EU(欧州連合)

cOAlition S、欧州研究図書館協会(LIBER)が策定したモデル法への賛意を表明:公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定

2021年3月30日、cOAlition Sは、欧州研究図書館協会(LIBER)が策定したモデル法(model law)への賛意を表明しました。

モデル法は、公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定した内容となっており、欧州連合(EU)及び欧州各国政府のレベルで研究成果物の二次出版権が取り扱われることを目的としています。

モデル法の策定は、プランSの「権利保持戦略」や欧州委員会の助成プログラム“Horizon Europe”などを背景とした、LIBERによるキャンペーンの一環として行われました。LIBERは同キャンペーンのウェブページにおいて、著者が自身の研究成果をコントロールできるような政策を全EU加盟国で導入し、各国で協調的・水平的なアプローチを採用する時が来た、と述べています。

cOAlition Sは、全EU加盟国での協調的・水平的なアプローチの採用、という簡明な目標をとりわけ歓迎すると述べています。

欧州委員会(EC)、オープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”を正式公開

2021年3月24日、欧州委員会(EC)は、オープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”の正式公開を発表しました。

“Open Research Europe”は、欧州連合(EU)における2021年から2027年の研究・イノベーション支援プログラムHorizon Europeとぞの前身であるHorizon 2020による助成を受けた研究成果物に対して、OA出版を提供するプラットフォームです。研究者・市民を問わず誰もが最新の科学の知見に無料でアクセスできることを目指しており、研究成果の再利用の遅延・障壁、高額な費用など、研究成果の公開に関わる主要な問題に直接対処した取り組みとして説明しています。“Open Research Europe”はHorizon Europe及びHorizon 2020で助成を受けた研究者へのオプションサービスとして提供され、該当する研究者は費用負担を負うことなく、研究成果物をOA化し、研究成果の即時OA化に関する助成要件を満たすことができます。

正式公開された“Open Research Europe”では、様々な分野の約40本の論文が投稿され、内容の閲覧・レビューが可能になっています。

欧州研究図書館協会(LIBER)、公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定したモデル法を策定し公開

2021年3月16日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、公的助成による研究成果物がゼロエンバーゴで二次出版可能であることを規定したモデル法(model law)として、“Draft Law for the Use of Publicly Funded Scholarly Publications”を公開したことを発表しました。

LIBERは同日付で、プランSの「権利保持戦略」や欧州委員会の助成プログラム“Horizon Europe”などを背景に、公的助成による研究成果物のゼロエンバーゴによる公開を支援するキャンペーンを開始しました。モデル法は同キャンペーンの一環として、適法にオープンリポジトリ上でゼロエンバーゴにより研究成果物を公開可能とする目的で提案されました。LIBERの著作権・法的諸問題に関するワーキンググループとオープンアクセス(OA)に関するワーキンググループが合同で作成し、2020年6月に理事会で全会一致による承認を得ています。

英国の“Brexit”が欧州連合(EU)およびドイツの図書館に与える影響とは(記事紹介)

2021年1月5日付で、ドイツのベルリン国立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)は、英国の欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)が完了し、2020年末に2021年1月から暫定適用される英国・EU間の通商協定が締結されたことを受けて、EUおよびドイツの図書館に与える影響について解説した記事を公開しました。

同記事は、EU加盟国内の多くの図書館で国境を越えた活動が行われていることから、これまでEU加盟国内で調和が図られていた税制・著作権・データ保護の分野に影響が及ぶことを指摘しながら、個々の影響関係を解説しています。

図書館のあらゆる契約実務に課せられる付加価値税(VAT)については、EU加盟国と非加盟国では根拠法が異なり、EUに非加盟の「第三国」となった英国の事業者との契約では、担当が税務署ではなく税関当局となり、税関当局に「輸入売上税」を納付する必要があることなどを紹介しています。また、EUの非加盟国になったことに伴い、原則として英国を含む第三国から購入した物品には共通関税(Common Customs Tariff)が適用されますが、印刷資料やCD・DVD等の視聴覚資料は免除されることを説明しています。ただし、ゲーム等の触覚メディアには共通関税が適用されます。

欧州委員会出版局、研究用ソフトウェアのための学術基盤に関する報告書を公開

欧州委員会出版局(Publications Office of the EU)のウェブサイト上で、2020年12月7日付けで研究用ソフトウェアのための学術基盤に関する報告書“Scholarly infrastructures for research software”が公開されています。

同報告書は、「欧州オープンサイエンスクラウド」(European Open Science Cloud:EOSC)に研究用ソフトウェアを含めるための一連の推奨事項を示したものとあり、研究用ソフトウェアに関する学術基盤の現状、ベストプラクティス、課題等の整理も行っています。EOSC執行委員会のアーキテクチャ・ワーキンググループに属する「研究用ソフトウェアの学術基盤に関するタスクフォース」が同報告書の作成に携わりました。

Scholarly infrastructures for research software(Publications Office of the EU, 2020/12/7)
https://doi.org/10.2777/28598

欧州委員会(EC)、オープンアクセス出版プラットフォーム“Open Research Europe”へHorizon 2020による助成を受けた研究成果物の投稿受付を開始

