%)減少。そのうち、電子ジャーナル経費は315億円で、前年度より17億円(5.9%)増加。
・機関リポジトリを持つ大学は、603大学(76.1%)となり、前年度より18大学(3.1%)増加。
・543大学(68.6%)がアクティブ・ラーニング・スペースを設置。

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