学術情報流通

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、リポジトリ内のリソースを対象とした査読サービスのための標準手法を示したモデル案を公開:パブリックコメントを実施中

2020年8月3日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、リポジトリ内のリソースを対象とした査読サービスのための標準手法を示したモデル案の公開を発表しました。8月4日から9月11日までパブリックコメントを実施しています。

COARは2020年1月、フランス・パリで開催した会議において、リポジトリとオーバーレイ査読サービスとを接続する共通アプローチの可能性を調査しました。参加者からは多くの異なるユースケースが提示されたものの、ワークフロー、機能性、目的という点で大きな類似があり、共通アプローチが開発可能であることが明らかになったとしています。

今回公開されたモデルは、COARの次世代リポジトリイニシアチブによる作業の成果であり、2020年1月の会議で提示されたユースケースを参考にしています。

ドイツ医学中央図書館(ZB MED)、新型コロナウイルス感染症に関するプレプリントの情報検索を容易にするテキストマイニング技術を活用したビューアを開発

2020年7月22日、ドイツ医学中央図書館(ZB MED)は、新型コロナウイルス感染症に関するプレプリントの情報検索を容易にするテキストマイニング技術を活用したビューアを開発したことを発表しました。

新型コロナウイルス感染症に関する研究の多くは、プレプリントとして迅速な公開・共有が進んでいます。ZB MEDは急増するプレプリントによる新型コロナウイルス感染症関連研究の概要を容易に検索・把握可能なツールとして、テキストマイニング技術を活用したビューアを開発しました。

ビューアは、bioRxiv、medRxiv、ChemRxiv、arXiv、及びPreprint.org等のプレプリントサービスを情報源として毎日更新され、詳細検索・フィルター適用・フルテキストへのリンク提供・検索結果のエクスポートなどの機能を備えています。また、検索機能向上のため、標準的な疾患・症状に関する語彙は検索結果上で強調して表示されます。今後も機能拡張としてリソースとなるプレプリントサービスの追加等が計画されています。

米国化学会(ACS)、研究者等にオープンサイエンスやオープンアクセス出版に関する情報を提供する「オープンサイエンスリソースセンター」をウェブサイト上に開設

2020年7月16日、米国化学会(ACS)は、ACSの出版部門による「オープンサイエンスリソースセンター」の開設を発表しました。

「オープンサイエンスリソースセンター」は、ACSの出版部門がオープンサイエンスやオープンアクセス(OA)に対する関与を深化し、研究者がこれらの動向へ積極的に関わることを支援する目的で立ち上げられました。ウェブサイト上に開設された同センターでは、研究者・図書館員等向けに、オープンサイエンス・OA出版に関する情報、研究助成元の求める要件に準拠する方法の案内、ACSと学術機関の“Read and Publish”検索の締結状況の検索、などが提供されます。

ACSは同センターの提供するこれらのツールは、広範な研究者コミュニティに対してOA出版の機能を効果的に伝えることで、オープンサイエンスへの転換を加速させるものである、としています。

研究データ管理(RDM)を改善するための10の基本的な実践方法(文献紹介)

2020年7月27日付で、研究サイクルのあらゆる段階の成果物を総合的に公開するオープンアクセス(OA)誌“Research Ideas and Outcomes”のガイドラインとして、“Foundational Practices of Research Data Management”が公開されています。

同ガイドラインは米国カリフォルニア工科大学のKristin A Briney氏らにより作成され、研究データ管理(RDM)を改善するための10の基本的な実践方法を示した内容です。優れたRDMは、効率的なデータの発見・理解、研究プロジェクトのあらゆる段階での利活用、分析・可視化・報告の合理化につながり、出版におけるストレスや時間を軽減するものであるという認識の下、日々の取り組みへの小さな追加としてあらゆるタイプのデータ管理に適用可能なRDMにおける基本的なベストプラクティスを紹介しています。以下の10の実践方法について具体的な内容が解説されています。

学術機関・図書館との協同関係や価値観の共有に基づいた学術雑誌出版社評価システム(文献紹介)

2020年7月23日付で、オープンアクセス(OA)出版社MDPIの学術出版に関するテーマを扱う査読誌“Publications”第8巻第3号(2020年9月)に、論文“A Provisional System to Evaluate Journal Publishers Based on Partnership Practices and Values Shared with Academic Institutions and Libraries”が公開されています。

同論文は、学術機関・図書館との協同関係(Partnership Practices)や価値観の共有に基づいて学術雑誌出版社を評価する暫定的なシステムを提案する内容で、米国テネシー大学ノックスビル校図書館のRachel Caldwell氏により執筆されました。著者は、研究者の学術雑誌や出版社に対する見方に大きな影響を与えているインパクトファクター(IF)では、出版社による図書館・学術機関への関わり方を評価できないことを研究の背景に挙げています。IFによらない暫定的な評価システムを導入することにより、出版社の展開する事業が図書館や高等教育機関の価値観とどの程度一致しているかを測り、図書館・機関がリソース配分に関する戦略的な意思決定を行う際に役立てることが研究の目的である、としています。

