計量書誌学

Google Scholar、学術雑誌のインパクト指標を2021年版に更新

2021年7月22日、Google Scholarは学術雑誌のインパクト指標を提供するサービス“Google Scholar Metrics”の値を2021年版に更新しました。

2021年版は、Googleのガイドラインに準拠しているウェブサイト掲載のジャーナル、および、選定した工学・コンピューター科学分野の会議論文のうち、2016年から2020年の間に公開・引用された論文をもとにしています。

2021 Scholar Metrics Released(Google Scholar Blog, 2021/7/22)
https://scholar.googleblog.com/2021/07/2021-scholar-metrics-released.html

レビュー論文での紹介が被引用数にもたらす影響(記事紹介)

英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science : LSE)のブログ“LSE Blogs”に、2021年6月22日付けで記事“Review papers and the creative destruction of the research literature”が掲載されています。筆者はカナダ・マギル大学で社会学の助教授(Assistant Professor)を務めるPeter McMahan氏です。

記事では、McMahan氏らが2021年3月に発表した論文“Creative Destruction: The Structural Consequences of Scientific Curation”に基づき、レビュー論文での紹介が被引用数にもたらす影響や、レビュー論文がその対象とする研究領域の確立に果たす役割について紹介しています。

レビュー論文で引用された論文のうち、その多くは(当該論文の代わりにレビュー論文が引用されることにより)被引用数が減少する傾向にある一方で、少数の論文では被引用数が大幅に増加するとしています。この増加の原因は、次のように分析されています。

Clarivate Analytics社、Journal Citation Reports(JCR)の2021年版をリリース

2021年6月30日、Clarivate Analytics社は、学術誌評価分析データベース“Journal Citation Reports”(JCR)2021年版のリリースを発表しました。

2021年版では、113か国の学術雑誌20,000誌以上の情報を収録し、収録誌のうち完全オープンアクセス(OA)誌は4,600誌以上です。また、収録範囲の拡大も図られ、新たに引用索引のArts&Humanities Citation Index(AHCI)及びEmerging Sources Citation Index(ESCI)が含まれるようになりました。このことにより、JCRの収録範囲は自然科学、社会科学だけでなく人文科学にも及び、Web of Science Core Collectionがカバーする研究分野の全範囲となったと述べています。

また、学術誌の新たな引用評価指標である“Journal Citation Indicator”の算出や、ユーザーインターフェースの改善等も行われています。

引用分析プラットフォームscite、iGroupとパートナーシップを締結

引用分析プラットフォームsciteは、2021年6月23日付けのmediumでの投稿において、アジア・太平洋地域向けに情報サービス・学術サービスを提供するiGroupとパートナーシップを締結したことを発表しました。締結の意義について、アジア・太平洋地域の組織・機関にsciteの製品・サービスの提供を拡大する上での有用性等を挙げています。

sciteは、2021年6月1日付けのmediumでの投稿でも、Charlesworthグループと提携し中国市場での製品・サービスの提供に取り組むことを発表していました。

scite and iGroup sign partnership to bring scite into Asia Pacific(medium, 2021/6/23)
https://medium.com/scite/scite-and-igroup-sign-partnership-to-bring-scite-into-asia-pacific-4945da55637d

QS社、世界大学ランキング2022を公開:100位以内には日本から5大学がランクイン

2020年6月10日、QS社が毎年公開している世界大学ランキングの2022年版が公開されました。1位は米・マサチューセッツ工科大学(MIT)(2021年版:1位)、2位は英・オックスフォード大学(2021年版:5位)、3位は米・スタンフォード大学(2021年版:2位)でした。

このランキングは世界の研究者を対象とする調査や、Scopusのデータを利用した所属研究者の過去5年分の論文の引用分析の結果等に基づいて算出されるものです。

100位以内には、日本からは23位に東京大学(2021年版:24位)、33位に京都大学(2021年版:38位)、56位に東京工業大学(2021年版:56位)、75位に大阪大学(2021年版:72位)、82位に東北大学(2021年版:79位)の5大学がランクインしています。

@worlduniranking(Twitter, 2021/6/9)
https://twitter.com/worlduniranking/status/1402357291341463568

