学術情報流通

欧州大学協会(EUA)、欧州の大学における研究評価に関連したオープンサイエンスとオープンアクセスの調査報告書を公開

2019年10月22日、欧州大学協会(EUA)が、欧州の大学における研究評価に関連したオープンサイエンスとオープンアクセスの調査報告書として、“Research Assessment in the Transition to Open Science”を公開したことを発表しました。

この報告書は2019年に欧州32か国の260機関を対象に実施された、研究評価に関わるオープンサイエンスとオープンアクセスの調査に基づいて作成されたものです。調査の目的として、研究評価に対する現在および将来の大学のアプローチに関する情報を集約・共有し、この分野に関わる議論の情報提供・補強等を行うことが挙げられています。報告書を通して、欧州の大学における研究評価の最新の状況が包括的に概観され、大学が研究評価の実践の見直しを進める理由・方法等が示されています。

報告書では、研究評価に対する大学のアプローチについて、調査により得られた知見として以下の5点を挙げています。

ドイツ研究振興協会(DFG)が助成するDeepGreenプロジェクトの拡張試験フェーズ参加機関が拡大:ドイツ国内50機関が参加

2019年10月21日、ドイツ研究振興協会(DFG)が助成するDeepGreenプロジェクトは、2019年7月末から実施している拡張試験フェーズの参加機関が開始当初の27機関から拡大し、2019年10月17日以降ドイツ国内の50機関が参加していることを発表しました。

DeepGreenプロジェクトは、DFGの助成の下、ベルリン・ブランデンブルク協力図書館連盟(Kooperativer Bibliotheksverbund Berlin-Brandenburg:KOBV)等のドイツ国内の6機関が推進するプロジェクトです。出版社稿の論文フルテキストを自動的に機関リポジトリへ登録するためのソリューション開発を目指しています。

DeepGreenプロジェクトは2019年7月29日から、Karger社・SAGE社・MDPI社・Frontiers社・De Gruyter社の5社の協力の下で拡張試験フェーズを開始しています。拡張試験フェーズでは、協力出版社から出版社稿の論文フルテキストとメタデータが自動的に参加機関の機関リポジトリへ配信されます。DeepGreenプロジェクトは拡張試験フェーズの目的として、出版社から出版社稿の広範なデータ配信の機会を得て、様々なタイプのリポジトリソフトウェアでこうしたデータ配信を処理するテストを行うことを挙げています。

ラテンアメリカの単行書の持続可能なオープンアクセスモデルの導入に向けてのパイロットプロジェクト

2019年10月22日、JSTORが、 Latin American Research Resources Project (LARRP) が主導し、JSTOR・ラテンアメリカ社会科学協議会(CLACSO)及び書店のGarcia Cambeiro社と連携して取り組まれているラテンアメリカの単行書のオープンアクセス(OA)化のパイロットプロジェクトを紹介しています。

図書館界が開発及び支援する持続可能なOAモデルの導入に向けての取組で、LARRPのメンバーである米国のニューヨーク大学・コロンビア大学・ハーバード大学・プリンストン大学・テキサス大学オースティン校・ピッツバーク大学・デューク大学の図書館及びニューヨーク公共図書館からの助成を受けて実施されています。

プロジェクトの第1段階では、JSTOR上で200タイトルの書籍をOAで公開する計画で、CLACSOが2018年から2019年にアルゼンチンで出版した新刊タイトルが含まれます。すでに、人文・社会科学の17分野の100冊近いタイトルが利用可能になっており、今秋には200タイトルに到達する予定です。

figshare、年次報告書“The State of Open Data 2019”を公開

2019年10月23日、Digital Science社は傘下のfigshareが年次報告書“The State of Open Data 2019”を公開したと発表しました。

オープンデータを扱う研究者の動向を調査することを目的に2016年に開始して以来4回目の報告書で、8,500の回答があった今回の調査では、オープンデータの採用については良い傾向であるものの、研究者は政府・助成機関・出版社等による義務化のさらなる実施を要求していると指摘しています。

また、主な調査結果として、

・回答者の79%が一次研究をオープンに利用可能にするための国家による義務化を全体的に支持している
・回答者の67%が、助成機関がデータの共有を義務づけている場合にそれに従わない研究者は、助成機関が資金提供を差し控えるか、他の方法で罰するべきとしている
・回答者の69%が、助成機関が研究データの共有を助成金の提供の要件の一部にするべきとしている
・回答者の36%が、自身の研究データが共有された場合に、誤用されないか懸念している
・回答者の42%は、共著者となった場合、自身のデータを共有することが推奨されるとしている

北米の研究図書館センター(CRL)の管理する南アジア研究資料コレクションSouth Asia Open Archives(SAOA)がJSTOR上で利用可能になる

2019年10月16日、北米の研究図書館センター(CRL)とJSTORは共同して、両者の提携により、CRLの管理する南アジア研究資料コレクションSouth Asia Open Archives(SAOA)のコンテンツが、JSTORのプラットフォーム上で利用可能になったことを発表しました。

