学術情報流通

Elsevier社のアクセス制限がドイツの研究者の出版行動と引用行動に与えた影響(文献紹介)

プレプリントサーバarXivに2021年5月25日付で、ドイツ経済学中央図書館(ZBW)のNicholas Fraser氏らが共著で執筆した文献“No Deal: Investigating the Influence of Restricted Access to Elsevier Journals on German Researchers' Publishing and Citing Behaviours”が公開されています。

2014年にドイツでは、大手出版社とのナショナルライセンス契約を交渉するプロジェクトDEAL(Projekt DEAL)が設置されました。DEAL とElsevier社の交渉は2016年に開始されましたが、2018年に決裂しました。この結果、約200のドイツの研究機関がElsevier社との契約を取り止め、2018年7月以降これらの機関のElsevier社のジャーナルへのアクセスは制限されました。

Science Europe、研究データの長期保存・アクセス保障に取り組む組織に向けた実践ガイド“Practical Guide to Sustainable Research Data”を公開

2021年6月2日、欧州の研究助成機関・研究実施機関が加盟するScience Europeが、研究データの長期保存・アクセス保障に取り組む組織に向けた実践ガイド“Practical Guide to Sustainable Research Data”の公開を発表しました。

同ガイドでは、研究助成機関(Research Funding Organisations:RFOs)、研究実施機関(Research Performing Organisations:RPOs)、研究データ基盤(Research Data Infrastructures:RDI)の三者に対して、持続可能な研究データへの取組における成熟度の指標を示した表が含まれています。これらの指標を参考にして、各組織のポリシーと実践の評価や、次のステップの特定、他組織との連携模索を行うことができる、とあります。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、「ROR-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブル」を公開

2021年5月28日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、「ROR-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブル」の公開を発表しました。

「ROR-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブル」には、機関IDに関するイニシアチブResearch Organization Registry(ROR)のレジストリに登録された日本所在機関のデータを、NISTEP大学・公的機関名辞書ver.2020.1の収録機関と対応づけした結果が示されています。なお、同テーブルには、対応づけられた機関、対応づけられなかった機関両方のデータが収録されています。

ROR-NISTEP大学・公的機関名辞書対応テーブルの公表について(NISTEP, 2021/5/28)
https://www.nistep.go.jp/archives/47410
※同テーブル及び同テーブルの利用説明書へのリンクが掲載されています。

SAGE社、査読プロセスの透明性向上のためClarivate Analytics社とパートナーシップを締結

2021年5月28日、SAGE社は、査読プロセスの透明性向上のためClarivate Analytics社とパートナーシップを締結し、Clarivate Analytics社のデータベース“Web of Science”のサービスを介してオープン査読レポートを提供するプログラムを開始したことを発表しました。

SAGE社は、同社の学術誌4誌において同プログラムを提供します。同プログラムはSAGE社のオンライン投稿・査読システム“SAGE Track”を介して行われ、著者・編集者・査読者は参加・不参加を選択することができます。

対象となるすべての出版物には、出版プロセスにおける各段階での査読レポート、著者回答、編集者の決定通知を含む査読履歴へのリンクが付記されます。また、これらの査読資料にはDOIも付与されます。査読者は、自身の氏名を査読レポートと共に公表するかどうかを選択でき、公表した場合はClarivate Analytics社傘下の査読登録サービス“Publons”上の自身のプロフィールに査読への貢献が記録されます。

JSTOR、著者の名前変更に関する新たなポリシーを発表

2021年6月2日、JSTORが公式Twitterアカウントで、あらゆる理由による著者の名前変更を支援する新たなポリシーを策定したと発表しました。

当該著者の著作物のメタデータに、変更後の名前を追加するという対応を取るとしています。変更前と変更後の名前を併記するメリットとして、利用者がどちらの名前でも検索可能であることが挙げられています。また、変更前の名前の記載を控えたい場合は、JSTORが提供するメタデータやコンテンツのPDF、PDFの光学文字認識(OCR)結果から、変更前の名前を削除するとしています。

発表の中では、著者名変更の対応に際しては、関連する出版者らと協力し、アプローチに齟齬が無いか確認すると述べています。

@JSTOR(Twitter, 2021/6/2)
https://twitter.com/JSTOR/status/1399821811748061184

CESAER、EUA、Science Europe、出版者にオープンアクセスについての透明性と研究者の権利の尊重を求める共同声明を発表

2021年5月25日、欧州の科学技術大学の団体CESAER、欧州大学協会(EUA)、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeが、出版者がオープンアクセスについての透明性を提供することで研究者の権利を尊重することを求める共同声明を発表しました。

