リポジトリ

データリポジトリの信頼性に関するTRUST原則(文献紹介)

2020年5月14日付のSpringer Nature社のオープンアクセス(OA)ジャーナル“Scientific Data”に掲載された文献として、研究データ・デジタルリポジトリに関するコミュニティが共同開発したデータリポジトリの信頼性を実証するための指針「TRUST原則」が公表されています。

デジタルデータ、及びデジタルデータへのアクセスと利用を提供するリポジトリへの依存度が急速に高まっているため、データリポジトリは保有するデータを適切に管理できることを示してサービスを提供するコミュニティの信頼を得る必要があります。「TRUST原則」はこのことを背景に、1年以上の公開の議論や研究データ同盟(RDA)の「デジタルリポジトリ認証」(RDA/WDS Certification of Digital Repositories)IGにおける既存の合意事項に基づいて、デジタルリポジトリコミュニティの多様な分野を代表する利害関係者が、デジタルデータを扱うリポジトリの信頼性の指針として共同開発しました。透明性(Transparency)・責任(Responsibility)・ユーザー中心(User Focus)・持続可能性(Sustainability)・技術(Technology)の5原則をデータリポジトリが信頼性を維持するための指針としています。

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、リポジトリにおけるCOVID-19研究成果の利用可能性・発見可能性向上のための推奨事項を公表

2020年5月25日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、リポジトリにおけるCOVID-19研究成果の利用可能性・発見可能性向上のための推奨事項を発表しました。

世界中でCOVID-19に関する研究が前例のない速度で進み、リポジトリを通じその成果が発表されている状況を踏まえ、リポジトリ間での協調・相互運用性を高めることが研究成果の利用可能性・発見可能性向上につながるとし、リポジトリに対して3点、リポジトリネットワークに対して4点の推奨事項を示しています。

うち、リポジトリに対する推奨事項には、COVID-19関連資源に対し基本的な推奨メタデータ付与とタグ付けを行うことが含まれており、推奨メタデータ要素計8点もあわせて示しています。

COAR Recommendations for COVID-19 resources in repositories(COAR, 2020/5/25)
https://www.coar-repositories.org/news-updates/covid19-recommendations/

リポジトリソフトウェアDspace ver. 5とver. 6がOpenAIREの最新メタデータガイドラインに対応するためのプラグインが公開される

2020年5月20日、カナダ研究図書館協会(CARL)は、リポジトリソフトウェアDspace ver. 5とver. 6がオープンアクセス(OA)学術コンテンツの国際的データベースOpenAIREの最新メタデータガイドラインへ対応するためのプラグイン提供を実施することを発表しました。プラグインの開発はDspaceの認定パートナー団体である4Scienceによって行われました。

包括的で相互運用可能なメタデータは、コンテンツの発見やリポジトリが付加価値サービスを実施するための重要な要素です。そのため、欧州・ラテンアメリカ・カナダなどの世界の各地域のリポジトリネットワークは、ネットワーク全体としてのメタデータの調整やORCIDによる著者識別を可能とする目的で、OpenAIREの最新のメタデータガイドライン“OpenAIRE Guidelines for Literature Repository Managers v4”を採用することに合意しています。また、OpenAIREの最新のメタデータガイドラインは、Plan S準拠のリポジトリでも採用が推奨されています。

感染症拡大下でのプレプリントサーバによるスクリーニング(記事紹介)

2020年5月7日付けのNature誌オンライン版記事で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下でのプレプリントサーバによるスクリーニング作業についての記事が掲載されています。

感染拡大によって研究の迅速な共有・公開が一層求められている中、プレプリントの公開が広まっており、生物学のプレプリントサーバであるbioRxivと医学のプレプリントサーバであるmedRxivには、計3,000件近くのコロナウイルスに関する原稿が投稿されています。プレプリントサーバは迅速な研究成果の共有・公開を可能にする一方、原稿の質の確認を行うことが難しいという課題があります。科学的根拠に乏しい研究成果を共有することは、場合によっては害をもたらす可能性もあります。

E2255 - 分散型のオープンな出版フレームワーク“Pubfair”

1665年のオルデンバーグ(Henry Oldenburg)による英語圏で最古の学術雑誌Philosophical Transactionsの出版から355年,学術出版の形態は大きく変わることなく現在も続いている。1994年,ハーナッド(Steven Harnad)は「転覆提案(The Subversive Proposal)」を公表し,学術出版に係るコストの適正化を目的に,ギンスパーグ(Paul Ginsparg)によるプレプリントサーバー(後のarXiv.org)を参考にした,インターネットを活用した既存の学術出版システムに依存しない新たな学術出版のあり方を提案した。ハーナッドの提案は,その後のオープンアクセス(OA)運動に大きな影響を与え,学術論文などの研究成果物を保存・公開する数多くのリポジトリを生み出したが,学術雑誌を中心とした学術出版の変革までには至らなかった。Pubfairは,この旧態依然の学術出版を取り巻くシステムを,機関とそのリポジトリによるリポジトリネットワークとそこにあるコンテンツを利用して構築される,分散型のオープンな出版フレームワークに置き換えることを目指している。Pubfairに関するホワイトペーパーの初版は2019年9月に,第2版は同年11月に公開された。