SAOAは、英語及び南アジア諸言語による南アジア関連の芸術・人文科学・社会科学分野にわたる網羅的なコレクションです。CRLの南アジア研究のためのデジタルリソース創出を目的としたイニシアチブSouth Asia Materials Project(SAMP)から発展して、1967年以降の南アジア関連の希少な資料をデジタル保存し自由に利用可能にしています。植民地時代の重要な行政・貿易に関する報告書やカースト制度・社会構造・社会経済史・女性とジェンダー等をテーマとした新聞など、35万ページ以上のコンテンツを含み現在もその規模を拡大しています。

JSTORは図書館・コンソーシアム向けに、JSTORのプラットフォーム上で主要コレクションを公開できるようになるイニシアチブを実施しており、CRLとJSTORの提携はこのイニシアチブの一環として締結されています。

【イベント】北海道大学附属図書館主催Open Access Weekセミナー「オープンサイエンス事始め : ZoteroやFigshareを使いこなす」(10/28・札幌)

2019年10月28日、北海道大学附属図書館北図書館西棟2階セミナールームにおいて、北海道大学附属図書館研究支援課の主催により、Open Access Week セミナー「オープンサイエンス事始め : Zotero や Figshare を使いこなす」が開催されます。

オープンソースの文献管理ソフトZoteroと、研究データ公開プラットフォームFigshare の使用法と利点の解説、及びオープンアクセス(OA)文献を発見するためのツール(ブラウザ拡張機能など)紹介を内容とするセミナーです。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院所属で、Zoteroの開発に携わりFigshareの相談役も務めるMichael Schiltz准教授がセミナーの講師を担当します。セミナーは質疑応答を除いて英語で行われます。

セミナーには北海道大学の学内者・学外者を問わず参加可能です。定員は40人で事前の参加申込用フォームが用意されており、当日参加は席に余裕がある場合のみ可能です。

オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結:CAULとして初めての「転換契約」

2019年10月17日、オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)と英国微生物学会(Microbiology Society)は、試験的なオープンアクセス(OA)等に関する出版契約として、2年間の“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。

CAULにとって今回の契約は出版社と締結する初めてのOAへの「転換契約(transformative/transitional agreement)」です。同契約はオプトイン方式による2020年から2021年までの試験的な契約です。オーストラリア及びニュージーランドの契約参加機関に所属する研究者は、英国微生物学会の刊行する雑誌へ著者として掲載された全ての研究成果が初めからOAで公開されると同時に、学会の刊行するコンテンツについて1947年までのアーカイブも含めて全てアクセス可能になります。

英・Jisc、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結

2019年10月16日、英・Jiscと英国微生物学会(Microbiology Society)は、試験的なオープンアクセス(OA)等に関する出版契約として、2年間の“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。

この契約により契約参加機関に所属する研究者は、英国微生物学会の刊行する雑誌へ著者として掲載された全ての研究成果が初めからOAで公開されると同時に、学会の刊行するコンテンツについて1947年までのアーカイブも含めて全てアクセス可能になります。

英国微生物学会はJiscのコンソーシアムを通してOA出版への転換契約を締結した最初の学会系出版者となります。契約の効力発生は2020年からで、“Microbiology”や“Journal of Medical Microbiology”など、OA誌、購読誌、ハイブリッド誌を含む英国微生物学会の刊行誌6タイトル全てが契約対象となります。

ORCID日本コンソーシアム、近日設立予定

2019年10月14日、ORCID日本コンソーシアムが近日設立予定であることが発表されています。

メンバーシップ参加機構が増えたことで、日本コンソーシアムの設立に向けてORCIDとの契約を準備しており、年内から様々なイベントも開催予定であるとしています。

Coming Soon - ORCID Japan Consortium!(ORCID,2019/10/14)
https://orcid.org/blog/2019/10/17/coming-soon-orcid-japan-consortium

【イベント】九州大学統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻・附属図書館共催シンポジウム・ワークショップ「大学における研究データサービス」(12/5-6・福岡)

2019年12月5日及び6日に、九州大学中央図書館(福岡県福岡市)4階きゅうとコモンズにおいて、九州大学統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻と九州大学附属図書館の共催によるシンポジウム・ワークショップ「大学における研究データサービス」が開催されます。

同イベントは九州大学と米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校との戦略的パートナーシップの一環として開催されます。シンポジウムでは、イリノイ大学から招へいされた図書館職員による、図書館の研究データサービス部門におけるサービスやサブジェクトライブラリアンによる研究者への研究データ支援の実際の紹介と、日本の大学における研究データサービスの方向性についての議論が行われる予定です。ワークショップはシンポジウムの翌日に開催され、研究データとは何か、データキュレーションに必要なチェック項目は何か、学術雑誌のデータポリシーの確認の重要性に関する演習を通して、研究データサービスとして何が必要かを理解することを目標とした内容です。

無料で参加可能ですが事前に申し込みが必要です。また、シンポジウムの定員は80人、ワークショップの定員は40人となっています。

主なプログラムは以下のとおりです。

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