学術情報流通

ハゲタカジャーナルの査読者の傾向(文献紹介)

プレプリントサーバbioRxivに2020年3月11日付で、スイス国立科学財団(SNSF)の博士研究員であるAnna Severin氏ほか4人の共著論文“Who Reviews for Predatory Journals? A Study on Reviewer Characteristics”が掲載されています。

同論文は、ハゲタカジャーナルと信頼のおけるジャーナル(legitimate journals)それぞれについて査読者の傾向を観察すること、ハゲタカジャーナルに対する査読の地理的な分布状況を調査することを目的として執筆されました。ハゲタカジャーナル・信頼のおけるジャーナルの情報源として、Cabell's International社のブラックリスト・ホワイトリストを使用し、査読登録サービスPublonsの情報と照合しながら、それぞれのジャーナルの査読者について、その査読や出版に関するメタデータの分析を行っています。

欧州研究図書館協会(LIBER)、改正EU著作権指令で認められた研究目的のテキスト・データ・マイニング(TDM)が出版社の技術的保護手段により阻害される懸念を指摘

欧州研究図書館協会(LIBER)は2020年3月10日付で、“Europe’s TDM Exception for Research: Will It Be Undermined By Technical Blocking From Publishers?”と題されたブログ記事を公開しました。

同記事は、テキスト・データ・マイニング(TDM)を遮断する技術的保護手段に関するアンケートの結果、及びアンケート結果から導かれる改正EU著作権指令「デジタル単一市場における著作権指令(the Directive on Copyright in the Digital Single Market)」実施における懸念事項を指摘したものです。アンケートはLIBERの著作権・法的事項ワーキンググループと英国の図書館・文書館著作権同盟(Libraries and Archives Copyright Alliance: LACA)がGoogleフォーム上で共同実施しているものです。

LIBERとLACAは実施したアンケートの主な結果として、以下の3点を報告しています。

米・Ithaka S+R、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを実施

2020年3月4日、米・Ithaka S+Rは、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを開始予定であることを発表しました。

電子ジャーナルのビッグディール契約による支出の図書館資料費に占める割合が増大し、購読料も上昇していることから、近年契約を中止する機関が増加しています。2020年もこうした傾向は継続すると予想されますが、ビッグディール契約の中止は、情報資源を巡る環境が急速に変化する中で、図書館利用者の学術資料へのアクセス環境をどのようにして維持できるか、という問題を提起しています。

Ithaka S+Rはこのような問題を背景に、2020年5月からビッグディール契約中止が図書館利用者・コンテンツへのアクセス戦略・アクセス提供者としての図書館の役割認識に与える影響関係について、複数の大学図書館等と提携して調査を実施することを表明しています。プロジェクト参加館は、契約中止により自機関内の影響を受ける研究者グループや分野を特定し、複数人から影響関係に関するインタビューを実施します。Ithaka S+Rは参加館全体の調査結果のとりまとめ・分析などを行います。

E2239 - 大学の研究データサービス/研究インパクト指標<報告>

2019年12月5日及び6日,九州大学中央図書館において,九州大学統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻・附属図書館共同開催イベント,シンポジウム・ワークショップ「大学における研究データサービス」が開催された。同様に,12月9日,セミナー「研究インパクト指標」が開催された。本稿では,両イベントの内容について報告する。なお,両イベントの資料は九州大学学術情報リポジトリ(QIR)で公開されている。また,講演の一部については,九州大学のYouTubeチャンネルで公開されている。

ゴールドオープンアクセス(OA)誌で出版されたドイツの研究成果物に関する論文処理費用(APC)負担モデルの比較分析(文献紹介)

プレプリントサーバarXivに2020年2月27日付で、論文“Who pays? Comparing cost sharing models for a Gold Open Access publication environment”が公開されています。

同論文はドイツ研究振興協会(DFG)の助成により、独・ビーレフェルト大学のAndre Bruns氏ら3人の共著により執筆されました。論文ではまず、Web of Science、DOAJ、及びビーレフェルト大学図書館や独・Max Planck Digital Library(MPDL)等によるオープンアクセス(OA)出版物の論文処理費用(APC)の透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”が収集した機関の実際に支払したAPCのデータセット“OpenAPC”等を用いて、ドイツの研究機関によるゴールドOA誌への出版物と出版のために支払したAPC価格に関するデータモデルが設定されています。

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)と米・SPARC、米・OSTPの研究データリポジトリの特性に関する情報提供依頼書(RFI)へ共同回答を提出

2020年3月3日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)の研究データリポジトリの特性に関する情報提供依頼書(RFI)について、米・SPARCと共同作成した回答を公開しました。