カナダ研究図書館協会(CARL)、2019年5月開催のオープンスカラシップに関するワークショップ“Advancing Open”の報告書を公開

2020年4月30日、カナダ研究図書館協会(CARL)は、ワークショップ“Advancing Open”の報告書を公開したことを発表しました。

“Advancing Open”は2019年5月6日から7日にかけて、カナダの学術図書館の学術コミュニケーションに関する実践者コミュニティが、オープンアクセス・オープンデータ・オープンエデュケーションを含む「オープンスカラシップ」をカナダ国内で促進するために新しい戦略を模索する機会として開催されました。CARL・カナダ研究知識ネットワーク(CRKN)や国内の大学図書館等の主催により実施されています。

報告書はワークショップ当日に70人以上の参加者の間で交わされた議論を取りまとめた内容となっています。ワークショップでは、機関から国際的なレベルまでのオープンスカラシップに関するポリシー、オープンスカラシップに関する日常業務などの実践のためのワークフローや運営、ソフトウェアやインフラなどのオープンスカラシップを支える技術、ダイバーシティ・作業量・コミュニティからの支援といった人的要素、教育・アウトリーチを通したオープンスカラシップのアドヴォカシーの5つのテーマについて、参加者の間で議論が交わされました。

プレプリントがもたらす利益と危険:米・スタンフォード大の研究者らの見解(記事紹介)

米・スタンフォード大学による2020年4月6日付けの記事で、査読を経ていない研究成果であるプレプリントがもたらす利益と危険について、同大の研究者らによる見解が紹介されています。

生物医学の分野を例にとり、従来の査読を経た出版という学術モデルが直面している変化について述べています。迅速な解決を必要とする新型コロナウイルス感染症の流行に伴いプレプリントでの研究成果公表が増えているとし、その利点として、オープンアクセスかつ素早い公開が可能であること、学術誌には掲載されない可能性のある失敗や否定的成果の共有につながること等を挙げ、研究の加速・改善をもたらすものとしています。

一方で、同大教授で生物工学等を専門とするRuss Altman氏は、プレプリントは査読を経ていないため、内容に誤りが含まれうることに注意を払う必要があるとコメントしています。記事ではプレプリントが質の低い研究を拡散してしまう恐れにも言及しており、同大助教のStanley Qi氏による、「ひとかけらの誤った情報、誤解を与える情報が10の優れた論文に害をもたらすこともある」というコメントを紹介しています。

SciELO、プレプリントサーバー“SciELO Preprints”の運用を開始:特に新型コロナウイルス感染症に関する研究成果物の共有を奨励

2020年4月7日、ラテンアメリカのオープンアクセス(OA)の電子ジャーナルプラットフォームSciELOが、プレプリントサーバー“SciELO Preprints”の運用を開始したことを発表しました。

“SciELO Preprints”は、査読前または査読中の論文等の研究成果物を共有するためのプラットフォームです。あらゆる分野の研究成果物が受付されていますが、特に新型コロナウイルスに関連した研究成果物の迅速な共有に注力することが表明されています。

“SciELO Preprints”の設立は、2018年9月に開催されたSciELOの20周年カンファレンスでオープンサイエンスに関する取り組みの一環として発表されました。オープンソースの出版システムを開発・提供している複数の大学によるイニシアチブPublic Knowledge Project(PKP)の電子ジャーナル出版システム“Open Journal System(OJS)”と構造を共有する、“Open Preprint Systems(OPS)”が“SciELO Preprints”のシステムとして採用されています。OPSの開発はSciELOとPKPの共同で行われました。

OAリポジトリのレジストリOpenDOARがアップデートを実施:OA方針サポートページのリニューアル及びCOREからの新規のリポジトリレコード900件の登録

2020年4月3日、英・Jiscは、オープンアクセス(OA)リポジトリのレジストリOpenDOARが約半年間の2つのプロジェクトの成果により、アップデートされたことを発表しました。

OpenDOARはこれまで“Policy Tool”として提供していた、リポジトリ向けのOA方針サポートページについて内容のレビューを行い、コンテンツ更新と利用しやすく迅速なアクセスの容易な情報源が提供できるように機能改訂を行いました。リニューアルされたOA方針サポートページ“Policy Support”では、OA方針に関わる主要5項目として、登録される研究成果物のメタデータ・研究成果物の本文等のデータ・研究成果物の種類やバージョン等を示すコンテンツ・リポジトリへ研究成果物の登録・研究成果物のリポジトリ上での保存を挙げ、最低限のレベルの推奨方針と最適なレベルの推奨方針の2パターンの文案を提供しています。コピーアンドペーストや編集が容易となるように、文案はHTML版及びプレーンテキスト版で利用可能です。

また、英国の機関リポジトリアグリゲーターCOREのAPIを利用して、リポジトリのレコードの大規模なインポートを実施し、重複の削除や登録資格の審査等を経て、最終的に900件のリポジトリのレコードが新たにOpenDOARへ登録されたことが発表されています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を開始

2020年4月2日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を正式に開始し、研究者が研究成果を直接投稿可能になったことを発表しました。

“Cambridge Open Engage”は、プレプリント・プレゼンテーション・ワーキングペーパー・会議用のポスター・灰色文献など、早期段階の研究成果を公開・共有するためのプラットフォームです。全てのコンテンツは自由に閲覧可能で、また著者は自由に研究成果物をアップロードできます。診療(clinical practice)に関する内容を除くあらゆる分野の研究成果が受付されており、著者は査読や出版に先立って、研究コミュニティへ自身の研究成果を共有可能となっています。

また、学会・研究センター・研究機関・研究助成機関等の組織に対しては、組織内での早期段階のオープンリサーチに関する研究成果の分析や研究の傾向・成長分野に関する知見など、“Cambridge Open Engage”を通したオープンリサーチに関するサービスが提供されます。

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