欧州

欧州研究図書館協会(LIBER)、フランスのADBUと共同研究実施のための覚書を締結:覚書に基づいてオープンサイエンスの発展に必要な能力開発等に関するプロジェクトを実施

2021年2月22日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、フランスの大学図書館・ドキュメンテーション分野の管理職層職員が構成する団体“l’Association française des directeurs et personnels de direction des bibliothèques universitaires et de la documentation”(ADBU)と覚書を締結したことを発表しました。

LIBERとADBUの覚書は、両者による共同研究プロジェクトの実施を可能にする目的で締結されました。国立図書館のネットワークの強化と会員館の付加価値向上というLIBERの意向を反映した内容であることが紹介されています。

LIBERとADBUは覚書に基づく第1弾の共同研究プロジェクトして、“Science and Knowledge Openness – Developing Open Science Skills and Competencies in the Academic World”を実施することを合わせて発表しています。同プロジェクトの実施目的については、次のように説明しています。

cOAlition S、国際STM出版社協会の「権利保持戦略」に対する懸念表明へ反論

2021年2月3日付で、cOAlition SによるプランSの実施に関連した見解・インタビュー・方法等を紹介するブログ“sOApbox”に、cOAlition SのCoordinatorであるRobert Kiley氏とExecutive DirectorであるJohan Rooryck氏の連名の声明が掲載されています。

この声明は、同日付で国際STM出版社協会が発表したプランSの「権利保持戦略」に対する懸念表明について、同戦略に対する誤った認識に基づいたものであるとして反論する内容です。cOAlition Sは、国際STM出版社協会の懸念表明で示された点について、主に次のように説明しています。

・出版社版(Version of Record)論文の価値の低下に対する懸念が示されているが、プランSは論文処理費用(APC)・転換契約・転換雑誌等への支援を通して、出版社版論文のオープンアクセス(OA)化を積極的に進めている

・出版社が査読の管理に多大なリソースを割いている点は認識しており過小評価していないが、査読は研究コミュニティが自発的に行う営為である点には留意すべきである

・長年尊重されてきた学問の自由を損なっているという指摘は具体性を欠いており、そのようなことが実際に起こることはまず想定できない

国際STM出版社協会、出版社・学協会と連名でプランSの「権利保持戦略」に対する懸念を表明

2021年2月3日付で、国際STM出版社協会が、出版社・学協会と連名でプランSの「権利保持戦略」に対する懸念を示した声明を発表しています。

同声明は、欧州の研究助成機関のコンソーシアムcOAlition Sのイニシアティブ「プランS」による研究成果のオープンアクセス(OA)化の拡大という理念に共感しつつ、即時OA化の保証を意図して導入された「権利保持戦略」については、現状のままでは支持することができないと表明しています。「権利保持戦略」の問題点として、無料の代替物の提供が出版社の購読料・論文処理費用(APC)収入を脅かしOA誌の財政的持続可能性を損なうこと、学術情報の基盤である出版社版(Version of Record)論文の公正性を掘り崩す恐れがあることなどを挙げています。

同声明は、署名した出版社を含む多くの出版社で運用されているように、著者に対して再利用可能なライセンスの付与を認めて、リポジトリ等で公開できる選択肢の提供は可能であるが、持続可能性を保証するためには、「権利保持戦略」のような包括的なポリシーとしてではなく、個々の雑誌のレベルで採用が検討されるべきである、と主張しています。

SPARC Europe、2021年から2024年までの次期4年間に関する新戦略を発表

2021年1月28日、SPARC Europeは、2021年から2024年までの次期4年間に関する新戦略を発表しました。

SPARC Europeは次期4年間について、公平、多様で持続可能なオープンサイエンス・オープンエデュケーションのエコシステム開発に中心的に取り組むことを表明し、次のような項目を新戦略の目標に掲げています。

・欧州におけるオープンアクセス・オープンスカラシップ・オープンサイエンス・オープンエデュケーションに関するポリシーの確立に努め、可能な限り全体の調和を図る
・研究・教育の場面で「オープン」に向けた流れを推進する
・研究・教育リソースが広く公開・共有されることを願う全ての人がより良い方法で実現できるように、「オープン」の利益が公平に甘受されるように努める
・オープンリサーチ、オープンエデュケーションの成果公開において多様性を促進する
・オープンリサーチの報酬とインセンティブのあり方を再考し、公的資金の助成を受けた研究の影響力を向上させる
・「オープン」を支えるインフラストラクチャーやサービスのエコシステムの持続を支援する

ポルトガル科学技術財団(FCT)がcOAlition Sに参加:参加機関は26に

2021年1月26日、cOAlition Sは、ポルトガル科学技術財団(Fundação para a Ciência e a Tecnologia:FCT)が新たに参加機関に加わったことを発表しました。

FCTは1997年に設立されたポルトガル国営の研究助成機関です。cOAlition Sはプレスリリースの中で、ポルトガルではFCTの下で先進的なオープンアクセス(OA)推進の取り組みが進んでおり、FCTは「プランS」の支持によりさらにその取り組みを加速させること、cOAlition SはFCTの参加により欧州におけるOA推進のための研究助成体制が強化されたことなどを紹介しています。

