学術情報流通

オープンアクセス出版社PeerJ、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxの共同開発パートナーを募集

2020年11月10日、オープンアクセス(OA)出版社PeerJは、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxを共同開発するパートナーを募集していることを発表しました。

PeerJは、学会やその支援コミュニティが学術研究システムの発展に不可欠であるという認識の下、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxの開発を進めています。ビデオカンファレンス実施等の事業を展開する非営利団体TEDと、TEDに与えられたライセンスの下で世界各地のコミュニティが実施するイベントTEDxの関係性から着想を得た、地域の研究コミュニティや学会組織に焦点を当てた取り組みであり、PeerJxのパートナーは独自の編集権限やコミュニティ構築の機会を保持しながら、PeerJのジャーナルポートフォリオ、プラットフォーム、インフラストラクチャーを活用して、コンテンツの発信等を行うことができる、と説明しています。

PeerJは、学会等から雑誌の新規設立・維持に関するコストや管理上の負担を取り除きながら、OAの選択肢を含む出版方法を提供するためのソリューションとして、PeerJxの設計思想を説明しています。また、PeerJxはまだ開発初期段階にあるため、パートナーとともに中核コンセプトを開発し、学会等のニーズを確実に満たしたサービスを構築する、としています。

米・スタンフォード大学の大学評議会、オープンアクセスポリシーを承認

米・スタンフォード大学図書館による2020年11月23日付けブログ記事で、11月19日に同大学の大学評議会(Faculty Senate)がオープンアクセス(OA)ポリシーを承認したことが発表されています。

米・ハーバード大学がOAポリシー策定を検討する機関向けに公開している資料“Model Open Access Policy”に基づいて策定されたものであり、スタンフォード大学に将来の学術論文に対する非排他的権利を与え、同大学は寄託された論文をOAで公開する権限を得るとあります。承認された文書もGoogle Drive上で公開されており、OAポリシー本文のほか、以下の2点も記載されています。

・図書館に関する委員会(The Committee on Libraries)は、OAポリシーの解釈・適用に関する問題等に対応する「学術コミュニケーションオフィス」の図書館への設置を推奨すること
・同大学の学術評議会(Academic Council)に所属する各メンバーは、必要に応じ図書館からの支援を得つつ、ORCIDのIDを取得すること

ORCID iDの登録数が1,000万件に到達

2020年11月20日、ORCID, Incは、ORCID iDの登録数が、先週1,000万件に到達したと発表しています。

ORCID, Incでは、2020年初に、研究者のORCIDレコードの利用状況を把握するためのプラットフォームを作成しており、2021年には、把握した情報に基づくインタラクティブグラフを新しいウェブサイトで提供する計画であるとしています。

10M ORCID iDs!(ORCID, 2020/11/20)
https://orcid.org/blog/2020/11/20/10m-orcid-ids

参考:
E2261 - ORCIDへの期待とコンソーシアム
カレントアウェアネス-E No.391 2020.05.28
https://current.ndl.go.jp/e2261

【イベント】第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」(12/18・オンライン)

2020年12月18日、第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」がオンライン開催されます。

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としてますます加速する、多様なプラットフォームによるプレプリント公開の最新動向や目的を共有することによって、プレプリントの方向性を展望する機会として開催されます。特にオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)による『Bibliodiversity(書誌多様性)の形成に向けた行動の呼びかけ』で学術情報流通における多様性の障壁として挙げられた4項目を論点として、学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのかなどについて議論が行われます。

参加費は無料ですが事前申込が必要です。主な内容は以下のとおりです。

・開会挨拶/概要説明
 矢吹命大氏(横浜国立大学大学戦略情報分析室)

・機関リポジトリによるプレプリント公開
 河合将志氏(国立情報学研究所 / オープンサイエンス基盤研究センター)

・研究成果公開のグローバルスタンダードに向けた筑波大学の取り組み
 森本行人氏(筑波大学URA研究戦略推進室)

大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)とエルゼビア社、オープンアクセスの目標を支援するための購読契約提案に合意

2020年11月18日、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)は、エルゼビア社との間でオープンアクセス(OA)の目標を支援するための購読契約提案に合意したと発表しました。

同日付けでエルゼビア社も本件に関するプレスリリースを公表しており、JUSTICE運営委員会委員長の細川聖二氏による、JUSTICEのOA2020ロードマップに沿った提案がエルゼビア社からなされたことを歓迎するコメントも掲載されています。

エルゼビア社のプレスリリースによれば、日本のOA目標を支援するための施策を盛り込んだ2021年1月1日から3年間の契約提案に合意したとあり、エルゼビア社にとってこの種の合意はアジア・太平洋地域で初としています。

