欧州

国際NGO組織NAPLE、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた欧州の公共図書館のサービス再開方針等を調査したレポートを公開

2020年7月16日、欧州の公共図書館政策担当局による国際NGO組織National Authorities for Public Libraries in Europe(NAPLE)はTwitterアカウントによる投稿で、欧州の公共図書館に関する新たなレポートを公開したことを発表しました。

NAPLEは2020年4月付で加盟20か国のメンバーから得られた回答に基づいて、新型コロナウイルス感染症の影響による図書館の休館状況、スタッフの勤務状況等を取り上げたレポートを公開しました。前回のレポートの公開後にサービス再開に向けた動きの進展が見られたことを考慮して、2020年7月3日まで実施されたフォローアップ調査が行われ、公開された2020年7月15日付の今回のレポートはこのフォローアップ調査で得られた回答に基づいて作成されています。

公開されたレポートは、図書館施設の再開、安全対策、検疫、その他の課題や考慮事項の4つのテーマに分けて構成されています。フォローアップ調査の結果に基づいて次のようなことが報告されています。

・多くの国で、図書館施設の再開館は2020年4月から5月の間に段階的に実施された

cOAlition S、欧州研究評議会(ERC)科学評議会のオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表

2020年7月21日、cOAlition Sは、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)によるオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表しました。

声明では、過去20年間にわたってハイブリッドジャーナルへの支援がオープンアクセスの速やかな進展を妨げてきたこと、転換契約がないハイブリッドジャーナルには出版社の二重取り(double-dipping)を阻止する手段がないことが指摘されています。

さらに、ハイブリッドジャーナルの現状を維持することは、潤沢な研究資金が与えられている研究者のみがハイブリッドジャーナルでのOA出版に要する費用を調達できることから、欧州の研究者間の不平等を悪化させると述べられています。リポジトリへの登録によるPlan Sへの準拠を可能とする権利保持戦略が存在することから、研究者はハイブリッド型を含むいずれのジャーナルも選択することが可能であると指摘しています。

また、cOAlition Sは若手研究者の懸念に特に注意を払っており、若手研究者を支援する機関との緊密に協働していることが述べられています。

欧州研究評議会(ERC)科学評議会、オープンアクセスについてCoalition Sから独立した活動を行うことを発表:若手研究者や助成が少ない国の研究者等のニーズに焦点

2020年7月20日、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)が、Coalition Sのサポーターをやめ、オープンアクセス(OA)の実現に向けて独立した活動を行うことを決定したと発表しました。

発表によると、若手研究者をはじめとした研究者のニーズや、研究コミュニティや欧州の国家間での公平性の担保等に焦点が当てられます。また、Coalition Sが示している、2021年1月1日から発効する完全・即時のOAに関する原則Plan Sについて、特に若手研究者や代替となる助成が少ない国の研究者、OA方針の導入が難しい分野の研究者にとって弊害となり得ると指摘しています。

同審議会は、欧州委員会(EC)と連携し、Horizon EuropeのOAに関する規則と齟齬なく、ERCを含めたプログラム全てに適用可能な解決策を模索するとしています。

Europeana、オンラインイベント開催のためのガイドを公開

2020年7月16日、Europeana Proのウェブサイト上で、Europeanaによるオンラインイベント開催のためのガイド“Europeana guide to organising online events”の公開が発表されています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、Europeanaではイベントをオンラインでの開催に切り替えています。本ガイドはこの4か月間のイベント開催で得られた教訓を踏まえて作成されたものであり、現時点では暫定的な(work in progress)内容となっています。

本ガイドでは、ウェビナーやワークショップといったオンラインイベントを企画・配信するために必要な事項、例えば企画時に行うべき決定、使用ツール類、役割分担、スケジュール作成、イベント中及びイベント前後の実施事項、事前にテストすべきポイント、問題発生時の対応について、Europeanaでの実施例を紹介しながら説明しています。

なお、Europeanaは、2020年7月7日に本ガイドと同じテーマのウェビナー“Running webinars: what we’ve learnt so far”を開催しており、録画映像がYouTube上で公開されています。

FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言(文献紹介)

2020年7月7日付で、Elsevier社傘下Cell Pressが刊行するデータサイエンス分野の査読付きオープンアクセス(OA)誌“Patterns”掲載記事として、FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言“Recommendations for Services in a FAIR Data Ecosystem”が公開されています。

同記事で示された提言は、欧州のFAIR原則促進プロジェクト“FAIRsFAIR”、研究データ同盟(RDA)の欧州における活動拠点RDA Europe、OA学術コンテンツの国際的データベースOpenAIRE、欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)実現のためのポータルサービスEOSC-hub、永続的識別子に関する基盤の発展を目指すプロジェクトとして欧州委員会の出資するFREYA projectが、2019年中に共同実施した3回のワークショップの成果に当たるものです。これらの団体は協調して、FAIR原則の実現に貢献すべきサービスにとっての共通課題と優先順位を明らかにすることへ取り組み、EOSCの構築を念頭に置きながら、データ基盤の発展とFAIR原則準拠のサービス提供のための協力に関する提言を作成しました。

cOAlition S、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開

2020年7月10日、cOAlition Sは、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開したことを発表しました。

cOAlition Sは、Plan Sの実施は研究者の出版慣行や研究活動・評価に大きな影響を与えることが予想され、Plan Sの実現にかかる手引きに対する600件以上のフィードバックでも、分野間の出版慣行の相違や出版のための費用へのアクセス等に関する不平等など、多くの監視・対処すべき課題を挙げられたことから、モニタリングのための枠組み構築を進めました。