「知識コモンズ」の視点から見た日本のリポジトリにおける研究データのガバナンス状況(文献紹介)

2020年7月31日付で、図書館情報学分野の査読誌“Aslib Journal of Information Management”のオンライン速報版(ahead-of-print)の論文として、“How are research data governed at Japanese repositories? A knowledge commons perspective”がオープンアクセスにより公開されています。

同論文は筑波大学大学院図書館情報メディア研究科の博士後期課程に在籍する西川開氏によって執筆されました。日本のリポジトリにおける研究データのガバナンス状況を調査する目的で、知的・文化的共有資源とその管理を扱う「知識コモンズ」のアプローチによって理念型を設定し、設定された理念型とリポジトリの適合性を個々に評価した結果・考察等を示した内容です。

台湾・Airiti社、中国語の学術リソースのプラットフォーム“Airiti Library”を期間限定で無償提供:新型コロナウイルス感染症対応への支援

2020年7月31日付の文生書院によるニュースリリースで、台湾のAiriti社が、新型コロナウイルス感染症対応への支援として、中国語の学術リソースのプラットフォーム“Airiti Library”へのアクセスを、期間限定で無償提供することが発表されました。

同プラットフォームは、2020年6月時点で、台湾・中国・香港・マレーシア等の地域における、主に1991年以降の学術雑誌、学位論文のフルテキスト・コンテンツ合計約316万件を収録しています。

無償提供の期間は2020年12月までであり、対象は大学等の研究機関です。機関単位でのIPアドレス認証により提供され、接続数の制限はありません。

台湾の学術データベース会社 Airiti (アリティ)社が、COVID 対応支援として"Airiti Library"を日本向け無償アクセス提供(文生書院, 2020/7/31)[PDF:1ページ]
https://www.bunsei.co.jp/wp-content/uploads/PDF/newsrelease200731.pdf

国際STM出版社協会、査読における用語や定義の標準化を行う “A Standard Taxonomy for Peer Review”のバージョン1.0を公開

非営利団体Center for Open Science(COS)の研究プロジェクト管理システム“Open Science Framework”(OSF)上に、2020年7月12日付けで“A Standard Taxonomy for Peer Review”のバージョン1.0が公開されています。

国際STM出版社協会の“Peer Review Taxonomy”についてのワーキンググループが作成したものであり、査読における用語や定義の標準化を行っています。同タクソノミーを広く出版社間で用いることにより、論文・ジャーナルの査読プロセス透明化、異なるジャーナル間の査読プロセスのより良い検証・比較を可能にすることを目指しています。

バージョン1.0に対し、2020年8月14日までコメントを募集しています。

A Standard Taxonomy for Peer Review Version 1.0(OSF)
https://osf.io/68rnz/

【イベント】2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」(8/28・オンライン)

2020年8月28日、2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」が、ウェブ会議システムZoomによるオンラインセミナーとして開催されます。

2020年度のJ-STAGEセミナーは、オープンサイエンスの進展や研究不正の防止といった観点で、研究データの公開を重視する動きが増えていることから、年間テーマを「ジャーナルから見た研究データ」と定め、論文根拠データの公開に関する情報提供が実施される予定です。第1回セミナーでは、「研究データ公開の意義」をテーマに、研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化や、海外ジャーナルの動向等についての解説と共に、論文著者の研究データ公開に関する実践事例の紹介が行われます。

参加無料ですが事前申込が必要です。主な内容は以下のとおりです。

・開会挨拶

・「研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化」 (仮)
 倉田敬子氏(慶應義塾大学)

・「Research data and scholarly journals: developments, policy and implementation」
 Dugald McGlashan氏(INLEXIO)

国際連合(UN)、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォーム“2030 Connect”を公開

2020年7月15日、国際連合(UN)は、「持続可能な開発目標(SDGs)」のための科学技術・イノベーション促進を目的としたオンラインプラットフォームとして、“2030 Connect”を公開したことを発表しました。

“2030 Connect”は、国際連合の加盟国によるSDGsの進展の促進に対する要請に応えたプラットフォームとして構築され、SDGs達成のための呼びかけとして事務総長名で2020年1月に発表された「行動の10年(Decade of Action)」を支える重要なツールに位置づけられています。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、世界の全ての地域において政府やその他の意思決定者が必要なリソースにアクセスし、科学技術・イノベーションに全ての力を注がなければ達成できないことがプラットフォーム構築の背景として説明されています。

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