ドイツ

E2449 - 国際会議National Libraries Now 2021<報告>

   2021年9月16日から17日にかけて,国立図書館のキュレーションに関する国際会議“National Libraries Now 2021”(以下「NLN2021」)がオンラインで開催された。本稿では,筆者がパネリストとして参加したパネル13「スポットライト:デジタルツールによる課題解決」の内容を中心に報告する。

国際図書館連盟(IFLA)、ドイツでの図書館による電子書籍の収集・貸出に関する法改正に向けた取組を支持する声明を発表

2021年10月25日、国際図書館連盟(IFLA)が、ドイツで議論されている、図書館による電子書籍の収集・貸出を可能とするための法改正を支持する声明を発表しました。

声明の中では、図書館は、コンテンツの収集のための投資、将来の読書人口拡大する取組等を通して、書籍業界全体の健全性に貢献しており、紙の書籍と同様に電子書籍においても同様の役割を担っているとしています。

また、電子書籍は多様な情報へのアクセスの重要な手段であり、図書館を通じて全ての人が電子書籍を読めるようにするべきであること、そのためには、図書館が合理的な条件で電子書籍を入手し、貸し出せるようになっている必要があること等を述べています。

その他、従来の貸出の制度を電子書籍にも適用させるべきとした欧州委員会司法裁判所による2016年の判決を挙げ、ドイツの意思決定者がこの判決に沿って行動すること、利害関係者が建設的かつエビデンスに基づいて協力することを願うと述べています。

カナダ国立図書館・文書館(LAC)とドイツ国立図書館(DNB)、情報共有や展示会での連携等に関する覚書を締結

2021年10月21日、カナダ国立図書館・文書館(LAC)が、ドイツ国立図書館(DNB)と覚書(Memorandum of Understanding:MoU)を締結したと発表しました。

LACとDNBの間で4回にわたって行われた議論の結果を踏まえたものであり、2026年まで有効です。取り組む内容として以下を挙げています。

・組織体制やシステム、プログラム、サービス、コレクション、緊急時の計画、コレクションのデジタル化、電子資料の管理についての情報共有
・文書資料の収集と、記述、アクセス、保存等についての情報共有
・展示会、共同での活動やプロジェクトにおける協力の機会を探る

また、議論の様子はLACのYouTubeで公開していると述べています。

ドイツ国立図書館(DNB)、ゲーテ『ファウスト』のVR版“Goethe VR”をプレイできるスペースを館内に設置

2021年10月12日、ドイツ国立図書館(DNB)は、同館ライプツィヒ館及びフランクフルト・アム・マイン館の館内に、ゲーテ『ファウスト』のVR版“Goethe VR”をプレイできるスペースを設置すると発表しました。10月19日から無料で利用可能となります。

“Goethe VR”は『ファウスト』第1部・第2部に基づくインタラクティブなVR体験を提供するものであり、所要時間は約15分です。VRヘッドセット等を装着したプレイヤーは、メフィストフェレスとの契約、魔女の厨への旅、グレートヒェンとの出会いといった『ファウスト』の物語に積極的に参加することになる、とあります。

“Goethe VR”はドイツの企業ZDF Digitalが作成したものです。作成にあたり、ドイツの連邦交通デジタルインフラ省(BMVI)による助成プログラム“Federal Funding for Computer Games”からの助成、ドイツのゲーテ博物館及びDNBの“German Museum of Books and Writing”からの協力を得ています。

E2420 - ビッグディール契約キャンセルの影響調査(米国)

   米国の非営利団体Ithakaの調査部門Ithaka S+Rが,2021年6月,学術誌のビッグディール契約(CA1586参照)のキャンセルが研究者にもたらす影響を調査した報告書“What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access”を公開した。本稿では報告書の概要を紹介する。

国立国会図書館、『外国の立法』2021年8月号で英国図書館理事会(借入権限)法の施行、ドイツのシュタージ文書の連邦公文書館移管についての記事を掲載

国立国会図書館は、『外国の立法』No.288-2(2021年8月 : 月刊版)の「短信」に、記事「【イギリス】英国図書館理事会(借入権限)法」「【ドイツ】シュタージ文書の連邦公文書館移管―連邦公文書館法・シュタージ文書法改正等―」を掲載しています。

「【イギリス】英国図書館理事会(借入権限)法」では、1972 年英国図書館法(1972 c.54)を改正し、2021 年英国図書館理事会(借入権限)法(2021 c.15)が2021年6月29日に施行されたことを紹介しています。1972 年英国図書館法では、英国図書館の運営を行う英国図書館理事会が借入れを行うことを禁じていましたが、英国図書館理事会(借入権限)法の施行により借入れが可能となりました。

