欧州

英・Information Power社、図書館と小規模出版社による転換契約等の締結に関する進捗状況を調査した報告書を公表:cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)からの委託による調査

2021年6月9日、英国の研究情報に関するコンサルタント会社Information Power社は、図書館及びコンソーシアムと小規模出版社間での、転換契約等のオープンアクセス(OA)出版に関する契約締結について、2020年から2021年にかけての進捗状況を調査した報告書を公開しました。cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)からの委託により実施された調査の成果です。

同調査は、学会系出版社による即時OAへ移行するための契約締結を支援するプロジェクト“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”の成果(2019年秋公表)を受けて、同プロジェクトのフォローアップ調査プロジェクトとして取り組まれたものです。

発表では、報告書の内容に関し次のような点等に言及しています。

欧州委員会(EC)、データ法“Data Act”に関するパブリックコメントを実施中

2021年6月3日から9月3日まで、欧州委員会(EC)が、データ法(Data Act)に関するパブリックコメントを実施しています。

データ法は、現行のデータ保護規則を改正するものではなく、データへのアクセスと利用を保証し、企業間(BtoB)や企業・行政機関間(BtoG)を含め、公正なデータ経済を構築するための方策を提示することを目的としています。

また、発表の中では、「データベースの法的保護に関する指令」(Directive 96/9/EC)の見直しも計画していると述べています。

Public consultation on the Data Act(EC)
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/consultations/public-consultation-data-act

欧州連合知的財産庁(EUIPO)、「アウト・オブ・コマース」の著作物の利用に関する情報を提供するポータルサイト“Out-Of-Commerce Works Portal”を公開

2021年6月7日、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、「アウト・オブ・コマース」の著作物(Out-of-commerce works)の利用に関する情報を提供するポータルサイト“Out-Of-Commerce Works Portal”の公開を発表しました。

発表では、「アウト・オブ・コマース」の著作物について、書籍、映画、映像作品などの著作物のうち、著作権保護期間内であるものの、商業的に利用されていない、または利用されたことがないものと定義しています。

“Out-Of-Commerce Works Portal”の公開は、欧州連合(EU)の「デジタル単一市場における著作権指令」第10条第1項に基づくものです。同指令では、文化遺産機関が所蔵する「アウト・オブ・コマース」作品に関し、非営利目的でのオンライン公開等を可能とする規定を設けるとともに、著作権者らによるオプトアウトの仕組みも定めています。第10条第1項では、同指令が定める著作権の制限による「アウト・オブ・コマース」作品の利用に際し、単一かつ一般にアクセス可能なポータルサイトを通じた事前の情報提供を求めており、ポータルサイトの設置及び管理はEUIPOが行うことになっていました。

欧州委員会、「デジタル単一市場における著作権指令」第17条の国内法化を支援するためのガイダンスを公開:ユーザ投稿型プラットフォームにおける著作物の利用に関する条項

2021年6月4日、欧州委員会(EC)は、欧州連合(EU)の「デジタル単一市場における著作権指令」に関し、同指令第17条の国内法化を支援するためのガイダンスの公開を発表しています。第17条は、ユーザ投稿型プラットフォームにおける著作物の利用に関する条項です。

同指令第17条第10項では、ECに対し第17条の適用に関するガイダンスの作成を求めています。今回の公開は、この規定に応じて行われたものです。

発表では、EU各国での同指令国内法化の期限日が2021年6月7日であることにも言及しています。6月7日には国際図書館連盟(IFLA)やEuropeanaも関連記事を公開しており、完全な国内法化を実施済みなのはオランダ、ハンガリー、ドイツのみであることなど、EU各国における国内法化の状況を紹介しています。

Europeanaのアグリゲーターらが活動内容等を紹介するイベント“Europeana Aggregators’ Fair”が2021年6月に初開催

Europeana Proの2021年5月28日付け記事で、2021年6月16日から17日にかけて、“Europeana Aggregators’ Fair”がオンラインで開催されることが紹介されています。

“Europeana Aggregators’ Fair”は今回初めて開催されるイベントであり、Europeana財団と、Europeanaのアグリゲーターらによるネットワーク“Europeana Aggregators’ Forum”が開催に携わっています。

デジタル化された文化遺産のEuropeanaへのアグリゲーション(集約)の現状を紹介する内容となっており、Europeanaのアグリゲーターらによる活動内容及びEuropeanaとの協力についての講演のほか、アグリゲーションのためのツールや視聴覚アーカイブの紹介等も行われます。

欧州連合(EU)による文化・創造産業支援のためのプログラム“Creative Europe 2021-2027”が開始

2021年5月26日、欧州委員会(EC)は、文化・創造産業支援のためのプログラム“Creative Europe 2021-2027”について、初年度の作業プログラムが採択されたことを発表しています。これにより、“Creative Europe 2021-2027”が開始されることになります。

