学術情報流通

アイルランドの高等教育機関のコンソーシアムIReL、英・オックスフォード大学出版局(OUP)と3年間のRead & Publish契約を締結

2021年5月18日、アイルランドの、公的資金に基づく高等教育機関による電子リソース契約のためのコンソーシアムIReLは、英・オックスフォード大学出版局(OUP)と3年間のRead & Publish契約に合意したことを発表しました。契約期間は2021年1月1日から2023年12月31日までです。

この契約によって、参加機関は、OUPが刊行する340以上のタイトルにアクセスすることが可能となります。また、機関の著者は、個別の支払いなしにOUPのオープンアクセスジャーナルおよびハイブリッドジャーナルで、研究をオープンアクセスで出版することが可能となります。

Oxford University Press and IReL agree Read & Publish deal(IReL, 2021/5/18)
https://irel.ie/oxford-university-press-and-irel-agree-read-publish-deal/

Project MUSE、オープンアクセス購読モデルの研究のための助成をメロン財団より獲得

2021年5月24日、人文・社会科学系の電子資料提供サービスProject MUSEは、アンドリュー W.メロン財団から75,000米ドルの助成を獲得したことを発表しました。この助成プロジェクトのタイトルは“MUSE Open: S2O”であり、人文学および社会学におけるオープンジャーナル出版への財政的に持続可能なアプローチの開発に焦点を当てます。

オープンアクセス出版は多くの場合、論文掲載料(Article Processing Charge; APC)に依存しています。資金が不足している人文社会学分野ではうまく機能しておらず、著者の持続可能性と公平性に懸念が生じています。著者支払いモデルに代わって、Subscribe to Open(S2O)は現在の購読者にインセンティブを与えることで、オープンアクセス出版を支援します。このプロジェクトは、図書館、出版者、社会、研究者、助成機関が受容できるジャーナルの持続可能で公平なモデルを設計することを目的として挙げています。

複製可能性のない論文は、複製可能性のある論文よりも引用される(文献紹介)

2021年5月21日付けで、米国科学振興協会(AAAS)が刊行するオープンアクセスジャーナル“Science Advances”に、研究論文“Nonreplicable publications are cited more than replicable ones”が公開されました。著者は、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMarta Serra-Garcia氏とUri Gneezy氏です。

論文では、心理学、経済学、総合分野におけるトップジャーナル掲載論文を対象として調査した結果、複製可能性(replicability)のない論文は、複製可能性のある論文よりもより多く引用されていることが報告されています。この被引用数の差は、複製に失敗したことが公開された後も、変化しませんでした。複製に失敗したことが公開された後の引用のうち、12%のみが複製可能でないことについて言及していました。

先行研究では、専門家は論文の複製可能性についてうまく予測できることが示されています。それにも関わらず、複製可能性のない論文がトップジャーナルで採択される理由については、複製可能性のない研究は興味深くみえる分、再現性(reproducibility)については低い水準が適用されてしまうトレードオフが存在する可能性を指摘しています。

国立情報学研究所(NII)、広報誌『NII Today』第91号を刊行:「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」が特集テーマ

2021年5月6日、国立情報学研究所(NII)は、広報誌『NII Today』第91号(2021年3月)の刊行を発表しました。

「NII Research Data Cloud 本格始動へ:オープンサイエンスを支える研究データ基盤」のテーマの下で、以下の記事を掲載しています。なお、同紙は無料で全文PDFを公開しています。

・次世代研究データ基盤「NII RDC」への期待:オープンサイエンスを推進し、イノベーションを促すために
・NII研究データ基盤「NII RDC」がいよいよ始まる!:NII×名古屋大学 見えてきた研究データ管理の課題と展望
・研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の本運用がスタート:先進的な研究データ管理を支援する
・日本の学術機関のデータ公開を支える「WEKO3」:JAIRO Cloudの基盤ソフトウエアWEKO3が始動
・知の検索基盤として新たな役割を担う「CiNii Research」:サイテーションからリレーションへ、オープンサイエンスへの道を拓く
・国内初の研究データ管理のためのトレーニングコース:体制づくりから支援人材の育成まで
・大学間ネットワークのあけぼの

韓国において国家知識情報の連係および活用の促進に関する法律(デジタル集賢殿法)が成立:国家の知識情報を1か所で検索・アクセス・活用できるプラットフォームの構築

2021年5月26日、韓国国会は、国家知識情報の連係および活用の促進に関する法律(デジタル集賢殿法)が5月21日に可決成立したと発表しています。

韓国国会図書館(NAL)、政府、公共機関等の国家の知識情報を1か所で検索・アクセス・活用できるプラットフォームの構築を目指すものです。また、コロナ禍以降、非対面教育環境へと転換するなかで、教育コンテンツの生産・流通や、教育・学習支援のためのインフラとなることも想定されています。

