計量書誌学

論文における「引用のハッキング」のサイン(記事紹介)

2020年8月14日付けのNature誌オンライン版で、"Signs of ‘citation hacking’ flagged in scientific papers"と題された記事が公開されました。記事では、研究者間での事前の交渉、あるいは査読において追加で論文を引用することを要求することで、引用を稼ぐ行為を「引用のハッキング("citation hacking”)」としており、米国・オクラホマ医学研究財団(Oklahoma Medical Research Foundation)のJonathan Wren氏とConstantin Georgescu氏の取り組みを中心として、引用のハッキングの抽出について述べられています。

引用のハッキングは問題となっており、約20%の研究者が査読者から不要な参考文献を追加するように要求された経験があるとしています。また、2019年にエルゼビアは、エルゼビアが出版している学術雑誌の査読記録の検査に続いて、被引用数を稼ぐために故意に査読プロセスを操作した疑いのある研究者を調査していると述べています。引用ハッキングの疑いによって、2020年2月には米国の生物学者が複数の学術雑誌の職を解かれています。

2014年から2018年における図書館情報学分野の研究動向:学術図書館に関連する研究が盛んに実施(文献紹介)

2020年7月29日付で、Elsevier社が刊行する大学図書館の関わるテーマを主に扱った査読誌“The Journal of Academic Librarianship”掲載記事として、ハンガリーの研究者による論文“Academic libraries as the flagships of publishing trends in LIS: a complex analysis of rankings, citations and topics of research”がオープンアクセスで公開されています。

1990年から2018年までのZineを扱う研究の動向に関する文献分析(文献紹介)

2020年7月23日付で、学術情報流通やオンライン出版などをテーマにした査読付きオープンアクセス誌“Journal of Librarianship and Scholarly Communication”掲載記事として、米国ニューヨーク市立大学・スタテンアイランドカレッジのAnne Hays准教授による論文が公開されています。

Hays准教授は、自費出版される小冊子“Zine”を、研究者がなぜ、どのように研究してきたのかについて、査読付き学術誌で公表された文献に基づき明らかにする研究を実施しました。複数の学術文献データベースへの検索によって、1990年から2018年までの期間に発表されたZineを扱う研究文献163件(電子的に発表されたZineを扱う研究は対象外)を抽出し、出版年別の動向・研究分野別の動向・Zineを扱う研究が取り上げているサブトピックの傾向などを分析しています。論文では分析結果に基づいて、主に以下のことを指摘しています。

・Zineを扱う研究文献は1990年、1991年には年間を通して各1件のみの発表であったが、2017年、2018年には各18件発表されており、過去28年間で研究者のZineに対する関心は着実に高まっている

Google Scholar、学術雑誌のインパクト指標を2020年版に更新

2020年7月7日、Google Scholarは学術雑誌のインパクト指標を提供するサービス“Google Scholar Metrics”の値を2020年版に更新しました。

2020年版は、Googleのガイドラインに準拠しているウェブサイト掲載のジャーナル、および、選定した工学・コンピューター科学分野の会議のうち、2015年から2019年の間に公開・被引用された論文をもとにしています。同期間の掲載論文が100本未満等のジャーナルは対象外です。

コンピュータービジョン・パターン認識、流体力学、地理・地図学、工学・コンピューター科学、人文学、文学といった学問分野ごとにも見ることができます。

2020 Scholar Metrics Released(Google Scholar Blog,2020/7/7)
https://scholar.googleblog.com/2020/07/2020-scholar-metrics-released.html

Elsevier社、「研究計量に関するライデン声明」への支持を表明

2020年7月14日、Elsevier社は、「研究計量に関するライデン声明(“Leiden Manifesto for Research Metrics”)」への支持を表明しました。

「研究計量に関するライデン声明」は、研究評価者・評価対象者・研究指標の設計者・提供者など、研究評価に携わる人々を対象に、研究評価実践のための10原則を示した声明です。同社は2019年に設立した研究評価のあり方を検討するための国際センター“The International Center for the Study of Research”(ICSR)において、同声明の推奨事項に基づいた研究評価ツールやサービスの開発を進めることを表明しています。