共同声明では、出版者に対して、制限やエンバーゴ期間なしに査読済みの研究結果を共有するなど、研究者の権利を完全に尊重することを求めています。 特に、この声明は、著者最終稿をCC-BY等のオープンライセンスでリポジトリへ登録することを希望する研究者には、エンバーゴ期間なしに実現できなければならないと宣言しています。

通常、出版社は、著者が研究結果に対してできることを制限する独占的な出版契約に署名することを著者に要求しています。この声明は、このシステムが時代遅れであるとしてその置き換えを促し、社会の利益のために研究をオープンに広めるための多様なモデルを支援しています。

アイルランドの高等教育機関のコンソーシアムIReL、英・オックスフォード大学出版局(OUP)と3年間のRead & Publish契約を締結

2021年5月18日、アイルランドの、公的資金に基づく高等教育機関による電子リソース契約のためのコンソーシアムIReLは、英・オックスフォード大学出版局(OUP)と3年間のRead & Publish契約に合意したことを発表しました。契約期間は2021年1月1日から2023年12月31日までです。

この契約によって、参加機関は、OUPが刊行する340以上のタイトルにアクセスすることが可能となります。また、機関の著者は、個別の支払いなしにOUPのオープンアクセスジャーナルおよびハイブリッドジャーナルで、研究をオープンアクセスで出版することが可能となります。

Oxford University Press and IReL agree Read & Publish deal(IReL, 2021/5/18)
https://irel.ie/oxford-university-press-and-irel-agree-read-publish-deal/

Project MUSE、オープンアクセス購読モデルの研究のための助成をメロン財団より獲得

2021年5月24日、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEは、アンドリュー W.メロン財団から75,000米ドルの助成を獲得したことを発表しました。この助成プロジェクトのタイトルは“MUSE Open: S2O”であり、人文学および社会学におけるオープンジャーナル出版への財政的に持続可能なアプローチの開発に焦点を当てます。

オープンアクセス出版は多くの場合、論文掲載料(Article Processing Charge; APC)に依存しています。資金が不足している人文社会学分野ではうまく機能しておらず、著者の持続可能性と公平性に懸念が生じています。著者支払いモデルに代わって、Subscribe to Open(S2O)は現在の購読者にインセンティブを与えることで、オープンアクセス出版を支援します。このプロジェクトは、図書館、出版者、社会、研究者、助成機関が受容できるジャーナルの持続可能で公平なモデルを設計することを目的として挙げています。

複製可能性のない論文は、複製可能性のある論文よりも引用される(文献紹介)

2021年5月21日付けで、米国科学振興協会(AAAS)が刊行するオープンアクセスジャーナル“Science Advances”に、研究論文“Nonreplicable publications are cited more than replicable ones”が公開されました。著者は、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMarta Serra-Garcia氏とUri Gneezy氏です。

論文では、心理学、経済学、総合分野におけるトップジャーナル掲載論文を対象として調査した結果、複製可能性(replicability)のない論文は、複製可能性のある論文よりもより多く引用されていることが報告されています。この被引用数の差は、複製に失敗したことが公開された後も、変化しませんでした。複製に失敗したことが公開された後の引用のうち、12%のみが複製可能でないことについて言及していました。

先行研究では、専門家は論文の複製可能性についてうまく予測できることが示されています。それにも関わらず、複製可能性のない論文がトップジャーナルで採択される理由については、複製可能性のない研究は興味深くみえる分、再現性(reproducibility)については低い水準が適用されてしまうトレードオフが存在する可能性を指摘しています。

国立情報学研究所(NII)、広報誌『NII Today』第91号を刊行:「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」が特集テーマ

2021年5月6日、国立情報学研究所(NII)は、広報誌『NII Today』第91号(2021年3月)の刊行を発表しました。

「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」のテーマの下で、以下の記事を掲載しています。なお、同紙は無料で全文PDFを公開しています。

・次世代研究データ基盤「NII RDC」への期待:オープンサイエンスを推進し、イノベーションを促すために
・NII研究データ基盤「NII RDC」がいよいよ始まる!:NII×名古屋大学 見えてきた研究データ管理の課題と展望
・研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の本運用がスタート:先進的な研究データ管理を支援する
・日本の学術機関のデータ公開を支える「WEKO3」:JAIRO Cloudの基盤ソフトウエアWEKO3が始動
・知の検索基盤として新たな役割を担う「CiNii Research」:サイテーションからリレーションへ、オープンサイエンスへの道を拓く
・国内初の研究データ管理のためのトレーニングコース:体制づくりから支援人材の育成まで
・大学間ネットワークのあけぼの

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