“Creative Europe”は次の2点を主な目的とし、文化・創造産業支援のための助成を行います。

・欧州の文化的・言語的多様性と遺産を保護し、発展させ、促進する。
・文化・創造セクター、特に視聴覚セクターの競争力と経済的可能性を高める。

今回開始された“Creative Europe 2021-2027”は、“Creative Europe 2014-2020”の後継プログラムとなります。“2014-2020”の予算は14億7,000万ユーロでしたが、“2021-2027”では24億4,000万ユーロの予算規模となる見込みであり、60%を超える増加となっています。なお、“2014-2020”では、図書館が関係するプロジェクトへの助成も多くなされました。

Sparc Europe、欧州の高等教育機関の図書館等におけるオープンエデュケーション推進に関する2021年から2023年の戦略を発表

2021年5月31日、Sparc Europeのオープンエデュケーション(OE)の発展支援等を行う欧州の図書館員のネットワーク“European Network of Open Education Librarians” (ENOEL)が、2021年から2023年にかけての戦略計画を発表しました。

高等教育における図書館は、欧州の教育資源・実践をオープンかつ再利用可能にするうえで重要なパートナーであり、ENOELの活動の主な対象は欧州の高等教育機関の図書館員コミュニティとすると述べています。

活動の主要な目標に、ユネスコ(UNESCO)によるオープン教育資源(OER)促進のための勧告の実施支援を掲げています。取り組む事項として、「能力育成」「OERを支援するポリシーの策定」「包括的で公正な質のOERの推進」「OERの持続可能なモデル構築の促進」「OERに関する国際協力の推進と強化」が挙げられています。

Science Europe、研究データの長期保存・アクセス保障に取り組む組織に向けた実践ガイド“Practical Guide to Sustainable Research Data”を公開

2021年6月2日、欧州の研究助成機関・研究実施機関が加盟するScience Europeが、研究データの長期保存・アクセス保障に取り組む組織に向けた実践ガイド“Practical Guide to Sustainable Research Data”の公開を発表しました。

同ガイドでは、研究助成機関(Research Funding Organisations:RFOs)、研究実施機関(Research Performing Organisations:RPOs)、研究データ基盤(Research Data Infrastructures:RDI)の三者に対して、持続可能な研究データへの取組における成熟度の指標を示した表が含まれています。これらの指標を参考にして、各組織のポリシーと実践の評価や、次のステップの特定、他組織との連携模索を行うことができる、とあります。

CESAER、EUA、Science Europe、出版者にオープンアクセスについての透明性と研究者の権利の尊重を求める共同声明を発表

2021年5月25日、欧州の科学技術大学の団体CESAER、欧州大学協会(EUA)、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeが、出版者がオープンアクセスについての透明性を提供することで研究者の権利を尊重することを求める共同声明を発表しました。

共同声明では、出版者に対して、制限やエンバーゴ期間なしに査読済みの研究結果を共有するなど、研究者の権利を完全に尊重することを求めています。 特に、この声明は、著者最終稿をCC-BY等のオープンライセンスでリポジトリへ登録することを希望する研究者には、エンバーゴ期間なしに実現できなければならないと宣言しています。

通常、出版社は、著者が研究結果に対してできることを制限する独占的な出版契約に署名することを著者に要求しています。この声明は、このシステムが時代遅れであるとしてその置き換えを促し、社会の利益のために研究をオープンに広めるための多様なモデルを支援しています。

クラウドソーシングにより視聴覚資料に字幕を付与するプロジェクト“Europeana XX: subtitle-a-thon”(記事紹介)

欧州のテレビ放送アーカイブを提供する“EUscreen”の2021年5月20日付けブログ記事で、クラウドソーシングにより視聴覚資料に字幕を付与するプロジェクト“Europeana XX: subtitle-a-thon”が紹介されています。

“Europeana XX: subtitle-a-thon”はEuropeanaの関連プロジェクト“Europeana XX: Century of Change”により企画されました。オランダ視聴覚研究所(Netherlands Institute for Sound and Vision)など、独・イタリア・ポーランド・オランダの4機関による主催の下、2021年6月から7月にかけてこの4か国でオンラインイベントとして開催されます。

オンラインイベントは、視聴覚遺産や言語に関心がある人、特に翻訳者や言語教師、言語学科の学生などを対象としており、参加者は字幕編集機能付きの特別なメディアプレーヤーを利用して字幕付与作業を行います。

“Europeana XX: subtitle-a-thon”のプロジェクトページ上の記載によれば、プロジェクト実施の目的として、視聴覚資料を多言語で利用できるようにし、現在あまり利用されていない視聴覚遺産をより広く利用可能とすることを挙げています。

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