欧州委員会(EC)の研究資金助成プログラムHorizon 2020が、2020年11月26日付のTwitterアカウントによる投稿で、同委員会の運営するオープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”が研究成果の投稿の受付を開始したことを発表しています。

“Open Research Europe”は、Horizon 2020及び後継のプログラムHorizon Europeの助成を受けた研究成果物に対して、迅速な公開とオープン査読を提供するため、欧州委員会が構築を進めているOA出版プラットフォームです。11月26日以降、Horizon 2020の助成対象のあらゆる分野の研究者は、助成期間中、及び助成期間終了後に、研究成果物を“Open Research Europe”へ投稿することが可能になっています。論文処理費用(APC)を欧州委員会が負担するため、投稿時に研究者の費用負担は発生しません。

投稿された研究成果物は、2021年3月の“Open Research Europe”の正式運用開始時に公開されます。

欧州委員会の研究・イノベーション総局、欧州における研究成果の再現性についての報告書を公開

2020年12月1日付で、欧州委員会の研究・イノベーション総局(Directorate-General for Research and Innovation)による報告書“Reproducibility of scientific results in the EU:Scoping report”が、欧州委員会出版局のウェブサイト上で公開されています。

同報告書は、2020年1月23日にベルギーのブリュッセルで開催された研究成果の再現性の欠如の問題に関する専門家セミナーの議論をまとめたものです。報告書作成の目的として、欧州で生産された研究成果の再現性欠如の実態について欧州委員会の理解を深め、欧州連合(EU)における研究・イノベーションの文脈で、この問題への適切な対応を設計する際に役立てることを挙げています。

同報告書は、研究の再現性は実践の積み重ねで構築され、優れた実践を保証するメカニズム・新たな発見やイノベーションの原動力として重要であることを確認した上で、バイアスや不十分な実験デザイン、不適切な統計の取り扱いなどに起因する、再現性の欠如した研究成果物が近年増加している「再現性の危機」を報告しています。

Europeana によるEU孤児著作物指令への評価(記事紹介)

Europeana Proの2020年11月19日付け記事“Evaluating the Orphan Works Directive”で、欧州委員会(EC)が実施したEU孤児著作物指令(2012年10月採択)に関する調査へのEuropeanaの回答が紹介されています。筆者はEuropeana財団のポリシー・アドバイザーであるAriadna Matas氏です。

ECの調査は2020年8月から10月にかけて行われ、孤児著作物のデジタル化・流通を促進する手段としてのEU孤児著作物指令の効率性・有効性の評価が行われました。87の機関が調査に回答しています。

記事では、EU孤児著作物指令には、規定の範囲が限定されている、要件が煩雑、法的な不確実性がある、といった様々な問題があることを指摘しています。その上で、EU「デジタル単一市場における著作権に関する指令」(2019年4月採択)とEU孤児著作物指令の規定がカバーしている範囲に重複がみられるとし、ほとんど使用されていない後者について撤回の検討を勧めています。

欧州人文学デジタル研究基盤(DARIAH)、欧州の文化遺産のデジタル化の課題等に関するポジションペーパーを公開

2020年10月29日、欧州人文学デジタル研究基盤(DARIAH)は、欧州の文化遺産のデジタル化の課題等に関するポジションペーパーを公開したことを発表しました。

欧州各国は、文化遺産の効果的・効率的なデジタル化について深刻な課題に直面しています。文化遺産の80%以上のデジタル化が未完了であり、2025年までに完全なデジタル化を達成するという目標に向けて、戦略の再考が緊急に求められる一方で、古い技術でデジタル化された第一世代の文化遺産は、現在の高度なデジタル人文学の分析に堪える品質ではなくなった状況にあります。

DARIAHはこうした状況を踏まえて同ポジションペーパーを作成しました。このポジションペーパーは、欧州連合(EU)における文化遺産のデジタル化・デジタル保存等に関する2011年勧告への欧州委員会(EC)の評価プロセスの一環として、ECに提出されています。

ポジションペーパーでは、特定のデジタル人文学の手法に対するデジタル化済の既存の文化遺産コレクションの利便性への評価を進めること、Europeanaの研究に対する関わりを強化することなど、DARIAHのコミュニティによる見解が示されています。

欧州委員会(EC)、「オープンソースソフトウェア戦略 2020-2023」を承認

2020年10月21日、欧州委員会(EC)は、「オープンソースソフトウェア戦略 2020-2023(Open source software strategy 2020-2023)」を承認したことを発表しました。

欧州委員会は同戦略を、欧州のデジタルトランスフォーメーション等に関する包括的戦略“European Commission Digital Strategy”の目標達成に向けた重要な一歩に位置づけています。オープンソースの持つ変革・革新・協調の可能性や、その原則・開発実践等を奨励・活用するための見通しを示し、ソフトウェアや専門知識の共有・再利用を通して、欧州社会の利益の増進・コストの削減・サービス改善を目指す内容です。

戦略では主要な目標として以下の4点を掲げています。

・欧州独自のアプローチによってデジタル分野における自律性確立を推進すること
・“European Commission Digital Strategy”を実践すること
・ソフトウェア、アプリケーション、データ、情報、知識の共有と再利用を奨励すること
・ソースコードの共有によって知識社会へ貢献すること

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