「【ドイツ】シュタージ文書の連邦公文書館移管―連邦公文書館法・シュタージ文書法改正等―」では、2021年6月17日に施行された「連邦公文書館法及びシュタージ文書法を改正し、SED 犠牲者受託官を設置する法律」(BGBl. I 2021 S. 750)により、シュタージの記録文書が連邦公文書館に移管されることを紹介しています。なお、シュタージとは、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の事実上の独裁政党であったドイツ社会主義統一党(SED)が組織した秘密警察です。

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、新型コロナウイルス感染症対策としての新たな形態のリモートアクセスに関するレポートを公開:オンラインの閲覧室等を構築する取組について

2021年7月19日、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)が、オンラインの閲覧室(Virtual Reading Room:VRR)やティーチングスペース(Virtual Teaching Space:VTS)を構築する取組についての調査レポートの公開を発表しました。

同調査は、2021年5月14日から6月11日にかけてRLUKが実施したものであり、英国の大学を中心に、32機関から回答が寄せられました。発表の中では、VRRやVTSはデジタル化に依存せず、図書館内の閲覧室等に配置したビジュアライザーを用いたライブ・ストリーミングにより、コレクションへのリモートアクセスを可能とするとあります。

調査の結果明らかになった主な事柄として、両者は広がりつつあるサービスであり、利用・対象者・拡張性・持続可能性について課題が残っていること等が挙げられています。その他、VRRは、ロックダウン期間中に当該組織内の少数の研究者等を対象としたリモートアクセス提供サービスから、より広範な研究者を対象とした研究支援サービスとなったと述べています。VTSについては、当初はロックダウン期間中にオンサイトでの授業の代替とされていたものの、現在では学生の学習支援と参加・地域への貢献の拡大のためのものになっていると指摘しています。

ドイツ規格協会(DIN)、図書館・博物館・文書館におけるデジタル・オーディエンスの評価手法の要件に関する規格案(DIN 31640)を公開

ドイツ規格協会(DIN)が、2021年7月付けで、図書館・博物館・文書館におけるデジタル・オーディエンスの評価手法の要件に関する規格案“DIN 31640 Digital audience measurement in archives, libraries and museums - Requirements for measurement methods”を公開しています。

本文は有料ですが、目次(ドイツ語)は無料でダウンロードできます。

DRAFT STANDARD [NEW]
DIN 31640
Digital audience measurement in archives, libraries and museums - Requirements for measurement methods
https://www.din.de/en/wdc-beuth:din21:340796732
※「EDITION 2021-07」とあります。

米・Ithaka S+R、学術誌のビッグディール契約のキャンセルが研究者にもたらす影響を調査した報告書を公開

2021年6月22日、米・Ithaka S+Rは、学術誌のビッグディール契約のキャンセルが研究者にもたらす影響を調査した報告書“What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access”を公開しました。

今回の調査は、ビッグディール契約に関する戦略的決定を行っている米国の大学図書館10館、ドイツの大学図書館1館との提携により進められました。ビッグディール契約のキャンセルによる影響を受ける可能性が高い89人の研究者にインタビューを行っており、報告書ではその結果や、ビッグディール契約のキャンセルに際し図書館が特に注意すべきポイント等が示されています。

Ithaka S+Rによる同日付けのブログ記事“New Report: What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access”でも、本報告書の紹介が行われています。注目すべき調査結果として、ビッグディール契約のキャンセルにより一連の学術誌が利用できなくなった場合でも、研究者への悪影響は短期的にはほぼ見られないということを挙げています。

Elsevier社のアクセス制限がドイツの研究者の出版行動と引用行動に与えた影響(文献紹介)

プレプリントサーバarXivに2021年5月25日付で、ドイツ経済学中央図書館(ZBW)のNicholas Fraser氏らが共著で執筆した文献“No Deal: Investigating the Influence of Restricted Access to Elsevier Journals on German Researchers' Publishing and Citing Behaviours”が公開されています。

2014年にドイツでは、大手出版社とのナショナルライセンス契約を交渉するプロジェクトDEAL(Projekt DEAL)が設置されました。DEAL とElsevier社の交渉は2016年に開始されましたが、2018年に決裂しました。この結果、約200のドイツの研究機関がElsevier社との契約を取り止め、2018年7月以降これらの機関のElsevier社のジャーナルへのアクセスは制限されました。

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