OSTPは2020年1月17日付で、政府助成研究による研究成果物のデータ管理と共有を行うデータリポジトリの望ましい特性に関する草案について、3月6日を期限としてパブリックコメントに付しており、COARとSPARCはこの草案のRFIへ2020年3月3日付で共同回答しています。両者は、リポジトリ上でのデータ管理に関するベストプラクティスを活用することとリポジトリに求める要件が複雑になりすぎないことの間でバランスをとることを意図して回答を作成した、としています。回答では草案に関する全般的なコメントとして以下の5点が示されています。

・草案で示された特性の多くを支持するが、ポリシーの目的(アクセス、公正性など)とその目的達成のための実践(メタデータ、ライセンスなど)とを区別するための再編成を提案すること、及びポリシーが望ましい特性を示しつつ中核的な重要な特性群を含めることができれば、長期的なリポジトリの実践の改善に資すること

DuraSpace、リポジトリソフトウェアDSpace ver. 7.0のBeta 1版を公開

2020年3月4日、米国の図書館等のネットワークLYRASIS傘下組織の非営利団体DuraSpaceは、リポジトリソフトウェアDSpace ver. 7.0のBeta 1版のダウンロードとテストが可能になったことを発表しました。

Beta 1版は、DSpace ver. 7.0の新機能紹介とコミュニティからのフィードバックのために公開されたもので、今後数回同様の目的によるベータリリースが予定されています。専用のデモサイトまたはダウンロードにより手動でテストすることができます。DuraSpaceはDSpace ver. 7.0の主な新機能として以下のような特徴を紹介しています。

JDreamⅢ、研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」のデータ強化を実施:有望研究者探索の全分野への拡張・検索機能の大幅強化など

2020年2月28日、株式会社ジー・サーチの提供する日本国内の科学技術文献情報データベースJDreamⅢは、研究パートナー探索サービス「JDream Expert Finder」のデータ強化を実施したことを発表しました。

データ強化による主な変更点として、将来が期待される有望な研究者探索機能で使用される、複数の研究グループのハブとなっている研究者を示した「媒介中心性」の推移データを全分野へ拡張したこと、検索時に研究者の特徴付けに使用される「研究キーワード」の指定機能を利用して研究者の絞り込みが可能になったこと、研究キーワードを直接入力できるサジェスト機能付き入力ボックスを実装したこと、などを挙げています。

有望研究者探索を全分野に拡張!検索機能も大幅に強化しました(JDreamⅢ,2020/2/28)
https://jdream3.com/news/index.html#20200228

独・OA2020-DEによるオープンアクセス(OA)出版への「転換契約」に関する新しいモデルの提案(記事紹介)

独・OA2020-DEは、2020年2月18日付で“A smooth transition from subscriptions to APCs”と題した記事を公開しました。

同記事は、独・ビーレフェルト大学図書館に所属しOA2020-DEのOA連絡窓口を務めるNina Schönfelder氏による、OA出版への「転換契約(transformative agreement)」の新しいモデル提案に関する2020年1月27日付のディスカッションペーパーについて、著者自身がその概要を紹介するものです。記事では“Publish & Read”、“Read & Publish”のような既存の「転換契約」モデルは、学術雑誌のビジネスモデルを購読制から論文処理費用(APC)の支払制へ移行するにあたって必要な図書館の予算獲得転換や出版社の収益モデル転換に関するニーズに十分応えられていないことから、学術雑誌分野においてより現実的な「転換契約」モデルが必要とされていることを指摘しています。既存のモデルの問題点として、膨大な調整、大規模で即時的な資金の再配分、恒久的で大規模な資金の追加が必要とされること、出版社が個々の図書館やコンソーシアムに柔軟なオプトイン・オプトアウトを認めていないこと、などが挙げられています。

英・Jisc、SHERPA RoMEO・Sherpa Fact新バージョンのテスト版を公開

2020年3月3日、英・Jiscのオープンアクセス(OA)チームは、JiscのサービスSHERPA RoMEO・Sherpa Factについて、それぞれ新バージョンのテスト版を公開したことを発表しました。

SHERPA RoMEOは、世界中の出版社のOAポリシーを集約・分析し、ジャーナルごとにOAによるセルフアーカイブの許諾条件・権利条件の概要を提供するオンライン情報源です。新バージョンの“v2. SHERPA RoMEO”は基礎データモデルの完全な更新が行われるとともにレイアウトの改善が行われています。原稿のバージョンごとに個別のセクションを設けるレイアウトに変更されたため、各ジャーナルのOAポリシーを原稿のバージョン別に理解しやすくなった、としています。また、ユーザーからのフィードバックを受けてウェブサイトの色使いの改善が行われた他、用語の変更、有料でOA化する条件についての情報の追加、出版社が著者に代わってPubMed Central(PMC)のようなリポジトリへ自動保存するかどうかに関する情報の追加なども行われています。

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