また、cOAlition SのExecutive DirectorであるJohan Rooryck氏は、「プランSの発効直後で、ポルトガルが欧州連合理事会の議長国にいるという大変良いタイミングでFCTの参加が叶い喜ばしく思う。他の多くの欧州諸国がcOAlition Sに参加し、公的助成を受けた研究成果物の完全即時OA化を実現できるように、模範となってくれることを願っている」とコメントしています。

FCTの参加により、cOAlition Sの参加機関数は26となりました。

Science Europe、「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」の増補版を公開:研究データ管理計画(DMP)評価のためのルーブリックを追加

2021年1月27日付で、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeは、「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」(“Practical Guide to the International Alignment of Research Data Management”)の増補版(Extended Edition)を公開しました。

Science Europeは、研究データの適切な整理・保存を行う機関、研究コミュニティ、研究者個人を対象とした手引きとして、2019年に「研究データ管理の国際的な調整に関する実践ガイド」を作成しました。2019年のガイドが多くの機関で採用されるなどしたことを受けて、Science Europeは研究データ管理計画(DMP)の評価を容易にすることを意図したルーブリックを追加して増補版を作成し公開しました。

欧州の20機関以上が参加するSSHOCプロジェクト、プロジェクト成果物“SSH Open Marketplace”のベータ版の公開テストを開始

2021年1月21日、欧州の20機関以上が参加する人文・社会科学分野(SSH)におけるオープンクラウドエコシステム構築のためのSSHOC(Social Sciences & Humanities Open Cloud)プロジェクトは、同プロジェクトの成果物“SSH Open Marketplace”のベータ版の公開テストが開始したことを発表しました。

SSH Open Marketplaceは、人文・社会科学分野の研究者がデジタル環境下で必要とするツール・サービス・研修資料・データセット・ワークフローなどを集約し、研究のライフサイクルに応じて提供が可能なポータルとして構築が進められています。同プロジェクトのパートナーとして、欧州人文学デジタル研究基盤(DARIAH)が開発の中心となり、現在約5,000件のレコードが収録されています。

SSH Open Marketplaceベータ版の公開テストには、全ての人文・社会科学分野の研究コミュニティが参加可能であり、ポータル内の“Report an issue”のボタンから開発チームに直接コメントを提出することができます。SSH Open Marketplaceは中間アップデート版の公開を経て、2021年12月に最終版が公開される予定です。

2020年におけるEurope PMCの進捗:導入された新機能等(記事紹介)

生物医学分野のオープンアクセス(OA)リポジトリEurope PMCは、2021年1月14日付けのブログ記事で、2020年に達成された成果や導入された新機能を紹介しています。

ユーザー向けサービス、全文検索とブラウジング、コンテンツ強化、テキストとデータマイニングのサポート、ユーザーコミュニティといったテーマ別にまとめられており、そのうちユーザー向けサービスでは、以下の内容が紹介されています。

・引用分析プラットフォームSciteと提携し、「スマート引用」(smart citations)機能をプラットフォームに統合した。「スマート引用」は、引用のコンテキストとともに、引用された主張を支持しているかまたは異議をとなえているかの分類を提供する。論文の“Citations & Impact”タブから「スマート引用」の情報を参照できる。

欧州大学協会(EUA)、DORA・SPARC Europeと共同収集した研究評価の改善に関する実践事例の報告書を公開

2021年1月14日付で、欧州大学協会(EUA)が報告書“Reimagining Academic Career Assessment: Stories of innovation and change”を公開しています。

同報告書は、EUAが「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)・SPARC Europeと共同収集した、研究評価の改善に関する大学等の実践事例をまとめ、分析した内容です。大学、及び研究評価の改善に取り組む関係者へ示唆を与える目的で作成されました。

報告書ではゲント大学(ベルギー)、カタルーニャ・オープン大学(スペイン)、バース大学(英国)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英国)、ユトレヒト大学医療センター(オランダ)、寧波ノッティンガム大学(中国)、タンペレ大学(フィンランド)の7機関、及び、オランダ・フィンランド・ノルウェーの国家コンソーシアムの取組が実践事例として取り上げられています。各実践事例の内容とともに、10件の実践事例を通して得られた主要な知見が示されています。

Europe PMC、プレプリントサーバ“Research Square”に収録された4,500点以上の新型コロナウイルス感染症関連文献のインデクス化を完了

2021年1月12日、生物医学分野のオープンアクセス(OA)リポジトリEurope PMCは、Research Square社が提供する同名のプレプリントサーバに収録された新型コロナウイルス感染症関連文献について、インデクス化を実施したことを発表しました。

インデクス化の完了により、“Research Square”に収録された4,500点以上の新型コロナウイルス感染症関連文献の全文が、Europe PMC上で利用可能になっています。この取り組みは、英国のウェルカム・トラスト、英国医学研究会議(UK Medical Research Council:MRC)、スイス国立科学財団(SNSF)の支援により実現しました。Europe PMCでは、新型コロナウイルス感染症に関連するプレプリント文献として、合計1万3,000点以上がHTML形式で利用可能となっています。

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