欧州研究図書館協会(LIBER)、研究機関の執行部とともに学術評価指標に関する課題に取り組む図書館関係者向けのレポートを公開

2020年6月20日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、研究機関の執行部とともに学術評価指標に関する課題に取り組む図書館関係者向けのレポートとして、“Why Do Measures Fluctuate?:Metrics Report - Guidelines for Talking to Management”を公開したことを発表しました。

学術評価指標等の課題を扱うLIBERの“Innovative Metrics Working Group”によって、同レポートは作成されました。学術評価指標を議論する上で陥りやすい過ちや、「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)をはじめとした新しいアプローチに触れながら、LIBERのWGや各機関の経験に基づく学術評価指標の不安定さ背景の説明の一助となる提言を提供するなどして、各機関の執行部と図書館関係者の議論を促進することを作成の目的としています。

レポートはリポジトリzenodoで公開されています。

否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正・取り下げに与える影響(文献紹介)

2020年6月3日、査読誌”Scientometrics”より、否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正・取り下げに与える影響を調査した論文が公開されました。

この論文では、否定的な引用と出版後の査読プラットフォームが論文の訂正/取り下げへ与える影響について調査しています。調査は工学、医学、生物学分野の論文を対象としています。否定的な引用(矛盾を指摘した引用)はSciteを利用して特定し、出版後の査読プラットフォームとしてはPubPeerを利用しました。結果として、否定的な引用よりも、出版後の査読プラットフォームにおけるコメントのほうが、論文の訂正・取り下げにより大きな影響を与えることが判明しました。特に、出版後の査読プラットフォームのコメントは、否定的な引用よりも論文を訂正させる機会が多いことが報告されています。

このことから、出版後の査読プラットフォームのコメントは、学術の修正に貢献するメカニズムの一つであると述べています。

エルゼビア社、学術雑誌の評価指標“CiteScore”の2019年版を公開

2020年6月9日、エルゼビア社が、学術雑誌の評価指標“CiteScore”の2019年版の公開を発表しました。

CiteScoreは、同社の抄録・引用文献データベースScopus上の330分野25,000タイトル以上の査読誌・業界誌・会議録・書籍が対象です。2019年版では、利用者や専門家からのフィードバックに基づき、以下のとおり算出手法の変更が行われています。

・2019年版では、対象年を含む過去4年間における累積引用回数を、対象年を含む過去4年間にそのジャーナルが掲載した文献数で割る、という手法に変更した。具体的には、2016年から2019年までに出版された文献が2016年から2019年までに引用された回数を、2016から2019年までに出版された文献数で割る、という手法とした。
・これまでは、引用回数・文献数のカウントにおいて査読を経ていない出版物類型(エディトリアル、ニュース記事、レター、ノートなど)も対象としていたが、2019年版では査読を経る出版物類型(論文、レビュー、会議論文、本の章、データペーパー)のみに限定した。
・これまではCiteScore値を小数点第2位まで表示していたが、小数点第1位までの表示に変更した。

QS社、世界大学ランキング2021を公開:100位以内には日本から5大学がランクイン

2020年6月10日、QS社が毎年公開している世界大学ランキングの2021年版が公開されました。2020年版と同じく、1位は米・マサチューセッツ工科大学(MIT)、2位は米・スタンフォード大学、3位は米・ハーバード大学でした。

このランキングは世界の研究者を対象とする調査や、Scopusのデータを利用した所属研究者の過去5年分の論文の引用分析の結果等に基づいて算出されるものです。

100位以内には、日本からは24位に東京大学、38位に京都大学、56位に東京工業大学、72位に大阪大学、79位に東北大学の5大学がランクインしています。

@worlduniranking(Twitter)
https://twitter.com/worlduniranking/status/1270490856030642179

E2262 - シンポジウム「社会に魅せる研究力」を測る<報告>

2020年2月13日に,国立国語研究所IRシンポジウム「社会に魅せる研究力を測る-論文では見えてこない社会に貢献する研究を評価する指標-」が国立国語研究所(東京都立川市)にて開催された。

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