公開された枠組みはPlan Sに署名する助成機関が、利害関係者とPlan Sの影響関係を議論するにあたって、肯定的な影響・否定的な影響の双方を追跡・監視できることを目的として構築されました。枠組みはScience Europe、UK Research and Innovation (UKRI)などのcOAlition Sを構成する助成機関や、European Council of Doctoral Candidates and Junior Researchers(Eurodoc)などのPlan Sの影響に関する懸念が特に示されたキャリア初期の研究者が構成する団体のタスクフォースによって策定されました。

欧州14大学の共同運営による機関リポジトリを統合して学術成果物を迅速にオープンアクセス(OA)出版するためのプラットフォーム“University Journals”(文献紹介)

2020年6月29日付で、欧州研究図書館協会(LIBER)の季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻第1号(2020)掲載の事例研究として、複数の大学の共同運営によって、個々の機関リポジトリを統合し参加大学所属の研究者による成果物をオープンアクセス(OA)出版するために整備中のプラットフォーム“University Journals”設立の経緯や展望を紹介した論文が公開されています。

“University Journals”は、査読を経て商業出版社の購読誌に学術成果を発表する伝統的な学術出版システムがオープンサイエンスの発展を阻害している一方、機関リポジトリによる成果物のOA化は研究者に十分なメリットを示せていないため進展していないという問題意識から設立の検討が始まりました。個々の大学の機関リポジトリと接続し、出版社から独立した効率的・高品質で持続可能性の高い出版プラットフォームを構築するプロジェクトとして、オランダのPICA財団等の助成を受けながら、欧州14大学のコンソーシアムにより共同研究が進められています。

cOAlition S、研究者の知的所有権を保護し不当なエンバーゴを抑止するための「権利保持戦略」を策定・公表

2020年7月15日、cOAlition Sは、研究者の知的所有権を保護し不当なエンバーゴを抑止するための「権利保持戦略」(Rights Retention Strategy)の策定を発表しました。cOAlition S の参加機関から助成を受けている研究者が、Plan Sの要件に完全に準拠しつつ、購読型を含むジャーナル上で研究成果を発表できるようにするものです。

Plan Sに準拠するための3ルートのうち、1つはリポジトリ経由となっていますが、その場合は、最低でも著者最終稿(AAM)をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BY相当のライセンスの下で公開する必要があります。

今回発表された権利保持戦略はこのリポジトリルートに沿ったものであり、cOAlition S 参加機関による助成条件を変更し、以下の規定を含めることが示されました。また、変更後の助成条件について、出版社への周知を行うとしています。

欧州大学協会(EUA)、転換契約と学術出版システムの将来に関する調査報告書を公表

2020年7月15日、欧州大学協会(EUA)は、学術誌の転換契約と学術出版システムの将来に関する調査報告書“Read & Publish contracts in the context of a dynamic scholarly publishing system”の公開を発表しました。

本報告書は、EUAから調査を受託したコンサルタント会社Technopolis Groupが2019年6月から2020年3月にかけて実施した、欧州の大学・図書館関係者等を中心としたステークホルダーへのインタビュー、デルファイ法を用いた調査等によるデータ収集・分析の成果をまとめたものです。調査の実施目的として、転換契約が今後どのように発展し得るか、そのさらなる拡大が学術出版システムにどのような影響を与え得るかをより良く理解することを挙げています。

報告書では、学術出版システムの主なビジネスモデルに基づいて、学術出版システムの将来シナリオを3パターン設定し、参照シナリオとの比較検討を行っています。

欧州研究図書館協会(LIBER)、テキスト認識処理に関心のある図書館員にとって有用な文献のリストを公開

2020年7月8日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、光学文字認識(OCR)・手書きテキスト認識(Handwritten Text Recognition:HTR)といった、テキスト認識処理に関する文献リストを公開したことを発表しました。

LIBERは、テキスト認識処理の詳細、テキスト認識処理分野における新しい動向、品質の低いテキスト認識がデジタルコレクションに与える影響といった話題に関心のある図書館員に有用な文献を紹介する目的でリストを公開しました。LIBERのデジタル人文学・デジタル文化遺産ワーキンググループでは、メンバー宛に有用な文献の推薦を募って文献管理ツールZoteroへの集約を行っており、公開された文献リストは、このZoteroに集約された文献から抜粋されたものです。リストには以下のような文献が含まれています。

・米国のノースイースタン大学の報告書“A Research Agenda for Historical and Multilingual Optical Character Recognition”。印刷テキストや手稿を対象とした歴史的・多言語資料のOCRの品質改善に関する9つの提言などが含まれている。

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