この提案に基づき、JUSTICEに加盟する大学は購読契約の提案(the subscription proposal)とゴールドOAを推進する提案(the proposal to promote Gold OA)のいずれかを選択することが可能となります。後者の提案は、エルゼビア社が提供する学術文献のオンラインプラットフォームScienceDirectへのアクセスを継続しつつ、OA出版を望む著者の経済的負担を軽減することを意図したものとあります。

cOAlition S、Plan S原則に準拠した出版方法の研究者向け確認ツール“Journal Checker Tool”のベータ版を公開

2020年11月18日、cOAlition Sは、ウェブベースのツール“Journal Checker Tool”のベータ版を公開しました。

“Journal Checker Tool”は、Plan Sの原則に準拠した研究助成機関のオープンアクセス(OA)方針に従って特定の学術雑誌で研究成果を公表する方法を、研究者が明確に確認できるように設計されたツールです。研究者がPlan Sに準拠したOA化の方法を提供する学術雑誌・プラットフォームを容易にすばやく特定できることを意図しています。

研究者はツール上で、公表先として希望する雑誌名・研究助成機関名・所属機関名を選択すると、選択内容のデータの組み合わせから、希望の雑誌がどのようにPlan Sに準拠した公表方法を提供しているかを確認することができます。Plan Sに準拠した公表方法が複数ある場合には、研究者が選んだ特定の公表方法で次に何をすべきかのアドバイスが表示されます。方法が存在しない場合には、Plan Sに準拠した公表が可能になるための組み合わせが見つかるように、選択内容の編集に関する提案が表示されます。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、200件以上の雑誌をPlan S準拠の転換雑誌に

2020年11月17日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は209件のジャーナルをPlan Sに準拠した転換雑誌(transformative journal)にすることを約束したことを発表しました。これらのジャーナルの内訳は、CUPが所有する全てのハイブリッドジャーナル118件と、CUPのパートナーが全てまたは一部を所有するハイブリッドジャーナル91件です。

これらの209件のジャーナルでは、cOAlition Sが設定したオープンアクセスの成長目標に沿って、オープンアクセス論文を徐々に増加させていくとしています。また、論文処理費用(APC)と購読料の二重取り(ダブルディッピング)を回避するために、購読料価格を下げていくと述べられています。これらによって、完全なオープンリサーチへ移行するとしています。

DOAJにおけるオープンアクセスの定義(記事紹介)

2020年11月17日、DOAJ(Directory of Open Access Journals)は、”What does DOAJ define as Open Access?”と題した記事を公開しました。

20年以上前にはオープンアクセスは無料でアクセスできるコンテンツ(Gratis Open Access)を意味すると理解されていましたが、オープンアクセスの概念が受容されるにつれて、利用者がコンテンツで何をすることができるかについてより明確にする必要がありました。Libre Open Accessは、価格の障壁に加えて、少なくともいくつかの許諾(permission)の障壁が除かれたものであるとしています。

DOAJはオープンアクセスが効果的に機能するためには、ライセンスによる利用者の権利と著作権の所在を明確にする必要があると考えていることが述べられています。このことから、DOAJは、Libre Open Accessであるジャーナルのみを受け入れるということが強調されています。

また、DOAJは論文の著作権は著者が保持することを強く推奨していますが、論文にオープンライセンスが付与されている限り全てまたは一部の著作権が出版者に譲渡されたジャーナルを受け入れていることも述べられています。

米国芸術科学アカデミー、調査報告書「米国人の生活における人文学」を公開

2020年11月9日、米国芸術科学アカデミー(American Academy of Arts & Sciences)は、米国人の人文学との関与状況や人文学のもたらす利益への認識についての調査報告書「米国人の生活における人文学(The Humanities in American Life)」が新たに公開されたことを発表しました。

同報告書は、各種統計に基づいた米国における人文学の客観的な状況を提示する同アカデミーのプロジェクト“Humanities Indicators”によるものです。アンドリュー W.メロン財団の助成の下、米国内の18歳以上の成人約5,000人に対して、2019年秋に行われた調査に基づいて作成されました。

報告書は調査の結果に基づいて、人文学の中では歴史学の人気が高いことや、人文学が他者の理解・民主主義の強化に有益と考えられている一方で、大多数の米国人は人文学が一部のエリートが携わるものであると認識していることなどを指摘しています。

米国芸術科学アカデミーのウェブサイト上で、調査報告書、インフォグラフィックで示された調査結果の概要、分野別の分析等が公開されています。

研究の透明性の自動評価手法の提案と生物医学分野への適用(文献紹介)

プレプリントサーバbioRxivに2020年10月30日付で、米・スタンフォード大学のStylianos Serghiou氏らの研究グループによる論文“Assessment of transparency indicators across the biomedical literature: how open is open?”が掲載されています。

オープンリサーチ、透明性の高い研究実践、及びそれらのモニタリングの重要性はますます高まっていますが、毎週数万件単位の論文が新たに発表される生物医学分野では、これを手動で行うことは現実的ではありません。著者らの研究グループは、統計分析ソフトウェアRを活用した自然言語処理によって、「データの共有」「コードの共有」「利益相反の開示」「研究助成元の開示」「研究プロトコルの登録」の研究の透明性の測定に必要な5指標を同定するオープンソースの自動化手法を開発し、PubMed Centralに収録されたオープンアクセス(OA)論文約275万件に適用しました。

ページ