欧州

ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方:文字起こし、アノテーション、字幕等(記事紹介)

Europeana Proに掲載された2020年8月12日付け記事で、ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方が紹介されています。筆者はEuropeana財団のJunior Policy AdvisorであるAriadna Matas氏です。

Europeanaが、クラウドソーシングのプロジェクト等を通じてユーザーによるコンテンツの文字起こし、アノテーション付与、エンリッチメントを進めてきたことに触れつつ、これらのユーザー作成コンテンツの著作権をどう扱うかについてEuropeanaとしての考え方を示しています。

アノテーションとエンリッチメントについては、Europeanaのデータパートナーから提供されるメタデータと同じ扱いとし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC0での提供とすべきとしています。一方、文字起こしと字幕については、それらが基づくコンテンツの知的財産権を尊重し、データパートナーがコンテンツに設定した権利ステートメントと同条件での提供としています。

視聴覚コレクションへの相互運用可能なアクセス:“Avalon Media System”について(記事紹介)

europeana proの2020年8月3日付の記事“Interoperable access for audiovisual collections - exploring Avalon Media System”で、デジタルの音声・動画コレクションへのアクセスを管理、提供するためのオープンソースのシステム“Avalon Media System”が紹介されています。

記事によると、同ウェブサイトの2020年6月12日付の記事で紹介されたEuropeanaの新しいメディアプレーヤーは、同システムおよびIIIFの成果をもとに構築されています。

同システムは、米・インディアナ大学と米・ノースウェスタン大学によって2011年に共同開発が開始され、同記事の執筆時点では少なくとも12の機関で利用されています。音声・動画コレクションへの柔軟なアクセスを提供するものであり、HTMLのiframe(インラインフレーム)を用いて他のウェブサイトにメディアプレーヤーを埋め込むことが可能です。

欧州研究図書館協会(LIBER)、ドイツ連邦司法・消費者保護省(BMJV)による改正EU著作権指令の国内法化案へのパブリックコメント募集に対して回答を提出

2020年7月27日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、ドイツ連邦司法・消費者保護省(Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz:BMJV)が実施中の「デジタル単一市場における著作権指令(the Directive on Copyright in the Digital Single Market)」国内法化案へのパブリックコメント募集に対して、回答を提出したことを発表しました。

LIBERは、BMJVの公開した法案について、絶版著作物の利用・大量のデジタル化に関連して2点の懸念を指摘しています。1点目の懸念として、文化遺産機関が集中管理団体(CMO)をいつ利用すべきか、例外的に利用しなければならない場面はどのようなものかについて、原案では明確でないことを挙げています。LIBERはこの懸念へ対応するために、CMOが関与してライセンスを提供すべき事例、「代替的な著作権の例外規定」(fall-back exception)が提供されるべき事例の明確化、CMOの決定プロセスへの期限の設定などの提言を行っています。

国際NGO組織NAPLE、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた欧州の公共図書館のサービス再開方針等を調査したレポートを公開

2020年7月16日、欧州の公共図書館政策担当局による国際NGO組織National Authorities for Public Libraries in Europe(NAPLE)はTwitterアカウントによる投稿で、欧州の公共図書館に関する新たなレポートを公開したことを発表しました。

NAPLEは2020年4月付で加盟20か国のメンバーから得られた回答に基づいて、新型コロナウイルス感染症の影響による図書館の休館状況、スタッフの勤務状況等を取り上げたレポートを公開しました。前回のレポートの公開後にサービス再開に向けた動きの進展が見られたことを考慮して、2020年7月3日まで実施されたフォローアップ調査が行われ、公開された2020年7月15日付の今回のレポートはこのフォローアップ調査で得られた回答に基づいて作成されています。

公開されたレポートは、図書館施設の再開、安全対策、検疫、その他の課題や考慮事項の4つのテーマに分けて構成されています。フォローアップ調査の結果に基づいて次のようなことが報告されています。

・多くの国で、図書館施設の再開館は2020年4月から5月の間に段階的に実施された

cOAlition S、欧州研究評議会(ERC)科学評議会のオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表

2020年7月21日、cOAlition Sは、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)によるオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表しました。

声明では、過去20年間にわたってハイブリッドジャーナルへの支援がオープンアクセスの速やかな進展を妨げてきたこと、転換契約がないハイブリッドジャーナルには出版社の二重取り(double-dipping)を阻止する手段がないことが指摘されています。

さらに、ハイブリッドジャーナルの現状を維持することは、潤沢な研究資金が与えられている研究者のみがハイブリッドジャーナルでのOA出版に要する費用を調達できることから、欧州の研究者間の不平等を悪化させると述べられています。リポジトリへの登録によるPlan Sへの準拠を可能とする権利保持戦略が存在することから、研究者はハイブリッド型を含むいずれのジャーナルも選択することが可能であると指摘しています。

また、cOAlition Sは若手研究者の懸念に特に注意を払っており、若手研究者を支援する機関との緊密に協働していることが述べられています。

欧州研究評議会(ERC)科学評議会、オープンアクセスについてCoalition Sから独立した活動を行うことを発表:若手研究者や助成が少ない国の研究者等のニーズに焦点