エルゼビア社、学術雑誌の評価指標“CiteScore”の2020年版を公開:ライデン声明を反映

2021年5月27日、エルゼビア社が、学術雑誌の評価指標“CiteScore”の2020年版の公開を発表しました。

2020年版は330分野の2万5,990誌が対象で、2019年版と比較して3%増加しているほか、同社がライデン声明(Leiden Manifesto)に署名したことをうけて、同声明の原則4「データ収集と分析のプロセスをオープン、透明、かつ単純に保て」、原則5「被評価者がデータと分析過程を確認できるようにすべきである」、原則10「指標を定期的に吟味し、改善せよ」を反映したものとなっているとしています。

CiteScore 2020 values are now live!(Elsevier Scopus,2021/5/27)
https://blog.scopus.com/posts/citescore-2020-values-now-live

複製可能性のない論文は、複製可能性のある論文よりも引用される(文献紹介)

2021年5月21日付けで、米国科学振興協会(AAAS)が刊行するオープンアクセスジャーナル“Science Advances”に、研究論文“Nonreplicable publications are cited more than replicable ones”が公開されました。著者は、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMarta Serra-Garcia氏とUri Gneezy氏です。

論文では、心理学、経済学、総合分野におけるトップジャーナル掲載論文を対象として調査した結果、複製可能性(replicability)のない論文は、複製可能性のある論文よりもより多く引用されていることが報告されています。この被引用数の差は、複製に失敗したことが公開された後も、変化しませんでした。複製に失敗したことが公開された後の引用のうち、12%のみが複製可能でないことについて言及していました。

先行研究では、専門家は論文の複製可能性についてうまく予測できることが示されています。それにも関わらず、複製可能性のない論文がトップジャーナルで採択される理由については、複製可能性のない研究は興味深くみえる分、再現性(reproducibility)については低い水準が適用されてしまうトレードオフが存在する可能性を指摘しています。

“Journal Citation Indicator”の問題点(記事紹介)

学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会(Society for Scholarly Publishing:SSP)運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、2021年5月24日付けで記事“Journal Citation Indicator. Just Another Tool in Clarivate’s Metrics Toolbox?”が掲載されています。筆者は出版コンサルタントのPhil Davis氏です。

Clarivate Analytics社が新たに発表した学術誌単位の引用評価指標“Journal Citation Indicator”(JCI)は、同社の説明によれば、研究分野ごとに異なる出版率・引用率を正規化することにより、研究分野を超えて解釈・比較できる指標です。なお、JCIの値は、過去3年間に当該学術誌に掲載された全ての論文・レビューの相対被引用度(Category Normalized Citation Impact:CNCI)の平均値であると説明されています。

引用分析プラットフォームscite、オープン化された引用データ10億件以上を収録し被引用情報の表示機能を強化

引用分析プラットフォームsciteは、2021年5月18日付けのmediumでの投稿において、Crossref経由で取得したオープン化された引用データ(オープン・サイテーション)10億件以上を収録し、被引用情報の表示機能を強化していることを紹介しています。

sciteが提供する機能「スマート引用」では、対象とする論文が別論文に引用されているという事実に加え、どのように引用されているのかという「引用のコンテクスト」に関する情報も、別論文の本文における該当箇所を表示することにより参照可能となります。

別論文の全文にアクセスできない場合は「スマート引用」の提供は不可となりますが、オープン・サイテーションの利用により、対象とする論文を引用していることが特定できる場合は、書誌情報の表示が行われます。

新たな引用評価指標“Journal Citation Indicator”(記事紹介)

Clarivate Analytics社による2021年5月20日付けのブログ記事“Introducing the Journal Citation Indicator: A new, field-normalized measurement of journal citation impact”において、学術誌の新たな引用評価指標“Journal Citation Indicator”が紹介されています。筆者は同社のISI(Institute for Scientific Information)でディレクターを務めるMartin Szomszor氏です。

学術誌単位の指標である“Journal Citation Indicator”は、研究分野ごとに異なる出版率・引用率を正規化することにより、研究分野を超えて容易に解釈・比較できる指標を提供する、と述べています。

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