NALにおいても、韓国版ニューディール政策の政策課題の1つとして2020年から2025年までの6年間に、国会政策資料・学術資料・国会刊行物・立法懸案資料といった「立法・政策・学術資料」コンテンツを拡充して大規模な知識インフラを構築し、「国会電子図書館」を通じて「デジタル集賢殿」と連携するとしています。また、「国会電子図書館」は、国家学術情報統合データや、ビックデータ分析・主題用語メタデータ管理のためのシソーラス・著者典拠DB、地方議会の議政情報とも連携する計画であるとしています。

“Journal Citation Indicator”の問題点(記事紹介)

学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、2021年5月24日付けで記事“Journal Citation Indicator. Just Another Tool in Clarivate’s Metrics Toolbox?”が掲載されています。筆者は出版コンサルタントのPhil Davis氏です。

Clarivate Analytics社が新たに発表した学術誌単位の引用評価指標“Journal Citation Indicator”(JCI)は、同社の説明によれば、研究分野ごとに異なる出版率・引用率を正規化することにより、研究分野を超えて解釈・比較できる指標です。なお、JCIの値は、過去3年間に当該学術誌に掲載された全ての論文・レビューの相対被引用度(Category Normalized Citation Impact:CNCI)の平均値であると説明されています。

生命科学画像のデータ形式の標準化とデータ共有リポジトリの整備に向けた提言(記事紹介)

理化学研究所による2021年5月11日付けのお知らせで、同研究所所属の研究者を含む世界11か国の研究者による、生命科学画像のデータ形式の標準化とデータ共有リポジトリの整備に向けた提言が紹介されています。提言は“Nature Methods”オンライン版(2021年5月4日付け)で発表されました。

お知らせでは、提言の背景や内容、将来の展望等が述べられています。

生命科学画像のデータ形式の標準化とデータ共有リポジトリの整備に向けた国際提言-生命科学分野のオープンサイエンスの推進-(理化学研究所, 2021/5/11)
https://www.riken.jp/pr/news/2021/20210511_2/index.html

参考:
E2052 - FAIR原則と生命科学分野における取組状況
カレントアウェアネス-E No.353 2018.08.30
https://current.ndl.go.jp/e2052

Taylor & Francisグループ、単行書出版に関する新たなパイロット事業“Open Plus Books”を開始:F1000のオープンリサーチ出版モデルを活用

2021年5月13日、Taylor & Francisグループは、単行書出版に関する新たなパイロット事業“Open Plus Books”の開始を発表しました。従来の印刷出版モデルと、F1000のオープンリサーチ出版モデルを融合したものであり、Taylor & Francisグループが2020年にF1000を買収して以降、初の両者共同のイニシアチブとあります。

“Open Plus Books”では、著者や編集者は投稿から数日以内に、オープンリサーチプラットフォーム上でのオープンアクセス(OA)単行書の出版が可能となります。各章を独立したものとして扱い、章単位での出版や追加・修正に対応しています。

出版後のオープン査読を選択できる“Open Plus Books+”オプションも提供することや、Taylor & FrancisグループのインプリントであるRoutledge及びCRC Pressでの印刷版出版やOA出版も可能であることも紹介しています。

Europe PMC、心理学分野のプレプリントサーバー“PsyArXiv”の収録論文を検索対象に追加

2021年5月11日、Europe PMCは、心理学分野のプレプリントサーバー“PsyArXiv”の収録論文1万4,000件以上を検索対象に追加したことを発表しました。

発表によれば、Europe PMCは2018年以降、査読誌の論文に加えて29万点近くのプレプリントを検索対象に追加しています。

PsyArXiv preprints now indexed in Europe PMC(Europe PMC, 2021/5/11)
http://blog.europepmc.org/2021/05/PsyArXivpreprints.html

参考:
Europe PMC、プレプリントサーバ“Research Square”に収録された4,500点以上の新型コロナウイルス感染症関連文献のインデクス化を完了
Posted 2021年1月20日
https://current.ndl.go.jp/node/43037

引用分析プラットフォームscite、オープン化された引用データ10億件以上を収録し被引用情報の表示機能を強化

引用分析プラットフォームsciteは、2021年5月18日付けのmediumでの投稿において、Crossref経由で取得したオープン化された引用データ(オープン・サイテーション)10億件以上を収録し、被引用情報の表示機能を強化していることを紹介しています。

sciteが提供する機能「スマート引用」では、対象とする論文が別論文に引用されているという事実に加え、どのように引用されているのかという「引用のコンテクスト」に関する情報も、別論文の本文における該当箇所を表示することにより参照可能となります。

別論文の全文にアクセスできない場合は「スマート引用」の提供は不可となりますが、オープン・サイテーションの利用により、対象とする論文を引用していることが特定できる場合は、書誌情報の表示が行われます。

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