2020年7月20日、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)が、Coalition Sのサポーターをやめ、オープンアクセス(OA)の実現に向けて独立した活動を行うことを決定したと発表しました。

発表によると、若手研究者をはじめとした研究者のニーズや、研究コミュニティや欧州の国家間での公平性の担保等に焦点が当てられます。また、Coalition Sが示している、2021年1月1日から発効する完全・即時のOAに関する原則Plan Sについて、特に若手研究者や代替となる助成が少ない国の研究者、OA方針の導入が難しい分野の研究者にとって弊害となり得ると指摘しています。

同審議会は、欧州委員会(EC)と連携し、Horizon EuropeのOAに関する規則と齟齬なく、ERCを含めたプログラム全てに適用可能な解決策を模索するとしています。

Europeana、オンラインイベント開催のためのガイドを公開

2020年7月16日、Europeana Proのウェブサイト上で、Europeanaによるオンラインイベント開催のためのガイド“Europeana guide to organising online events”の公開が発表されています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、Europeanaではイベントをオンラインでの開催に切り替えています。本ガイドはこの4か月間のイベント開催で得られた教訓を踏まえて作成されたものであり、現時点では暫定的な(work in progress)内容となっています。

本ガイドでは、ウェビナーやワークショップといったオンラインイベントを企画・配信するために必要な事項、例えば企画時に行うべき決定、使用ツール類、役割分担、スケジュール作成、イベント中及びイベント前後の実施事項、事前にテストすべきポイント、問題発生時の対応について、Europeanaでの実施例を紹介しながら説明しています。

なお、Europeanaは、2020年7月7日に本ガイドと同じテーマのウェビナー“Running webinars: what we’ve learnt so far”を開催しており、録画映像がYouTube上で公開されています。

FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言(文献紹介)

2020年7月7日付で、Elsevier社傘下Cell Pressが刊行するデータサイエンス分野の査読付きオープンアクセス(OA)誌“Patterns”掲載記事として、FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言“Recommendations for Services in a FAIR Data Ecosystem”が公開されています。

同記事で示された提言は、欧州のFAIR原則促進プロジェクト“FAIRsFAIR”、研究データ同盟(RDA)の欧州における活動拠点RDA Europe、OA学術コンテンツの国際的データベースOpenAIRE、欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)実現のためのポータルサービスEOSC-hub、永続的識別子に関する基盤の発展を目指すプロジェクトとして欧州委員会の出資するFREYA projectが、2019年中に共同実施した3回のワークショップの成果に当たるものです。これらの団体は協調して、FAIR原則の実現に貢献すべきサービスにとっての共通課題と優先順位を明らかにすることへ取り組み、EOSCの構築を念頭に置きながら、データ基盤の発展とFAIR原則準拠のサービス提供のための協力に関する提言を作成しました。

cOAlition S、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開

2020年7月10日、cOAlition Sは、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開したことを発表しました。

cOAlition Sは、Plan Sの実施は研究者の出版慣行や研究活動・評価に大きな影響を与えることが予想され、Plan Sの実現にかかる手引きに対する600件以上のフィードバックでも、分野間の出版慣行の相違や出版のための費用へのアクセス等に関する不平等など、多くの監視・対処すべき課題を挙げられたことから、モニタリングのための枠組み構築を進めました。

公開された枠組みはPlan Sに署名する助成機関が、利害関係者とPlan Sの影響関係を議論するにあたって、肯定的な影響・否定的な影響の双方を追跡・監視できることを目的として構築されました。枠組みはScience Europe、UK Research and Innovation (UKRI)などのcOAlition Sを構成する助成機関や、European Council of Doctoral Candidates and Junior Researchers(Eurodoc)などのPlan Sの影響に関する懸念が特に示されたキャリア初期の研究者が構成する団体のタスクフォースによって策定されました。

欧州14大学の共同運営による機関リポジトリを統合して学術成果物を迅速にオープンアクセス(OA)出版するためのプラットフォーム“University Journals”(文献紹介)

2020年6月29日付で、欧州研究図書館協会(LIBER)の季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻第1号(2020)掲載の事例研究として、複数の大学の共同運営によって、個々の機関リポジトリを統合し参加大学所属の研究者による成果物をオープンアクセス(OA)出版するために整備中のプラットフォーム“University Journals”設立の経緯や展望を紹介した論文が公開されています。

“University Journals”は、査読を経て商業出版社の購読誌に学術成果を発表する伝統的な学術出版システムがオープンサイエンスの発展を阻害している一方、機関リポジトリによる成果物のOA化は研究者に十分なメリットを示せていないため進展していないという問題意識から設立の検討が始まりました。個々の大学の機関リポジトリと接続し、出版社から独立した効率的・高品質で持続可能性の高い出版プラットフォームを構築するプロジェクトとして、オランダのPICA財団等の助成を受けながら、欧州14大学のコンソーシアムにより共同研究が進められています。

ページ